小澤守の発言 (資源エネルギーに関する調査会)
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○参考人(小澤守君) 関西大学の小澤でございます。
私は、元々が機械工学、学部の名前は社会安全学部という安全問題を扱うところにおりますが、出身は機械工学でありまして、ボイラーとか原子炉とか、そういうところの技術に関係するような仕事、研究をやっておりました。(資料映写)
まず、一ページ目を開けていただきますと、これは経産省の資料でありまして、我が国の国際競争力の図面があります。
丸の大きさが日本が稼いでいるお金の金額に相当するもので、一番大きいのは自動車でありまして、その左側に医薬品とか等々あります。右の方にハイブリッドのグループがありますが、結局、日本の競争力を維持しようとすると、自動車も含めて鉄鋼とか重工、重電の分野が非常に強力でないと日本全体の経済規模を維持することはできないと。将来にわたって省エネとかそういうようなことを図ろうとするときに、日本は何で飯を食っていくのかということをよく考えた上で産業構造をつくっていく必要があるだろうというふうに思います。
だから、将来にわたって、例えば、CO2を削減するとかゼロにするとか原発をゼロにするとかいろいろな問題があると思いますが、そのときに、そこへの道筋をどう立てるかというのは非常に重要な問題であるというふうに思います。
半導体分野なんかではかつては日本は世界のトップクラスであったんですが、ほとんどが中国とか韓国、あちこちの国々に渡ってしまって、最近では、パソコンとかそういう分野も含めて、携帯なんか典型ですが、ほとんど海外にやられてしまっていると。例えば、デジカメなんかを見ますと、世界の中でのシェアは一〇〇%ですが、金額の額を見たりしていますとせいぜい一千億とか二千億ぐらいなものでありまして、非常に小さいものになる。
少なくとも、そういうことを維持しようとすると結局は、一番上に書いていますように、大型技術、基盤技術をしっかりしたものを持っていかないといけないと。私は、感覚的にはいわゆるエネルギー問題というのは、ある意味、日本の外交問題であり、同時に日本の国防問題であるというふうに思っております。
次のページを開けていただきますと、最近の、最近というか平成の十一年ぐらいからのエネルギー原単位、重化学工業の省エネがどういうふうになっているかというふうなことを表したグラフでありまして、一番下にありますのが、緑の業務部門全体、それから産業部門全体では青ですね、濃紺のグラフがありますが、要するに、数%ずつではありますけれども、全体としては省エネが行われているというのは間違いもございません。
さて、その次のページ見ていただきますと、日本におけるエネルギーの消費の割合で、縦軸がトータルのエネルギーでエクサジュール、十の十八乗ジュールというオーダーが書いてありますが、横軸に年度、一九六五年から二〇一七年までのデータでありますが、下の方の大部分が化石エネルギーで、非化石エネルギーが上の方にごく僅かございます。
原子力が一九七〇年頃から実用化されて日本国内で発電を開始しましたが、三・一一以降その分が非常に少なくなっていると。最近、その後、特に自然エネルギー、太陽光とか風力なんかが導入されてきておりますが、依然として、先ほど荒戸先生のお話にありますように、石油、天然ガス、それから石炭の重要度はかなり高いと言わざるを得ないというふうに思います。将来的にこの辺を、CO2の発生をゼロにするという方針を置くとするならば、それらをどういうふうに日本の経済の中で、あるいは日本のエネルギー問題の中で軟着陸させるかというのは非常に大きな問題だというふうに思います。
さて、次のページ見ていただきましたら、どの分野でエネルギーを使っているかというのが一覧表になっています。産業分野、業務分野、家庭分野、運輸分野と。
運輸に関しましては、結局、ガソリンであったり軽油であったりするのが、まあ船の場合は重油使いますが、オイルを主として使うと。要するに、体積当たりの保有エネルギーが大きいものを持っておかないと長距離の輸送ができないということがあります。そういうことがあって、程々の大きさがありますが、大体、全体としては横ばい状態。
それに対して、赤の線が日本のGDPの推移でありまして、GDPそのものはこれからどんどん上昇するかどうかは別として、ある程度のところに維持しようとするとエネルギーの量を確保せざるを得ないと。エネルギーとGDPの関係というのは非常に密接に関係しているというふうに言わざるを得ないというふうに思います。
