萩生田光一の発言 (文部科学委員会)
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○萩生田国務大臣 このたび、引き続き文部科学大臣、教育再生担当大臣を拝命いたしました萩生田光一でございます。
今後とも、委員長を始め理事、委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。
第二百三回国会において各般の課題を御審議いただくに当たり、一言御挨拶を申し上げます。
まず、新型コロナウイルス感染症によりとうとい命を落とされた方々に心から哀悼の意を表します。
この新型コロナウイルス感染症については、今なお予断を許さない状況が続きますが、政府としては、引き続き社会経済活動と感染拡大防止の両立に向けた取組を進めているところです。その中でも、特に文部科学省が担う教育再生や科学技術イノベーション、スポーツ及び文化芸術の振興は、我が国の未来を切り開く取組の中核であり、このコロナ禍においても決して歩みをとめることが許されないものです。
こうした決意のもと、安全な環境において子供たちの学びをしっかりと保障し、子供たちがみずからの夢を実現することができるよう、関係省庁とも連携しつつ、持てる力の全てを尽くしてまいる所存です。
同時に、新型コロナウイルス及び将来の感染症対策に貢献する研究開発を加速し、研究者への支援を行うとともに、甚大な影響を受けているスポーツ、文化芸術活動の支援にも全力で取り組んでいかなくてはなりません。
他方、感染症への対応を進める中においては、既存のシステムが持つ課題に気づかされる場面もあり、中でも、特にデジタル化の推進は、今、社会全体で取組を進めなければならない課題であります。今、私は、GIGAスクール構想の実現、デジタル社会に向けた最先端技術、教育・研究基盤の活用、教育、研究のデジタル化等に鋭意取り組む必要があるとの意を強くしています。
菅内閣のもと、これら目下取り組むべき文部科学行政における諸課題の解決に向け、文部科学大臣として私みずからが先頭に立って、果敢に取り組んでまいる所存です。
教育は国の礎であり、教育再生は、菅内閣においても最重要課題の一つであります。
誰もが希望する質の高い教育を受けられる環境の整備は、我が国を支える基盤と言っても過言ではありません。安倍内閣においては、子供たちがみずから希望する進路に挑戦できる社会の実現を目指し、幼児教育、保育の無償化や高等教育の修学支援新制度の実現を始めとする取組を力強く推し進めてきました。
全ての子供たちに質の高い教育を保障するためには、こうした学びのセーフティーネットに加え、教育の質の向上を図るための取組を加速させる必要があります。
令和の時代にあって、デジタル化の推進は、質の高い教育を実現する上で必要不可欠です。菅内閣においては、GIGAスクール構想の実現に向けた取組を加速させ、義務教育段階の全ての子供たちに対して一人一台の端末の導入を本年度中に進めるとともに、SINETの初等中等教育への開放を含めたネットワーク等の環境整備に取り組みます。
また、並行して、質の高い教育の実現を図るため、学校におけるICT活用の拡大に向けた教員研修の充実やGIGAスクールサポーターの配置促進、オンライン学習システムの全国展開、全国学力・学習状況調査のCBT化や教育データ利活用に関する検討を進めるとともに、今後の遠隔・オンライン教育の充実やデジタル教科書の普及促進に向けて、児童生徒等の発達段階を考慮しつつ、ICT環境整備の状況も踏まえながら、制度改正を含めた具体的な検討を進めてまいります。
また、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備は、学校現場において高いニーズがあります。新たな感染症の発生など、今後どのような状況においても子供たちの学びを保障するとともに、一人一台の端末の活用による、児童生徒一人一人の特性や学習定着度等に応じたきめ細かな指導を実現するため、学級編制の標準の引下げも含め、しっかりと検討してまいります。
学校におけるICTの活用と、その効果を最大化する少人数によるきめ細かな指導体制は、まさに車の両輪です。新学習指導要領を着実に実施し、急激な社会的な変化が進む中で、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現することができるよう、令和の日本型学校教育の構築に取り組んでまいります。
そして、教育再生実行会議においては、ポストコロナ期における新たな学びのあり方について、具体的な検討を進めてまいります。
学校現場の先生方には、日々、感染症対策と教育活動の両立に向けて、使命感を持って取り組んでいただいております。感染症対応のために学校における働き方改革が頓挫することがないよう、まずは、学校に対する外部人材の配置などの支援を通じ、この特別な時期を乗り越えることが重要です。
