河井克行の発言 (法務委員会)
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○河井国務大臣 皆様、おはようございます。
このたび、法務大臣に就任いたしました河井克行です。
松島みどり委員長を始め理事、委員の皆様方には、平素から法務行政の運営について格別の御理解、御尽力を賜り、厚く御礼申し上げます。
まず冒頭、台風十九号によりお亡くなりになられた数多くの方々の御冥福をお祈りするとともに、河川の氾濫による深刻な浸水被害等や、大規模な停電、断水等が続いている状況にあり、被災された方々に対し、お見舞いを申し上げます。法務省の総力を結集して、被災者皆様の生活再建に力を注いでまいります。
さて、私は、平成十九年八月から一年間、鳩山邦夫法務大臣の御指導のもと、法務副大臣として、法務行政の諸課題に取り組んでまいりました。
久しぶりに法務省に戻りまして、今昔の感ひとしおでございます。十一、二年前とは違う新しい政策課題が浮上していることに気づく一方で、当時と変わらない難題と格闘している法務省職員の姿を見て、法務大臣として、法務行政が直面する一つ一つの課題の解決に全力で取り組んでいく決意です。
本年五月に新しい令和の時代を迎え、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まで一年を切りました。また、来年四月に、犯罪防止、刑事司法分野における国際連合最大規模の会議である国連犯罪防止刑事司法会議が京都で開催されます。
このような我が国にとって大きな節目にあって、私は、法務行政にとって、次の三つの観点が重要であると、就任時の職員への訓示で述べました。一つ目は、法務省のあらゆる資源を用い、あらゆる能力を発揮して積極的に新たな施策を打ち出す、攻めの法務行政、二つ目は、今この瞬間も日本じゅうで助けを待っている方々の声、中には声なき声もあると存じますが、それらにしっかりと耳を傾ける、温かい法務行政、そして三つ目は、我が国において日本人と外国人とがともに安心して安全に暮らすことができる多文化共生社会を根づかせるとともに、我が国の法務行政における取組やこれを支える文化を世界に発信する、世界に広がる法務行政という観点です。
私は、これら三つの観点に基づき、関係大臣らと十分に連携し、常に現場感覚を大切にして、新しい時代にふさわしい法務行政の実現に全力を尽くしてまいります。
昨今、親による虐待等により、かけがえのない子供たちの命が奪われる大変痛ましい事件が後を絶ちません。児童虐待への対応は、何よりも子供の命を守ることを最優先として、その予防、早期発見、被害に遭った児童の保護などに総合的に取り組むことが重要です。
そこで、私は、今般、省内に、全ての関係部局から成る児童虐待とたたかう法務省プロジェクトチームを新たに立ち上げました。所管にとらわれない自由で柔軟な発想に基づく検討を開始し、年明けを目途に提言を取りまとめる予定です。児童虐待の根絶に向け、関係大臣と協力しながら、全力で取り組んでまいります。
女性や子供、高齢者をめぐる人権問題、障害等を理由とする差別、ヘイトスピーチを含む外国人に対する人権侵害、部落差別などの同和問題、性的指向、性自認を理由とする偏見や差別、インターネットを悪用した名誉毀損やプライバシー侵害等のさまざまな人権問題を解消するため、個別法規を駆使しながら、人権侵害に対する調査救済活動等に丁寧かつ粘り強く取り組みます。
心のバリアフリーとして、誰もがお互いの人権を大切にし、支え合う共生社会を実現するための人権啓発活動を推進し、ハンセン病患者、元患者やその御家族が置かれていた境遇を踏まえた人権啓発活動にしっかりと取り組んでまいります。
親によって出生の届出がされておらず、無戸籍となっている方々について、徹底した実態把握や丁寧な手続案内をするなどの寄り添い型の取組を行うとともに、引き続き、他のとり得る方策も検討しつつ、無戸籍状態の解消に取り組んでまいります。
平成二十九年に策定された再犯防止推進計画に基づき、関係省庁や地方公共団体との連携を一層推進し、刑事手続のあらゆる段階において、就労、住居の確保、高齢者や障害のある者、薬物依存を有する者への支援など、犯罪や非行をした者の立ち直りに必要な指導、支援を適切に実施するとともに、保護司、更生保護施設、協力雇用主などの民間の方々の活動への支援をより一層充実強化してまいります。
平成二十九年に成立した性犯罪に関する刑法の一部を改正する法律の附則には、施行後三年を目途として性犯罪に関する総合的な施策のあり方を検討することとされています。その検討に資するよう、附帯決議の趣旨を踏まえつつ、犯罪被害者等の声にしっかりと耳を傾け、性犯罪の実態把握等を着実に進めてまいります。
また、犯罪被害者の御負担に関するさまざまな御指摘等を踏まえ、犯罪被害者等基本法の理念にのっとり、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るため各種制度を適切に運用し、きめ細やかな対応に努めてまいります。
