小池晃の発言 (本会議)
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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
会派を代表して、安倍総理大臣に質問します。
総理は、参議院選挙後、憲法の議論を行うべきだというのが民意だ、これが国民の審判だと述べましたが、改憲勢力の議席が発議に必要な三分の二を割り込んだのが今回の選挙結果です。期限ありきの早急な改憲には賛成できない、これが民意にほかなりません。
日本共産党は、野党統一候補として勝利をした十名の議員の皆さんを心から歓迎します。参院選を共に戦った市民と野党の皆さんと力を合わせ、立憲主義と平和主義を破壊する改憲を断念させるため、全力を挙げる決意を表明するものであります。
原発再稼働を推進する関西電力の役員に多額の金品が渡されていました。国民が支払った電気料金、原発マネーの還流にほかなりません。全容解明は国政の最優先課題です。
しかし、菅原経済産業大臣は、口では言語道断などと言いながら、関西電力に説明を求めただけで、会長や社長を呼んで問いただすこともしていません。総理も、関電による第三者委員会の調査結果を待つとの立場を述べるだけです。しかし、金品を受け取った当事者たちがつくる第三者委員会は、第三者になり得ません。総理は、こんな調査で国民が納得すると思いますか。
関電の社長や会長は、多額の金品を一時保管していたとか関係悪化を恐れて返せなかったなどと言いますが、誰がこんな言い逃れを信じるでしょうか。原発事故が起きても責任を取らず、原発マネーを受け取っても言い逃れを図る。こんな電力会社に住民を危険にさらす原発の再稼働など認めるわけにはいかないではありませんか。
関西電力の関係者などを国会に招致し、真相の徹底解明のための国会の責任を果たすことを強く求めます。
安倍政権が、国会での審議も拒否して消費税増税を強行したことに強く抗議します。十七年間五%だった消費税が安倍政権の六年間で一〇%に引き上げられました。デフレ脱却を掲げながら合計十三兆円もの増税を強行するのは、支離滅裂な政策ではありませんか。
内閣府が発表した八月の景気動向指数は、景気判断を再び悪化に下方修正しました。日銀短観では、大企業製造業の今後の景況感を示す指数も三期連続で悪化しました。今回の消費増税が国民の暮らしと景気に破壊的な打撃になることは、火を見るよりも明らかではありませんか。
総理は、増税の影響を注視し、万全の対応を取ると述べました。しかし、これまで増税分は全て国民にお返しするとしてきた上、更に追加対策が必要となるならば、増税は大失敗だったということになるのではありませんか。
消費税を八%に増税して五年半、家計消費は回復どころか、増税前に比べて実質で年二十万円も落ち込んでいます。働く人の実質賃金も八か月連続、年十五万円も下がりました。八%増税が深刻な消費不況を引き起こしたのですから、景気回復のための万全の対応を取るというなら五%に減税するべきではありませんか。
私たちは、最悪の不公平税制である消費税は廃止すべきだと考えます。同時に、政府が一〇%増税を強行した下で、野党が減税に向けた共闘を発展させることを心から呼びかけます。日々の暮らしに苦しむ国民に、消費税を五%に戻そうというメッセージを送ろうではありませんか。
消費税が日本に導入されて三十一年。この間の消費税収は三百九十七兆円の一方、法人三税の税収はピーク時に比べて二百九十八兆円減り、所得税、住民税の税収も二百七十五兆円減りました。消費税は、社会保障のためでもなければ財政再建のためでもなく、大企業と富裕層の減税の穴埋めに使われたことは明らかであります。消費税減税と暮らし応援の政策を実行するためには、税財政の改革が必要です。
法人税を改革すべきです。
中小企業の実際の法人税負担率は一八%の一方、大企業は一〇%。研究開発減税など、専ら大企業だけが利用できる優遇税制があるためです。こうした不公平を見直し、四百兆円を超える内部留保を積み上げている大企業に応分の負担を求めるべきではありませんか。
所得税も改革すべきです。
年間所得が一億円を超えると所得税の負担率が低下していくという逆転現象をなぜ放置するのですか。OECDも主張するように、富裕層の株取引の二〇%の税率を更に引き上げ、公平な負担を求めるべきではありませんか。
日本医師会の横倉義武会長は、先日、社会保障の財源について、消費税の一本足打法ではなく、新たな税財源についても併せて検討すべきだと述べました。財源は何でも消費税、から抜け出すときではないですか。総理の見解を求めます。
