梶山弘志の発言 (経済産業委員会)

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○国務大臣(梶山弘志君) 第二百一回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取組につきまして、経済産業大臣、産業競争力担当大臣、国際博覧会担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)として申し上げます。
 初めに、新型コロナウイルス感染症については、目下の最重要課題と認識しており、国内の感染拡大防止に政府一丸となって取り組みます。経済産業省としては、とりわけ影響を受けやすい中小・小規模事業者の皆様を始め、事業者の現場の声にしっかりと耳を傾け、必要な対策を迅速に行ってまいります。
 足下の感染症への懸念のみならず、気候変動、世界に広がる保護主義の動きなど、世界規模の課題が日本を取り巻いています。また、国内に目を向ければ、デジタル化への対応、少子高齢化による人手不足、エネルギー安全保障の強化、そして何よりも原子力災害からの福島復興など、乗り越えるべき課題が山積しております。これらに対して、一つ一つ着実に成果を出すべく、五つの取組を進めます。
 まず、福島の復興は、経済産業省の一丁目一番地の最重要課題です。東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故から九年の月日が経過します。廃炉・汚染水対策については、引き続き、中長期ロードマップに基づき、安全確保最優先、リスク低減重視の姿勢を堅持しつつ、地域、社会とのコミュニケーションを一層強化しながら進めていきます。
 今月には、双葉町、大熊町、富岡町において、帰還困難区域とされてきた一部地域の避難指示を初めて解除します。また、双葉町の避難指示解除準備区域も解除しました。これにより、全ての居住制限区域と避難指示解除準備区域が解除されました。
 引き続き、地元企業の事業再開や新たな事業展開を後押しするとともに、福島イノベーション・コースト構想を着実に進めながら、ロボットやドローン、水素を始めとした先駆的な取組を行う地域社会を実現し、福島の産業復興に取り組みます。
 二つ目は、ソサエティー五・〇の実現です。企業価値の源泉とも言えるデジタル技術やデータをあらゆる産業や社会生活に取り入れるソサエティー五・〇を世界に先駆けて実現することで、社会課題を解決し、新たな価値を生み出します。
 ソサエティー五・〇の基盤となるセキュリティーが確保された5Gやドローンなどの情報通信インフラ整備の促進のため、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案を今国会に提出しました。予算や税制なども含め、大胆な支援策により、安全、安心で信頼できる情報通信インフラの整備を強力に後押しします。
 また、デジタル技術の進展に伴い、デジタルプラットフォームが中小企業等にとって重要な取引の基盤となっています。オンラインモールやアプリストアにおいて、例えば取引条件の変更について事前の通知や理由の説明が十分になされていないなど、取引の透明性、公正性が低いという課題に対処し、デジタル市場の健全な発展を促すため、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案を今国会に提出しました。
 さらに、ビッグデータなどの活用により、決済をめぐる新たな技術が次々と生まれています。新たな技術やサービスに対応し、利用者が安全、安心に多様な決済手段を利用できる環境整備を進めるため、割賦販売法の一部を改正する法律案を今国会に提出しました。
 これらデジタル技術を最大限活用するためには、サイバー攻撃などリスクに備えることが重要です。オリンピック・パラリンピックを控える今こそ、中小企業を含め、サイバーセキュリティーの確保を推進します。
 三つ目は、自由貿易の旗手としての通商政策の推進です。通商国家として発展を遂げてきた日本は、既存の国際秩序が様々な挑戦を受ける中にあっても、自由で公正なルールに基づく国際経済体制を主導しなければなりません。
 六月の第十二回WTO閣僚会議に向けて、日米欧の三極貿易大臣会合も活用しながら、WTO改革を進めます。同時に、大阪トラックの下、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラストの考えに基づき、電子商取引やデジタル経済に関する国際的なルール作りを推進します。また、RCEPについては、十六か国での年内の署名を目指して、引き続き交渉をリードしてまいります。