国民生活を脅かす組織犯罪、凶悪犯罪等の発生が後を絶ちません。国民の皆様が安全に安心して暮らせる社会を実現するため、関係機関とも連携し、治安確保のための対策を万全に講じます。
また、現下の国際テロ情勢を踏まえ、国内外におけるテロ関連動向の把握に努め、関係機関との連携を緊密にしつつ、情報収集・分析機能の強化に努めてまいります。
現在、アレフ、山田らの集団及びひかりの輪を中心に活動するオウム真理教については、引き続き、団体規制法に基づく観察処分を適正かつ厳格に実施することにより、地域住民の皆様の不安感を解消、緩和するとともに、公共の安全の確保に努めてまいります。
平成二十八年に成立した、証拠収集方法の適正化及び多様化並びに公判審理の充実化を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律は、本年六月までに全ての規定が施行されました。その趣旨を踏まえた適正な運用を図るなど、国民の負託に応えるための検察改革の取組を進めてまいります。
昨年の訪日外国人旅行者数は三千万人を超え、過去最高を更新しました。来年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、テロ等の未然防止がこれまでになく求められています。我が国の社会秩序を乱し、我が国の安全、安心を脅かす危険な行為に及ぶおそれがある者らに対する毅然とした入国管理を行う必要があります。その上で、観光立国推進に向けた円滑な入国審査と厳格な入国管理を高度な次元で両立させるため、顔認証ゲートなど世界最高水準の技術を活用し、入国審査のさらなる高度化を進めてまいります。
弾道ミサイルの発射を繰り返している北朝鮮に対しては、今後も人的往来の規制強化措置等を適切に実施していくとともに、核・ミサイル関連の動向、日本人拉致問題を含む北朝鮮の対外動向や国内状況等について、関連情報の収集、分析等を進めます。また、尖閣諸島関係についても、関係機関と連携し、遺漏のない対応をしてまいります。
本年四月一日から運用を開始した特定技能制度については、外国人材の方々に我が国で十分に力を発揮していただけるよう、制度の適正な運用に努め、技能実習生や留学生についても、適正な受入れを図るため、運用上の改善に取り組んでまいります。
外国人との共生社会の実現については、昨年末に取りまとめられた外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策などを踏まえ、出入国在留管理庁による総合調整機能を果たしつつ、関係府省庁と十分に連携して、地方公共団体の一元的相談窓口の充実強化、外国人支援の拠点としての外国人共生センター(仮称)の設置、生活全般に関する基礎的情報を記載したわかりやすい生活・就労ガイドブックの多言語化や災害時の情報発信などの対策を進めてまいります。
また、外国人による医療保険の利用について、厚生労働省と協力し、健康保険法の改正を踏まえた適正な運用の確保に努めてまいります。
退去強制令書が発付されたにもかかわらず、さまざまな理由で送還を忌避している者がおり、その存在は、迅速な送還に対する大きな障害となっているばかりか、収容の長期化の大きな要因となっています。送還を忌避している長期収容者の問題は、我が国の出入国在留管理制度の根幹を脅かし、ひいては、我が国の社会秩序や治安に影響を与えることにもなりかねない深刻な問題です。今後、適正手続にも十分配慮しつつ、迅速な送還の実現及び長期収容状態の着実な解消に努めてまいります。
難民認定手続については、真に庇護を必要とする申請者には早期に安定した在留許可をするなどのさらなる配慮を行い、濫用、誤用的な申請者には、事案の内容に応じて在留を許可しないなどの厳格な対応を行うことにより、難民認定制度の適正な運用に努めてまいります。
民事基本法について、国民の意識や社会情勢の変化に対応し、新しい時代のために必要な見直しを進めてまいります。今国会には、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図るため、会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を提出する予定です。今後、コーポレートガバナンスのあるべき姿を追求するため、勉強を重ねてまいります。
また、現在行っている家族法制等についての検討を着実に進めるとともに、施行を控えている成年年齢の引下げや債権法分野の民法等の改正についても、円滑な施行に向けた準備と国民への周知に全力を尽くしてまいります。
所有者不明土地問題の解決に向け、これまでに講じてきた相続登記の促進のための取組を着実に実施するとともに、さきの通常国会で成立した表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律の円滑な施行のための準備を進めます。
さらに、現在、法制審議会において、民法及び不動産登記法の改正についての調査審議をいただいているところであり、関係省庁とも連携して、法改正に向けた具体的な検討を行ってまいります。
