石橋通宏の発言 (厚生労働委員会)

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○石橋通宏君 委員派遣について御報告を申し上げます。
 去る二月二十日及び二十一日の二日間、そのだ委員長、石田理事、小川理事、足立理事、山本理事、東委員、倉林委員及び私、石橋の八名により、大分県における社会保障及び労働問題等に関する実情を調査してまいりました。
 以下、その概要を御報告いたします。
 一日目は、まず杵築市立山香病院及び介護老人保健施設グリーンケアやまがを訪問し、概況説明を聴取するとともに、施設内を視察いたしました。概況説明では、二〇四〇年を見据えた地域医療の在り方、杵築市立山香病院における地域包括ケア病棟の取組及び今後の課題、地域リハビリテーションサービスの現状及び課題、同病院の存続に向けた患者送迎等の取組、地域小児科医療、病児保育の取組等について、小野院長を始めとする関係者から概要及び見解等を聴取いたしました。同院長等からは、同病院が属する大分県東部医療圏では別府市に医療資源が集中し、市外に医療費が流出している状況があり、病院経営上、杵築市中心部等の人口密集地域からの外来患者数を増やす必要があること、リハビリテーション専門職の派遣事業を進める上では、施設基準を満たす人員を確保した上で更なる人員が必要となることに加え、それら専門職が外出している時間分の診療報酬が得られずに減益を余儀なくされること、通院困難者のために患者送迎事業を開始したものの新規患者の増加につながっておらず採算性の確保に問題があること等の課題について説明がありました。また、地域の開業医と協力した小児科日曜外来のほか、病児保育事業等の取組も進めており、平日、日曜共に外来受診者数が増加傾向にあることや、共働き家庭が増加する中、地方においても病児保育施設のニーズが高くなっており、少子化が進む地域であるにもかかわらず単年度収支で黒字を達成していること等について説明がありました。さらに、二〇四〇年を見据え、今後は質の高い総合診療医が必要になるのではないかといった見解や、地域の病院が機能集約化されたセンター病院とフレキシブルに連携しつつ、地域で完結できる医療体制を維持することが重要ではないか等の見解も示されました。
 続いて、これからの地方病院に求められる機能、山香病院において医師不足を克服できた理由及び今後の持続可能性、看護職員確保に向けた現状及び課題、リハビリテーション専門職派遣事業を増やすほど減益につながってしまうという課題に対する病院経営上の対応等について意見交換を行いました。また、杵築市立山香病院の訪問に先立ち、永松杵築市長と懇談を行い、地域での課題解決のためには、医療体制の確保が重要であり、科学的な視点に基づいて課題に取り組める医師を中心とした多職種連携体制を構築する必要がある等の見解が示されました。
 次に、株式会社宇佐ランタンを訪問いたしました。同社は、昭和四十八年に設立され、祭りやインテリア等に使用されるビニール素材のちょうちんの製造、販売を行っております。およそ四十年前から障害者の雇用に取り組んでこられ、現在は従業員十九名の半分以上となる十名の知的障害者の方が日々ちょうちん作りに励んでおられるとのことです。同社では、障害者が働きやすい環境を整えるために専用の機械を独自に開発したとのことであり、その結果として作業全体の省力化にもつながったとのことでした。また、障害者に対しては、教える、覚えるという関係のティーチングではなく、能力を引き出し、強化するというコーチングのアプローチで指導に取り組んでおり、特別支援学校在籍時から三週間にわたる実習を年三回行い、四月の就業時点で覚えなければならないことを少なくするなど、知的障害者が就業に際して直面する壁を克服できるような取組を行っているとのことでした。ちょうちんの製造工程を視察した後、障害者雇用に対するこれまでの取組等について概況説明を聴取するとともに、障害を持つ従業員が定年退職した後の社会との関わり方、同社における健常者と障害者の給与格差の有無等について意見交換を行いました。
 続いて、日豊製袋工業株式会社を訪問し、製造現場を視察した後、同社の概要やこれまでの障害者雇用の取組等について概況説明を聴取いたしました。同社は、昭和三十七年に設立され、包装容器や包装材料の製造、販売を行っており、袋状の包装容器であるフレキシブルコンテナバッグの製造に高い技術力を有する一方、創業当初から障害者雇用にも積極的に取り組んでおられるとのことであり、障害者を納税者に育成するとの考えの下、一般従業員と障害者が同じ賃金体系で働いておられるとのことでした。現在、従業員九十名のうち、障害を持つ方が十七名おられ、障害者と高齢者がペアになり、お互いの能力を高め合う形で作業を進めているとのことでした。また、何か一つの仕事のスペシャリストになればよいとの方針の下、障害者個人の特性に合わせて徹底したマンツーマン指導を行っているとのことであり、特定の機械の操作において、一般従業員以上に卓越した技能を持つ障害者もおられるとのことでした。概況説明の後、同社における健常者と障害者の処遇体系の違い及びそれに対する健常者側の捉え方、障害者の通勤手段、障害者の高齢化への対応、通勤支援や設備投資に係る補助金の在り方等について意見交換を行いました。