 二国間の経済関係強化にも取り組みます。米国との関係では、日本企業が日米貿易協定及び日米デジタル貿易協定の成果を最大限に活用できるよう促し、日米経済関係を更に深化させます。加えて、英国のEUからの離脱を踏まえ、EUとの更なる連携強化を進めるとともに、英国との新たな経済的パートナーシップの構築に迅速に取り組みます。中国とは、第三国市場協力や省エネルギー・環境分野での協力など、経済関係の強化を図ります。日ロ関係については、ロシア経済分野協力担当大臣として、八項目の協力プランの更なる具体化を進めてまいります。
 四つ目は、中小・小規模事業者が直面する課題の克服です。全国各地の経営者の皆さんが、人手不足など厳しい経営環境に悩みつつも、必死の思いで地域経済を支えています。しかし、経営者の高齢化が進む中、事業承継は待ったなしの課題です。次の世代への承継を阻む最大の壁が経営者保証の慣行です。今の世代で断ち切るとの強い決意を持って、この慣行に立ち向かいます。
 経営者保証の解除に向けた支援策など、中小企業の成長促進策を盛り込んだ中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案を今国会に提出します。さらに、第三者承継支援総合パッケージに基づき、後継者不在の事業者の事業承継も後押ししていきます。
 事業承継問題が解決した先にも、高齢化や人手不足といった構造変化に加え、働き方改革や賃上げなど相次ぐ制度変更への対応が待ち受けています。これらを乗り越えて事業者の皆さんが躍進できるよう、生産性革命推進事業を通じて、設備投資やIT導入など生産性向上の取組を継続的に支援します。
 最後に、国民生活の経済など、あらゆる活動の土台となる安定した資源・エネルギー安全保障の強化です。
 自然災害の頻発、中東情勢の緊迫化、再生可能エネルギーの主力電源化等、近年の電気供給をめぐる環境変化への対応が急務となっております。このため、強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法の一部を改正する法律案を今国会に提出しました。災害時の迅速な復旧や送配電網への円滑な投資、再生可能エネルギーの導入拡大、資源、燃料の安定供給等のための措置を講じ、強靱かつ持続可能な電気の供給体制を確保してまいります。
 安全、安定、安価なエネルギー供給を実現しつつ、パリ協定を踏まえた脱炭素化の取組を進めることが責任あるエネルギー政策に取り組む上で極めて重要です。徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの主力電源化に加え、CO2を燃料や原料として再利用するカーボンリサイクルや水素社会の実現に向け、世界に先駆けた革新的技術の開発普及を促進します。原子力については、安全最優先で、地元の理解を得ながら再稼働を進めるとともに、人材、技術、産業基盤の維持強化に取り組みます。
 また、地球規模の課題である気候変動対策を途上国も含めて実効的な形で進めるには、環境と成長の好循環の実現が不可欠です。国際共同研究等を通じ、革新的環境イノベーション戦略に掲げた、産業革命以来増加を続けてきたCO2を減少へと転じさせるビヨンド・ゼロを可能とするイノベーションを実現します。
 福島県浪江町では、世界最大級の再生可能エネルギー由来の水素製造施設が本格稼働します。この水素は、Jヴィレッジからスタートするオリンピックの聖火リレーの燃料に活用されます。大会を通じて、復興への歩みを進める福島の姿を世界中に示します。
 そして、二〇二五年には大阪・関西万博を迎えます。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、万博会場を未来社会の実験場として多様なプレーヤーが大阪、関西に集い、新たな技術を実証するテストフィールドを目指し、政府、自治体、経済界が一致団結したオールジャパン体制で取り組みます。
 以上申し述べましたとおり、経済産業行政は多くの課題に直面しております。国民各層の幅広い御意見をしっかりとお伺いしながら、経済産業大臣として全身全霊で職務に取り組んでまいります。
 礒崎委員長を始め理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

発言情報

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発言者: 梶山弘志

speaker_id: 8910

日付: 2020-03-05

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会