相次ぐ大規模災害の復旧復興支援については、登記嘱託事件等の適切かつ迅速な対応、倒壊するなどした建物の登記官の職権による滅失登記、登記所備付け地図の整備、法テラスによる無料法律相談や人権擁護機関によるさまざまな人権問題に対する相談、調査救済活動など、今後も、被災者の要望、需要をしっかりと把握しながら、全力で取り組んでまいります。
国の利害に関係する訴訟に対する指揮権限を適切かつ効果的に行使することはもとより、国内外の法的紛争の発生そのものを未然に防止するための予防司法機能の強化を図ります。また、関係省庁と緊密に連携をするなどして国際訴訟等への対応を強化します。このような多様な訟務機能の充実強化によって、より一層国民の権利利益の保護を図ってまいります。
急速に進展するAIやICT等の技術革新への対応は、業務を効率化し、司法や法務行政の質の向上を図るとともに、ビジネス環境を整備し、日本の国際競争力を高める上でも急務となっています。民事裁判のIT化を始めとした司法、法務行政の分野における新たな技術の活用及びその実現に向けた基盤整備を強力に推進してまいります。
法曹養成制度については、法曹養成制度改革推進会議決定を踏まえつつ、今後とも、現場感覚を大事にし、さまざまな関係者の御意見もよく聞きながら、文部科学省等と連携して、国民の期待に応えられる法曹を養成するために必要な取組を進めてまいります。
令和四年の民法の成年年齢引下げをも見据え、関係機関とも連携しながら、対象世代や現場のニーズに応じ、多くの国民が法教育に触れる機会を持てるよう、積極的に取り組みます。
法テラスでは、福祉機関等と連携して高齢者や障害者の総合的な問題解決を図る取組のほか、増加する在留外国人等への適切な対応も図るべく、我が国の法制度等についての情報を多言語で提供するサービスを充実させるなど、多様化する社会のニーズに応えるための支援に取り組んでいます。今後も、法テラスの取組の周知、広報に努めるとともに、国民の司法へのアクセスを支援するための業務の円滑な実施と体制の充実を図ってまいります。
来年四月に京都で開催される国連犯罪防止刑事司法会議、京都コングレスにおいて、法の支配や基本的人権の尊重といった基本的価値を国際社会において確立させるべく指導力を発揮します。あわせて、我が国が重視する官民連携による再犯防止の取組などに関するシンポジウムやユースフォーラムなどを開催し、我が国の成熟した社会を外国からの参加者に体感していただくとともに、安全、安心な社会の実現についての国民的関心も高めたいと考えています。さらに、さまざまな機会を捉えて、先進諸国を始めとする各国の司法関係閣僚とも積極的に対話を行ってまいります。
これまで長年にわたり、開発途上国等に対し、基本法令の起草、司法制度の整備や運用、国際研修の実施、司法関係者の人材育成などの法制度整備支援を行ってまいりました。これらの国際協力は、自由で開かれたインド太平洋に資する取組であり、積極的に推進してまいります。
経済社会の国際化が急激に加速する中、重要な日本法令を翻訳して国際発信することは、国際化に対応した国家の基盤整備として、大変重要な取組です。本年三月の日本法令の国際発信に向けた将来ビジョン会議の提言をしっかりと受けとめ、本年内に司令塔となる官民会議体を立ち上げた上、関係省庁とも連携して、日本法令の国際発信に向けて、より一層取り組んでまいります。
国際仲裁は、国際取引をめぐる紛争解決のグローバルスタンダードとなっています。関係省庁、関係機関と連携しながら、仲裁人等の専門的な人材育成、国内外における広報、意識啓発、仲裁専用施設の確保等の基盤整備を進め、我が国における国際仲裁の活性化に取り組んでまいります。
また、法律事務の国際化等に、より的確に対応するとともに、国際仲裁のさらなる活性化に向けた基盤整備を推進する等のため、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定です。
法務省・出入国在留管理庁・公安審査委員会・公安調査庁特定事業主行動計画、アット・ホウムプランに基づき、男女を問わず活躍できる職場環境の整備と仕事と生活の調和の推進に努めます。
障害者雇用については、昨年定められた政府の基本方針に基づき、着実に取組を進めてまいります。
今国会においては、一般の政府職員の給与改定に伴い、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額を改定するための裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしましたので、十分に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
刑務所等の矯正施設及びその職員宿舎を始めとする法務省施設の耐震化及び老朽化対策を進めるとともに、災害時に防災拠点や避難所となる矯正施設の整備、行政需要の変化、拡大を踏まえた施設の整備を推進してまいります。
今後、さまざまな課題に対し、義家弘介副大臣、宮崎政久大臣政務官とともに全力で取り組んでまいります。松島みどり委員長を始め理事、委員の皆様方には、より一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)