 最後に、長野別府市長と懇談を行い、別府市における障害者インクルーシブ防災事業等について概況説明を聴取いたしました。同事業は、災害発生時において障害者等の要配慮者を含めて誰一人取り残さないための防災の仕組みづくりを目指して平成二十八年に開始され、災害時ケアプラン調整会議の実施や要配慮者の個別支援計画の作成、また避難訓練の実施といった取組をこれまで実施してきたとのことです。一方、要配慮者と地域、福祉関係者をつなぐ役割を担うインクルージョンマネジャーが市に一人しかおらず、今後は民間福祉専門職の役割が重要であり、待遇改善が必要になるのではないか等の見解も示されました。その後、同事業に係る課題や新型コロナウイルス感染症の感染拡大による別府市内の観光業への影響等について意見交換を行いました。
 二日目は、最初に社会福祉法人太陽の家を訪問し、まず施設の概要及び障害者雇用の取組等について概況説明を聴取いたしました。社会福祉法人太陽の家は、故中村裕博士により、保護より機会をとの理念の下、障害者の就労支援を目的に昭和四十年に開設されました。様々な企業と提携して共同出資会社をつくり、多くの障害者の雇用を進めるなど、我が国の障害者雇用において先駆的な役割を果たしてこられました。現在は、大分県内にとどまらず、愛知県や京都府にも事業所を開設しており、従業員約千八百六十名のうち、約六割となる千百名の障害者がそれぞれの業務に取り組んでおられるとのことです。説明を聴取した後、共同出資会社の一つである三菱商事太陽株式会社等を視察いたしました。同社では、六〇%以上の従業員が何らかの障害を持っているとのことであり、それぞれの能力に合わせて、システム開発やデータ入力等の業務に従事されているとのことです。また、車椅子が必要な身体障害者のためにケーブル類を天井裏に配線し、床をタイル張りにしているほか、社会福祉士や精神保健福祉士によるワークサポートチームを設置するなど、障害者が働きやすい職場づくりに取り組んでおられるとのことでした。さらに、近年は在宅勤務による障害者の就労にも積極的に取り組んでおられるとのことです。太陽の家で脈々と培われてきた、世に障害はあっても仕事に障害はないとの精神は、大分県においてあまねく共有され、障害者雇用を牽引してきたと強く感じたところであり、今後の障害者雇用施策に非常に参考になると実感した次第であります。
 次に、大分県口腔保健センターを訪問し、障がい者歯科診療所を視察するとともに、施設の概要及び運営に係る課題等について概況説明を聴取いたしました。それまで大分県では、一般の歯科診療所での治療が困難な障害者を対象とした専門医療機関が大分療育クリニックの一つしか存在せず、治療まで三か月から六か月程度待たなくてはならない状況であったことから、大分県歯科医師会が中心となり平成三十年三月に同センターが開設されました。今年度からは、一般の歯科診療所でも治療を実施できるよう、地域医療介護総合確保基金を活用した臨床実地研修事業も開始したとのことです。一方、障害者が歯科治療を受ける際には、治療を受け入れるために複数回の事前トレーニングが必要であるものの、その診療報酬上の評価が不十分であることなどから、開設当初から財政上の問題を抱えているとのことでした。その後、県による補助金交付の見通し、障害者への歯科医療の提供に係る診療報酬上の評価の在り方、同センターにおける研修事業の意義、障害者と健常者の齲蝕有病率の違い等について意見交換を行いました。
 最後に大分県庁を訪問し、まず広瀬大分県知事と懇談を行いました。広瀬知事からは、障がい者雇用率日本一の奪還に向けた取組についての表明があり、その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響及び感染防止策、公的機関における障害者雇用率の向上に向けた具体的方針等について意見交換を行いました。次いで、県当局から大分県における医療、介護の連携、地域医療構想、障害者歯科医療のほか障害者雇用に向けた取組及び今後の課題等について概況説明を聴取するとともに、医療介護連携ネットワークの県全域での連携可能性及びシステム標準化に係る課題、地域医療介護総合確保基金の使途に係る課題、二次医療圏内における医療資源の偏在に対する大分県の対応方針、新型コロナウイルス感染症に対する大分県の医療体制、障害者の福祉的就労から一般就労への移行促進策等について意見交換を行いました。
 視察先での実情調査の概要は以上でありますが、今回の委員派遣に当たりまして、訪問先の関係者の方々に特段の御配慮をいただきましたことを、この場をお借りして心から御礼を申し上げたいと存じます。
 以上で委員派遣の報告を終わります。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 石橋通宏

speaker_id: 20059

日付: 2020-03-10

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会