学校における働き方改革は、特効薬のない総力戦です。部活動の見直しや教員免許更新制の検証、小学校における専科指導の充実を始めとした教職員定数の改善、外部人材の活用などに取り組むとともに、改正給特法の趣旨も踏まえつつ、引き続き、国、学校、教育委員会があらゆる手だてを尽くして成果を出していけるよう、文部科学省が先頭に立って取り組んでまいります。
子供たちの成長は、社会が一体となって寄り添い支えていくべきものです。地域と学校の連携、協働の推進、学校安全の推進、いじめや不登校への対応、SNS等教育相談体制の構築、児童生徒の自殺予防の取組の推進に加え、道徳教育や人権教育の充実、教育支援センターやフリースクールなど多様な教育機会の確保、夜間中学の設置促進、充実、家庭教育支援の充実、読書・体験機会の提供推進などにしっかりと取り組んでまいります。
高等学校においては、高校生の学習意欲を喚起し、実社会でのさまざまな課題に対応できる力を身につけられるよう、普通科改革や職業教育の充実などに取り組んでまいります。
児童生徒を守り育てる立場にある教師が、児童生徒に対してわいせつ行為を行うようなことは、決してあってはなりません。教員免許状の管理等のあり方をより厳しく見直すべく、制度改正を含めて必要な対策を講じてまいります。
学校は、子供たちの学習、生活の場であり、災害時には避難所となるなど、国土強靱化の観点からも重要な施設です。このため、非構造部材を含めた耐震化の早期完了を目指すとともに、学校施設の長寿命化を含む老朽化対策やバリアフリー化、防災機能の強化、空調や給食施設等の整備の推進に力を尽くしてまいります。
大学においては、新型コロナウイルス感染症への対応を進める中で、遠隔授業の実施にいち早く取り組むなど、学びをとめないための工夫がなされてきました。一方で、いまだ対面の機会が十分でないとする学生の声、特に新入生による声をしっかりと受けとめる必要があります。大学において学生の理解が得られる学修機会が適切に確保されるよう、引き続き、各大学による積極的な取組や工夫を促すべく働きかけてまいります。
ソサエティー五・〇に向けた人材育成やイノベーション創出の基盤となる大学等の改革が急務です。高等教育の質の向上と教育・研究基盤の強化を図り、高等教育機関の取組や成果に応じた手厚い支援と厳格な評価を徹底し、教育、研究、ガバナンスの一体的改革を推進してまいります。中でも、国立大学は、社会変革を先導し、社会や地域から支えられる存在になることが重要です。国立大学法人の戦略的経営を実現するため、ガバナンスのあり方や規制緩和策等について検討を進めてまいります。
大学入試改革に関しては、まずは令和三年度入試について、このコロナ禍においても受験生が安心して受験できるよう、受験生第一の立場に立って、引き続き必要な準備を進めてまいります。また、英語四技能評価や記述式問題を含め、ウイズコロナ、ポストコロナ時代の大学入試のあり方についての議論を進め、高大接続改革の推進に引き続き取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症への対応において、大学病院は我が国の医療を支える大変重要な役割を果たしています。医療提供や教育・研究活動への継続的支援とともに、感染症分野の人材養成の強化に向けて尽力してまいります。
高等専門学校は、創設以来約六十年にわたり五年一貫の実践的技術者育成を行っており、産業界や諸外国から高い評価を受け、これまで我が国の産業界を支える大きな役割を果たしてまいりました。今後、機能の高度化、日本型KOSENの海外展開と国際化の一体的推進、技術者教育の基盤となる施設設備の整備とともに、地域に求められる人材ニーズを踏まえた積極的な取組を促進するなど、その振興に努めてまいります。
リカレント教育については、抜本的に拡充し、生涯にわたって学び続け、チャレンジし続けられる機会の確保を目指してまいります。
加えて、地方大学における地域の特性やニーズを踏まえた人材の育成や、数理、データサイエンス、AI教育を推進するとともに、成長分野等を踏まえた質の高い専門職業人を育成する観点からは、専門職大学や専修学校等における教育の充実に向けた取組の推進に努めてまいります。
また、これらの実現のためにも、国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成など、基盤的経費を安定的に確保するとともに、経営力の強化、大学間連携や統合の促進、財政支援のめり張り化等を通じ、強靱な大学への転換を促してまいります。
幼児期から高等教育段階までの切れ目ない形での教育の無償化、負担軽減を着実に実施する必要があります。
