田島麻衣子の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○田島麻衣子君 共同会派、立憲・国民.新緑風会・社民の田島麻衣子です。
ただいま議題となりました政府提出の地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問をいたします。
質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになりました方々にお悔やみを申し上げるとともに、現在も治療に当たられている方々やその御家族に心よりお見舞いを申し上げます。
そして、医療従事者、介護・障害福祉事業者を始め地域の子供たちを守り、今、このときも社会の機能を支えてくださっている全ての方々に心より感謝を申し上げます。
まず、安倍総理にお聞きします。
総理にとって法の支配や、その下の正義とは何を意味するのでしょうか。国会が制定し積み上げてきた法規範と法解釈を守り、尊重する気持ちをお持ちでしょうか。
去る五月二十日、黒川前東京高検検事長の賭けマージャン問題が報道され、黒川氏は訓告という制裁的内容を有さない処分で、自己都合退職となりました。
第一次安倍政権は、二〇〇六年十二月十九日、賭けマージャンが賭博罪に当たると閣議決定しています。ここに金額の多い少ないという記述はありません。それどころか、防衛省は二〇一七年三月二十七日、陸上自衛隊青野原駐屯地で黒川氏と同じレートで賭けマージャンをしたとされる自衛官九名を停職の懲戒処分にしました。
安倍総理に伺います。
なぜ、政府の公式見解として賭博罪に当たる行為を行った九名の自衛官は重い懲戒処分を受け、同じ行為を認めたとされる検察庁のナンバーツーは何らの制裁も受けずに訓告処分で済むのでしょうか。黒川検事長の懲戒処分権者は内閣、すなわち安倍総理です。賭博罪等の犯罪を取り締まる検察の最高幹部である黒川氏が、普通の自衛隊員よりも処罰が軽くてよいとする理由をお示しください。
岡田副官房長官は、五月二十六日、外交防衛委員会で、内閣及び内閣官房は、この間、法務省による二十一日付けの調査結果及び検討結果の報告書を受け取っていない、しかし、それらの内容を総理は適宜報告を受けていたと答弁しました。
安倍総理は、法務省のこれらの報告書の内容の説明を、誰から、何日の何時頃に受けたのか、それは、黒川氏の訓告処分を内閣として異論がないとした時点の前なのか、後なのかをお示しください。
そして、安倍総理は懲戒処分権を有する内閣の首長として、いつの時点で黒川氏には懲戒処分は不要であると判断したのか、具体的にお示しください。
そもそも、安倍総理は黒川氏の懲戒処分権を有する内閣の首長として、黒川氏を懲戒処分にしないという判断及び結果について法的な責任を有するとお考えでしょうか。お答えください。
法務省や検事総長の判断のいかんにかかわらず、安倍総理は黒川氏を懲戒処分とする案件を自らが主宰する閣議に提出することができました。安倍総理は、なぜ黒川氏は懲戒処分が不要と考えたのでしょうか。安倍総理御自身のお考えをお示しください。
そして、東京高検検事長を辞職した黒川氏の任命責任について、安倍総理は、法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めた責任は私にあるとおっしゃいました。今後、どのようにその重い任命責任を果たしていかれるのか、その責任の取り方を具体的に御教示ください。
さらに、安倍総理に伺います。
後手後手の対応を始め失政を繰り返している、多くの国民が信頼し得ない総理の下で新たな日本を作成することができない、現在の日本には、王様が裸だと分かっていても、それを言うべきではないという空気が支配している、そろそろ真実を語ることが求められる。これは、二〇一一年四月十四日、夕刊フジに総理御自身が寄稿したコラムです。今、まさにこの同じ言葉が御自身に問われているのではないでしょうか。国民の苦しい不安の声が届いていないと気付くべきではないでしょうか。感想を求めます。
次に、法案の質問に入らせていただきます。
我が国は、かつて経験をしたことのないスピードで少子高齢化が進む中、子育てと親の介護を両立しなければならないダブルケア問題など、これまでの仕組みで対応し切れない課題が発生しています。こうした課題に対して、属性や世代を問わない包括的な相談窓口対応などを市町村の任意事業として行う試みを評価します。
しかしながら、地方自治体では、この包括的な支援体制の構築事業に交付金が付くことによってこれまで割かれてきた高齢分野、子供分野、障害分野、生活困窮分野など、予算が現場で削られるのではないかと危惧する声があります。
加藤厚労大臣にお聞きします。
この任意事業が開始されても、これまで各分野に充当されてきた予算は削らないということを是非この場で確認させてください。
そして、高齢化が進む中で圧倒的に足りないのが、介護分野で働こうと意欲を持ち続けることができる方々の数です。介護関係職種の有効求人倍率は平成三十年で三・九五倍と、全職種の一・四六倍をはるかに上回っています。
そして、私の地元愛知県では、先日、高齢者向けのデイサービス事業で新型コロナ感染症のクラスターが発生しました。NHKの取材結果によると、二〇二〇年四月の時点で、高齢者入所施設で感染した職員は日本全国で約百七十人に上るといいます。今もこの感染のリスクに不安を抱きながら介護の現場を支えていらっしゃる方は多いはずです。介護士を取り巻く仕事環境はこれまで最も過酷であっただけではなく、昨今のコロナ禍でも更に大きなダメージを受けています。
今、こうした厳しい状況に置かれている介護の現場で人材を確保するために必要なのは、果たして介護人材確保や業務効率化の取組を地方自治体の介護保険事業計画に新たに書き込むことでしょうか。有料老人ホームの設置に関する届出事項の簡素化を図るための見直しを行うことでしょうか。これらはプラスにはなっても、介護人材が圧倒的に足りないという問題の根本的な解決にはならないのではないでしょうか。
