高階恵美子の発言 (東日本大震災復興特別委員会)
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○高階恵美子君 去る二月二十日、二十一日の二日間、岩手県、宮城県及び福島県において、東日本大震災の被災地における復旧・復興状況等の実情を調査してまいりました。
参加者は、青木愛委員長、石井浩郎理事、滝波宏文理事、木戸口英司理事、浜田昌良理事、羽生田俊委員、石垣のりこ委員、梅村みずほ委員、紙智子委員、高良鉄美委員、嘉田由紀子委員、浜田聡委員及び私、高階の十三名であります。
以下、調査の概要について御報告いたします。
初日は、まず、岩手県に赴き、新花巻駅から大船渡市に向かうバスの車中にて、岩手県における復興の現状と課題について復興庁岩手復興局から、また、東日本大震災津波からの復興の取組状況について岩手県から、それぞれ説明を聴取した後、同市の有限会社三陸とれたて市場を訪れ、八木代表取締役から同社の取組について説明を聴取し、鮮魚加工室等の施設を視察しました。
岩手県の主力産業である水産・食品加工業は、売上げが震災前の水準以上まで回復した企業の割合は約三割にとどまっており、その主な要因として、不漁による原材料不足や人手不足、販路の喪失等が挙げられております。
八木代表取締役からは、三陸とれたて市場では、三陸で水揚げされる多様な魚種について、その加工度に係る市場のニーズを的確に分析して、計画的な原料原価設定を行い、見込み製造のロスを削減するとともに、最新の技術を用いた加工を行い、飲食店事業者等が利用しやすい高品質かつ長期保存が可能な商品として提供を行っているとの説明を受けました。また、同社の新たな市場開拓に係る取組は、国の事業である同業種、異業種間の連携に基づくチーム化による水産加工業等再生モデル事業に採択されており、EU・HACCP認証も視野に海外展開に向けた体制の確保にも注力されているとのことであります。
派遣委員との間では、不漁による原材料不足への対応、水産加工技術による高付加価値化の方策、三陸とれたて市場におけるビジネスモデルの横展開等について意見が交わされました。
次に、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園を訪れました。同公園では、東日本大震災による犠牲者への追悼と鎮魂や、震災の教訓の伝承、国内外に向けた復興への意志の発信のための国営追悼・祈念施設の整備が進められており、現在は一部利用が開始されております。
到着後、まず、公園内の海を望む場に移動し、同所にて、本委員会を代表し、青木委員長から献花が行われるとともに、派遣委員一同により、震災による犠牲者に対して黙祷がささげられました。
次いで、陸前高田市における被災市街地復興土地区画整理事業について同市から説明を聴取し、同事業の現状を視察しました。陸前高田市は、震災により市内のほぼ全域が被災し、まちの復興に当たり、中心部の大規模な土地のかさ上げなどが進められてきました。同市によれば、本年十二月を目標にハード整備を終え、地権者に土地を引き渡す予定であるとのことであります。なお、戸羽市長から、土地区画整理事業等の事業完了までの支援の継続などを求める要望書が手交されました。
次いで、公園内に整備された復興のシンボルである奇跡の一本松を視察した後、同じく公園内にある東日本大震災津波伝承館、いわてTSUNAMIメモリアルに移動しました。昨年九月に開場した同館は、展示等を通じ、震災津波の事実と教訓の国内外に向けた発信に取り組まれています。展示物等の案内を受けながら、館内を視察いたしました。
次に、宮城県仙台市に移動し、郡市長から市の復興に向けた取組等について説明を聴取しました。
二日目は、宿所から山元町に向かうバスの車中にて、宮城県における復興の現状と課題について復興庁宮城復興局から説明を聴取した後、同町の農業生産法人株式会社GRAを訪れ、岩佐代表取締役CEOから同社の取組について説明を聴取し、イチゴの栽培施設等を視察しました。
