大塚耕平の発言 (本会議)
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○大塚耕平君 国民民主党の大塚耕平です。
共同会派、立憲・国民.新緑風会・社民を代表して質問させていただきます。
初めに、新型コロナウイルス感染症で逝去された皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御家族の皆様にお悔やみを申し上げます。今も闘病中の皆様にはお見舞いを申し上げます。
感染者の治療に当たっている医療関係者の皆様、経済的苦境に直面しているあらゆる職業の皆様、行政当局を始めとする関係者の皆様全ての御尽力に心から敬意を表します。
現状を鑑みれば、東京オリンピック・パラリンピックの延期はやむを得ないことと考えます。来年夏に開催できるか否かは、ひとえに感染症が終息するか否かに懸かっています。本日は、そうした現状を鑑み、感染症を終息させるための諸問題、諸課題に集中し、質問させていただきます。
英国ジョンソン首相が三月十二日に発表した声明が、今後の新型コロナウイルス感染症対策の戦略をめぐって物議を醸しました。内外の医療関係者が、声明の内容から、英国は集団免疫戦略を採用したと受け止めたからです。
そこで、集団免疫についての総理の認識等を伺いますが、具体的な質問に入る前に少し整理させていただきます。
感染症への免疫を獲得する方法は、第一に、感染症からの回復、第二に、ワクチン予防接種、基本的にこの二通りです。
新型コロナウイルスは未知の病原体のため、その特性は未解明であり、現時点でワクチンや治療法はありません。そのため、現時点における新型コロナウイルスに対する免疫獲得の唯一の方法は、論理的に考えれば、実際に感染することです。
感染しても発症しない人、発症後に回復した人は免疫を獲得すると一般的には言われています。新型コロナウイルスの特性は未知であるため、この一般論が当てはまるか否かは分かりませんが、取りあえず一般論を前提として伺います。
免疫を獲得した人の割合が多くなると、未感染者や免疫のない人がウイルスに感染する確率が低下します。そのような状況を社会全体が集団免疫を有していると表現するそうです。
ワクチンや治療法がない中で、社会全体が集団免疫を獲得するには、大勢の人が感染して免疫を獲得しなければならず、その過程で一定割合の人が重症化して死亡する危険性があります。ジョンソン首相が声明の中に大勢の人が亡くなるという予測を盛り込んだことが、英国が集団免疫戦略を採用したと連想させたのです。
では、ジョンソン首相はなぜ集団免疫戦略を採用したと受け取られたのか。次のような論理展開が考えられます。
ワクチンや治療法がない未知の感染症への対策は、三段階に分かれます。第一段階は、封じ込め。発症者を隔離し、感染症の拡大を封じ込めます。第二段階は、感染速度抑制。第一段階に失敗した場合、各国で行われているような集会禁止、外出自粛等の行動制限によって感染拡大を抑制し、その間にワクチン開発や治療法確立を進めます。感染ピークを遅らせ、医療崩壊を回避することにもつながります。第三段階は、感染根絶。ワクチンが開発され治療法も確立すれば、感染症を減らし、究極的には天然痘のように根絶できます。
第一段階に失敗した国々では、第二段階に移行し、集会禁止、外出自粛等の行動制限を行います。それでも感染の爆発的増加、オーバーシュートに至る場合、中国、イタリア、スペイン、英国、米国等のようにロックダウン、都市封鎖を断行します。
仮に、感染抑制に成功して行動制限を解除しても、ワクチンや治療法が確立していなければ、結局また感染が発生し、第一段階と第二段階を繰り返さざるを得ません。ワクチン開発には数か月から一年以上要すると言われており、第二段階の対策を長く続けることはできないと判断したジョンソン首相は、三月十二日の時点で政治的に集団免疫戦略を採用したものと受け取られました。
そこで、総理に伺います。
総理及び日本政府の理解している集団免疫の概念について御説明ください。その上で、英国で物議を醸したような集団免疫戦略の是非、可能性について、総理の認識をお聞かせください。
また、さきに述べました三段階の感染症対策に照らし、日本は封じ込めに失敗して感染速度抑制の段階にあるのか、あるいは封じ込めと感染速度抑制の両方を行っているのか、現状について正確な情報を御説明ください。
しかし、その後、ジョンソン首相は感染速度抑制政策の徹底を表明しました。戦略転換です。感染者や家族の自宅隔離、自宅勤務、学校休校、集会禁止、飲食店の営業禁止等に踏み切り、三月二十三日からはロックダウンを断行し、社会的隔離政策を遂行中です。
その背景には、三月十六日に英国政府の科学アドバイザーが公表した報告書が影響しているようです。報告書は、集団免疫戦略によって感染拡大を自然の成り行きに委ねる場合、病院、医師、看護師、集中治療室、人工呼吸器等の医療リソースの実情に照らし、約四十万人が犠牲になると推定しました。ジョンソン首相の想定を大きく上回る推定値だったようです。
その結果、ジョンソン首相は徹底した感染速度抑制、社会的隔離政策に移行しました。ロンドンではオリンピックに使用したイベント会場、バーミンガムでは空港に野戦病院とも言われる臨時医療施設を設営し、医療崩壊防止に努めています。日本でも、人工呼吸器や集中治療室、不足病床を代替する施設の用意が急務です。
そこで、総理に伺います。
現在の人工呼吸器、集中治療室の使用可能数、収容可能な重症患者の人数、及びそれぞれ現在実際に使用している数及び実際の重症患者数をお答えください。また、人工呼吸器、集中治療室について、増産、増設等の準備状況を説明してください。さらに、重症患者を既存の病院で収容し切れない場合に備え、代替可能な大規模施設やオリンピック選手村等の活用計画について御説明ください。