先ほど、私のタイトルの中に、オイルと天然ガスを看板に挙げて、石炭の名前を入れておりませんが、その中で石炭の重要性というのは非常に高いというふうに私は思っております。先頃、CO2の発生とか環境問題等々で石炭に対する風当たりが余りよろしくないと。COPとかあちこちで日本は、何というんですか、石炭をまだ使用しているのでとんでもない国だというような評価をしている海外のところもありますが、それは広報の問題であって、石炭を捨てるということは僕は選択肢にはないというふうに思っております。
次のページを見ていただきますと、中東依存性が非常に高いというのが現状であります。
先ほどの荒戸先生のお話にありますように、日本近海にいろんな資源があるとは思いますが、それはまだまだこれからの問題であって、当面、これから二十年、三十年の間に中東依存性が軽くできるかどうかというのは非常に難しい問題がある。特に最近ですと、ホルムズ海峡はどうするかとか防衛省から護衛艦が行っているとかいろんな話がございますが、外交上の問題というのが非常に大きく作用すると。
そういう意味では、石油等に対するいわゆる政治上のリスクあるいは外交上のリスクが非常に高くて、これからも継続されるだろうと。そのときに、エネルギー、いわゆる化石エネルギーとして石炭そのものをどうするのかということを国としてしっかりと位置決めをしないといけないというふうに思っております。
次の絵は、太陽光発電で、大分資料は古いですが、二〇一二年のエネルギー・環境会議で出てきた資料でありまして、太陽光発電は例えば、皆さん御承知のように、本日ですと非常に発電量は少ないし、晴天で天気がいいとそこそこ発電はしてくれると。そもそも、太陽光から降ってくるエネルギーは一平方メーター辺り一キロワットぐらいあるわけです。ところが、雲があったり水蒸気があったりして、結局、地上に降り注ぐのはそれの三割ぐらい、せいぜい三割ぐらいしか入ってこないと。そうすると、しかも夜になると使えないというので、太陽光発電そのものに本当に将来性があるのかどうか、余り大きくすると大変なことになりかねない。というのは、要するに不安定な電源ですから、バックアップを持たないといけないと。
それは風力に関しても基本的には一緒でありまして、ヨーロッパの諸国のように偏西風がある一定の速度で大体ほぼ平準化されたような状態で吹いている国と、台風だとかいろんなことで大きな変動がある日本の状況で風力発電が主力になるというのは、かなりの蓄電池、いわゆるバッテリーであったり、平準化をする道具が必要だろうと。
最近ではスマートグリッド等いろいろな方法があって、それで言わばエネルギーをデジタル化する、それによって全体の平準化を図りというような方法もありますが、それが、いざという、いわゆる自然災害なんかが多様な、いっぱい出てくるような時代になってきますと、本当に機能するのかどうか。大きな災害がありますと、ネットワークシステムそのものが簡単に壊れてしまいますから、そういう電線で結ばれたような、あるいは無線で結ばれたようなエネルギーシステムというのはちょっと危ないところもないわけではないというふうに思います。
さて、次の絵を見ていただきますと、この辺は先ほど言うたものをまとめているもので、原子力が非常に少なくなっていますよということを表しているだけであります。
その次、太陽光の実質上の系統への接続がどのくらいかというのを表したのがこのグラフでありまして、これは二〇一五年のデータですから若干これから変動しているかもしれませんが、それぞれの電力会社はバックアップを取らないといけないということから、接続可能量には現状では限界があるよということを表しているだけであります。
次、開けていただきますと、そもそもエネルギー、いわゆる熱を使った発電というのはどういうものかというのを漫画的に表したものがこの図でありまして、ポンプで水をボイラー、若しくは原子炉の場合ですと炉心に供給をして、そこで蒸気を発生させる。加圧水型原子炉ですと蒸気発生器というのがありますが、基本的には同じであります。それで蒸気の温度を上げて蒸気タービンに導入して、それで発電機を駆動する、蒸気タービンから出た蒸気を、日本の場合ですとほとんどが海水で冷却して元の水に戻すと。
こういう熱サイクルを使うわけですが、原発で大体せいぜい三三%ぐらいな熱効率ですし、通常の火力で四〇から四二%ぐらい。最近ですと、ほとんど天然ガスを使ったガスタービン、蒸気タービンのコンバインド発電で、基準をどこに置くかにもよりますが、五五%から六〇%ぐらいというようなところが限界でありまして、全ての熱エネルギーあるいは核の発生するエネルギーを発電できるわけではないということが、これは熱力学の基本から出てくるものでありますのでどうしようもないところもありますが、少しでも効率を上げるという努力はこれからもされるべきだとは思いますが、そういう限界があるということを御承知おきいただきたいというふうに思います。
