志位和夫の発言 (本会議)

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○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、菅総理に質問します。(拍手)
 日本学術会議が新会員として推薦した科学者のうち、総理が六名の任命を拒否したことは、我が国の法治主義への挑戦であり、学問の自由を始めとする国民の基本的人権を侵害する、極めて重大な問題でした。
 第一に、任命拒否は、日本学術会議法に真っ向から違反しています。
 日本学術会議法は、学術会議の政府からの独立性を、その条文の全体で幾重にも保障しています。第三条で、学術会議は政府から独立して職務を行うとされ、第五条で、政府に対してさまざまな勧告を行う権限が与えられています。第七条で、会員は、学術会議の推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命するとされ、第二十五条で、病気等で辞職する場合には、学術会議の同意が必要とされ、さらに、第二十六条で、会員として不適当な行為があった場合ですら、退職させるには学術会議の申出が必要とされるなど、実質的な人事権は全面的に学術会議に与えられています。
 総理に伺います。日本学術会議には、一九四九年の創設時に、当時の吉田茂首相が明言したように、高度の自主性が与えられているということをお認めになりますか。六名の任命拒否は、学術会議の独立性、自主性への侵害であり、日本学術会議法違反であることは明瞭ではありませんか。答弁を求めます。
 一九八三年、会員の公選制を推薦制に変えた法改定の際に、学術会議の独立性が損なわれないかが大問題になりました。その際、政府は、繰り返し、総理大臣の任命は全くの形式的任命、実質的に総理大臣の任命で会員の任命を左右することはしない、推薦していただいた者は拒否しないと明確に答弁しています。
 総理、六名の任命拒否は、これらの政府答弁の全てを覆すものではありませんか。法律は、それを制定する国会審議によって解釈が確定するのであって、政府の一存で勝手に解釈を変更するならば、およそ国会審議は意味をなさなくなるではありませんか。
 総理は、憲法十五条一項「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」を持ち出して、任命しないことはあり得ると強弁しています。
 しかし、憲法十五条一項は、公務員の最終的な選定・罷免権が主権者である国民にあることを規定したものであって、それをいかに具体化するかは、国民を代表するこの国会で、個別の法律で定められるべきものであります。日本学術会議の会員の選定・罷免権は日本学術会議法で定められており、その法律に反した任命拒否こそ憲法十五条違反であり、憲法十五条を持ち出してそれを合理化するなど、天に唾するものではありませんか。お答えいただきたい。
 憲法十五条の解釈について、かつて政府は、明確に客観的に、もう誰が見てもこれは非常に不適当であるという場合に限って、任命しないという場合もあり得ると答弁してきました。
 総理、あなたが任命拒否した六名は、明確に客観的に、誰が見ても非常に不適当だということですか。それならば、どう不適当なのか、その理由を明らかにすべきであります。理由も明らかにせずに任命を拒否することは、六名に対する重大な名誉毀損ではありませんか。答弁を求めます。
 総理は、任命拒否の理由を、学術会議の総合的、俯瞰的活動を確保する観点からだと繰り返しています。ならば問います。総理は、六名を任命すると、学術会議の総合的、俯瞰的活動に支障が出るという認識なのですか。端的にお答えいただきたい。
 さらに、総理は、二十六日のNHKインタビューで、突然、学術会議の推薦名簿は一部の大学に偏っている、民間、若手が極端に少ないなどと非難を始めました。昨日の答弁では、多様性が大事とも述べました。しかし、それならば、なぜ五十代前半の研究者、その大学からただ一人だけという研究者、比重の増加が求められている女性研究者の任命を拒否したんですか。説明していただきたい。
 大体、総理が勝手に、選考、推薦はこうあるべきという基準をつくって任命拒否を始めたら、学術会議にのみ与えられた選考・推薦権は奪われ、学術会議の独立性は根底から破壊されてしまうではありませんか。
 加えて、学術会議が推薦した名簿を総理は見ていないと言う。見ていないで、どうして推薦名簿にそのような特徴があることがわかったんでしょうか。語れば語るほど支離滅裂ではありませんか。しかとお答えいただきたい。
 第二に、任命拒否は、憲法二十三条が保障した学問の自由を侵害するものです。
 総理は、任命拒否は学問の自由とは全く関係がないと言い放ちました。ならば聞きます。あなたは、憲法が定めた学問の自由の保障をどう理解しているのか。学問の自由は、個々の科学者に対してだけでなく、学会、大学など科学者の自律的集団に対しても保障される必要があります。科学者集団の独立性、自主性の保障なくして個々の科学者の自由な研究もあり得ないからであります。総理の見解を伺います。
 理由を明らかにしないままの任命拒否が、個々の科学者に萎縮をもたらし、自由な研究の阻害となることは明瞭ではありませんか。それはさらに、我が国の科学者を代表する日本学術会議の独立性を保障するかなめとなる会員の選考・推薦権という人事権の侵害であり、日本の学問の自由への乱暴な侵犯と言うほかないんじゃありませんか。総理の任命拒否は、学問の自由を二重に侵害するものではありませんか。答弁を求めます。
