伊藤孝恵の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○伊藤孝恵君 ただいま高橋委員の方から、子供の経済的貧困、また心理的貧困について非常に御示唆に富むお話、聞かせていただきました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、低所得の一人親、そういった方々の収入が減って、想像を絶するような相談が私の下にも寄せられております。例えば、食べるものがないので公園に行って親子で水を飲んで空腹をしのいでいる、そんなようなお話を聞くたびに本当にたまらない気持ちになります。
野党五党は既に児童扶養手当の拡充を求める法案を提出しておりまして、二次補正での確実な手当てやそもそも児童扶養手当の増額を求めておりますけれども、この子供の貧困、とりわけ母子家庭の貧困については従来からその深刻さが指摘されており、この社会問題というのは当調査会の主題でもあるというふうに思います。
一人親家庭のおよそ九割が母子家庭であります。そして、その貧困率は五〇・八%、二人に一人が貧困の状態です。そして、平均年間収入というのは二百四十三万円、全世帯平均の半分以下です。それもそのはずで、その多くが、非正規で働く方々が半数以上でして、彼女たちは余暇や睡眠時間を削って働いているにもかかわらず、およそ四割の世帯の貯蓄が一円もありません。さらに、理不尽なことに、働く方が無職でいるよりも貧困率が高いという逆転現象が起こっておりまして、これは世界的に見ても、インドと日本と、そのぐらいなものだというふうに言われております。
もちろん、最低賃金の引上げ、それから勤労世帯の税額控除、児童手当の増額、保育、教育の完全無償化等、制度変更や税財源の投資によって事態を改善する、そういったことが必要なことは言うまでもありませんが、私は、二月十二日の周参考人から御示唆のあった養育費確保、その法整備について、その必要性について述べたいと思います。
子供が心身共に健やかに育つために養育費は必要であるにもかかわらず、その法的担保がない現状の課題、そういったものは認識を共有しているものと思いますけれども、法的担保がないと申しましたが、正確には、民法七百六十六条では養育費を決めることになっており、同七百七十一条では、それは子の利益を最も優先して考慮するものとされております。
しかし、実際は、家庭裁判所の調停による調停離婚、裁判による判決の裁判離婚を除く全体の八七・二%を占める協議離婚においては養育費の取決めはなされていないことが多く、厚労省の調査によれば、日本全体で養育費の取決めがある世帯は四二・九%あるにもかかわらず、実際に受け取っているのは二四・三%にまで落ち込みます。この四二・九%の取決め率を上げること、僅か二四・三%の受取率を上げること、その両施策が必要であります。
我が国には養育費不払に対する罰則規定はありませんので、父親が転居したり転職をしたりすれば、また、裁判所からの履行勧告を無視してしまえばそれまでです。また、シングルマザー又はファーザーが、たとえ生活に困窮していても、離婚した相手と連絡を取りたくない、又は居場所を知られたくないなどで養育費の請求を諦めるケースも多いと聞きます。
一部報道では、森法務大臣の勉強会では、ドイツのような養育費を行政が立て替える立替え型や、アメリカやイギリスのような取立て型、兵庫県明石市のような保証会社を介在したハイブリッド型などの事例を研究していると聞いておりますが、それら全ての前提条件が、離婚時に養育費の取決めをしたことを証明する、この口約束ではない強制執行可能な形の強制執行受諾文言付公正証書である以上、ここを義務化するところから始めないといけません。もちろん、その作成支援や費用についても財政措置を行うことや、DV被害者等、何も要らないから一刻も早く離婚したい、避難が必要な方については例外規定を設ける等の必要があります。
私は、離婚したって自分の子供なんだからお金は払うのは当たり前だというふうな意味合いで言っているのではなくて、たとえ本当に千円でも一万円でも、自分のために父親が又は母親が働いたお金を送ってくれた、自分はそれでここまで大きくなれた、そういうような、そうやって思えるということが、いざ飛び立つときの子供たちの何よりの翼になるというふうに思うからです。
既存の民事執行法を活用して養育費を確保するには、この取決めの義務化がまずは第一歩であり、それはまた、とにもかくにも子供の権利擁護のためであることを社会が、またこの国会が共有しなければならないというふうに思います。
以上です。