森屋隆の発言 (本会議)
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○森屋隆君 立憲・国民.新緑風会・社民の森屋隆です。
ただいま議題となりました地域公共交通活性化再生法改正法案について、会派を代表して質問をいたします。
まずは、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった多くの方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、現在闘病中の方々にお見舞いを申し上げます。感染症の終息に向けて、与野党一丸となって取り組んでいくことを申し上げる所存です。
さて、まずは検察庁法改正案に、問題について触れざるを得ません。
政府が準司法官である検察幹部人事に介入できる仕組みを国家公務員法改正案の中に潜り込ませる、いわゆる束ね法案で提出しました。政府のその手法もさることながら、検察幹部の定年延長基準すら示せない武田大臣、森大臣の答弁では到底納得ができません。三権分立を脅かすこの法案に対し、抗議、反対の声はツイッターにおいて各界の人が発信をし、一千万を超えました。
国民の声に背を向けることができず、政府はついに検察庁法案の今国会での成立を断念されました。しかし、これがただの先送りでは意味がありません。時間が経過しても国民が忘れることはありません。私たち野党は、今後も特例延長の撤回まで、徹底的に闘い続けてまいります。
そこで、安倍内閣の一員である赤羽国交大臣にあえてお伺いをいたします。
与野党を問わずコロナ対策に集中すべきところ、無用で不急の法案で世論や国会を大混乱させた責任を、内閣の一員としてどうお感じになっているのでしょうか。誠実な御答弁をお聞かせください。
法案の審議に当たり、冒頭に、公共交通機関の現場で働いてきた者として、まず二つの質問をいたします。
一つ目は、二〇一三年に制定された交通政策基本法には、国、地方自治体の連携、協働による施策の推進が明記されているにもかかわらず、少子高齢化や過疎化という社会的構造変化の中で、不採算であっても全国の国民の足として継続してきた公共交通分野に対する政府の取組は、場当たり的であると言わざるを得ないということです。
二〇一四年の地域公共交通活性化再生法改正において、政府は、地域の多様な主体の連携、協働によって地域公共交通を面的にネットワークとして維持していく方向に大きくかじを切ったはずです。それでも、二〇一八年までに路線バスは全路線の二%に当たる一万三千二百四十九キロが廃止され、地方鉄道は全国で八百七十九キロ、四十路線が廃止され、日本全国土の約三割が交通空白地帯です。人々の交通権を確保するための地域公共交通を、我が国の交通政策の中心に据えた施策の展開を求めたいと思いますが、国交大臣のお考えを伺います。
二つ目は、公共交通部門で働く労働者の賃金の問題です。
今回の緊急事態宣言下においても、公共交通労働者もその責務を果たすために厳しい状況の中で働き続けています。このような状況にかかわらず、自動車運転労働者は、長時間労働かつ低賃金であるという実態が長年にわたり続いています。
例えば、バス運転者の年間所得は、二〇〇一年には全産業平均五百五十六万円より約十四万円少ない五百四十二万円でしたが、需給調整規制の撤廃後の二〇〇二年以降は一気に落ち込み、二〇〇四年から十五年以上も約百万円近くも落ち込んだまま推移しているのが実情であります。
このような苦しみをもたらした需給規制の撤廃という過度な競争政策を是正し、少なくとも全産業平均並みの賃金に引き上げていくことが担い手不足を補うための最低条件と考えます。働き方改革が実施されたとはいえ、自動車運転労働者の労働規制の導入は四年も先のことです。
このような現状がなぜ生まれたのかを踏まえ、自動車運転労働者の長時間労働の是正と賃金上昇に政府として今何が必要と考えているのか、国土交通大臣に御答弁をお願いします。
次に、改正案の具体的な内容に入ります。
国交大臣にお尋ねいたします。
今回の改正では、地方公共団体による地域公共交通計画、いわゆるマスタープランの作成が努力義務化されることになっています。二〇一四年の地域公共交通活性化再生法改正時の政府のマスタープランの策定目標は、交通政策基本計画においてたったの百件という低さでした。現在、策定数は五百件を超えたものの、市町村全体の三分の一にも到達していません。その上、策定主体は単独市町村が圧倒的です。また、都道府県が策定団体となっている例は僅かであり、地域の公共交通のネットワークを広域的に連携させたとは言い難い状況です。
市町村においては規模の小さな団体ほど交通分野の人材が著しく少ないか皆無のため、特に、都道府県の関与を求めることが重要であると思います。今後は、面的な広がりをつくり出せるよう、国が強力なリーダーシップを取って都道府県に働きかけるべきではないでしょうか。
また、マスタープランの作成に当たっては、地方公共団体が地域のまちづくりと公共交通の確立を一体的に促進できるようになることも含めて、新たな担当部局の設置及び公共交通専任担当者の配置、育成のための支援を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
さらに、地域の公共交通に関係する公共交通従事者の代表を地域公共交通の協議の場に加えることは不可欠と考えますが、政府の見解を伺います。
今般、独占禁止法特例法案が国会に提出されており、カルテル規制の適用除外の創設の下、利用者の視点から地域公共交通利便増進事業が創設され、サービスの改善のための法改正がようやく一歩進んだように思えます。
