小泉進次郎の発言 (環境委員会)

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○国務大臣(小泉進次郎君) 環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の小泉進次郎です。
 第二百一回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ち、所信を申し述べます。
 環境省は、再生可能エネルギーの主力電源化や省エネルギーの徹底、ESG金融の促進、カーボンプライシングの更なる活用に関する検討等の気候変動対策や、東日本大震災からの復興、プラスチックごみ対策等の資源循環、生物多様性の保全に加え、水・大気・土壌環境保全、環境省の原点である水俣病などの公害健康被害への対策、各種環境リスクの低減などの幅広い施策に取り組んでいます。今回の所信では、その中でも私が環境大臣として特に強く感じていることを中心に申し上げます。
 私が環境大臣として掲げているテーマを一言で申し上げると、環境先進国日本の復権です。
 昨年、ニューヨークで開催された国連気候アクションサミットや、マドリードで開催されたCOP25等に出席し、気候変動外交の最前線に立ってきた者として、日本の優れた数多くの取組が石炭批判の前にかき消されてしまっていることに悔しさを感じています。国際社会の現実においては、石炭政策に関する前向きなメッセージがなければ、ほかにどれだけ優れたことを言ったとしても何も伝わらない、そう言っても過言ではありません。
 今般、石炭火力輸出支援の四要件の見直しについて議論を始めることで関係省庁と合意しました。これは小さな一歩に見えるかもしれませんが、国際社会からの批判に対して受け身となっている現状を打開する転換点となる一歩です。今年六月に予定されている次期インフラシステム輸出戦略の骨子策定に向けて、この四要件の見直しについて関係省庁で実りある議論をしてまいります。
 また、国内でも、自治体や企業がこれに呼応した行動を今までにないスピードで積み上げています。二〇五〇年までのCO2排出量実質ゼロを目指すゼロカーボンシティは、私が環境大臣に就任した昨年九月時点では四自治体、人口規模で約二千万人でしたが、今では七十自治体を超え、人口規模ではついに六千万人に迫る大きな動きになっています。今年中に日本の人口の過半数である六千五百万人を目指し、脱炭素社会に向けた我が国の動きを不可逆的なものにしたいと考えており、これを国際社会にも発信してまいります。
 また、先月、福島県大熊町を訪問した際に、吉田町長からもゼロカーボン宣言がありました。東京電力福島第一原子力発電所事故により全町避難を強いられた大熊町が復興に向けた次のステップの旗印としてゼロカーボンを掲げたことには、人口規模にとどまらない特別な意義があると考えています。この宣言の際に大熊町の職員の方から、この表明でこれから向かうべき方向性がはっきりした、これから頑張っていきたいとの前向きなお話をいただき、大変うれしく感じました。
 私がゼロカーボンシティを後押しするきっかけとなった出来事は、昨年の国連気候アクションサミットです。国連本部のビルで国際社会に横浜市のゼロカーボン宣言を紹介した際、会場で横浜市の職員に送られた万雷の拍手と喝采を聞き、この取組が国際社会で日本国内での評価以上に評価されていることを痛感しました。
 宣言だけでは何も変わらないといった批判の声も一部にありますが、ゼロカーボンを宣言した自治体において、地方公共団体実行計画の見直しや再生可能エネルギーの広域連携などの具体的な動きが着実に進んでいることもまた事実です。環境省としても、こうしたゼロカーボンシティの取組を更に後押しすべく、支援策を講じてまいります。
 気候変動は今や国際的には気候危機と言われるほど重要な課題として認識されており、脱炭素社会の実現に向けた機運は明らかに高まっています。そうした中で、昨年開催されたCOP25では、我が国主導でフルオロカーボン・イニシアティブを立ち上げたほか、市場メカニズムに関する実施指針等に関する交渉を通じ、我が国の存在感を高めることができました。これは、今年十一月にグラスゴーで開催されるCOP26に確実につながる成果だと考えています。
 先月、そのCOP26の議長国イギリスのラーブ外務大臣と面会しました。イギリスが議長国として先進国の野心的な取組を期待している中、各国の気候変動対策の中期目標やその達成に向けた行動を示すNDCや、いわゆる二〇五〇年目標に関する日本の姿勢が改めて問われています。
