小泉進次郎の発言 (環境委員会)
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○小泉国務大臣 おはようございます。環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の小泉進次郎です。
第二百三回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境政策及び原子力防災に関する私の考えを申し述べます。
我々は今、二つの歴史的危機に直面しています。一つは、近年、異常気象が頻発する中で、ことし六月に環境省が政府として初めて宣言した気候危機です。もう一つは、新型コロナウイルス感染症です。これら二つの危機に直面し、時代の転換点に立っている今こそ、我々が、コロナ以前の経済社会に戻るのではなく、二〇五〇年に向かって、持続可能で強靱な社会への変革を実現できるかどうかが問われています。
こうした中、先般の菅総理の所信表明演説において、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわちカーボンニュートラルを目指すことが宣言されました。これまで政府目標の引上げを訴えてきた一人として、うれしく思うと同時に、身が引き締まる思いです。そして、グリーン社会の実現が、デジタル社会の実現と並び、政権の中心課題に位置づけられるとともに、もはや、温暖化への対応は経済成長への制約ではなく、積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要であることがうたわれました。環境省として、グリーン社会の実現に積極的に貢献していきます。
水俣病を原点とする環境庁創設から来年で五十年の節目を迎える環境省は、社会変革担当省として、各省との連携を強化し、二〇五〇年に向けて、脱炭素社会への移行、循環経済への移行、分散型社会への移行という三つの移行を通じて、持続可能で強靱な経済社会へのリデザイン、再設計を一層強力に進めてまいります。
第一に、三つの移行のうち、脱炭素社会への移行について申し上げます。
十月三十日に開催された地球温暖化対策推進本部において、総理から私に対し、新たな地域の創造や国民のライフスタイルの転換など、カーボンニュートラルへの需要を創出する経済社会の変革や、国際的な発信に取り組むよう御指示をいただきました。
既に足元では、地方自治体や民間企業などのさまざまな主体により、脱炭素化の動きが始まっています。また、世界では約百二十の国々が二〇五〇年までのカーボンニュートラルを目指し、新たな成長のエンジンとすべく動き始めています。アメリカでは、パリ協定への復帰と二〇五〇年までのカーボンニュートラルを公約に掲げるバイデン氏が大統領選挙の勝利宣言をしました。バイデン氏が大統領に就任しますと、アメリカの気候変動政策の大きな転換が予見されます。アメリカの動向を注視し、気候変動問題のみならず、さまざまな環境分野で日米両国の関係を一層強化していきます。
二〇五〇年までのCO2排出量実質ゼロを目指す地方自治体であるゼロカーボンシティーは、私が環境大臣に就任した昨年九月時点では四自治体、人口規模で約二千万人でしたが、既に百七十自治体に増加し、人口規模で八千万人を超えました。菅総理が指示された国と地方で検討を行う新たな場も活用しながら、再生可能エネルギーの導入拡大とエネルギーの地産地消に向けて、地域との合意形成や設備導入などへの支援を行うとともに、こうした地域における脱炭素化の取組を後押しするため、地球温暖化対策推進法の改正に向けた検討を行います。
民間企業においては、事業に必要な電力を再エネ一〇〇%で賄うRE一〇〇への参画を始めとして、脱炭素経営が広がっており、こうした取組を後押ししていきます。加えて、ローカルSDGsの実現に向けた地域金融機関によるESG地域金融など、ESG金融の普及、展開も促進していきます。
また、コロナ後の新たなライフスタイルへの転換の機会を捉え、カーボンニュートラルへの需要を創出する経済社会の変革に取り組みます。我が国では、入浴時にヒートショックなどで亡くなる方が毎年最大で約二万人に及ぶとの推計があります。CO2排出を削減するのみならず、国民の健康と命を守るためにも、高い断熱性能を有するネット・ゼロ・エネルギー住宅、ZEHやネット・ゼロ・エネルギー・ビル、ZEBの普及を促進していきます。また、世界でガソリン車の販売禁止が拡大する中、EVに注目が集まっています。EVなどの電動車を動く蓄電池として捉え、関係省庁とも連携しながら電動車の普及加速にも取り組みます。加えて、リモートワークの普及などでデジタル化が進む中、再エネ一〇〇%によるゼロエミッションデータセンターの構築にも取り組んでいきます。
さらに、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた具体的な行程を検討します。このため、既に作業を開始している地球温暖化対策計画の見直しにおいても、この新たな目標を踏まえて、二〇三〇年に向けた取組について議論を進め、来年十一月の気候変動枠組み条約のCOP26までに国連に通報することを目指します。加えて、パリ協定に基づく長期戦略にも新たな目標を位置づけ、必要な見直しを行います。我が国の目標や取組を積極的に世界に発信し、環境先進国日本としての確固たる地位を築くとともに、世界全体でのカーボンニュートラル達成に貢献してまいります。
第二に、循環経済への移行について申し上げます。
循環経済は世界の潮流になっており、例えば、オランダは二〇五〇年に完全な循環経済に移行するという目標を掲げています。また、タイヤメーカーが、タイヤを売るのではなく、車の走行距離に応じてユーザーに課金するといったように、資源を循環させるような新たなビジネスモデルが台頭してきています。ことし七月に始まったレジ袋の有料化は、レジ袋に限らず、プラスチックという資源の循環を強化する最初の第一歩であり、ライフスタイルの変革でもあります。企業や自治体、消費者などの多様なプレーヤーとともにプラスチック資源循環戦略の具体化を進め、プラスチック資源循環促進のため、新法となる可能性も含め、必要な法制度的対応について関係省庁とともに検討を進めます。廃棄物などの循環的な利用や適正処理を進め、資源循環ビジネスの活性化を図り、資源生産性を高めていくことを通じて、新たな競争力の源泉として、循環経済への移行を進めます。
