枝野幸男の発言 (本会議)

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○枝野幸男君 立憲民主党代表の枝野幸男です。(拍手)
 冒頭、大島議長に一言申し上げます。
 議長は、去る五日、継続審議となっている国民投票法改正案について、ぜひ臨時国会で与野党で話し合って合意を見つけてほしいなどと述べられました。これまで中立公正な議会運営に努力されてきた大島議長らしくない、信じがたい発言であります。
 議会運営全体に責任を持つ議長が、特定法案について、それも政治的に注目されている重要法案について、時期を区切って合意を期待するなどという発言は、議長として越権であり、議会運営全体に影響を与えかねません。
 議長におかれては、事態を真摯に受けとめ、一層中立公正な議会運営に当たられるよう、強く求めます。
 報道等によれば、本日朝、能登半島沖の我が国の排他的経済水域内で、水産庁の漁業取締り船と北朝鮮の大型漁船が衝突し、二十名前後の乗組員が漂流、救助中とのことです。事態を大変憂慮しています。
 現場付近では、北朝鮮漁船による違法操業など、容認しがたい案件が多発しています。政府においては、万全の対応の上、事実関係の究明をお願いしたいと思います。
 それでは、会派を代表し、所信表明演説に対して質問いたします。
 ことしも大きな自然災害が相次いでいます。一連の災害で被害に遭った皆さんに改めてお見舞いを申し上げます。
 私たちも、被災者の皆さんに寄り添い、一日も早い復旧と復興に向けて、できることは最大限進めていきます。政府にも、全力を挙げるよう強く求めます。
 台風十五号災害への対応については、政府は、迅速、適正、問題はないと繰り返してきました。しかし、被災地からは対応のおくれを指摘する声が上がっています。
 おくれの原因が政府自身にあるのか否かを今の段階で断定するつもりはありません。しかし、内閣改造のタイミングなど、具体的指摘があるのも事実です。
 全体について責任を持っている政府の立場として、まずは結果的に対応がおくれたことを率直におわびし、今後の災害に備えるためにも、第三者による客観的な検証を急ぐべきであります。
 政府も検証チームを立ち上げたようですが、政府首脳が初めから問題ないを繰り返す中での内部的な検証では、客観的で厳しい検証は困難です。総理の見解を求めます。
 大規模停電への対応について、政府は、東京電力からの報告を問題視し、経済産業大臣は、東京電力に猛省を促したいと述べました。
 東京電力福島第一原発事故の対応に当たった者として、私は、あのときの教訓が全く生かされていないのではないかと危惧をしています。
 あのときも、東京電力からの報告が決定的に不足していた上に、発災直後は著しく楽観的な報告が繰り返されました。迅速かつ正確な報告がなされないことに苦慮し、最終的には、東京電力本社に政府関係者が常駐する必要まで生じました。
 この経緯を、現在の東京電力の幹部も、当時野党であった現政権の皆さんも、知らなかったはずありません。原発事故を教訓としているなら、東京電力は、何よりも正確かつ迅速な報告に心がけていたはずです。政府の側も、受け身でいたのでは正しい情報が迅速に得られないおそれがあることを警戒して当然であります。
 あのときと同様、今回も、現場の東京電力職員や関連会社の皆さんは不眠不休で対応に当たられました。それだけに、政府が受け身でなく情報をとりに行っていたのか、東京電力上層部に危機意識が不足していなかったのか、経緯や問題点を明らかにする必要があります。経済産業大臣に説明を求めます。
 台風十五号による停電は多くの皆さんに著しい影響を与えましたが、太陽光パネルや蓄電池が備え付けられていたために独立して電気を使うことが可能となり、影響を最小限に抑えることができた場所もありました。分散型電源は、災害に備えるという意味でも極めて有用であります。
 分散型エネルギー社会推進四法案が提出されていますが、与党は審議しようとしません。災害に強い暮らしをつくり、地域再生にもつながる重要課題として、再生可能エネルギーを中心とした分散型エネルギーを推進すべきであります。今回の教訓を踏まえ、政府として本気で取り組むつもりはないか、総理の認識をお尋ねします。
 関西電力の役員らが、原発立地自治体である福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていました。