次のページは、エネルギーのどういうサイクルを通るかによって効率がどの程度のものかというのをざっと表したものです。
先ほど言いましたように、化学エネルギー、あるいは化石エネルギーとも言いますが、核エネルギーから熱エネルギーを介して動力エネルギー、そして電気エネルギーに回している、それで先ほどの効率になるわけですが、光から直接、いわゆるソーラーセルの場合は直接電気エネルギーを起こすことになりますが、まあいろいろ技術開発が行われて新しいものが出ていますが、せいぜい一〇%オーダーのものであります。
あちこちにソーラー発電のサイトがありますが、いろいろな蓄熱とか平準化というようなことを考えると、光エネルギーから、つまり、太陽光から太陽熱を使って熱エネルギーに換えてそれで平準化をして、最終的には電気エネルギーに換えるというルートがないわけではないと。多分、恐らくその方が効率は高いと思いますが。
例えば、ジーメンスなんかが開発した、溶融塩を使って、溶融塩を温めて、それを移動させて蒸気を発生させて発電をするというシステムを開発していますが、スペインなんかでたしか実用化していたと思いますが、値段が非常に高いもの、いわゆる設備費が非常に高いものになっていると。今後の技術開発に依存するとは思いますが、この辺が非常に大きな問題だというふうに思っております。
さて、次のページには現在の原発の許認可の状況を表しています。
現状動いているのは、伊方の仮処分申請で止まっているというのは別にしまして、関電と九州電力の加圧水型原子炉が主として動いているだけでありまして、規制庁の審査になかなか通らないとか、通っても、地元の同意を得るのに時間が掛かるとか等々で、原発がエネルギーの基本計画では二〇%という話になっていますが、今の状況ではなかなかそれが前には進まない。規制の在り方そのものももう一度見直す必要があるだろうというふうに私は思っております。
エネルギー基本計画が全てではありませんが、原子力も一つの選択肢としてきちっとやっていかないといけないと。つまり、技術というのは、過去五十年、あるいは五十年以上原子力に関しては技術を積み重ねてきたわけですが、そのことを重要視する。つまり、技術開発というのは簡単にはいかない、あるいは技術者の養成はそう簡単ではないということも踏まえて考えると、この辺の問題はどうするのか、国としてきっちりとした方針を出すべきだというふうにも思っております。
次のページ見ていただきましたら、これは震災直後、つまり三・一一直後の状況でありまして、要するに、原発が止まることによって非常にたくさんの燃料代、つまり、主として火力発電用の燃料代が海外に出ていっているという状況であります。これは、まあそれだけの話でありますので。
それと、もう一つは、現在の石油の値段あるいは天然ガスの値段、石炭の値段がどんなふうに変動しているかと。これだけではございませんが、少なくとも、特に天然ガス、石油に関しては非常に値段の変動が多いということは皆さん御承知のとおりであります。
次のページに日本の現在の発電の系統が書いてあります。九州電力、沖縄電力からずっと東の方へ行きまして、青のところが六十ヘルツ、右側の緑のところが五十ヘルツの領域でありまして、先頃、二年前ですか、北海道のブラックアウトの問題がございましたが、基本的には、日本のこういう系統、あるいは中部電力と東京電力の間の周波数の変換所等々に関しましても平時を、つまり災害がない状態を想定して造られていると。
直流送電なんか特にそうでありまして、北海道のブラックアウトの中で、もし交流で北海道と東北電力が結ばれておれば直ちにその六十万キロワットを使えたわけですが、直流であったために、しかも他励式という、交流電力がないと交流に変換できないシステムであったために、結局は北海道電力の全域においてブラックアウトが起こってしまった。現在では青函トンネルを通じて三十万キロワットの自励式の直流が結ばれていて運用されていますが、北海道そのものの状況を考えるともっと全体的に増やさないといけない。しかも、できれば、緊急対応を考えると、私は、交流電力で、ロスは多いかもしれませんけど、交流で結ぶべきだというふうに思っております。
次のページ見ていただきますと、この辺から本当は私が言いたいことでありまして、これは、いわゆるクリーンコールテクノロジーという石炭の技術開発の全体像を何年か前に作ったものであります。