消費税増税で大学を無償化するなどと言いますが、実態はどうか。
安倍政権が導入する低所得世帯の高等教育修学支援制度と引換えに、現在、国立大学が行っている授業料免除制度が廃止されようとしています。文部科学省の調査によれば、授業料免除や減額の対象になっている学生の半数以上に当たる二万四千人が、逆に支援を受けられなくなるか、支援額が減少します。現行免除制度は中所得世帯も対象ですが、新制度は住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯に限定されるからです。
しかも、今年度から国立大学の学費値上げが相次いでいます。今年度は東京工業大学、東京芸術大学が二〇%の値上げ、来年度は一橋大学や千葉大学が二〇%の値上げです。
安倍政権は、学費の大幅値上げを容認した上、新たな支援制度の対象は学生の一割程度にすぎません。差引き二万四千人の学生への支援が削減されるんです。一体どこが大学無償化ですか。支援を打ち切られる学生に総理はどう説明するのですか。
消費税は社会保障のためと言いながら、大幅な負担増と給付削減も計画されています。
介護保険の利用料原則二割へ、そして七十五歳以上の医療費窓口負担も二割に引き上げようとしています。しかし、七十五歳以上になれば病気も増えますから、受診率は外来で七十四歳以下の二・三倍、入院は六・二倍です。政府は世代間の公平と言いますが、窓口負担を引き上げれば逆に不公平になり、健康を悪化させてしまいます。しかも、七十五歳以上で現役並み所得の方は既に三割負担ですから、今度は中低所得者を狙い撃ちすることになります。
消費増税の上に医療費の負担を増やすような非道なことは撤回すべきではありませんか。
基礎年金をこれから自動的に七兆円も削るマクロ経済スライドをこのまま続けることも許されないのではありませんか。
マクロ経済スライドは、当初の想定では二〇二三年頃にはスライド調整が終わるとされていました。しかし、公的年金の一階部分である基礎年金のスライド調整期間が想定を超えて長引き、二〇四六年以降まで続きます。その結果、低年金ほど削減の割合が大きくなることを総理は認めますか。
老後の基礎的な生活を保障する基礎年金は、今でも満額で月六万五千円であり、これだけではとても暮らせないと悲鳴が上がっているのに、三割も目減りさせてしまっていいのか。知恵を出し合って、安心できる年金制度をつくるのが政治の責任ではありませんか。
私たちは、具体的に提案しています。
例えば、年収一千万円での年金保険料の頭打ちを見直して、高額所得者優遇を正すこと、二百兆円もの巨額の年金積立金をこれから五十年も増やし続けることをやめて、計画的に取り崩して給付に充てることであります。
元厚生労働大臣の田村憲久氏は、これから年金が三割も目減りしてしまう、そこをどうするのかと述べ、厚生年金と国民年金の財政を統合し、国民年金の目減りを止めると提案しています。こうしたことも検討すべきではありませんか。
そして、今上げるべきは、消費税ではなく最低賃金です。
全国知事会は、昨年、地域間格差拡大につながるランク制度を廃止し、全国一律の最低賃金制度を実現と決議し、二年連続で今年も政府に申し入れました。
地方の切実な声に応えるべきです。地域経済を活性化し、一極集中にも歯止めを掛ける、これこそが本当の成長戦略ではありませんか。
最低賃金の抜本的な引上げのために、中小企業支援がどうしても必要です。
しかし、安倍政権の下で中小企業予算全体は削減され、賃上げのための業務改善助成金は、ここ三年間の予算四十八億円に対して執行額十五億円で、三割しか使われておりません。
なぜ使われていないのか。中小企業は七割が赤字ですから、税や設備投資への助成では効果的な賃上げ支援にはなりません。支援策として中小企業団体からの要望が強いのは、社会保険料の事業主負担の軽減です。赤字企業でも必ず恩恵があるからです。
フランスでは、最低賃金引上げのために社会保険料の事業主負担を軽減しています。こうした海外での取組にも学び、最賃引上げの有効な支援策として中小企業の社会保険料への公費補填を検討すべきではありませんか。
日米貿易交渉は、トランプ大統領の要求に日本側が一方的に譲歩するものとなりました。
アメリカからの牛肉、豚肉などの関税は大幅に引き下げる一方、日本からの自動車や部品の関税削減は先送り。一体どこが日米ウイン・ウインなんですか。トランプ大統領の一方的なウインではありませんか。