 関西電力は、昨年九月に事実を把握しながらこれを公表せず、その上、去る二日の会見でも、真摯な説明にはほど遠く、元助役に、死人に口なしとばかり全責任をなすりつけるような、見苦しい姿を示しました。
 金品を受領していた時期は、原発再稼働が問題になっていた時期、原発が動かないから電気料金を値上げすると言っていた時期とも重なります。受け取っていた金品の原資は、電力料金か税金に由来する、いわゆる原発マネーそのもの。関西電力の隠蔽体質と原発利権による資金還流は、原発政策の根幹にかかわる大問題であります。
 政府は、この問題にどう対処するつもりでありますか。私は、背景も含め、政府主導で徹底的に調査すべきと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
 また、このような資金を受け取っていた関電幹部は当然辞職すべきと考えますが、総理の認識はいかがでしょうか。
 二日に発表された関西電力による調査報告書は、昨年つくられたものです。政府はその時点で報告を受けていなかったのか、経済産業大臣にお尋ねします。
 なお、岩根茂樹関西電力社長など関係者には、ぜひ、参考人として国会の場で説明をいただきたいと考えております。
 菅原経済産業大臣は、平成二十四年四月十三日の経済産業委員会において、当時経産大臣であった私への質問で、「基本的に、私は、二〇三〇年をめどに原発をゼロにしていく、原発のない日本をつくっていく、こういう考え方に立っております。」こう発言されました。一昨年の衆議院議員選挙における選挙公報には、脱原発を堂々と掲げています。
 ところが、大臣に就任すると、原発ゼロは、今この瞬間、将来的に考えても現実的ではないと方針転換しています。
 いつ、なぜ、考えが変わったんですか。直近の選挙公報にはっきりと脱原発を掲げていたのですから、明確な公約違反になると思いますが、いかがですか。菅原大臣の詳細な説明を求めます。
 福島第一原発に保管されているトリチウム水について、九月十日、当時の原田環境大臣は、私は、所管を外れるが、やっぱりそれを思い切って放出して希釈すると、それしか方法がないというのが私の印象だと述べました。
 一方、新任の小泉環境大臣は、九月十二日、原田前大臣の発言によって傷ついた県民の方々には大変申しわけなく思う、所管外と断った上での発言とはいえ、しっかり向き合うことをやらなければならないと思ったと述べています。
 海洋放出に関する政府の見解は、結局何なのでしょうか。しっかり向き合うというのは具体的にどのようなことを意味するのですか。総理にお尋ねします。
 私たちの強い懸念と反対にもかかわらず、政府は十月一日からの消費増税を強行しました。
 キャッシュレス決済のポイント還元事業について、対象となる中小事業者は約二百万店なのに、十月一日時点で事業に参加していたのは約五十万店。多くの中小事業者にとって、この事業に参加するのは負担が大きく、したくてもできないという私たちの危惧が現実となっています。
 全体の四分の一程度しか利用できていないということは、制度そのものに問題があったと言わざるを得ません。総理の認識をお尋ねします。
 複数税率についても、レジ対応のおくれなど、混乱が指摘されています。
 そもそも、ポイント還元や複数税率は、消費税の持つ逆進性や痛税感の緩和という点での効果が限定的です。簡素で公平であるべきという税の基本原則から逸脱し、いたずらに混乱を引き起こすだけであります。
 逆進性を緩和し、低所得の皆さんの暮らしを守るには、給付つき税額控除こそが圧倒的に効果的であり効率的であります。健康で文化的な生活を営む上で必要な消費額、負担することになる消費税額を見積もり、所得税非課税世帯ではそれを給付する。所得税を納めている場合は税額控除と組み合わせる。これで、中低所得者の負担をきちっと軽減することができます。
 高所得者ほど多額の恩恵を受け、現場も混乱する複数税率ではなく、一日も早く給付つき税額控除を導入することを引き続き強く求めてまいります。
 そもそも、日本経済低迷の本質的な問題は、長期にわたる消費の低迷にあります。
