梶山弘志の発言 (経済産業委員会)

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○梶山国務大臣 第二百三回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取組につきまして、経済産業大臣、産業競争力担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)として申し述べます。
 初めに、本年七月の豪雨災害、台風十号によって被害を受けた方々に心よりお見舞いを申し上げます。七月豪雨を受けて新たに創設したなりわい再建支援補助金などにより、被害実態に合わせたきめ細かな復旧復興支援に今後も取り組んでまいります。
 新型コロナウイルス感染症でこれまでお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、健康面や生活面で影響を受けておられる方々に心からお見舞い申し上げます。
 そして、日々最前線で向き合っておられる保健所職員や医療従事者の方々、検査機器や医療用物資の円滑な供給に貢献していただいている事業者の方々など、多くの方々がこの感染症の終息に向けて尽力してくださっていることに、改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。
 我が国経済は、持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況にあります。特に厳しい状況に置かれている中小企業、小規模事業者が雇用を守り、事業を継続できるよう、持続化給付金、家賃支援給付金、実質無利子無担保融資などの措置が行き渡るようにしてまいります。また、感染症対策に万全を期しつつ、需要を喚起し経済を回復させることを目指し、大きなダメージを受けたイベント業、商店街を支援してまいります。
 今回の危機をきっかけに、生産拠点の集中度が高い製品や、国民が健康な生活を行う上で重要な製品などのサプライチェーンの脆弱性も顕在化しました。これらの製品について、生産拠点等の国内整備や海外での生産拠点の多元化を図る取組を支援してまいります。
 これから、守るだけではなく、攻めることも必要です。成長戦略としての二〇五〇年カーボンニュートラルの実現、中小企業の足腰の強化、戦略的な経済連携の推進、新たな日常に向けたデジタル化への対応、事業再構築や労働移動の円滑化など、課題は山積しています。経済産業省の最重要課題である原子力災害からの福島の復興についても、一歩ずつ着実に歩みを進めていかなければなりません。これらの課題に対し、次に申し述べる取組を進めてまいります。
 まず最初に、福島復興、廃炉、汚染水、処理水対策について申し述べます。
 来年で、あの痛ましい東日本大震災、そして東京電力福島第一原子力発電所の事故から十年が経過します。これまで、地元の皆様はさまざまな形で大変な御苦労を重ねてこられました。一方で、関係する全ての方々の御努力に支えられながら、廃炉は着実に進展し、本格的な復興の端緒についたところでもあります。こうした取組を継承し、更に前に進めていくべく、引き続き全力を傾けてまいります。
 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉は、原子力災害からの復興の大前提です。引き続き、中長期ロードマップに基づき、安全確保最優先、リスク低減重視の姿勢を堅持しつつ、地域、社会とのコミュニケーションを一層強化しながら進めてまいります。
 廃炉作業を安全かつ着実に進めるためにも、ALPS処理水の処分方針の決定は先送りのできない課題です。関係者の御意見を受けとめつつ、政府として責任を持って、処分方針について適切なタイミングで結論を出してまいります。
 福島の本格的な復興に向けては、事業、なりわいの再建、福島イノベーション・コースト構想の推進を両輪で進めます。地元企業の事業再開や新たな事業展開を後押ししつつ、地域に産業を根づかせていくことが重要です。福島ロボットテストフィールドの研究棟には、ベンチャー企業を始め二十の事業者が入居し、既に二百件以上の実証試験が行われています。こうした動きが雇用の創出や地元企業の取引拡大など具体的な成果につながるよう、全力で取り組んでまいります。
 帰還困難区域のうち、復興拠点以外の区域については、地元からの切実な声を踏まえ、責任を持って対応方針を検討してまいります。
 今や、気候変動問題は人類共通の危機と言っても過言ではありません。この危機を乗り越えるカーボンニュートラルの実現のためには、高い目標、ビジョンを掲げ、産学官が本気で取り組まなければなりません。我が国が総力を挙げて挑戦し、一つ一つの課題を解決していくことは、新たなビジネスチャンスにもつながる成長戦略そのものです。産業界の旗振り役たる経済産業省として、あらゆるリソースを最大限投入し、長期間にわたる支援策を通じて、経済と環境の好循環をつくり出してまいります。
 二〇五〇年カーボンニュートラルに向けては、温室効果ガスの八割以上を占めるエネルギー分野の取組が特に重要です。再エネ、原子力など使えるものを最大限活用するとともに、水素など新たな選択肢も追求してまいります。鉄鋼や化学などの産業分野も、革新的なイノベーションを推進し、製造プロセスを大きく転換させていく必要があります。これまでも、革新的環境イノベーション戦略を策定し、技術的課題について検討を深めてまいりました。こうした検討を踏まえつつ、二〇五〇年に向けた道筋については、年内に、水素、蓄電池、カーボンリサイクル、洋上風力などの重要分野において、目標年限や必要な支援策を含む実行計画をお示ししてまいります。