例えば、今、石炭技術で一番先端を走っているのが石炭ガス化複合発電、IGCCと言われるものですが、スタートは一九七四年頃であります。そこから、最初は空気吹きとか酸素吹きとか等々をやって、現在、千三百度の勿来のプラントのものが今建設中、あるいはおおよそ終わりつつあるという状況ですので、見ていただきましたら、七四年から二〇二〇年、四十年以上関わると。現場で働く技術屋さんからすると二世代ぐらい、場合によっては三世代ぐらいの技術屋さんがこれに関わっているということになります。
だから、技術開発というのは容易ではないと。つまり、人を養成するというのは物すごく大きな問題で、紙に書いたものがあるからそれで技術が維持できるというものでは決してないということを皆さん方に特に御承知いただきたい。そういう意味では、大学の教育であったり企業における教育、あるいは産業の育成、国の政策そのものが非常に重要な役割を果たすだろうというふうに思います。
次のページ開けていただきますと、先頃、オーストラリアで褐炭から水素を作って日本へ、特に私が住んでおります神戸に陸揚げするというプロジェクトが進行しつつあります。水素というのは、液化させようとするとかなりの低温にしないといけないと。天然ガスでマイナス百六十度でありますから、それよりもかなり低い温度まで下げて液体にして運ばないといけないと。何で水素なのだろうと。水素社会というのはいろいろ考えられていて、燃料電池車とか等々いろんなものが開発されていますし、実際に燃料電池車をトヨタなんかは販売もしております。
ところが、私からすると水素にして運ぶから面倒くさいのであって、例えば、石炭火力の発電所でCCSによってCO2を取って、そこで発生させた水素と合わせてジメチルエーテルにしてやれば、これはプロパンと同じようなものでありまして非常に運びやすいと。ジメチルエーテルは普通の火力燃料にも使えますし、最近ですと、ボンベの、いわゆるスプレーの噴射剤としても使っております。
しかも、もう随分になりますが、かつて経産省の石炭課あるいは石油流通課でジメチルエーテルのプロジェクトが進んで、新潟にプラントを造ったり、それよりも前に釧路にジメチルエーテルのプラントを造ったりして、ある程度の技術開発ができ上がっていると。それが一向に進まない。ジメチルエーテルと、これは国プロを進めながら、少しだけやってできたらもう終わりだというようなことをやっていては、エネルギー政策は成り立たないというふうに思います。
さて、最後に私の結論ですが、電力、LNG、オイルの安定供給の諸問題としまして、高度産業社会維持には信頼性の高い安定電源が必要であると。燃料価格の変動、それから国際的な政治リスクに対応する必要があると。それから、太陽光、風力などの自然エネルギーの利用による発電の出力変動の不確実性対応、これ、バックアップの問題ですね。それから、電力システムの複雑化対応、つまり、脱炭素とか分散化、それからエネルギーの多様化、それから組織そのものが配電会社と発電会社が別になったりしておると。あるいは、さらにはスマート化というかデジタル化と。そういうようなときに、大災害が起こるような時代に、災害多発時代に対応して、ちゃんといわゆるタフなシステムになり得るかどうかというのが大きな問題だというふうに思います。
最後のスライドですが、原発規制の見直しが必要であるだろうというふうに私は思っております。安定電源維持のみならず、高レベルの廃棄物処理、廃炉を含む原子力技術、技術者養成のために重要である。これは何も、いわゆる大学における原子核工学科あるいは原子力工学科を維持するということを意味するわけではありません。機械工学であるとか化学工学の関連分野の人間が原子力技術に関わればいいので、少なくともそれがちゃんと技術力として維持されないといけない。
それから、石炭利用技術の維持、発展、これも必須のものであるというふうに思います。
それから、電力システム、いわゆる電気のシステムからエネルギーシステムへの変換が必要である。つまり、本来、熱として来るものを熱と、そのまま使えばいいと、何も全てが電気に変える必要はないだろうというのが発想であります。
最後に、赤字で書いていますが、事実と技術に立脚したエネルギーに関する議論の展開が必要で、感覚的に、言わばポストトゥルース的な議論は極力避けるべきだろうというふうに思います。長期を展望して短期、中期の戦略を立てると。技術はすぐには育たない。せっかく国プロで育てた技術がそのまま放置されて消えてしまうというようなことがあっては、僕はそれこそ国富の損失であるというふうに思っております。
以上です。雑駁な話になりました。どうもありがとうございました。