江藤拓の発言 (農林水産委員会)

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○江藤国務大臣 農林水産委員会の開催に当たりまして、私の所信の一端を申し述べます。
 まず冒頭、新型コロナウイルス感染症について申し上げます。
 この新たな感染症への対応に当たりましては、感染の拡大を防止することが何よりも重要であり、今後とも、関係省庁と連携して全力で取り組んでまいります。その上で、食料の輸入動向や生産現場への影響などを注視し、生産者や事業者に対しては必要な対策をしっかりと講じることにより、国民への食料の安定供給に万全を期してまいります。
 続きまして、農林水産行政に関する基本的な考え方について申し述べます。
 農林水産業は、国民に食料を安定供給するとともに、その営みを通じて国土の保全などの役割を果たしている、まさに国の基であります。先人から受け継ぎ、農林漁業者が守ってきた我が国の肥沃な農地と豊かな森や海は、国民の資産であり、かけがえのないものであります。
 安倍内閣では、これまで、こうした農林水産業の有する潜在力を最大限に引き出し、成長産業とするため、農林水産政策全般にわたる改革を全力で進めてまいりました。この結果、輸出は七年連続で過去最高を更新し、生産農業所得も、平成十六年以降で最高の水準を維持しています。
 しかしながら、我が国の農林水産業は、人口減少に伴うマーケットの縮小や、農林漁業者の減少、高齢化といった問題が深刻化するとともに、近年では、頻発する自然災害やCSFなどの発生により生産現場に大きな被害が発生するなど、さまざまな政策課題に直面しています。
 国際関係では、TPP11、日・EU・EPAに続き、本年一月からは日米貿易協定が発効しました。新たな国際環境のもとで、農林水産業の競争力を高め、国内外のニーズにしっかりと対応していかなければなりません。
 このように、我が国の農林水産業は、現在、さまざまな課題に直面しておりますが、このかけがえのない農林水産業を次の世代に確実に継承していくためには、成長産業化の土台ともいうべき生産基盤の強化を図ることが何よりも重要であります。
 こうした考えのもと、昨年十二月には、生産基盤の強化を図るための十一項目の関連施策を政策パッケージとして取りまとめた農業生産基盤強化プログラムを策定いたしました。今後、これに即して、生産基盤の強化と成長産業化のための改革を一体的に進め、自然災害や国際競争にも負けない、強い農林水産業、農山漁村を構築してまいります。
 以下、具体的な施策を申し述べます。
 日米貿易協定については、我が国の国民の主食である米について除外を確保し、また、日本側の関税についてTPPの範囲内とすることができました。それでもなお残る農林漁業者の懸念と不安を払拭するため、昨年十二月に改定した総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、規模の大小や中山間地域といった条件にかかわらず、農業経営の底上げにつながる対策を講じ、幅広く生産基盤の強化を図ってまいります。
 具体的には、畜産について、国内外での需要の高まりに対応して、肉用牛、乳用牛の増頭、増産を図るとともに、園芸作物について、加工、業務用などの新たな需要にも応える生産供給体制の整備などを進めてまいります。
 TPP11などの経済連携協定の発効は、おいしくて安全な我が国の農林水産物や食品の輸出を拡大するチャンスをもたらします。本年四月には、農林水産省に農林水産物・食品輸出本部を設置し、農林水産大臣である私が本部長となって、輸出先国による規制の緩和、撤廃に向けた協議、施設認定などの輸出を円滑化するための環境整備を、政府一体となり強力に推進するとともに、GFPを通じた輸出業者とのマッチングへの支援や戦略的なマーケティングを強化してまいります。
 また、日本ブランドが海外に流出し、日本の強みが失われないよう、和牛の精液や受精卵など知的財産としての価値を有する家畜遺伝資源の管理、保護を強化するとともに、登録された植物新品種について、育成者権者の意思に反する海外への持ち出しを事前に差し止められるようにするなどの法制度の整備を進めます。
 農業の持続可能性を確保し、次世代に確実に引き継ぐためには、担い手の育成、確保が何よりも重要です。就農の検討・準備段階から経営を確立するまでの総合的な支援などにより、就職氷河期世代や五十代の方々も含め、多様な人材の育成、確保を進めます。
 担い手への農地集積、集約化を加速するため、農地バンクと農業委員会など関係機関との現場レベルの連携を徹底し、人・農地プランの実質化を進めます。
 農業の競争力強化や農村地域の国土強靱化を実現するためには、農地や農業用水など、農業、農村の基盤整備が欠かせません。農地の大区画化、汎用化、農業水利施設の長寿命化やため池などの豪雨・耐震化対策を推進します。
 ロボット、AI、IoT、ドローンなどの先端技術は、農業のさらなる体質強化への貢献が期待されています。大規模農業だけではなく、中山間地域でも活用できるスマート農業を実現するため、新技術の開発や実証、実装を推進します。
 農業者の努力で解決できない構造的な問題を解決するため、引き続き、生産資材業界や流通加工業界の再編、参入を促進するとともに、関連制度の見直しを進めます。
 地域の農業を発展させていくためには、農業者の所得向上に全力で取り組む農協が欠かせません。農林水産省としても、JAグループが自己改革の取組を着実に進め、具体的な成果を上げるよう、改革に協力してまいります。