 バブル崩壊後の一九九二年、平成四年から昨年までの二十七年間、民間最終消費支出の年平均成長率は名目〇・八%、実質で一・〇%にすぎません。ことしに入ってからの四半期ごとに見ても、一%に満たない低水準。同じ二十七年間に、輸出の年平均成長率は名目で二・九%、実質で四・一%であることからも、日本経済の半分以上を占める消費こそが経済低迷の圧倒的要因であります。
 第二次安倍政権が発足して、間もなく七年。株価は上がっても、また、大企業の収益は拡大しても、GDP成長率が一%そこそこに低迷しているのは、その主要因である消費が全く回復していないから。その中で消費増税を断行したことは、経済政策の観点からも、著しく問題であります。
 加えて、みずからの反省も込めて、税制への信頼について申し上げます。
 消費税は、高齢化などに対応する社会保障の充実、社会保障財源の確保を大義名分として導入され、段階的に税率が引き上げられてきました。しかし、結果的に、消費税による増収分におおむね相当する規模で法人税などの直接税収が少なくなっています。
 導入以降の消費税収入累積額は幾らですか。直接税収入について、消費税導入時点の収入を基準として、それを下回った額、上回った額を加減した累積額はどうなりますか。改めて財務大臣に確認をいたします。
 直接税には景気動向などの影響が大きいこともわかっています。しかし、納税者の立場からは、結果的に、大企業の法人税や富裕層の所得税が減った分を穴埋めする役割を果たしてきたとしか見えません。
 法人税や富裕層の所得税など、この間に恩恵を受けてきた層に対する直接税について、抜本的な強化、見直しを図るべきであります。
 対象とすべきは、多額の収益を上げ、内部留保を積み重ねている大手企業です。経営状況の厳しい中小企業など、赤字であったり利益を上げていなかったりする企業とは区別する必要があります。
 多大な利益を上げている資本金十億円以上の大企業の方が、収益に対する実質的な法人税の比率が低いという実態もあります。高収益を上げている大企業には、少なくとも中小企業と同等以上の負担を求めるべきでありますが、財務大臣の認識をお尋ねします。
 所得税については、金融所得課税が最大の問題です。
 スポーツや芸能関係など、限られた期間に集中的に高い収入を得る仕事もあり、所得税の累進強化には考慮すべき点が多々あります。
 金融所得は、他の所得から分離され、原則二〇%という低い率の課税がなされています。著しく高額の所得を得ている方ほど金融所得の比率が高くなっていますから、年収がおおむね一億円を超えると、所得税全体の負担率は急激に下がっています。明らかに不公平、不公正であります。
 株価などに一定の影響を与えるとも言われているため、慎重な制度設計が必要ですが、金融所得を総合課税に組み込み、累進課税の仕組みが機能する方向に変更するべきであります。財務大臣の見解を伺います。
 消費増税から脱却し、安定的な成長を実現するには、昭和の成功体験に引きずられた経済政策を大転換するしかありません。
 人口減少と高齢化に加え、貧困、格差の増大と固定化、老後や子育てなど将来不安の急激な拡大、減っていく実質賃金と非正規雇用の増大。これらはいずれも、消費にとって重大なマイナス要因であります。
 消費したくても消費できない貧困層をふやし、ある程度の蓄えがある方でも、医療や介護の不安によって、老後になっても蓄えを使えず、希望しても、子供を産み育てることを諦めざるを得ない。ローンを組むこともできず、仕事と収入が不安定なために、家庭を持つことも、いや、持つ意欲すら持てない。このような社会では、どんなによい物やサービスを売り出しても、消費が拡大するはずありません。
 規制は少なく、政府の関与を小さくして、自由な競争に委ねる。人件費をいかに低く抑えるかに奔走する。大規模な開発型の公共投資や大手企業への誘導策で民間投資を促す。きわめつきは、輸入物価を上昇させ、国内由来の消費にはマイナスとなる事実上の円安誘導で輸出企業を潤す。こうした経済政策は、高度成長期には一定の役割を果たしたかもしれませんが、しかし、現代の消費不況の時代には、効果がないばかりか、むしろマイナスであります。
 社会保障の充実を図り、税制も大きく見直して所得再分配機能を強化し、貧困や格差を解消に向かわせる。特に、介護や保育に代表される、老後や子育てなど暮らしの安心にかかわる人件費を厚くして人手不足を解消し、将来不安を小さくする。希望する非正規労働者をできるだけ早く正規雇用に転換しつつ、実質賃金を引き上げる。これこそが、これからの時代の最も効果的な消費拡大策であり、経済対策であります。
