菅義偉の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(菅義偉君) 福山哲郎議員にお答えをいたします。
 日本学術会議についてお尋ねがありました。
 両元首相の発言、答弁との関係ですが、憲法第十五条第一項は公務員の選定は国民固有の権利と規定しており、この憲法の規定に基づき、日本学術会議法では会員を総理が任命することとされていることから、この任命に当たっては必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではないという点については、内閣法制局の了解を得た政府としての一貫した考え方であり、今回の任命も日本学術会議法に沿って行ったものであり、日本学術会議法の解釈変更ではない旨は国会において内閣法制局からも答弁しているとおりであります。
 私が日本学術会議について申し上げてきたのは、まず、年間十億円の予算を使って活動している政府の機関であり、任命された会員は公務員となるので、国民に理解される存在であるべきということです。
 個々人の任命の理由については、人事に関することであり、お答えを差し控えますが、任命を行う際には、総合的、俯瞰的な活動、すなわち専門分野の枠にとらわれない広い視野に立ってバランスの取れた活動を行い、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在であるべきということ、更に言えば、例えば、民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られることも踏まえ、多様性が大事であるということを念頭に、私が任命権者として判断を行ったものであります。
 アベノミクスの継承についてお尋ねがありました。
 八年前の政権交代以来、一貫して経済の再生に取り組んできました。今後も、金融緩和、財政出動、成長戦略の三本を柱とするアベノミクスを継承し、更なる改革を進めてまいります。その際、ポストコロナの課題であるデジタル化、グリーン社会の実現などについて規制改革を進め、必要な投資を行い、再び強い経済を取り戻します。
 自助、共助、公助についてお尋ねがありました。
 自助、共助、公助、そして絆という考えは、まず自分でやってみる、そして、家族や地域で助け合う、その上で、政府がセーフティーネットでお守りをするという目指すべき社会像について述べたものであります。
 他方で、現在は新型コロナウイルスの影響により、経済が戦後最大の落ち込みを記録するなど、まさに国難のさなかにあり、政府としては、これまでも事業規模二百三十兆円を超える対策を講じてきたところです。この中で、生活に困窮されている方々に対しても、住居確保給付金の支給、返済免除も可能な緊急小口資金等の特例貸付け、こうした重層的なセーフティーネットを用意しているところです。その上で、今後ともちゅうちょなく必要な対策を講じてまいります。
 雇用調整助成金の特例措置についてお尋ねがありました。
 従業員の雇用を守るべく実施している雇用調整助成金については、これまでに例のない特例措置を講じてきたところであり、八月にはその期間を本年十二月末まで延長したところです。この特例措置の取扱いについては、今後の雇用情勢などを踏まえ、適切に判断していきたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症対策休業支援金給付についてお尋ねがありました。
 この制度は、雇用調整助成金の活用もままならない中小企業の労働者を早期に支援するために創設したものであり、支援が必要な対象者の方にしっかりと行き届くように取り組むことが重要だと思います。
 事業主の協力がいただけずに申請、支給に至らないケースがあると報告を受けていますが、こうした場合には、労働局で労働者からの申請を一旦受け付けた上で、事業主に対して調査を行うという運用にしております。こうした運用、制度の対象者について、分かりやすく周知徹底を行ってまいります。
 新型コロナウイルス感染症に係る検査体制の確保及び医療機関への支援についてお尋ねがありました。
 政府としては、医療機関や高齢者施設等で働く方々に対し、感染者が多数発生している地域等においては、症状がない方も含めて、一斉、定期的な検査を行政検査として公費により実施することを既に各自治体にお願いをいたしています。
 また、この冬の季節性インフルエンザの流行期に備え、地域の医療機関で一日平均二十万件の検査能力の確保に向け、検査キットの製造メーカーに増産を要請するとともに、地方自治体において、地域における診療体制、検査体制の整備に向けて準備を進めていただいております。なお、この検査は行政検査として公費により実施されるため、患者の方々には検査費用の負担はないと承知しています。
 医療機関への支援については、これまで約三兆円の支援を実施してきており、まずはこれらの支援を医療現場の皆様に速やかにお届けするとともに、今後とも地域医療の確保に向けて必要な取組や支援を検討してまいります。
 第三次補正予算についてお尋ねがありました。
 依然厳しい経済状況の中で、引き続き第一次、第二次補正予算を着実に執行し、雇用を守り、事業が継続できるように、最大二百万円の持続化給付金、最大四千万円の無利子、無担保融資などの措置が行き渡るようにしてまいります。
 その上で、今後とも、新型コロナウイルスが経済に与える影響を始め内外の経済動向を注視しながら、ちゅうちょなく予算上の措置も含め必要な対策を講じてまいります。
 一人親家庭への支援についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルスの影響を踏まえ、第二次補正予算により、低所得者の一人親世帯への臨時特別給付金の支給を実施しております。今後とも、新型コロナウイルスによる一人親家庭の所得状況や生活実態、社会経済状況の変化を踏まえつつ、一人親世帯に対する関係施策の充実に向けた検討を行ってまいります。
 公共交通についてお尋ねがありました。
 さきの緊急事態宣言下にあっても、公共交通は国民生活や経済活動を支える不可欠なサービスとして機能を維持してきました。これらのサービスを支える皆様には、まさにエッセンシャルワーカーであり、改めて敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 これら公共交通の機能を確保するため、落ち込んだ需要の回復に資するよう、GoToトラベル事業を実施しています。また、事業者の資金繰りについては、これまで雇用調整助成金や持続化給付金、日本政策投資銀行の危機対応融資の活用などの支援を行ってきています。今後も、必要な事業者にこうした措置が行き渡るように取り組んでまいります。