 米政策については、米の需給及び価格の安定を図っていくため、需要に応じた生産、販売を促していく必要があります。引き続き、麦、大豆などの戦略作物や高収益作物など水田フル活用に向けた支援を行うとともに、きめ細かい情報提供などを行います。
 農山漁村は、都市に先行して人口減少、高齢化が進んでおり、その活性化は喫緊の課題です。美しい棚田や田園風景が守られ、中山間地域を始め活力ある農山漁村を実現するため、日本型直接支払制度の充実により地域の将来を見据えた前向きな取組を支援しつつ、都市と農山漁村の交流人口の拡大やデュアルライフの促進、鳥獣被害対策や安全で良質なジビエの利活用、農泊や農福連携の推進など、地域の特色を生かした多様な取組を総合的に推進します。
 食の安全と消費者の信頼を確保するため、引き続き、科学的根拠に基づく食品の安全性確保と、正確な情報伝達による消費者の信頼確保に取り組みます。
 CSFについては、その封じ込めに向け、都道府県や関係省庁と連携し、防疫の基本となる飼養衛生管理の徹底、予防的ワクチンの接種、野生イノシシの捕獲強化や経口ワクチン散布といった対策などにしっかりと取り組みます。
 また、ASFにつきましては、アジア地域において急速に拡大し、我が国への侵入脅威が一段と高まっております。本委員会において先般御審議いただいた、ASFに係る予防的殺処分などを内容とする家畜伝染病予防法の一部を改正する法律について、その運用に万全を期すとともに、関係省庁が一体となって、国内に持ち込ませないための水際対策の徹底、野生動物侵入防止対策の義務づけを含む飼養衛生管理基準の改定などを行います。
 さらに、CSF、ASFへの対応を強化するため、野生動物における悪性伝染性疾病の蔓延防止措置の整備、飼養衛生管理基準の遵守に係る是正措置の拡大、家畜防疫官の権限強化などを内容とする家畜伝染病予防法の見直しなどを行います。
 林業については、戦後造成された人工林の多くが利用期を迎える中、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を図るためには、国産材の安定供給体制の構築と木材需要の拡大を促進することが必要です。
 このため、昨年九月から譲与が始まった森林環境譲与税も活用しつつ、森林経営管理制度と国有林改正法に基づき四月から開始する樹木採取権制度により、意欲と能力のある林業経営者への森林の経営管理の集積、集約を進めます。
 また、間伐、再造林や路網整備を進めるとともに、木材生産や造林作業の自動化などの林業イノベーションや、CLTの普及を始めとした木材需要の拡大など、川上から川下までの取組を総合的に推進してまいります。さらに、森林組合の経営基盤を強化するため、組合間の多様な連携手法の導入、正組合員の資格の拡大などを内容とする森林組合法の見直しを行います。
 水産業については、水産政策の改革を着実に推進し、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢バランスのとれた漁業就業構造を確立する必要があります。
 このため、本年中に施行される改正漁業法も見据え、将来の水産資源の持続的な利用を目指して、国際的に見て遜色のない資源管理と、つくり育てる漁業を推進します。
 また、若者に魅力のある漁業への構造改革などを進めるとともに、近年の不漁や災害にあっても、漁業者が安心して漁業を営むための漁業者の収入安定を図る措置を講じます。
 さらに、大和堆周辺水域などにおける外国漁船における違法操業は、水産資源管理の面からも問題であるため、漁業取締り船の増強などにより、今後とも取締り体制を強化してまいります。
 東日本大震災から九年がたとうとしております。また、近年、大雨や台風など、大規模な自然災害が相次いで発生しております。災害からの復旧復興に当たっては、現場の声に耳を傾け、被災地のニーズの変化に柔軟に対応しつつ、被災された農林水産業者の方々が再び立ち直るために万全の支援を行っていくとともに、収入保険など農業保険のさらなる普及の促進、利用拡大などを通じ、自然災害への備えを強化してまいります。
 本年三月末には、食料・農業・農村基本計画の五年に一度の見直しを行います。農業の成長産業化を図る産業政策と、農業、農村の多面的機能の維持、発揮を図る地域政策を車の両輪として進める現行計画の考え方を基本としつつ、地域をいかに維持し、次の世代に継承するかという視点から、必要な政策の強化を図ってまいります。
 現場の声を大切にし、農業、農村に対する国民の理解を深めるとともに、農業者が農業、農村の未来に夢や希望を持てるような計画を策定してまいります。
 以上、農林水産行政の今後の展開方向について、私の基本的な考え方を申し述べました。
 国民の豊かな食生活とそれを支える農山漁村を次世代に引き継ぐため、産業政策と地域政策の両面から全力で取り組み、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現する。そのことを通じて、食料自給率を向上させ、食料安全保障の確保を図ります。
 吉野委員長を始め理事、委員各位に、重ねて御指導、御鞭撻賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

発言情報

speech_id: 120105007X00220200304_002

発言者: 江藤拓

speaker_id: 28161

日付: 2020-03-04

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会