 そもそも、総理は、日本国憲法が、思想、良心の自由や表現の自由とは別に、学問の自由の保障を独立した条項として明記した理由がどこにあると認識しておられるんですか。
 一九三〇年代、滝川事件、天皇機関説事件など、政権の意に沿わない学問への弾圧が行われました。それは、全ての国民の言論、表現の自由の圧殺へとつながっていきました。毒ガスや生物兵器の開発、人体実験、原爆の研究、国民総武装兵器の開発研究など、科学者は戦争に総動員されました。そして、侵略戦争の破滅へと国を導いたのであります。
 総理、あなたには、憲法に明記された学問の自由の保障が、こうした歴史の反省の上に刻まれたものだという認識がありますか。答弁いただきたい。
 この問題は、日本学術会議だけの問題ではありません。全国民にとっての大問題であります。強権をもって異論を排斥する政治に決して未来はありません。
 日本共産党は、違憲、違法の任命拒否の撤回を強く求めるものです。総理の答弁を求めます。
 新型コロナ感染症は、感染が拡大方向に向かい、ヨーロッパのような再燃が強く危惧されます。緊急焦眉の課題に絞って質問します。
 検査と医療の抜本的拡充は感染防止と経済活動を両立させる最大の鍵ですが、政府の対応には大きな問題があります。
 一つは、PCR検査の立ちおくれです。
 日本のPCR検査の人口比での実施数は世界百五十二位。必要な検査がなお実施されていません。総理にはその自覚がありますか。
 無症状の感染者を把握、保護することを含めた積極的検査への戦略的転換を宣言し、実行に移すべきではありませんか。国の責任で、感染急増地、ホットスポットとなるリスクのあるところに網羅的な検査を行うこと、病院、介護施設、保育園等に対して社会的検査を行うことを求めます。感染追跡を専門に行うトレーサーの増員など、保健所の体制強化を求めます。
 多くの自治体が独自にPCR検査の拡充に乗り出していますが、行政検査として行う場合、費用の半分が自治体負担となることが検査拡充の足かせとなっています。全額国庫負担による検査の仕組みをつくるべきではありませんか。
 いま一つは、医療機関の疲弊です。
 日本病院会など三団体の実態調査によれば、全国の病院は四―六月期に平均一〇%を超える赤字となり、四分の一を超える病院で夏のボーナスがカットになりました。三団体の調査報告書は、国からの十分な支援がなくては地域医療が崩壊する可能性すらあると訴えています。
 総理は医療従事者への感謝を言われましたけれども、感謝というなら医療機関への減収補填に踏み切るべきではありませんか。新型コロナとインフルエンザの同時流行への体制づくりという点からも、医療機関への財政的補償が不可欠であります。総理の答弁を求めます。
 新型コロナが長期化するもとで、事業と雇用の危機は極めて深刻です。
 東京商工リサーチの調査によれば、コロナ収束が長引いた場合、廃業を検討する可能性があると答えた中小企業は八・八%、単純計算で実に三十一万社を超える中小企業が廃業の危機に瀕しています。
 雇用危機も深刻です。雇用者数は、コロナ前に比べて、六月は百四十五万人の減少、八月でも百十七万人減ったままです。リーマン・ショックの際の雇用者減の最大九十四万人と比べても、過去最悪の急激な雇用の減少が起こっているのであります。
 総理に伺います。
 現下の事業と雇用の危機は、放置すればコロナ恐慌を引き起こしかねない戦後最悪の状況だと考えますが、どういう認識をお持ちですか。お答えいただきたい。
 私は、こうした事態を踏まえ、次の三点を緊急に提起するものです。
 第一に、休業支援金の支給決定は予算額の五%、家賃支援給付金の給付額は予算額の二割弱にすぎません。制度はつくったが支援が届いていないという事態を直ちに是正する実効ある措置をとることを、ここで約束していただきたい。
 第二に、政府の直接支援策は、全てことしじゅうを対象としたものです。このままでは年が越せない、事業継続を諦めざるを得ない、これが現場の悲痛な声であります。総理、今この場で、雇用調整助成金のコロナ特例を延長すること、持続化給付金の第二弾を実施すること、家賃支援給付金を延長すること、生活困窮者のための貸付金を延長し返済免除の拡充を行うこと、そして、国が数千億円の規模で出資して文化芸術復興基金を創設することを約束していただきたい。いかがでしょうか。
 第三は、消費税を五%に減税するとともに、経営困難な中小業者には一九年度と二〇年度分の消費税の納税を免除することであります。資産一千億円以上の超富裕層は、コロナのもとで資産を十四兆円から十九兆円へとふやしています。富裕層などに適正な課税を行い、消費税を減税することは、税の公正の上でも急務ではありませんか。
 以上の諸点について答弁を求めます。
 総理は、自助、共助、公助、まずは自分でやってみると自己責任を繰り返し強調していますが、コロナのもとで多くの国民は十分過ぎるほどの自助努力をやっていますよ。政治の仕事は公助、暮らしを守り、よくするための公の責任を果たすことに尽きるということを訴えて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

発言情報

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発言者: 志位和夫

speaker_id: 1300

日付: 2020-10-29

院: 衆議院

会議名: 本会議