 NDCについては、今年二月がパリ協定及びCOP決定に基づく気候変動枠組条約事務局への提出期限です。NDCの明確性、透明性及び理解を促進する観点から提出期限を定めているCOP決定の趣旨を踏まえるとともに、日本の前向きなメッセージを国際社会に届け、日本が正当に評価されるような報告にすることも大切であると考えており、私としては、そのような方向で、できるだけ早期に提出すべく、関係省庁と最終調整を進めています。
 二〇五〇年目標について、我が国は、昨年閣議決定されたいわゆる長期戦略において、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現することを目指すと宣言しています。ゼロカーボンシティの取組とも連携しつつ、環境省としては、二〇五〇年も視野にという意気込みで、二〇五一年も含め、できるだけ早期の脱炭素社会の達成を目指します。
 引き続き、COP26に日本が胸を張って臨めるような環境整備を進めてまいります。
 今後、地球温暖化の進展に伴い、昨年我が国に甚大な被害をもたらした台風のような気象災害のリスクが更に高まることが予測されており、気候変動というファクターを防災に取り入れることはもはや必然となっています。こうした「気候変動×防災」の視点に立ち、現在、これまでより踏み込んだ関係省庁との連携を進めています。
 例えば、防衛省に新たに気候変動適応推進会議のメンバーに加わっていただきました。災害廃棄物撤去に係る防衛省・自衛隊との連携マニュアルも共同作成中です。内閣府の武田大臣とも合同で「気候変動×防災」に係る意見交換会を開催しており、今後は連名で気候変動時代の防災の在り方についてメッセージを発信し、政策につなげていきます。気象庁とも新たな取組を検討中であり、近々発表の予定です。
 また、「気候変動×防災」の観点から、昨年の台風の影響で町内全域が停電したときも防災拠点等に電力を供給できた千葉県睦沢町のむつざわスマートウェルネスタウンのような好事例を、自立分散型のエネルギーシステムの普及、展開等を通じて増やしてまいります。環境省自身も、自ら使用する電力を二〇三〇年までに再生可能エネルギー一〇〇%で賄うRE一〇〇宣言をし、新年度からは新宿御苑を始めとする一部の施設でRE一〇〇を実現します。これらの取組を通じ、再生可能エネルギーの主力電源化を進めます。
 このほか、デジタル化の進む社会において、気候変動対策にもデジタル技術の力を活用する視点も欠かせません。このような「気候変動×デジタル」の考え方に基づき、デジタル技術の活用も効果的に進めてまいります。
 こうした施策を通じて、技術、経済社会システム、ライフスタイルといったあらゆる観点からの非連続なイノベーションを地域で実装し、地域循環共生圏を構築してまいります。
 次に、東日本大震災からの復興について申し上げます。
 間もなく三月十一日を迎え、東日本大震災の発生から九年が経過します。改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族にお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 東日本大震災からの復興は、これまでも、そしてこれからも、環境省にとって最重要の課題です。また、私自身にとっても、環境大臣に就任する前から強い思いを持って取り組んできたライフワークです。
 先月、福島県飯舘村、双葉町及び大熊町を訪問し、このうち飯舘村では、長泥地区での除去土壌の再生利用実証事業の現場を訪れ、菅野村長や住民の方々と意見交換を行い、これまで九年間の様々な思いを伺いました。
 実証事業の中で地元の方々の御協力によって栽培され、美しく咲いているトルコギキョウ等の花がこれまでは使われることなく処分されていたと聞き、もったいない、何かできることはないかと考えました。そして、今後は様々な場で、環境省がこの地で栽培された花を使わせていただくこととしたほか、法務省、復興庁、農林水産省及び経済産業省においても活用いただけることになりました。
 また、福島県外における再生利用の実証として、先週から、福島県の除去土壌を活用した鉢植えを大臣室等に設置しています。環境省は常に福島と共にある、その思いで、復興に向けた風評払拭の先頭に立ってまいります。
 このように、中長期の計画などを着実に進める一方で、できることは小さなことでも何でもやるという姿勢で、未来に向けた動きを生み出す努力を追求していきたいと思います。
 今回の訪問を通じ、飯舘村の住民の方々の再生利用事業に対する様々な思い、中間貯蔵施設を受け入れていただいている双葉町及び大熊町の復興の新たなステップに向けた力強い決意を直接伺い、環境省として、地域の方々の苦渋の思いを忘れずに、復興に向け取り組んでいかなければならないとの決意を新たにしました。また、来年で震災から十年を迎える中、風化への不安や懸念が大変強いことも感じました。被災地の方々のこうした思いを受け止め、今までよりも情報発信の取組を強化していきたいと考えています。