 二〇三〇年のエネルギーミックスは、その達成に向け、道半ばです。徹底的な省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めつつ、原子力については、安全最優先で、地元の理解を得ながら再稼働を進めます。また、高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組を着実に進めます。石炭火力については、非効率石炭火力のフェードアウトを着実に進めるため、新たな規制の導入や早期退出を誘導する仕組みを検討するとともに、送電線の利用ルールの見直しを行ってまいります。
 エネルギーミックスの取扱いも含め、エネルギー基本計画の見直しについては、二〇五〇年カーボンニュートラルという新たな目標を踏まえ、総合資源エネルギー調査会において、結論や期限ありきでなく議論を進めてまいります。
 中小企業、小規模事業者は、全国三千万人を超える雇用を支える我が国経済の屋台骨です。しかしながら、人手不足や高齢化といった構造変化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による事業環境の激変、働き方改革や社会保険の適用拡大といった制度変更への対応など、相次ぐさまざまな課題を乗り越えていかなければなりません。
 足元で廃業が増加しつつある中、まずは円滑な事業承継に取り組んでまいります。さきの通常国会で成立いたしました中小企業成長促進法や、第三者承継支援総合パッケージに基づく支援を引き続き実行してまいります。
 その上で、総額三千六百億円の生産性革命推進事業により、中小企業のデジタル化、技術開発、海外を含む販路拡大を支援します。また、取引上のしわ寄せを防止するため、大企業と中小企業のパートナーシップ構築宣言の枠組みを広げます。中小企業の経営基盤を強化し、中堅企業への成長を一層強力に後押しします。
 我が国を取り巻く対外経済環境は、コロナ危機を経て、米中関係の緊張も高まる中で、かつてないほど不確実性が増大しています。こうした中でも、通商国家として発展をなし遂げてきた我が国は、自由貿易の旗手として、引き続き自由で公正なルールに基づく国際経済体制を主導してまいります。
 RCEPは、現在、交渉の最終局面にありますが、これが実現すれば、世界全体のGDP及び貿易総額の約三割を占める巨大な自由貿易圏が成立します。日米欧の三極貿易大臣会合を活用しながら、WTO改革を進めるとともに、大阪トラックのもと、データ・フリー・フロー・ウイズ・トラストの考えに基づき、電子商取引やデジタル経済に関する国際的なルールづくりも推進してまいります。
 二国間の経済関係強化にも取り組みます。英国のEU離脱を踏まえた対応として、我が国企業のビジネスの継続性を確保するため、日英包括的経済連携協定の速やかな締結、発効を目指します。日ロ関係については、ロシア経済分野協力担当大臣として、八項目の協力プランのさらなる具体化を進めてまいります。
 経済成長と安全保障の両立も重要な課題です。5G関連施策の推進に加え、半導体やレアアースなど機微技術や重要物資に係る我が国の脆弱性を解消し、優位性を維持、確保します。そのため、関係各省とも連携し、技術開発や統合的な流出防止策を進めてまいります。
 新型コロナウイルスの感染が拡大して以来、これまでは主に緊急時対応の政策に重点を置いてきました。引き続き、年末や年度末の中小企業の資金繰りなどに万全を期すとともに、これからは、新たな日常に向けて、事業の再構築や産業構造の転換の円滑化に重点を置いていく必要があります。
 ビジネスモデルを変革するデジタル化、グリーン社会への転換、健康・医療分野の新たなニーズの拡大、サプライチェーンの再構築を始めとするレジリエンスの強化を柱に据えつつ、これを先取りし、長期視点に立った我が国企業の変革を後押ししてまいります。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、我が国経済は戦後最大の落ち込みを記録し、国難ともいうべき危機に直面しています。他方で、世界各国で新たな日常への模索が続く今こそ、我が国が旧態依然とした経済社会システムから本格的に脱却し、グローバルな構造変化へと一気に適応していくチャンスでもあります。
 二〇二五年の大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」です。その名に恥じぬよう、世界じゅうから人々が大阪にやってくる五年後に向けて、デジタル化、グリーン社会への転換等に取り組みます。そして、新たな日常に向けた産業構造の転換を遂げた我が国の姿を、未来社会の実験場として世界にお示ししたいと考えています。
 そのためには、先ほど申し述べましたさまざまな課題について、国民各層の幅広い御意見をしっかりとお伺いしながら、経済産業大臣として全身全霊で職務に取り組んでまいる所存です。
 富田委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

発言情報

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発言者: 梶山弘志

speaker_id: 8910

日付: 2020-11-13

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会