 スポーツ界に対する支援についてもお尋ねがありました。
 政府としては、スポーツイベントが円滑かつ本格的に実施されるよう、全国規模のスポーツリーグ又は大会を開催する主催者に対し、感染対策や継続的な集客への支援などを行っております。引き続き、苦境にあるスポーツ界に対し、必要な支援策の検討を行ってまいります。
 文化芸術活動の継続支援事業の延長とその見直しについてお尋ねがありました。
 政府としては、文化芸術活動の継続支援事業の対象となる期間や申請期間の延長についての要望をいただいていることを踏まえ、申請期間を延長することにしました。申請の簡略化などの詳細については、現在検討しています。
 菅政権の外交方針の特徴についてお尋ねがありました。
 厳しい安全保障環境の中、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは政府の最も重大な責務です。日米同盟を基軸としつつ、基本的価値を共有する国々とも協力し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組の戦略的な推進に力を入れてまいります。また、中国、ロシアを含む近隣諸国との安定的な関係を築いてまいります。
 同時に、新型ウイルスによって人間の安全保障が脅かされ、国際連携の強化が一層求められる中、日本は多国間主義を推進していきます。
 尖閣諸島周辺の領海侵入等についてお尋ねがありました。
 尖閣諸島周辺海域において中国公船による接続水域の航行及び領海侵入が継続していることは極めて遺憾です。こうした活動に対しては、外交ルートを通じ、繰り返し厳重に抗議してきています。今後とも、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、冷静かつ毅然と対応していきます。
 習近平国家主席の国賓訪日についてお尋ねがありました。
 中国との安定した関係は、二国間だけでなく、地域、国際社会のために極めて重要です。中国の、間には御指摘の点も含め様々な懸案が存在していますが、引き続きハイレベルの機会を活用して、主張すべき点はしっかり主張し、中国側の前向きな対応を強く求めていきます。その上で、まずは新型コロナウイルスの収束に専念すべきであり、習主席の国賓訪日については、今は具体的な日程調整をする段階ではありません。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 日朝首脳会談については、現時点で決まっていませんが、政府としては、これまでも、条件を付けずに金正恩委員長と向き合う決意の下、北朝鮮に対して働きかけを行ってきています。ただし、その詳細については今後のやり取りに影響を及ぼすおそれがあるために差し控えます。
 拉致問題は私の内閣の最重要課題です。
 拉致被害者の御家族が御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。米国を始めとする各国と緊密に連携し、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力を尽くしてまいります。
 北方領土問題についてお尋ねがありました。
 北方領土は我が国が主権を有する島々であります。政府としてはこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが日本側の一貫した立場です。ロシアに誤ったメッセージを伝えたとの指摘は全く当たりません。
 北方領土問題については、次の世代に先送りすることなく終止符を打つべく、領土問題を解決して平和条約を締結するという方針に変わりはありません。
 九月の日ロ首脳電話会談では、プーチン大統領から、この平和条約締結問題も含め、二国間のあらゆる問題に関する対話を継続していく意向である旨の発言があり、私から、共にしっかり取り組んでいきたい旨申し上げました。その上で、二年前のシンガポールでの首脳会談で、一九五六年宣言を基礎として平和条約交渉を継続させる、このことで合意したことを改めて確認をしました。その際のやり取りについてはしっかり引き継いでおり、これまでの両国間の諸合意を踏まえ交渉を進めてまいります。
 敵基地攻撃についてお尋ねがありました。
 先月公表の総理談話で述べた問題意識の下に、抑止力を強化するため、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針について検討しているところであり、現時点で御指摘の諸点についてお答えすることは困難です。
 沖縄振興についてお尋ねがありました。
 政府として、沖縄の発展のため、特に、基地負担の軽減を始めとする基地問題の対応と、返還された基地の跡地利用を含む沖縄振興策の推進を重要な政策課題と位置付け、総合的に取り組んできています。引き続き、地元の声をしっかり伺いながら、観光の再生、層の厚い各種産業の振興、基地跡地の利用を含め、国家戦略として沖縄振興策を総合的、積極的に進めてまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。
 御指摘の地盤改良工事については、沖縄防衛局において、有識者の助言を得つつ検討を行った結果として、十分に安定した護岸等の施工が可能であることが確認されています。一日も早い普天間飛行場の返還に向け、計画に従い工事を着実に進めていく考えです。
 二〇三〇年の削減目標等についてお尋ねがありました。大変失礼しました。
 二〇五〇年の削減目標についてお尋ねがありました。
 本年九月から地球温暖化対策計画の見直し、また十月からエネルギーミックスの扱いを含むエネルギー基本計画の見直し、それぞれの議論を開始しています。政府としては、二〇五〇年までに排出実質ゼロという新たな目標を踏まえた二〇三〇年に向けた我が国の取組について議論を進め、来年十一月のCOP26までに国連に通報することを目指します。
 二〇五〇年までの排出実質ゼロ目標についてお尋ねがありました。
 この目標の位置付けについて、長期戦略の見直しとともに、その実施方法を検討します。