 引き続き、安心して生活できる環境を取り戻す環境再生に向けた取組などを、関係自治体の皆様と密に連携しながら、着実に進めてまいります。
 具体的には、二〇二一年度までのおおむね搬入完了を目指した除去土壌等の中間貯蔵施設への輸送と仮置場の早期解消、最終処分量の低減のための減容、再生利用に関する取組、帰還困難区域の特定復興再生拠点区域における家屋等の解体、除染、指定廃棄物等の処理等を着実に進めます。放射線健康管理、リスクコミュニケーションの実施等を通じ、住民の皆様の不安の解消等も図ります。
 また、福島県は、二〇四〇年頃をめどに、県内エネルギー需要量以上のエネルギーを再生可能エネルギーで生み出す県を目指すとの目標を掲げています。こうした地域の強みを創造、再発見する復興の新たなステージに向けた未来志向の取組を、環境省の知見を生かして後押ししてまいります。
 次に、世界が取り組むべき喫緊の課題であるプラスチックごみ対策と生物多様性の保全について申し上げます。
 まず、プラスチックごみ対策の分野において、このままでは二〇五〇年には魚よりも海洋プラスチックごみが多い海になるとも言われていますが、昨年のG20大阪サミットで合意された大阪ブルー・オーシャン・ビジョンは、私自身もイベントやバイ会談等を通じて呼びかけたことにより、既に五十九か国から賛同を得ています。我が国は、このビジョンの実現に向け、また中国などの廃プラスチック輸入禁止措置等をむしろ真の循環型社会を構築するチャンスにすべく、取組を進めます。
 そのためには循環経済への移行を見据えた製品や社会システムの再設計が必要であり、これらを新たな成長エンジンとしていくべく、まず、今年七月からのレジ袋有料化をきっかけとしてライフスタイルの変革を進めるとともに、プラスチック資源循環戦略の具体化に向けて本格的な検討、実施を進めます。循環型社会の根幹である3Rの強化、海岸漂着物の回収、適正処理、代替素材の開発なども引き続き推進します。
 また、企業、自治体の先進的な取組、プラスチックごみ対策にも資するESG金融、さらにアジアを始めとする国際的な資源循環を我が国から強力に進め、今年五月に世界経済フォーラムと共催する東京循環経済ビジネスフォーラムにおいて、日本の誇る資源循環の輪を世界に発信してまいります。
 加えて、今年は、今後十年の方針を決める生物多様性条約のCOP15の開催年です。新たな世界目標であるポスト二〇二〇生物多様性枠組の採択への国際的な議論に向けて、我が国発のSATOYAMAイニシアティブ等の国際連携を積極的に推進します。また、国内でも、国立公園満喫プロジェクトによる国立公園の魅力向上などに引き続き取り組みます。
 最後に、原子力防災等について申し上げます。
 東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓でもあるとおり、万が一の原子力発電所の事故に対応するための備えに終わりや完璧はありません。安全神話にとらわれることなく、関係自治体等と一体となり、各地域での防災訓練等を通じて、地域防災計画、避難計画の継続的な充実強化等に取り組んでまいります。
 また、住民に必要な情報を提供する先進的な取組である鳥取県の原子力防災アプリのような取組の推進や、住民が確実に安定ヨウ素剤を服用できる体制のより一層の充実を図ります。さらに、事前にシナリオを提示せずに行うブラインド訓練や研修等を通じて、要員の危機管理能力の向上を図ってまいります。
 加えて、原子力の安全確保に係る人的基盤の強化、放射線モニタリング体制の充実等を通じ、原子力規制委員会が独立性の高い三条委員会として科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう、しっかりとサポートしてまいります。
 以上、環境大臣及び原子力防災担当の内閣府特命担当大臣として、当面の取組の一端を申し上げました。
 今国会においては、石綿飛散防止対策の強化に向けて、石綿含有成形板を含む全ての建材を規制の対象とするなどの対策を講ずるべく、大気汚染防止法改正案を提出することとしており、本日、閣議決定いたしました。このほか、この所信で述べることができなかった多岐にわたる分野についても、今後、本委員会での質疑等の中で御説明させていただければと存じます。
 牧山委員長を始め、理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 小泉進次郎

speaker_id: 20521

日付: 2020-03-10

院: 参議院

会議名: 環境委員会