 こうした観点からも、安倍政権の社会保障政策は時代に逆行しています。
 非正規労働者への厚生年金の適用拡大について、政府は必要性こそ認めているものの、その規模感がはっきりしません。このままでは対象企業の若干の拡大にとどまるのではないかと危惧しています。
 この間、急激に非正規労働者の比率が高まり、将来の低年金高齢者を少なくするためには、厚生年金の適用拡大を大胆に進める必要があります。具体的な拡大規模の見通しを含めて、総理の見解を伺います。
 総理は、基礎年金について、マクロ経済調整が終わる三十年後でも、物価上昇率で割り引けば微減か横ばいであると説明し、年金は大丈夫としています。
 しかし、年金の受給水準については、現役時代と比べた所得代替率ではかるべきです。これによると、約三割下がるのではないですか。微減又は横ばいという試算は、実質賃金が四〇%も上昇することを前提としており、実質賃金が下がっている現状を考えると、余りにも非現実的であります。
 マクロ経済調整が終わる三十年後における所得代替率はどうなるのか。それによって想定される生活保護の大幅増加にどう対応するのかを含めて、総理の認識を伺います。
 政府が検討している六十五歳以上の在職老齢年金の廃止には、約四千億円の財源が必要になります。その財源は厚生年金基金にならざるを得ず、厚生年金受給者全体の年金財源が約四千億円カットされることになります。
 在職老齢年金の廃止で恩恵を受けるのは、月収四十七万円以上という高所得高齢者に限られます。そのために厚生年金受給者全体の財源を四千億円カットすれば、格差は拡大します。国民の理解は得られないと考えますが、総理の認識をお伺いします。
 十月から、低年金の方約一千万人に対し、月約五千円の特別給付金を支給することになりました。このための法律は、非自民政権下の二〇一二年十一月に成立したものです。
 この給付は、実施が大幅におくれたのに加えて、対象者が返信はがきを返送しないと受け取れない仕組みになっているようであります。この点、十分な周知がなされているとは思えません。どのような周知をしているのか、総理にお尋ねします。
 要介護一、二のホームヘルプやデイサービスを保険給付から外して、自治体の地域支援事業とし、生活援助のサービスをカットすると言われています。また、自己負担が二割となる対象を、被保険者の上位二〇%から二五%に広げることが検討されています。
 これでは、当然のことながら、家族の負担がふえます。認知症の家族会など介護者団体からは、今でもぎりぎりなのに、介護で家庭崩壊する、介護離職がふえると強く反対する声が上がっています。
 医療同様、介護においても、軽いうちに早期に対応することで、一定程度、重度化を防いだりおくらせたりすることにつながります。目先の財政的なつじつま合わせのために、必要なサービスが提供されなくなれば、当事者のみならず、財政も含めた社会全体のコストも大きくなると考えます。
 安易なサービスカットや利用抑制につながる負担増は適切ではありません。総理の認識をお伺いします。
 日米貿易交渉に関連して、突然、米国のトウモロコシ購入の話が出てきました。
 日本でのトウモロコシの病害虫被害が理由であるようにも言われていますが、国内でのトウモロコシの病害虫被害の程度と不足分の規模について、総理にお尋ねします。
 その上で、購入額を含め、トウモロコシ輸入に関して米国に約束した具体的中身と合意した理由について、総理の答弁を求めます。
 今回、自動車関税については継続協議となりました。
 今後の協議について、何らかの期限やめどは設けられているのでしょうか。方向性について、一定の認識の共有はあるのでしょうか。総理にお尋ねします。
 昨年十二月に発効のTPP11、ことし二月に発効した日欧EPA、そして今回の日米貿易協定をあわせ、一次産業に与える影響は極めて大きいものがあります。ただでさえ我が国の一次産業は生産基盤が著しく弱まっており、この三協定による悪影響を放置すると、壊滅的な状況に陥ります。
 一次産業は、生きていく上で欠かせない食料を賄うための最も基本的な営み。国土や自然環境を守るとともに、農山漁村の人口が維持されることで地域の経済社会や文化を守っていく基盤となるなど、多面的な役割を担っています。