令和二年七月豪雨では、大量の災害廃棄物が発生しました。私も現地を視察し、被災者の方の声も受けて、生活の早期再建に向けて、災害廃棄物処理について、熊本地震並みの財政支援を行うこととしました。今後の同様な災害に際しても、災害廃棄物の早期撤去を目指し、復旧復興の段階に応じて、切れ目なく支援をしていきます。あわせて、災害廃棄物処理に不可欠であり、地域のエネルギーセンターとして災害対応拠点ともなる廃棄物処理施設の整備の支援にも引き続き取り組んでいきます。加えて、近年の災害対応の経験も踏まえ、環境省が防衛省と共同で作成した災害廃棄物の撤去等に係る連携対応マニュアルに基づいて対応することにより、大規模災害時の自衛隊の協力による災害廃棄物の処理の効果を最大化します。
第三に、分散型社会への移行について申し上げます。
千葉県睦沢町のむつざわスマートウェルネスタウンが、昨年の台風の影響で町内全域が停電したときにも防災拠点などに電力を供給できたのは、自立分散型のエネルギーシステムを構築していたからでした。近年、気象災害が頻発する中、このように災害に対して強靱な分散型社会の実現が重要となっています。環境省は、自立分散型のエネルギーシステムの普及、展開などを通じて、睦沢町のような好事例をふやしていきます。加えて、気候変動掛ける防災という視点に立って、自然の機能を生かして災害をいなし、レジリエンス向上を図ることも重要となっています。気候変動への適応を進める適応復興の発想に基づく取組を関係省庁と連携して進めます。
さらに、分散型社会への移行に向けては、国立公園でのワーケーションなど、国立公園におけるリモートワーク環境の整備も重要です。他方、先日視察で訪れた阿寒摩周国立公園では、廃屋が国立公園の魅力を大きく損なっているという課題も目の当たりにしました。今後、国立公園の廃屋対策などを推進し、景観の改善や質の向上に注力していきます。さらに、国内外からの誘客と長期滞在を促進し、地域活性化への貢献を目指す国立公園満喫プロジェクトについて、今後、全ての国立公園へ展開し、深化させるとともに、国立公園の最大の魅力である自然の保護と利活用の両立を促進するための自然公園法の改正に向けた検討を進めます。加えて、菅総理が所信表明演説で言及された、当面の観光需要を回復していくための政策プラン策定についても、関係省庁とともに積極的に参画していきます。
また、来年に予定されている生物多様性条約のCOP15は、新たな世界目標であるポスト二〇二〇生物多様性枠組の議論がなされる重要な会議です。我が国発のSATOYAMAイニシアティブの経験に基づき、新たな国際枠組みのもとで各国の生物多様性国家戦略の策定に貢献するなど、国際連携を積極的に推進します。
次に、東日本大震災からの復興について申し上げます。
来年は、東日本大震災から十年の節目の年です。東日本大震災からの復興は、環境省の最重要課題であり、私自身にとっても、環境大臣就任前から強い思いを持って取り組んできたライフワークです。福島の復興再生のため、除去土壌などの中間貯蔵施設への輸送と仮置場の早期解消、特定復興再生拠点区域における家屋などの解体、除染、福島県内外の指定廃棄物などの処理などを安全第一で着実に実施します。あわせて、福島県内の除去土壌などについて、県外最終処分の実現に向けた減容、再生利用などを進めます。
また、新たなステージへと進む福島県と本年八月に締結した福島の復興に向けた未来志向の環境施策推進に関する連携協力協定に基づき、再生可能エネルギー先駆けの地、ワーケーションの聖地を目指す福島の挑戦を強力に支援し、ふくしまグリーン復興構想の推進などにより、未来志向の取組を推進します。
最後に、内閣府特命担当大臣として、原子力防災等について申し上げます。
今般のような新型コロナウイルス感染症の流行下において原子力災害が発生した場合には、各地域の緊急時対応などに基づく防護措置と、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく行動計画などによる感染症対策を可能な限り両立させる必要があります。このような感染症の流行下での、原子力災害時における防護措置の基本的な考え方を六月に、避難などの際における感染症対策としてこれを具体化したガイドラインを十一月二日に公表しました。これらを通じて、万が一、感染症流行下で原子力災害が発生しても、各地域の既存の緊急時対応などに基づく住民避難などの防護措置を基本とした感染防止対策を講ずることを関係道府県と確認、共有したところです。東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓でもあるとおり、万が一の原子力発電所の事故に対応するための備えに終わりや完璧はないことから、より実効性を高めるべく、引き続き、関係地方自治体と一体となって、各地での訓練結果も踏まえつつ、各地域の原子力防災体制のさらなる改善に努めていきます。
加えて、原子力の安全確保に係る人的基盤の強化、放射線モニタリング体制の充実などを通じ、原子力規制委員会が独立性の高い三条委員会として、科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう支援していきます。
以上御説明申し上げたとおり、環境大臣及び原子力防災担当の内閣府特命担当大臣として全身全霊で職務に取り組んでまいります。石原委員長を始め理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
ありがとうございました。(拍手)