総理は首脳会談後の記者会見で、全ての日本国民にとって利益をもたらすと述べました。その根拠は何ですか。
日本農業新聞が農業関係者に実施した調査では、日米貿易交渉について、米国に有利な結果になったと見る人が六六%に対し、日本に有利な結果になったと答えた人は一%にすぎません。一体どこが全ての日本国民に利益をもたらす協定なのですか。
政府は、日米貿易協定による日本農業への影響を試算したのですか。試算も示さず、どうして全ての国民の利益などと言えるのですか。影響試算は国会審議前に当然示すべきではありませんか。
これまで総理は、日米自由貿易協定、FTAの交渉は行わないと説明していたのに、日米共同声明ではFTA交渉の開始で合意をしました。極めて重大な約束違反ではありませんか。
以上、お答えください。
農業主権、経済主権を破壊する日米貿易協定の国会承認は断じて認められません。日米FTA交渉も中止を強く求めるものであります。
沖縄県民は、繰り返し、選挙で圧倒的な新基地建設ノーの審判を下してきました。しかし、安倍政権は一顧だにせず、辺野古の埋立てを強行しています。
今年の沖縄全戦没者追悼式で、玉城デニー知事は、民主主義の正当な手続を経て導き出した民意を尊重せず、なおかつ地方自治をもないがしろにするものと語りました。当然の批判です。総理は、これでも県民の負担を軽減するとか沖縄の心に寄り添うなどと平気で言えるのですか。
政府は、普天間の危険性除去を口実に新基地建設を強行していますが、二月の本会議で私が指摘したように、普天間基地は、一九四五年四月、米軍が住民を強制収容している間に民有地を囲い込んで造ったものです。これは、どんな弁明も通用しない国際法違反の行為にほかなりません。総理も本会議で、国際法に照らして様々な議論があることは承知していると、否定できませんでした。
改めてお聞きします。
国際法に違反して建設された普天間基地は無条件返還を求めるのが当然であり、安倍政権は、辺野古新基地建設を直ちに中止し、普天間基地の閉鎖、撤去のためにトランプ政権と正面から交渉をするべきではありませんか。
総理は所信表明演説で、新しい時代に求められるのは多様性と述べました。ならば、お尋ねしたい。
参院選の党首討論会で、選択的夫婦別姓制度について、賛成に手を挙げなかった党首は総理ただ一人でした。
法制審議会が選択的夫婦別姓の答申を出してから二十三年が経過しています。この間、国連の女性差別撤廃委員会が再三にわたって勧告をしています。法律で夫婦同姓を強制しているのは、世界の中で日本だけであります。
所信表明で、金子みすゞさんの「みんなちがって、みんないい。」を引用しながら、昨日、総理は、様々な意見があると選択的夫婦別姓を否定しました。矛盾していませんか。様々な意見があるからこそ、夫婦別姓を選択できるようにするべきなのではないでしょうか。
最後に、歴史認識について聞きます。
一九九八年、当時の小渕恵三首相と金大中大統領の下で結ばれた日韓パートナーシップ宣言では、小渕首相が、韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、これに対し、痛切な反省と心からのおわびを述べました。
総理は、この立場を今日も引き継ぐのですか。
総理は所信表明演説で、日本が一九一九年のパリ講和会議で人種平等提案を行ったことを挙げ、世界中に欧米の植民地が広がっていた当時、日本の提案は各国の強い反対にさらされたなどと、日本があたかも植民地主義に反対していたかのように述べました。
しかし、一九一九年とは一体どういう年だったか。日本が不法、不当な韓国併合で植民地化した韓国で三・一独立運動が始まり、当時、我が国はこれを武力で徹底的に弾圧したのであります。日本が植民地主義に反対していたかのように描くのは、歴史を一方的にゆがめるものではありませんか。このような主張が、総理が重要な隣国だという韓国の政府や国民に理解されるとお考えか、しかとお答えいただきたい。
安倍政権が、村山談話や日韓パートナーシップ宣言などにも明記された植民地支配への反省という、歴代自民党政権の取ってきた立場も投げ捨てる態度を取り続けていることが今日の日韓関係悪化の根底にあります。過去の植民地支配への真摯な反省を土台にしてこそ、日韓両国間の諸懸案の解決の道が開かれるのではないでしょうか。
そのことを政府に強く強く求めて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