英国では、もう一つ注目すべき動きがありました。三百五十万人分の抗体検査キットを発注したことです。
一度感染した人は免疫を獲得します。免疫はウイルスに対する抗体によって生じています。その抗体を有しているか否か、つまり、既に感染済みであるか否かを調べるのが抗体検査です。
PCR検査は、採取した粘液を使ってウイルスの有無を判定します。現在ウイルスを持っているか否かの検査であり、今日は陰性でも明日感染するかもしれません。
無症状でも、過去に感染した人は抗体検査で陽性となり、感染履歴が分かります。そして、抗体検査で陽性の人は、当面は大丈夫である蓋然性が高いと言えます。
論理的には、PCR検査が陰性、抗体検査が陽性の人は、既に感染済みで今は回復し、ウイルスも死滅しているので、安心して外出や労働ができると推定できます。
そこで、総理に伺います。
抗体検査について、政府としての認識を御説明ください。また、日本でも抗体検査を行うつもりはありますか。そうであれば、どのような準備を行っているのか、お答えください。また、政府が把握している他国の抗体検査への取組状況を御説明ください。さらに、日本での抗体検査キットの開発状況、すなわち、日本の大学、研究機関、企業等の取組状況及び政府の支援状況について、可能な限り御説明ください。
抗体検査によって抗体保有者が把握できれば、抗体保有者から血清を採取し、重症患者に投与することも可能になります。
新型コロナウイルス感染症に対する有効なワクチン、治療薬、治療法が存在しない状況下、三月二十四日、米国食品医薬品局、FDAは、臨床研究の位置付けで血清療法開始を決断しました。
三月九日、日本でも、横浜市立大学の研究チームが新型コロナウイルス感染症の患者の血清から抗体検出に成功したと報じられています。
そこで、総理に伺います。
血清療法についての認識及び今後、血清療法を行うつもりがあるのでしょうか。あるのであれば、現在の準備状況を御説明ください。また、政府が把握している他国の血清療法への取組状況を御説明ください。さらに、日本での血清療法の研究状況、すなわち、日本の大学、研究機関、企業等の取組状況及び政府の支援状況について、可能な限り御説明ください。
究極的には、治療薬とワクチン開発が待たれます。治療薬としてはアビガンの治験を始めると聞きましたが、改めて総理に伺います。治療薬及びワクチンの開発について、他国の状況及び日本での取組状況、政府の支援状況について御説明ください。
新型コロナウイルス感染症は全国民の懸念事項ですが、特に妊婦への配慮について伺います。
さきの参議院予算委員会で矢田わか子議員が取り上げた妊婦への情報発信、具体的な支援策、感染時の妊婦への対応について、現時点での政府の検討状況をお答えください。
次に、経済対策についてです。
感染速度抑制を図る間、外出自粛、営業自粛等の行動制限が続き、経済活動は甚大な影響を受け続けます。
イベント自粛等で仕事や事業を失い、収入の道を断たれた国民の生活を保障することは政府の当然の役割です。収入を保証し、外出自粛、営業自粛等を続けても生活できる環境を政府が提供しなければ、結局、生活のために外出や営業を行わざるを得ず、結果的に感染拡大リスクを高めます。つまり、経済対策は感染症対策でもあるということを十分理解した上で、この局面は、財源を気にすることなく、徹底した収入保証、損失補償を行うことが急務かつ不可欠です。
ポイントと質問を幾つか申し述べます。
第一に、政府が想定している収入保証の金額及び対象についてお答えください。英国では、飲食店従業員、自営業者等に従来の収入の八割、上限二千五百ポンド、日本円で約三十二万円までの支出を決定しています。日本も同程度の保証が必要と考えます。
第二に、既に中止したイベント等による損失の補償です。感染症の影響で中止したことを証明する契約書等があれば、全額補償すべきと思います。総理の考えを伺います。
ただいま申し述べた収入保証と損失補償を融資で賄うことはできません。今回の経済的苦境は融資では解決しないことを認識してください。
そこで、総理に伺います。
収入保証、損失補償についての今後の対応、税金、公共料金や社会保険料の納付猶予等、既に打ち出したこと及び今後打ち出すことを御説明ください。
第三に、融資です。今回の経済的苦境は融資では解決しないものの、経済全体がストップしている状況下、企業や事業者の命脈を保つためには、もちろん融資も必要です。
そこで、総理に伺います。
日本政策金融公庫等による公的融資の状況、危機対応業務の発動状況、民間金融機関への協力要請、さらには返済猶予、金利減免等、現在行っていること、今後行うことを御説明ください。
また、この局面で受けた融資については、金融機関側が別段管理し、将来にわたって不良債権には分類しないという対応が必要です。金融行政においてそうした方向性を打ち出すつもりがあるか否か、お答えください。
以上の第一から第三の対応は、経済活動停滞の直接的影響を受けている勤労者や事業者への緊急避難的対策です。それに続く第四は、景気対策です。一昨日公表された日銀短観でも景気の著しい悪化は明白であり、家計減税を中心とした大胆な景気対策が必要です。景気対策について総理のお考えを伺います。
経済対策は感染症対策でもあることを踏まえ、総理には、的確な感染症対策とともに、大胆かつ的を射た、しかも迅速な経済対策を求めますが、現状はいかにも遅く、内容も十分ではないことを申し添え、質問とさせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