 第一次産業をサステーナブルなものとするためには、私たちが国会提出している農業者戸別所得補償法案を成立させることが不可欠であると考えます。総理の認識をお伺いします。
 辺野古新基地問題について、一連の選挙を通じて、県民の民意は明らか過ぎるほど明らかになっています。政府は、それを無視し、新基地建設を強行し続けています。
 今からでも工事を一旦停止し、沖縄県側と真摯に話し合う気は全くないのですか。総理御自身の口から沖縄県民に対してお答えいただきたいと思います。
 イージス・アショアに関する調査では、グーグルアースを用いていたことだけでも信じられないのに、縦、横方向の縮尺の違いにも気づかず、山との仰角九カ所全てでデータを過大評価するなど、余りにもずさんで、唖然とするばかりであります。
 正確な地形の把握は、軍事における基本中の基本。どんなに正面装備を強化しても、地形の把握すらできないのでは、国を守ることなどできません。旧日本軍が兵たんを軽視した過ちに通じるものであります。
 防衛省のずさんな対応をどう受けとめ、どう改善するのか、総理の説明を求めます。
 また、このようなずさんな調査もあって、秋田を始め地元の反発、反対が強まっています。それでも配備を強行するのでしょうか。総理の見解を伺います。
 教員の長時間労働がようやく問題視されるようになり、ことし一月、中央教育審議会は変形労働時間制の導入を答申しました。夏休みのような長期休業中などに休日のまとめどりを促し、年単位でつじつまを合わせようとするものです。
 しかし、子供たちには休暇となる期間でも、教職員には、研修などが集中しており、時間的余裕はありません。こうした実態のもとで、中教審の答申レベルの前進にとどまれば、抜本的な改善につながらないどころか、逆に、長時間労働を固定化し、拡大させかねません。大幅な業務縮減と定数改善を進め、教員の長時間労働を容認してきた給特法そのものを抜本的に見直すべきであります。
 教員が子供たちと向き合う時間的、精神的ゆとりを持てなければ、多様化する子供たちを取り巻く環境に対応した、実のある指導が困難です。日本の未来を担う子供たちの成長に寄り添う教員の多くが過労死ラインに達してしまっている現状を早急に解決すべきと考えますが、総理の認識を伺います。
 そもそも、教育予算や人員配置を比較すると、日本の子供たちの学ぶ環境はOECD諸国の中で最低水準です。子供一人当たりの教育予算と教職員配置について、OECD諸国の中で日本が何カ国中何位であるか、総理に確認をします。
 二〇二〇年度に始まる大学入試の英語民間検定試験について、混乱が続き、批判が高まっています。
 全国高校長協会は、受験生の不安が解消できていないとして、現状のままなら実施見送りを求める方針を示しました。当事者である高校生へのアンケートなどでも、大方が不安を感じ、延期などを求めています。
 離島など地方の受験生や経済状況が厳しい家庭の受験生が不利になるなど、問題は明白であります。運用実態を見ながら改善をしていく旨の発言に対して、高校生からは、実験材料にするのかという批判が出ています。
 一旦延期して、公平な機会を提供できる制度が整うまでは、現在のセンター試験を継続すべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 文化庁は、いわゆるあいちトリエンナーレを国の補助事業として採択していましたが、今になって、約七千八百万円の補助金を全額交付しないと発表しました。
 補助金事業への採択後に企画内容を変更した場合でも、せいぜい減額程度が一般的です。全額返還は、水増し請求など不正行為が認められたものに限られています。
 しかも、不交付は、議事録などの記録もなく、補助事業としての採択を決めた審査委員会の意見を聞くこともなく、密室の中で突然決められ、発表されました。内容、手続両面で、違法、不当であります。文部科学大臣の説明を求めます。
 一部の展示中止にまつわる手続が補助取消しの理由であるならば、本末転倒です。脅迫という犯罪行為に対して、不本意ながら展示を中止したのですから、責められるべきは専ら脅迫者です。文化庁は、必要な情報が事前に申告されなかったことを問題視しているようですが、表現に対する抗議を事前に予想することは困難です。文化庁は、脅迫者に結果的に加担したと言われても仕方ありません。