また、加藤厚労大臣にお聞きします。
これまで例外的に認められてきた、国家試験を受けずに社会福祉資格を取得できる経過措置を更に五年延長させることは、今も資格試験に励まれている受験生のモチベーションを下げるだけではなく、問題を先送りすることになりませんか。お答えください。
介護分野を支える人材不足の解消のために今必要なのは、介護の仕事に興味を持てる若者を増やし、介護の分野で働く意欲を失わない職場環境を用意することではないでしょうか。そうした環境を用意するためには、今も必死に現場を支える方々の物心両方のケアを充実させることが大事なのではないでしょうか。人材不足の解決策の鍵は、人を大事にするという日本型経営モデルの基本に立ち返ることにあるのではないでしょうか。
セクハラやパワハラは介護現場では珍しくないといいます。ばかなど人格を否定する発言をされる、性的な冗談を繰り返されるなど、介護の現場では女性の割合も多く、介助の一環で身体接触が多いことも背景にあります。どんなに人格を傷つけられることを言われても黙って耐えるしかない。私は、介護団体の方々から直接話を聞いて本当にいたたまれなくなりました。安倍総理は、多くの介護士が直面しているこうしたセクハラ、パワハラの現状を御存じでしょうか。お答えください。
こうした問題に国が正面から取り組み、今も介護に従事する方々の尊厳を守ることなしに、介護人材を確保することは難しいのではないでしょうか。国として、介護現場のセクハラ、パワハラ問題にどのように真剣に取り組んでいかれるか、安倍総理に御所見を伺いたいと思います。
そして、心のケアに加えて必要なのは、待遇改善です。この点について、安倍総理は度々この国会でも、これまでの処遇改善に加え、昨年十月にも月額最大八万円の処遇改善を行ったところと答弁されてきました。
私は、これまでも地元の介護施設で働く方々に多くの話を聞いてまいりましたが、彼らの生活は苦しいままです。将来の不安なく生活できるだけの賃金を保障してほしい、こういう介護士の方々の切実な声は今も根強くあります。消費税の増税を使い始まった処遇改善が本当に功を奏しているならば、こうした声はなくなるはずです。
政府が十分にやっていると答弁を繰り返す介護士の処遇改善と、介護士が待遇は十分でないと嘆き続ける差の原因はどこにあるのか、安倍総理の考えをお聞かせください。
安倍総理の通算の在職日数は、憲政史上最長となりました。かつてどの首相も経験したことのないほどの長い間、総理大臣席に座っていらっしゃって、その視界は今、どれほどクリアなものなのかと思います。国民の苦しみや生活の不安に関する切実な声は、どれほど明瞭にその耳に届いているのでしょうか。是非、国民に寄り添う気持ちを再度、我々にお聞かせ願えればと思います。
次に、医療・介護のデータ基盤の整備について質問させていただきます。
質の高い政策立案のためには、正確なデータが政策立案者の手元にあることが大事です。地域の医療・介護の状況を把握し、介護・医療分野の調査分析のために医療・介護データベースの連結精度を向上させようという趣旨に賛同いたします。
しかしながら、この法案の中に、七百六十八億円の国家予算を投入し、顔認証付きカードリーダーを調達、提供する業務が社会保険診療報酬支払基金の業務として追加されるという提案を、国民の財産を守る我々はどう考えるべきでしょうか。
これは、医療機関の窓口で医療保険の資格確認を速やかに行うために、令和五年三月末までに全ての医療機関や薬局等に顔認証付きカードリーダーを設置するという計画です。顔認証付きカードリーダーの調達に係る予算は約二百億円程度、残りは医療機関等でシステム改修に掛かる費用を国が一部負担するというものです。
カードリーダー導入の本当の目的が、窓口の医療保険の資格確認にあるのであるならば、被保険者番号ないしマイナンバーをオンラインで確認する仕組みをつくれば十分です。一台九万円もする顔認証付きのカードリーダーをわざわざ全医療機関等に提供する必要はありません。個人情報保護の観点から、顔認証のデータはその場で消去するそうですが、ならばなおさらのこと、高い予算を付けて顔認証機能を加える必要はないのではないでしょうか。加藤厚労大臣、お答えください。
新型コロナ感染症の感染拡大に対する経済対策として、一人当たり十万円の特別定額給付金がオンライン申請になりました。しかしながら、総理も御存じのとおり、これには多くの不備が指摘され、今は郵送申請方式が主流となっております。新型コロナ感染の感染拡大を受けて休業した方々への雇用調整助成金の申請もオンラインになりましたが、初日にシステムに不備が見付かり、今も再開の見込みは立っていません。
私たちがすべきことは、必要なのかどうかも不明な高額の機械を国民の税金で調達し、医療機関等に配るのではなく、まず、こうしたオンライン行政の基本をきちんと着実に押さえ、国民の皆様の生活のために実行することではないでしょうか。安倍総理、お答えください。
IT化には多額の予算が付き、そこには利権も発生します。IT事業を第二の利益誘導型の公共事業にしていただきたくはありません。私は行政のIT化に賛成ですが、やるからには国民がその効果を実感する形でIT化を進めるべきです。そして、その効果をしっかりと国民に対して説明するべきです。そして、不要の予算は新型コロナ感染症の拡大で困っている学生、DV、医療・介護従事者、生活困窮者の方々などのために使うべきと考えます。
国が最も大事にすべきは、国民の命であり生活です。政権の目前の利益や都合でもなく、利権でもありません。そのための法律であり、法解釈であり、医療・介護制度であり、行政のIT化であるということを強く申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