複数のバス会社がカルテルを結び、場合によっては事業者同士でいいとこ取りをするクリームスキミングを容認する場合もあるとのことですが、利用者の利便性を図ることと両立させるための制度的な担保はどのような仕組みとなっているのでしょうか。
次に、政府が地域における輸送資源の総動員をうたっていることについてお尋ねします。
地域における輸送資源とはどのようなものであるべきとお考えでしょうか。地域住民の移動手段として生活を支えてきた地域公共交通こそ、輸送資源の根幹に位置付けられるべきと思います。スクールバスや病院の送迎バスに頼らないで済むような交通政策が本来の姿であることから、引き続き、地域公共交通の根幹となるバス、タクシー、地域鉄道を支援していくことが基本にあるという理解でよろしいでしょうか。
自家用有償旅客運送についてお尋ねします。
今回の改正では、自家用有償旅客運送において、地域住民のみならず、観光客やその来訪者をことごとく運送の範囲に含むこととしております。さらに、交通事業者が協力して委託する仕組みも導入されますが、対価がタクシーの二分の一と低く、初期投資も安いことなどから、バスやタクシーの衰退に拍車を掛けるおそれはないのでしょうか。利用者の安全、安心を確保するため、利便性や効率性に偏重した安易な自家用車ライドシェアの導入を認めないことが明らかにされなければなりません。自家用有償旅客運送が無限に拡大されるものではないということを、この場で確認させていただきたいと思います。
次に、新モビリティーサービスの創設についてお伺いいたします。
MaaSは、モビリティー分野を超えて、圏域内の日常的なサービス、生活産業領域に拡大、深化していく可能性を有しています。特に、観光分野での貢献が期待できます。ユニバーサル社会の推進の観点からもMaaSに期待がなされています。もちろんMaaSを活用し、安心して安全に移動できることが前提となります。そのためにも、MaaSの初期投資や使用手数料に係る脆弱な地域交通機関への支援はもとより、移動の高付加価値化の在り方を検証するような事後チェックなどの的確な運用が求められていると思いますが、見解を伺います。
また、地域公共交通を維持充実させることは、観光振興等の地域経済活性化につながるのみならず、さらには、まちづくり、健康、福祉、教育、環境等の様々な分野でも行政経費を削減できるクロスセクター効果がもたらすことが知られています。これを踏まえ、地方公共団体が相互にかつ広域的に連携し、そこに多様な主体が関わって利用者利便を増進し、かつ、新技術を活用したMaaSなどの新しい地域公共交通の取組が促進されることが重要であると考えています。
特に、その取組を促進させるためには、地域公共交通利便増進事業又は新モビリティーサービス事業がそれぞれ発行する共通乗車船券に係る運賃、料金の割引原資に対する財政支援措置の制度化を検討する必要があるのではないでしょうか。
また、持続可能な公共交通の維持のためには、従来の支援策では限界が見られつつあります。地域公共交通維持確保改善事業に加え、地方公共団体が地域公共交通に対して更なる取組が推進できるよう、普通交付税の基準財政需要額に地域公共交通の運行や維持を目的とした財政需要を位置付けるなど、根本的かつ恒久的な財政支援が必要であると思いますが、いかがでしょうか。
ところで、人口減少が進み、中長期的な需要が減少する中、二〇〇二年に実施されたバス、タクシーにおける需給調整規制の撤廃は、全体的にはこの業界の需要喚起につながらず、経営環境や労働条件を悪化させました。それどころか、関越道高速ツアーバス事故や軽井沢スキーバス事故を始めとする多くの事故を発生させ、利用者の生命すら危険にさらす事態に至ったのです。
原因はまさにここにあるにもかかわらず、政府は、需給調整規制の再導入については、時計の針は戻せないなどとこれを聖域化し、競争政策の根幹的な見直しを直視しようとしてきませんでした。安全対策の強化を始めとしてその代わりとなる制度は次々と導入されましたが、地域公共交通の衰退に歯止めを掛けることはできなかったのです。これは既に政府も御認識のことと存じます。そして今回、ついに本法案とともに利用者利益の確保をうたい、乗合バスを対象とした独占禁止法の特例を設けるまでの事態に至っているのです。
結局、需給調整規制の行き着いた先がカルテルの解禁という、競争政策としては極めて矛盾に満ちた対応であり、まさにマッチポンプであると断ぜざるを得ません。もはやその意味を失っている需給調整規制の撤廃が長年影響し続けてきた弊害の大きさに対して、政府は改めてしっかりと向き合い、需給調整規制の再導入に向けた議論をすべきではないでしょうか。
世界的なコロナ感染拡大の危機をきっかけに、政府は、このような非常事態においても国民が雇用や所得に不安を抱えぬよう、地域公共交通などの社会基盤を強化し、恒常的に地域と国民生活を守りながらも成り立っていくような経済政策を、競争とは別の観点から早急に再検討すべきであります。
鉄道、バス、タクシーを始めとした交通事業やトラックなどの物流事業は、国民生活の生命線を握る社会基盤産業であります。これらの事業者が感染症により倒産し、サービスが途絶しないよう、必要があればさきの補正予算に更に追加して、政府としても万全の対策を講じていただくことについて国交大臣に御決意をお聞きし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