 原子力政策と石炭政策についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するため、内閣全体でしっかりと体制を組み、取り組んでまいります。特に、温室効果ガスの八割以上を占めるエネルギー分野の取組が重要であり、再エネのみならず原子力や石炭を含め、あらゆる選択肢を追求していきます。
 徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減をする政府の方針に変更はありません。また、石炭火力にしても、カーボンニュートラルに貢献するようなイノベーションを追求していく必要があります。
 今後、原子力や石炭を含め、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すエネルギー政策については、結論ありきではなく、梶山経済産業大臣が中心となって集中的に議論してまいります。
 核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。
 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有しており、核兵器禁止条約が目指す核廃絶というゴールは共有をしています。
 一方で、核兵器のない世界を実現するためには、核兵器国を巻き込んで核軍縮を進めていくことが、これは不可欠です。現状では、同条約は米国を含む核兵器国の支持が得られていません。さらに、カナダ、ドイツなど多くの非核兵器国からも支持を得られていません。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、抑止力の維持強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に、現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切であると考えます。
 御指摘のオブザーバー参加については、こうした我が国の立場に照らし、慎重に見極める必要があると考えています。
 東京電力福島第一原発におけるALPS処理水の取扱いについてお尋ねがありました。
 本年二月に科学的根拠に基づく報告書をまとめて以降、自治体や農林水産業の団体との意見交換などを通じ、広く国民の皆様から貴重な意見をいただきつつ議論を積み上げてきています。
 敷地が逼迫する中、いつまでも方針を決めず先送りすることはできません。更に政府内での検討を深め、今後、適切な時期に政府として責任を持って処分方針を決めてまいります。
 また、これまでに実施した風評被害対策のうち効果が大きいと考えられる事例を参考にするなど、関係省庁において具体的な風評対策の議論を深めていきます。
 森友学園問題の公務災害認定に関する資料の開示についてお尋ねがありました。
 近畿財務局の職員の方がお亡くなりになられたことについては、残された御遺族の皆さんのお気持ちを思うと言葉もなく、静かに謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。
 公務災害認定資料を含め、個人情報開示請求については、各省庁において法令に従って適切に対応しているものと承知しています。
 あきもと司議員らについての所見についてお尋ねがありました。
 我が党所属であった現職の国会議員が逮捕、起訴されたことは誠に残念です。公判中の事件に関する事柄であり、公判に影響を与える可能性があることから、これ以上の答えは差し控えさせていただきます。
 本日発売の週刊誌の報道についてお尋ねがありました。
 お尋ねの週刊誌報道に指摘されている企業経営者については、面識を持った方です。事務所に確認したところ、私が代表を務める自由民主党神奈川県第二選挙区支部などにおいて、当該企業からは、二〇〇七年を最後に寄附は受けておりませんが、当時はおおむね毎月二万五千円の寄附をいただいていたと報告を受けています。また、二〇〇八年から二〇一一年までの間、当該企業が所有する物件を事務所として賃借しておりました。しかしながら、週刊誌報道で指摘されている案件について、私や事務所が、関係者が関与した事実はありません。
 選択的夫婦別氏制度についてお尋ねありました。
 夫婦の氏問題は、我が国の家族の在り方に関わる深い問題であり、国民の皆様に様々な御意見があることから、引き続き国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら対応を検討してまいります。
 給付金などを個人単位とすることについてお尋ねがありました。
 今回の特別定額給付金は、迅速かつ的確に家計への支援を行うという趣旨を踏まえ、市区町村の事務負担等を考慮し、世帯を単位として給付を行うこととしました。これ以外のそれぞれの制度における取扱いについては、制度の趣旨や実務面などを踏まえ定められるべきものと考えます。
 性犯罪・性暴力対策に関連し、自民党議員の発言及び性暴力被害者支援法案についてお尋ねがありました。
 政府の立場で個別の国会議員の発言等についてコメントは差し控えたいと考えております。他方、一般論で申し上げれば、政治家はその発言に責任を持ち、有権者から信頼を得られるよう、自ら襟を正すべきと考えます。
 また、国会における法案の取扱いについては国会がお決めになることと考えております。
 なお、性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく傷つける重大な人権侵害であり、決して許されるものではありません。政府としては、引き続き性犯罪・性暴力被害者支援の充実にしっかりと取り組んでまいります。
 性自認における差別についてお尋ねがありました。
 性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えております。政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現にしっかりと取り組んでまいります。
 他方で、現行憲法の下では、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されておりません。
 いずれにしても、御指摘の両法案については、その取扱いも含め、国会において御議論いただくものと考えます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 菅義偉

speaker_id: 8901

日付: 2020-10-29

院: 参議院

会議名: 本会議