高校生等奨学給付金など修学支援の充実や、新型コロナウイルス感染症による影響を受けた学生を含め、引き続き、学生等が進学、修学を断念することがないよう、必要な支援措置を講じてまいります。また、幼児教育、保育の無償化の対象でない施設を利用する方の負担軽減については、子育て支援の観点から、関係府省と連携しつつ、来年度からの支援のあり方について検討してまいります。
これらに加えて、質の高い教育機会の保障や学校と福祉機関との連携強化を通じ、子供の貧困対策に取り組んでまいります。
児童虐待による悲劇を二度と繰り返してはなりません。厚生労働省など関係府省庁と緊密な連携を図りながら、スクールソーシャルワーカーの重点配置など児童虐待の防止にしっかりと取り組んでまいります。
障害者が一生を通じてみずからの可能性を追求できるよう、支援に係る環境の整備が必要です。福祉部局等と連携した切れ目ない支援体制の構築や、特別支援教育の充実、障害者の生涯にわたる多様な学習活動の充実に取り組んでまいります。
グローバル社会を生きていく子供たちや若者にとって、外国語を含めた国際的素養を身につけていくことは極めて重要です。学校における外国語教育や、留学生交流の推進などの大学のグローバル化、在外教育施設の機能強化、日本型教育の海外展開、ユネスコが主導する持続可能な開発のための教育や国際バカロレアなどを推進してまいります。
また、外国人児童生徒等への教育や外国人に対する日本語教育の充実、大学等における留学生支援や在籍管理の徹底等にしっかりと取り組むとともに、義務教育段階の外国人の子供たちの不就学等の状況を踏まえ、その実態把握や就学促進のための取組を進めてまいります。
これらの取組を着実に実現するため、必要な財源を確保しつつ、教育投資の充実に努めてまいります。
我が国が将来にわたって成長と繁栄を遂げるためのかなめは、科学技術イノベーションです。国連が定めたSDGsの達成に科学技術イノベーションが果たす役割が極めて大きいことは、国際社会の共通認識です。我が国の科学技術イノベーションの中核を担う文部科学省として、来年度施行される科学技術・イノベーション基本法に基づく新しい科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた検討に積極的に協力してまいります。また、かつてリーマン・ショック後に研究開発投資が停滞しましたが、コロナ禍でその轍を踏まないよう、国として科学技術予算の確保に努めます。
我が国の研究力は、諸外国に比べ相対的に低下傾向にあります。この現状を一刻も早く打破するため、研究力向上の鍵である若手研究者への支援の強化が重要です。博士課程の学生が生活面での心配をすることなく研究に打ち込めるような処遇の向上や優秀な若手研究者へのポストの重点化など、博士課程学生を含む若手研究者への支援の充実に取り組んでまいります。また、研究成果の切れ目ない支援の充実や新興・融合領域への取組強化などの研究資金改革、研究設備等の共用促進や研究支援体制の強化などの研究環境改革を大学改革と一体的に進め、絶えずイノベーションを生み続ける社会の実現に全力で取り組んでまいります。
持続的なイノベーションの創出には、その源となる学術研究、基礎研究が極めて重要です。科研費、戦略的創造研究推進事業の充実を図るとともに、若手研究者を中心とした多様な研究者が自由で挑戦的な研究に腰を据えて取り組めるよう、創発的研究支援事業を通じて支援してまいります。さらに、大学等の研究力強化を長期的な視野で安定的に支援していくため、ファンド創設などの新たな仕組みづくりに向けて、具体的な検討を進めてまいります。
人材、知識、資金の好循環システムの構築に向けて、大学等のマネジメント機能強化や産学官共創の場の形成によるオープンイノベーション、地域におけるイノベーション創出、ムーンショット型研究開発など非連続なイノベーションを生み出す研究開発を進めます。また、アントレプレナーシップ教育の充実や大学発ベンチャーの創出に向けた環境整備等を図るとともに、科学技術の戦略的な国際展開を図ります。
近年、国際的に、大学等における技術管理の重要性が高まっております。技術流出防止の強化と研究成果の創出、育成のバランスを図りながら、安全、安心を実現していくことが重要であり、現場の研究者が萎縮することのないよう、しっかりと取り組みます。
本年六月、スーパーコンピューター「富岳」が、関係者の努力により、「京」以来八年半ぶりに国際ランキングで一位を奪還しました。既に、新型コロナウイルス感染症対策への活用が進むなど、私たちの暮らしを守ることに貢献しています。これを研究者のみならず産業界に広く開放するとともに、子供たちにも体験機会を提供するなど、国民共有の財産として誰もが活用しやすい環境を整えてまいります。
