石破茂の発言 (憲法審査会)
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○石破委員 自由民主党の石破茂であります。
どうも議歴を重ねますと昔話が多くなりますが、今から二十五年ぐらい前、故竹下登元総理から憲法についてお教えをいただく機会がありました。竹下先生は、第一章天皇から始まって第十章最高法規、第十一章補則に至るまで、憲法の章の名前を全部そらんじておられたんですね。そして、九十六条、改正まで含めて護憲だわなというふうにおっしゃっておられました。非常に印象深いことであります。
この審査会の前身であります憲法調査会というのがあって、これまた、西暦二〇〇〇年、平成十二年ですから、今からもう二十年も前のことになります。中山会長でいらっしゃいました。そのときに本当の自由討議というのがあったんですね。
私は大学時代の参考書でしか知らなかったんですが、長谷川正安先生という憲法の先生がおられまして、参考人でおいでになりました。その方と随分と議論をして、立場は全く違いますが、極めて有益であったことをよく覚えております。
私は、会長あるいは幹事の皆様方の努力によってこういう会が開かれたことは極めて有意義だと思っています。こういう機会をもっと設けてほしいと思うのですね。自由討議なのだから、言いっ放し、聞きっ放しではだめだ。いろいろな議論があって、それに対する反論があって、またそれに対する反論があって、それでこそ討議なのであって、演説会ではない。そういうような討議の場はぜひ設けていただきたいと思います。
もう一つは、国民世論というのは、待っていれば醸成されると私は思っていない。それは、国民は日々の暮らしに忙しいのであって、朝から晩まで憲法のことを考えている人はそんなに多くいるわけではない。それは待っていれば醸成されるのではなくて、こちらの側から積極的に憲法の議論を国民に対してしていかねばならぬのであって、全国に衆議院だけでも三百の小選挙区がある、四十七都道府県がある。じゃ、ここにこれだけ多くの委員がいるのだから、何班かに分けて、それぞれの選挙区で議論をすればいいのです。国民に対して議論をすればいいのです。
今、いろいろなことが問題になっている。
コロナ禍において、じゃ、緊急事態条項を設けるべきか。私は、武力攻撃事態のように、憲法秩序そのものが破壊されるときに限ってそういうような条項は必要だと個人的には思っていますが、コロナ禍において緊急事態条項をどうするかという議論があるだろう。
あるいは、検察をめぐる議論というのが、三権分立とは何なんだと。憲法に検察が準司法的と明文で書いてあるわけじゃない。しかし、検察庁法は、明文によって、その施行を日本国憲法施行の日とするというふうに書いてあるわけで、それは憲法秩序の一角をなすものだと私は思っていて、これも憲法の議論だと私は思っているのですね。
国民はこちらが呼びかければ必ず応えてくださると思っていて、それを呼びかけるのがこの審査会の使命だと私は思っております。
私、自由民主党の鳥取県連会長を兼ねて憲法改正推進本部長を務めております。二年ぐらい前だったと思いますが、島根県連の御協力もいただいて、憲法に関する議論の会を設けました。国会議員全員出席、そして、なに動員をしたわけでもないのだけれども、千人を超える方々が集まっていただいた。活発な議論が行われた。
あるいは、昨年のことになりますが、山尾委員あるいは共産党仁比議員とともに、札幌弁護士会主催の憲法をめぐる議論の会に出席して、何か最初すごいアウエー感があったんですけれども、でも、そこで本当に活発な議論が行われて、立ち見も出るほどの盛況だったんですよね。
我々の側から語りかけていかねばならないと思っています。
最後に、国民投票、これは先ほど来議論があるように、一致点を見出すことは必ず可能だと思っています。担保が必要なら、その場を設けていただければ結構です。だけれども、これができたからすぐ国民投票だなぞと思っている人はいないでしょう。あるいは、ほかの規制が入らなければこの採決すらだめだというのも、それはおかしいのだと私は思っていますね。きちんとした担保、必要ならばそれをつくろうではありませんか。
そして、CM規制のあり方、そのとおりです。何でドイツにおいて国民投票法がないのか、そのことはきちんと我々は議論すべきものであります。ナチス・ドイツの失敗を二度と繰り返さないために。
そして、最低投票率というのは必要なのか。そうすると、ボイコット運動が起こったらどうするという話があって、そうすると絶対得票率というものが憲法においては必要ではないか。あるいは、賛成です、反対ですという意見の表明であれば無条件で許されるのかといえば、それはどうなんだろうねという議論は必ずあるはずなんです。その点に一致点を見出そうではありませんか。
そして、冒頭申し上げた竹下先生のお話のように、九十六条まで含めて護憲だよねということを我々はよく認識をしていかねばならぬ。我々のために議論があるのではない。国民のために、主権者たる国民のためにこの議論はあり、責務を果たしていきたい。
以上申し述べて、意見陳述といたします。ありがとうございました。