江藤拓の発言 (農林水産委員会)
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○江藤国務大臣 農林水産委員会の開催に当たりまして、所管大臣として考え方の一端を申し述べます。
このたび、新たな内閣の発足に当たり、農林水産大臣を拝命いたしました。委員の皆様の御指導を賜りながら、大臣としての職責を果たしてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
冒頭、本年八月の前線に伴う大雨や台風第十五号及び第十九号などのたび重なる災害によりお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
私は、大臣に就任した際、みずからの目標として、農林水産業の生産基盤の強化を掲げました。しかしながら、たび重なる大雨、台風で多くの人命が犠牲となり、生産基盤が壊れていくのを目の当たりにし、無念でなりません。
大臣就任直後に訪問した千葉県及び茨城県では、台風第十五号の被害の深刻さを直接確認いたしました。被災された方々のお気持ちにしっかり向かい合い、迅速に対応しなければならないと改めて感じ、今月一日には、台風第十五号などによる農林水産被害への支援対策を決定しました。
また、台風第十九号は、多くの河川の決壊により甚大な被害が発生しており、私も長野県の被災の状況をこの目で確認してまいりました。発災前から人的支援を開始するとともに、プッシュ型の食料支援など、被災者の生活支援や被害の実態把握に全力で取り組んでいます。そして、被災された方々が離農されることなく、一日も早くなりわいを再開できるよう、農林漁業者のニーズを丁寧に聞いて万全の対策を講じてまいります。また、収入保険や農業共済など災害への備えとして活用できる施策を現場へ十分御理解いただける努力をしたいと考えています。
以下、農林水産行政に関して、私の基本的な考え方について申し述べます。
我が国の農林水産業は、農地を守り、山を守り、漁業を通じて国境を守るといった役割を担っている、まさに国の基であります。国民の皆様にとってかけがえのないものであります。このことを、国民の皆様に御理解いただけるよう努力していきたいと考えています。
一方、我が国の農林水産業は、人口減少に伴うマーケットの縮小や農林漁業者の減少、高齢化の進行など、厳しい状況に直面しています。我が国の農林水産業を若者が夢と希望を持てる産業としていくとともに、その生産基盤を次の世代に確実に継承していかなければなりません。
安倍内閣においては、これまで、農林水産業全般にわたる改革を推進してきており、農林水産物、食品の輸出額は六年連続で過去最高を更新し、生産農業所得は過去十九年で最高に達するなど、これまでの改革の成果が着実にあらわれています。
引き続き、改革の取組を着実に前進させるとともに、それが農林漁業者の所得向上につながるよう全力で取り組んでまいります。
以下、具体的な施策を申し述べます。
本年九月二十六日に日米貿易協定が最終合意し、十月八日には協定への署名に至りました。過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限とする考え方のもと、粘り強く交渉に取り組んできた結果、農林水産品に係る日本側の関税について、TPPの範囲内とすることができました。
TPP、日・EU・EPA協定に続くこの日米貿易協定により、我が国は名実ともに新たな国際環境に入ります。農林漁業者を始めとする国民の皆様の懸念と不安を払拭するため、合意内容について説明を尽くしてまいります。
また、総合的TPP等関連政策大綱を改定し、強い農林水産業、農山村をつくり上げるため、農林水産業の生産基盤を強化するとともに、新市場開拓の推進など万全の対策を講じてまいります。
TPPなどの経済連携協定の発効は、おいしくて安全な我が国の農林水産物や食品の輸出を拡大するチャンスをもたらします。輸出額一兆円目標の達成に向け、GFPを通じた輸出業者とのマッチングへの支援や戦略的なマーケティングを強化してまいります。同時に、海外に和牛遺伝子資源や植物新品種が流出し、日本の強みが失われないよう、戦略的な知的財産の保護について、法制度のあり方を検討してまいります。
さらなる輸出の飛躍のためには、輸出先国による規制の緩和、撤廃に向けた対応を加速化していく必要があります。このため、政府全体の司令塔組織を農林水産省に設置することなどを内容とする農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案を今国会に提出しましたので、御審議をお願いいたします。
農業を持続的に発展させるために、何よりも次世代の担い手を育成、確保していく必要があります。就農の検討・準備段階から経営を確立するまでの総合的な支援などにより、若者や女性を始め多様な人材の育成、確保を進めます。
担い手への農地集積、集約化を加速化するため、農地バンクと農業委員会など関係機関との現場レベルの連携を徹底し、人・農地プランの実質化を進めます。
農業の競争力強化や農村地域の国土強靱化を実現するためには、農地や農業用水などの農業、農村の基盤整備が欠かせません。農地の大区画化、汎用化、農業水利施設の長寿命化やため池等の豪雨・耐震化対策を推進してまいります。
