森まさこの発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(森まさこ君) 柴田巧議員にお答え申し上げます。
まず、株主が提案することができる議案の数の上限を十とした理由についてお尋ねがありました。
このような規律にしたのは、近年の株主提案権の行使の状況を見ても、各提案株主について、多くとも十程度にとどまっており、これを超える議案を提案する必要がある場合は通常考えにくいことなどを考慮したものです。
次に、取締役が十を超える部分の議案を定めることとした理由についてお尋ねがありました。
これは、仮に提案株主に十を超える部分の議案を定めさせることとすると、提案株主がいずれの議案を選んだのか不明確な場合等に、株式会社としていずれの議案の要領を招集通知に記載すべきかを判断することが困難となり、実務上支障が生ずるおそれがあることを考慮したものです。
もっとも、改正法案においては、提案株主が明確に議案相互間の優先順位を定めている場合には、取締役はそれに従って定めることとしております。
次に、取締役が十を超える部分の議案を定める方法についてお尋ねがありました。
改正法案が成立した場合には、取締役による議案の決定方法をあらかじめ定めておくことができる旨法務省令で定めることを予定しており、その決定方法が合理的なものである場合には、取締役は当該決定方法に従って十の議案を決定することになります。合理的な決定方法としては、例えば、議案を提案株主が記載している順序に従って決定することなどが考えられます。
次に、社外取締役の設置を法律で義務付ける意義についてお尋ねがありました。
上場会社等については、株主による経営の監督が期待し難く、業務執行者から独立して経営を監督する社外取締役が果たすべき役割が大きいものと考えられます。また、社外取締役の設置の義務付けには、上場会社において社外取締役による監督が行われることを法律上保証することとともに、このような制度を整備していることを内外に発信することにより、我が国の資本市場の信頼性を高める意義があると考えております。
次に、社外取締役の設置を義務付ける立法事実についてお尋ねがありました。
上場会社等について社外取締役の設置を法律で義務付けることとする理由の主眼は、我が国の資本市場が信頼される環境を整備することにあります。メッセージの発信とは、上場会社等については、会社法において画一的に社外取締役の設置を義務付けることにより、制度の内容が内外に分かりやすく伝わるようにするという趣旨であります。この点については、資本市場の担い手である機関投資家等からもその必要性が指摘されているところであり、立法事実はあると考えております。
次に、複数又は一定割合の社外取締役の設置を義務付ける必要性についてお尋ねがありました。
社外取締役に期待される役割に照らすと、取締役の中に業務執行者から独立した立場にある者が一人でもいることには大きな意義があると考えております。
他方で、二名以上の社外取締役の設置を義務付けることについては、現状では、社外取締役としての適格性を有する候補者を確保することが企業にとって大きな負担となるおそれがあります。そこで、改正法案においては、上場会社等であっても、複数又は一定割合以上の社外取締役を選任すべきこととはしておりません。
次に、社外取締役が欠員の状態でされた取締役会決議の効力についてお尋ねがありました。
上場会社等において社外取締役が欠けた場合であっても、遅滞なく社外取締役が選任されたときは、その間にされた取締役会の決議は無効とならないと考えられます。
次に、社外取締役に関する補欠役員又は一時役員の選任についてお尋ねがありました。
会社法上は、社外取締役についても補欠の役員及び一時役員に関する規定の適用があり、社外取締役の員数が欠けた場合には、各会社の判断により、これらの者の選任が検討されることとなると考えております。
次に、社外取締役が欠けたときの過料の制裁についてお尋ねがありました。
取締役等が、改正法案の規定に違反して遅滞なく社外取締役を選任しなかったときに過料に処せられることになります。
次に、取締役の個人別の報酬額の開示についてお尋ねがありました。
改正法案においては、取締役の個人別の報酬等の内容については開示を義務付けることとはしておりません。これは、我が国における取締役の報酬等の額は欧米と比べれば低い水準にあるとされており、取締役の個人別の報酬等の内容を開示させる意義は必ずしも大きくないと考えられること、取締役の個人別の報酬等の内容は取締役のプライバシーに属する情報であること等を考慮したものです。
次に、会社補償を会社法で許容すべき理由についてお尋ねがありました。
会社補償には、役員等として優秀な人材を確保するとともに、役員等による職務の執行が萎縮することがないように役員等に対して適切なインセンティブを付与するという意義が認められます。他方で、会社補償の内容によっては、役員等の職務の執行の適正性が損なわれるおそれもあります。
このような会社補償の意義に鑑みれば、会社法において会社補償を許容した上で、その手続や補償可能な費用等の範囲について適切に規定を設けることが必要かつ相当であると考えております。
次に、会社補償制度の弊害についてお尋ねがありました。
役員等の職務の執行の適正性への影響など、会社補償を認めることによって懸念される弊害については、改正法案において、利益相反取引に準じた手続規定を設けるとともに、会社補償をすることができる費用の範囲等を明確にするための規定を設けることなどによって対処しております。
次に、我が国の民事裁判のIT化の現状についてお尋ねがありました。
我が国においては、平成十六年の民事訴訟法の改正によって、オンラインでの裁判所への申立て等を可能とする規定が整備され、一部の手続ではオンラインでの申立てが可能となりましたが、民事訴訟手続一般については、最高裁規則等が整備されていないため、いまだオンラインでの訴え提起などは認められておりません。
これに対し、アメリカ、中国、シンガポールなど諸外国では、裁判手続のIT化が進められ、普及、定着してきていると言われており、我が国の民事裁判のIT化はこれらの諸国に比べると進んでいないという現状にあります。
最後に、民事裁判手続のIT化の検討方針及び裁判所職員の合理化についてお尋ねがありました。
民事裁判手続のIT化については、現在、研究会において法制面からの検討を行っており、来月、最終報告書が取りまとめられる予定と聞いております。そこで、来年二月頃の法制審議会において諮問を行い、調査審議を進めていただきたいと考えております。
法務省としては、引き続き、最高裁判所などの関係機関とも連携し、利用者の目線に立って、裁判手続のIT化を実現してまいりたいと考えております。
御指摘の裁判官や裁判所職員の合理化については、最高裁判所において適切に対応されるべき事柄であると考えております。(拍手)
─────────────