 多くの人は、結局、展示の中身が気に食わないから金を出さないのだと受けとめています。こんなことが前例とされるなら、今後は、議論を起こすような展示は公的補助を受けることが難しくなるのではないかという萎縮効果が働いて、お上に迎合した当たりさわりのない表現だけに徹しようという、事実上の事前検閲につながってしまいます。
 不交付決定を違法、不当として撤回し、当初の決定どおり補助金を交付すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 かんぽ生命保険の不正販売を報じたNHK「クローズアップ現代+」に関し、経営委員会は、郵政グループ幹部からの抗議を受け、ガバナンス強化の名目で上田会長を厳重注意しました。
 放送法三十二条二項は、経営委員が個別番組の編集に干渉、規律することをわざわざ明文で禁止しています。番組内容に介入しても、ガバナンス強化という名目さえつければよいなら、放送法三十二条二項は空文化してしまいます。こんなことが許されないのは当然のことであって、経営委員会の対応は明白な放送法違反であります。
 また、厳重注意が行われたとされる昨年十月二十三日の議事録には、何の記載もありません。経営委員会に議事録の作成、公表を義務づけた放送法第四十一条に反する上、隠蔽の意図が疑われます。国民の受信料の上に成り立つNHKとして、適切な情報公開を怠るのであれば、存在意義すら失われます。
 内容面、手続面、両面での放送法違反について、総理の見解を伺います。
 郵政グループは、総務事務次官経験者である鈴木副社長がじきじきにNHKに圧力をかけていました。
 事務次官を退官して八年以上経過しているとはいえ、十一月七日付の鈴木副社長名の文書では、みずからについて、わざわざ、かつて放送行政に携わり、NHKのガバナンス強化を目的とする放送法改正案の作成責任者であった立場、自分で自分のことをそういうふうに紹介しているんですよ。これで圧力を感じない人がいたら、逆に、鈍感過ぎて、組織人、社会人としての資質が疑われます。
 忘れてはならないのは、一連の問題が、ガバナンスの問題でもある、かんぽ生命の不正販売をめぐって発生していることです。不正販売問題では、現時点でも郵政グループ幹部の危機意識が希薄であると指摘されています。こうした流れの中で、報道機関に圧力をかけた鈴木副社長の責任は大変重いと言わざるを得ません。総理の認識をお伺いします。
 なお、鈴木副社長についても、当然のことながら、国会に参考人として来ていただいて、詳細な説明をいただきたいと考えています。
 これらの問題がほぼ同時に明らかになった状況は、大変深刻だと思っています。
 昭和初期の言論、表現の自由に対する侵害状況も、ある日突然、明確な形で生じたのではありません。圧力やそんたく、そして萎縮などがじわじわと拡大し、多くの良識ある国民が気づいたときには、はねのけることが困難な状況に追い込まれていました。
 報道、表現の自由が機能しない社会は、もはや民主社会とは言えません。最大与党の皆さんも、党名に掲げる自由と民主を真に大切であると思うならば、この危機感を共有していただけるはずですが、総理の認識を伺います。
 最後に、自由民主党で憲法に関する責任者を務めてこられた下村議員が、同性婚を認める議論を進めてもよいと受け取れる発言をされました。安倍総理が所信表明で多様性を強調されたこととも平仄が合っております。
 自由民主党が、同性婚を認めることに賛同いただき、議論を進めていただけるなら、大歓迎であります。
 なお、現行憲法でも同性婚を認める法律を禁じていないというのが圧倒的多数説であります。既に同性婚を認める民法改正案を国会提出しておりますので、議論の場は、憲法審査会ではなく、法務委員会であります。
 与党の皆さんは、常々、反対なら対案を出せと言っておられますので、まさか対案も出さずにたなざらしにすることはないと信じます。
 ぜひ、この臨時国会で法務委員会における法案審査を進め、自民党を含む皆さんの御賛同を得て、同性婚を認める民法改正を成立させていただくようお願いを申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

発言情報

speech_id: 120005254X00220191007_003

発言者: 枝野幸男

speaker_id: 10425

日付: 2019-10-07

院: 衆議院

会議名: 本会議