ロボット、AI、IoT、ドローンなどの先端技術は、農業のさらなる体質強化への貢献が期待されています。大規模農業だけではなく、中山間地域でも活用できるスマート農業を実現するため、新技術の開発や実証、実装を推進します。
農業者の努力だけで解決できない構造的な問題を解決するため、引き続き、生産資材業界や流通加工業界の再編、参入を促進するとともに、関連制度の見直しを進めます。
特に、肥料に関して、現場から早期の見直しについて要望のある、堆肥と化学肥料の混合を認めることなどを内容とする肥料取締法の一部を改正する法律案を今国会に提出しましたので、御審議をお願いいたします。
地域の農業を発展させていくためには、農業者の所得向上に全力で取り組む農協が欠かせません。農林水産省としても、JAグループが自己改革の取組を着実に進め、具体的な成果を上げるよう、改革に協力してまいります。
米政策については、米の需給及び価格の安定を図っていくため、需要に応じた生産、販売を促していく必要があります。引き続き、麦、大豆、飼料用米などの戦略作物や高収益作物など水田フル活用に向けた支援を行うとともに、きめ細かい情報提供などを行います。
農山漁村は、都市に先行して人口減少、高齢化が進んでおり、その活性化は喫緊の課題です。美しい棚田や田園風景が守られ、中山間地域を始め農山漁村に住む皆さんの元気が出るよう、日本型直接支払いにより地域の下支えをしつつ、農泊を中心とした都市と農山漁村の交流の促進、鳥獣被害対策や安全で良質なジビエの利活用、農福連携の推進など、地域の特色を生かした多様な取組を総合的に推進いたします。
食の安全と消費者の信頼を確保するため、引き続き、科学的根拠に基づく食品の安全性確保と、正確な情報伝達による消費者の信頼性確保に取り組みます。
豚コレラについては、昨年九月の岐阜県での発生以来、感染が拡大し、先月には関東地方で感染が確認されるなど、極めて重大な局面を迎えています。発生地域が拡大している現状を農林水産大臣として大変重く受けとめています。豚コレラ封じ込めに向け、農林水産省を中心に、関係省庁一体となって、野生イノシシの捕獲強化、飼養衛生管理基準の遵守のさらなる徹底などに取り組むとともに、飼育されている豚への予防的なワクチン接種について、必要な対応に取り組みます。
また、アジア各国ではアフリカ豚コレラが発生していますが、豚コレラと異なり有効なワクチンが存在しません。このため、国内に持ち込ませないための水際対策を徹底するとともに、防護柵の設置の義務づけを含む飼養衛生管理基準の改定など農場に持ち込ませないための対策を強化していきます。
さらに、今般の豚コレラの状況を踏まえ、家畜伝染予防法を検証し、必要な改正について検討を進めていきます。
食料・農業・農村基本計画について、本年九月から五年に一度の見直しに着手しました。現場の声に真摯に耳を傾けながら、農政におけるさまざまな課題に的確に対応し、農業者が農業、農村の未来に夢や希望を持てるよう、精力的に検討を進めていきます。
林業については、戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎える中、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を図るためには、国産材の安定供給体制の構築と木材需要の拡大を促進することが必要です。
このため、本年九月から譲与が始まった森林環境譲与税も活用しつつ、森林経営管理制度と国有林野改正法により、意欲と能力のある林業経営者への森林の経営管理の集積、集約を進めます。また、川上、川中、川下の事業者の連携による木材の生産流通構造改革を推進するとともに、森林組合の事業、組織を強化するため、組合間連携手法の多様化などに向けた検討を進めてまいります。
水産業については、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢バランスのとれた漁業就労構造を確立するため、昨年六月に決定された「水産政策の改革について」に即して、引き続き改革を推進いたします。新たな資源管理の実施に向けたプロセスを丁寧に進めるとともに、漁獲証明に係る制度について検討を進めます。
先月、福島県を訪問し、原発事故の影響を受けつつも、営農や漁業が震災前のように立ち直るため、懸命に取り組んでおられる方々の声を直接お伺いいたしました。復興に向けて一歩一歩前進していますが、まだ道半ばであることも実感いたしました。前向きに取り組む農林漁業者の方々を後押しするため、地域ごとの多様な課題に対応できるよう、市町村への人的支援など、きめ細かな支援を行います。被災者の方々の気持ちに寄り添い、将来を見据えた復興、創生を実現できるよう、全力で取り組んでまいります。
以上、農林水産行政に関する基本的な考え方を申し上げました。
国民の豊かな食生活とそれを支える農山漁村を次世代に引き継ぐため、産業政策と地域政策を車の両輪として実行し、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現する。そのことを通じて、食料自給率を向上させ、食料安全保障の確保を図ります。
吉野委員長を始め委員各位に、重ねて御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)