ソサエティー五・〇の到来を見据え、こうした「富岳」等の情報基盤の整備とともに、人工知能、ビッグデータ等の研究開発、活用などの研究のデジタル化の基盤となる情報科学技術を推進します。また、我が国が強みを持つ再生医療等のライフサイエンス、マテリアル、ナノテクノロジー等の研究開発を進めます。量子技術については、我が国初の国家戦略に基づき、重点的な研究開発やイノベーション拠点の形成等を加速してまいります。
我が国として二〇五〇年までに脱炭素社会を実現するという目標の達成に向けて、革新的な環境・エネルギーに関する研究開発、ITER計画等の核融合研究を推進するとともに、地震、津波、火山、豪雨等の防災・減災に関する研究開発などを進めます。次世代放射光施設など物質科学等を支える最先端の研究基盤を始めとする大型研究施設等の整備、共用を促進します。
国内外で大きな期待と関心が寄せられている宇宙・航空分野では、米国提案のアルテミス計画の推進や、「はやぶさ2」等の宇宙科学・探査、H3ロケットの開発などに着実に取り組みます。今月十五日には野口聡一宇宙飛行士が搭乗する宇宙船が国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられる予定です。来年秋には新しい日本人宇宙飛行士の募集も行います。こうした今後の宇宙開発利用の充実に向けた取組を進めてまいります。
さらに、北極域研究船の建造を含む海洋・極域に関する研究開発、「もんじゅ」の安全、着実かつ計画的な廃止措置の実施も含めた原子力に関する取組など、国主導で取り組むべき基幹技術を推進します。
スポーツには、体を動かし楽しむだけでなく、人々を夢中にさせ感動させる力があります。
来年に延期された東京オリンピック・パラリンピック競技大会を、人類がウイルスに打ちかったあかしとして安全、安心に開催するため、文部科学省としても全力で取り組んでまいります。
国際競技大会における日本代表選手の活躍は、国民に夢と希望、感動を与えるものです。東京大会はもとより、その先も見据えて、トップアスリートが安心して強化活動に専念できるよう、感染症対策の徹底とともに、競技力強化に係る支援の取組を進めることに加え、東京大会のレガシーを次世代にしっかりと継承し、さらなるスポーツの振興に取り組んでまいります。
安全、安心な環境のもとにスポーツ活動を再開させ、第二期スポーツ基本計画を着実に実行し、全ての人々がスポーツを、する、見る、支える機会を確保することを通じ、スポーツ立国の実現を目指します。さらに、アスリートのセカンドキャリア形成支援、スポーツを通じた健康増進、国際交流・協力や地域活性化、大学スポーツの振興、スポーツの成長産業化、障害者スポーツの振興、学校体育の充実等にも力を尽くしてまいります。
また、スポーツ活動が公正かつ適切に実施されるよう、スポーツ団体に対し、ガバナンスコードの遵守を促すことを通じ、スポーツインテグリティーの確保に努めてまいります。
文化芸術は、我が国のアイデンティティーを形成する源であり、無限の可能性を秘めた、世界に誇るべき重要な資源です。国難とも呼ぶべき現状においてこそ、人々の心を癒やし、勇気づける文化や芸術の力が強く求められています。このため、文化芸術活動の再開、継続、発展を力強く支援するとともに、文化財の修理、整備、防火・耐震対策等を通じて、文化芸術の振興を着実に進めてまいります。
また、インバウンド観光需要の回復に向けた反転攻勢への基盤の整備や、国内観光需要の喚起にも資するよう、日本博を一層強力に推進するとともに、日本遺産を始め、地域の文化資源の磨き上げ、文化施設の機能強化や地域一体となった文化観光の推進への支援等を通じて、伝統文化から現代芸術まで幅広い文化芸術による国づくりをオール・ジャパンで推進し、日本文化の魅力を積極的に国内外へ発信してまいります。
さらに、文化庁の京都移転も見据え、地方創生や観光などとも連携しつつ、文化芸術推進基本計画や文化経済戦略を着実に実行し、文化芸術立国の実現に取り組んでまいります。
東日本大震災や令和二年七月豪雨を始めとする災害に対しては、就学支援、児童生徒の心のケア、学習や学校再開への支援等を始め、復興を支える教育、人材育成、大学、研究機関による地域再生への貢献、学校施設や文化財の復旧など、被災者の心に寄り添った復興に引き続き取り組みます。さらに、廃炉に関する研究開発や人材育成、原子力損害賠償にも着実に取り組むとともに、原発事故の避難者を始めとする被災した児童生徒に対するいじめについては、関係機関とも連携して必要な取組を行ってまいります。
本年九月、新たに発足した菅内閣において、再度文部科学大臣の任を預かることになり、大臣として二年目を迎えました。国民のために働く菅内閣の一員として、今、改めて、国家百年の計に立って、人づくりを始めとした文部科学行政における諸課題の解決に向け、果敢に取組を進めていく覚悟です。
引き続き、関係各位の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。(拍手)