柴田巧の発言 (本会議)

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○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
 私は、会派を代表して、会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、森法務大臣に質問をいたします。
 グローバル経済が一段と進む中、日本企業や我が国マーケットの国際的な信認を高めるために、上場企業に対してガバナンス強化を促すことが重要であることは言うまでもありません。
 ガバナンスというと、企業の不祥事の防止など守りの側面に目が向きがちですが、持続的に企業価値の向上を図っていく攻めの側面も重要なテーマです。ゆえに、企業経営に対するルールの整備や株主総会の制度の見直しが不断に行われることは不可欠であり、今回の法改正も一定の評価をいたします。
 その上で、コーポレートガバナンスの一層の強化に向けて、なおも残る懸念や課題についてお聞きをします。
 まず、株主提案の濫用的な行使の制限についてであります。
 株主総会における株主提案権は、株主が経営陣と直接議論する正当かつ有効な手段として活用されてきました。特に少数株主にとって意義が大きく、この権利に制約を課すことには専ら慎重であるべきだと考えます。ただ、不当な目的等による提案が出され、総会の進行が滞る例が相次いでいるのも事実です。
 そこで、今回の法改正では、不当な目的等による株主提案を拒絶することができる規定が新設されています。
 改正法案には、当初、株主提案を拒絶できる基準について、経営陣を困惑させという極めて曖昧な文言が入っていましたが、衆議院の審議過程で、これを削除すべきだという我が党の提案を与党に受け入れていただきました。関係の皆さんには感謝を申し上げます。
 もし、この文言がそのまま残されていたら、会社側が意のままに安易に適用する余地が十分ありました。つまり、経営陣にとって都合が悪い提案、例えば疑惑や不正をただす提案などについては、恣意的に除外する逃げ道を用意してしまうところでした。我が党と与党の修正合意により、改正法案からこの文言が削除され、善意ある株主の権利を守ることができたことは、季節外れの桜一色に染められた今国会において大変大きな成果だと考えます。
 一方で、今回の法改正では、一人の株主が提起できる議案数は十までに制限されることになります。しかし、その根拠は明確になっていません。
 そこで、お伺いします。客観的に正当と見られる提案の数が十を超える場合も十分想定されますが、どのような理由で上限を十までとしたのですか。株主が十を超える議案を提出しようとした場合、取締役がこれを定めるとしたのはなぜですか。この場合、取締役はいかなる基準により十の議案を選択することになるのですか。説明を求めます。
 次に、上場企業等への社外取締役の設置の義務付けについて質問をします。
 現状では、既に東京証券取引所の全上場企業の九八・四%が社外取締役を選任しています。これは、平成二十六年の会社法改正で、上場企業等が社外取締役を置いていない場合、定時株主総会において社外取締役を置くことが相当でない理由の説明義務を課す規律が設けられたことや、二十七年にコーポレートガバナンス・コードの適用が開始されたことの効果が大きいと考えます。
 このコードは、二名以上の独立社外取締役の選任を求めています。法的拘束力はないものの、東証の有価証券上場規程の一部として適用され、一部上場企業では九割以上が要件を満たすなど、社外取締役の重要性は社会的に深く認知されてきました。
 このため、法案作成過程では、設置の義務付けまでする必要はないとの意見もあったと伺っています。また、既にほとんどの上場企業で社外取締役が置かれていても、企業の不祥事は後を絶ちません。それでも義務化する意義はどこにあるのでしょうか。
 大臣は、上場会社等においては社外取締役による監督が保証されているというメッセージを内外に発信するためと繰り返し答弁されていますが、法曹界では、立法事実をメッセージの発信に求めることは異例だと指摘する向きもあります。大臣の言葉こそ、明確な立法事実がないことを如実に示しているのではないですか。お答えを願います。
 改正案では、設置を義務付ける社外取締役の人数を具体的に示してはいません。これでは、ほとんどの上場企業で社外取締役が置かれている現状の事実上追認しているだけになります。
 社外取締役の実効性を確保しようとするならば、複数の選任を義務付けるか、もっと踏み込んで欧米諸国のように取締役の過半数の社外取締役設置を義務化すべきではないですか。また、社外取締役の設置が義務付けられた場合、社外取締役の欠員状態でなされた取締役会決議の効力は正当とみなされるのですか。お伺いをします。
 一方、現行法では、社外監査役が不在の場合に備えて補欠監査役を選任したり、一時監査役を裁判所に選任してもらったりすることになりますが、社外取締役についてはなぜそうしなかったのですか。社外取締役が欠けたときに過料の制裁が科されることになるのはどのような場合なのですか。所見をお聞かせください。
 次に、取締役の報酬に関する規律の見直しについて質問をします。
 これまで株式会社は、一般的に株主総会で取締役全員の報酬総額の上限を定め、取締役それぞれの報酬の配分は取締役会か代表取締役に委ねられてきました。改正案では、取締役の個人別の報酬内容について、取締役会で決定方針を定め、株主総会で説明することを求めています。しかし、当初法制審議会で検討されていた取締役個々の報酬額の開示は見送られました。これでは役員報酬の概要が十分に透明化されるとは言えません。
 アメリカでは、CEO、CFO及び報酬額トップスリーまでのエグゼクティブオフィサーの報酬に関し、報酬プログラムを説明の上、過去三年の報酬内容、金額の一覧開示が求められています。イギリスでも、過去二年分の報酬内容、金額の一覧開示を行わなければなりません。なぜ今回の法改正で取締役の個人別報酬額の開示が求められなかったのですか。説明を求めます。
 次に、会社補償に関する規律の整備についてお伺いをします。
 改正案では、役員等の責任を追及する訴えが第三者から提起された場合、裁判費用など防衛のための費用を会社に負担してもらう補償契約の制度が新設をされます。
 この制度は、優秀な人材を確保するためのインフラと位置付けられていますが、そもそも会社法で許容するものなのでしょうか。取締役等による無責任な経営姿勢を助長し、健全な会社経営や社会的責任を損なう可能性も多分にあります。大臣は杞憂だと言い切れますか。答弁を求めます。
 最後に、企業価値の向上に関連し、裁判手続のIT化についてお尋ねをいたします。
 我が国のビジネス環境を整え、国際競争力を強化する観点から、裁判手続のIT化は急務です。わけても、民事裁判の電子化は企業経営の根幹に関わってきます。しかし、世界銀行の二〇一九年ビジネス環境ランキングによると、日本の司法の利便性は世界五十二位と大きく出遅れています。
 我が国の民事裁判のIT化の現状はどうなっていますか。遅れを挽回するために裁判手続のIT化をどのように進めていく方針ですか。裁判手続のIT化によって裁判官や裁判所職員の合理化はいかに進むとお考えですか。お答えをください。
 我が国の経済成長の主要な担い手である上場企業等のガバナンス強化は時代の要請でもあります。日本維新の会は、責任政党として、この分野でも真の改革を追求していくことを表明し、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣森まさこ君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120015254X00720191127_012

発言者: 柴田巧

speaker_id: 1171

日付: 2019-11-27

院: 参議院

会議名: 本会議