イチゴは山元町の特産品でありますが、東日本大震災の津波により町内のビニールハウスがほぼ全て流されるなど甚大な被害が生じ、大きな打撃を受けました。同町出身である岩佐代表取締役CEOは、故郷の産業復興のために、震災後、地元農業者等とともにGRAを設立されたとのことであります。岩佐代表取締役CEOからは、GRAでは、IT関係の企業で得た知識や技能を活用した最先端のイチゴ栽培などを展開するとともに、その営農ノウハウを基に新規就農支援に尽力しているほか、イチゴのブランディングや、山梨県の酒造会社とのコラボレーションによるイチゴを使用したスパークリングワイン造りなど、地域間の連携による六次産業化に取り組んでいるとの説明を受けました。
派遣委員との間では、事業を進める中で苦労した経験、既存農業者、流通業者との関係等について意見が交わされました。
次いで、山元町農水産物直売所、やまもと夢いちごの郷を訪れ、山元町から、同町の震災による被災状況や復興まちづくりの取組について説明を聴取した後、直売所内を視察しました。やまもと夢いちごの郷は、震災により被災した農産物直売所や交流拠点施設等が有していた機能を備えた複合施設として平成三十一年二月にオープンしました。これまでの来場者数が六十万人を超えるなど、にぎわいを見せております。山元町からは、直売所の運営を行う株式会社やまもと地域振興公社の株式の一部を一般公募により選ばれた個人などが保有している点が特徴的であるとの説明を受けました。
次に、福島県に赴き、相馬市役所を訪れ、立谷市長から復興の現状と取組等について説明を聴取しました。立谷市長からは、被災者支援として、心的外傷後ストレス障害、いわゆるPTSDへの対策や震災孤児等の支援、孤独死対策等に尽力してきたこと、震災の経験を生かして令和元年の台風第十九号災害に対応したことなどの説明を受けるとともに、震災後の十年間でハード面の整備がおおむね完了する一方で、PTSD対策を含め、ソフト面の対策については国による十分な支援を求める旨の要望が示されました。
その後、派遣委員との間では、学校教員に対するPTSD対策に係るカウンセリングの実施に至った経緯、放射線の影響等に関する不安への対応等について意見交換がなされました。
次に、そうまIHIグリーンエネルギーセンターを訪れました。同センターは、福島イノベーション・コースト構想に基づき、再生可能エネルギーの地域内での有効活用を実践し、将来の水素社会に向けた実証研究を行う場として、平成三十年四月、相馬市と株式会社IHIとの共同により開設されております。
到着後、相馬市及び株式会社IHIから、同センターにおける取組について説明を聴取した後、各施設を視察しました。同センターでは、太陽光発電などの再生可能エネルギーの地産地消によるスマートコミュニティーの構築を目指し、太陽光余剰電力の蓄電及び水素、熱への転換による有効利用が実践されているとのことであります。相馬市からは、今後は、水素関連の研究に係るオープンイノベーションの場の提供による研究者等の交流人口拡大や、地域の小中学校と企業との連携による体験学習の場の提供について、市としても取り組んでいきたいとの説明を受けました。
その後、福島駅に向かうバスの車中にて、福島復興加速への取組について復興庁福島復興局から説明を聴取しました。
以上が調査の概要であります。
震災から九年が経過し、住まいや復興道路などのインフラの整備、まちづくりについては相当程度復興が進展してきているほか、産業、なりわいの再生に向けた取組についても確実に実を結んでいるように思われます。しかしながら、その一方で、地域の主力産業である水産・食品加工業の業績回復の遅れなどの課題が依然として存在しております。また、土地区画整理事業については、事業の長期化等により生じた空き地の利活用なども重要な課題となっております。さらに、被災者の心のケアを含むソフト対策については、よりきめ細かな対応に一層の重きを置く必要があると強く認識した次第であります。
最後に、私どもの調査に協力いただきました皆様に対し厚く御礼を申し上げますとともに、被災地の一刻も早い復興が果たされますようお祈り申し上げまして、派遣報告を終わります。