山田宏の発言 (本会議)
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○山田宏君 自由民主党の山田宏です。
まず冒頭、条約審議に先立ち、先般行われた日中外相会談について質問いたします。
外相会談後の共同記者会見やぶら下がり取材での王毅外相の発言を知った多くの国民は、尖閣は我々の主権と述べ、偽装漁船の侵入をやめさせよという発言に強く憤慨しています。偽装漁船とは何ですか。昔から尖閣を漁場として営んできたごく普通の漁業者ですよ。偽装漁船って、おたくの国の話でしょう。国民は、この中国外相の発言に対して、茂木外相にびしっと反論してほしかったと強く感じています。
そこで、外相会談ではどんなやり取りがあったのか、なぜ会談の場で反論されなかったのか、茂木外相の御所見を伺います。お立場上、お立場上、大変困難な立場にあるということも理解しておりますし、また、記者発表のルール上、困難なことは分かりますけれども、中国側の主張は主張としても、礼を失する見下した発言に対してはびしっと我が国の名誉を守ってほしいと思っています。
それでは、自民、公明を代表して、ただいま議題となりました日英包括的経済連携協定、日英EPAについて質問いたします。
この協定をここまで早期に締結できたのは、相手をしてタフネゴシエーターと言わしめた茂木外相の手腕によると、これは評価しております。
我が国は、海洋国家として共通の歴史を持つ英国と長い間、関係を強化してきました。英国も、五年前に国家安全保障戦略を公表し、日本をアジアにおける最も緊密な安全保障上のパートナーと位置付けてきました。平成二十九年には日英物品役務相互提供協定、日英ACSAを締結しています。
経済関係でも、今回の日英EPAは、英国のEU離脱後、先進国として初めて結ぶ経済連携協定となります。そして、我が国こそ日EU・EPAやTPP、そしてRCEPという巨大な自由貿易圏の形成に向けての要であり、我が国が主導して保護主義的な流れを食い止める防波堤の構築につなげなければなりません。
そこで、今回の日英EPAの早期発効が持つ大きな意義について、外務大臣の見解を伺います。
貿易投資分野においても、英国と日本は長い間、相互に有益な関係を築いてきました。自動車製品の二国間貿易は昨年、約四千億円。鉄道においても英国の都市間高速鉄道で日本企業が製造した鉄道車両が営業運転されています。
しかし、本年一月三十一日の英国の欧州連合、EU離脱で、日EU・EPAによる優遇的な措置は本年末に切れてしまいます。例えば、本邦企業により生産された鉄道車両を英国に入れるとき、また、英国で生産された自動車を日本に入れる際に現在の優遇関税が適用されなくなります。経過措置失効後も日英両国が日EU・EPAと同等の恩恵を受けるためには、新たな協定を結び、発効させなければなりません。
そこで、今回の日英EPAでは、工業製品分野において、日EU・EPAで獲得していた関税の即時撤廃など、本邦企業が享受してきたメリットはどのように確保されているのでしょうか。経済産業大臣に伺います。
あわせて、本邦企業は英国のEU加盟を前提に生産戦略を練り、構築してきましたから、EU加盟国から工業製品を送る、あるいは英国からEU加盟国に送る際にも現在のメリットが確保される必要があります。英EU・EPAの早期合意と発効についても我が国として全力で支援していく必要があると考えますが、この点について外務大臣に伺います。
農林水産分野では、政府の根気強い交渉により、日本側の関税については、日EU・EPAの水準を超える市場開放は行わない、しっかりと国内産業を守る内容となっています。
英国の関心が高かったブルーチーズでも、関税割当て枠で譲歩していません。仮に譲歩していたとすれば、将来的に英国以外からの追加要求につながりかねませんでした。割当て枠について譲歩しないという方針を貫いたことは、これからの貿易協定交渉においても大きな意義があります。
一方、英国側の関税については、牛肉やお茶、水産物など、我が国の関心の高い品目で日EU・EPA同様、関税撤廃を確保しています。農林水産品の輸出に力を入れている地方では、これまでと変わらないチャンスが期待できます。
そこで、農林水産分野での日英EPAの内容は、日EU・EPAと比較し、我が国の農林水産業に携わる方々にどのような効果と影響をもたらすのか。あわせて、消費者にとってもどのようなメリット、デメリットがあるのか。これらについて農林水産大臣にお伺いいたします。
今回の日英EPAは、日EU・EPAには盛り込まれていなかった規定が追加されているという先進性も特徴です。
例えば、日EU・EPAにはなかった貿易及び女性の経済的エンパワーメントという規定が設けられました。
さらに、昨年十二月に承認された日米デジタル貿易協定と同様、デジタルの世界における保護貿易主義や覇権主義を止めるための先進的かつハイレベルなルールとなっている点も特徴的です。
昨年、我が国は、大阪で開催されたG20で、デジタル経済、特に、データ流通や電子商取引に関する国際的なルール作りを進めていくプロセスとして大阪トラックを立ち上げました。大阪トラック、そして日米デジタル貿易協定、日英EPAという流れで見れば、国際的なルールを作るという我が国の戦略は着実に進んでいると評価いたしております。
そこで、今後、どのように大阪トラックの具体化を引き続き進めていくお考えか、外務大臣に伺います。
英国のEU離脱とともに、英国との大英帝国時代の歴史的なつながりが深い国々が協力関係を築いている英連邦、コモンウェルスの動きについても関心が高まっています。EU離脱後の英国の基本戦略として語られるグローバル・ブリテンの背景にも、五十四か国の加盟国、二十四億人の人口、そして三人に一人が十五歳から二十九歳という若さなど、コモンウェルスへの成長力があります。
平成二十五年九月、私は、南アフリカで開催されたコモンウェルス議会協会総会に、我が国の交流が進むきっかけとなる期待と、コモンウェルス加盟国との更なる関係強化への関心を記した安倍総理の親書を携えて、自費でオブザーバー出席したことがあります。
その際、民主主義と法の支配に立脚した政治制度を基本的価値とするコモンウェルス加盟国の議員との意見交換を通じて、加盟国の中にも日本との関係強化を望む声が数多くあることを知りました。
そこで、今回の日英EPAの発効を機に、我が国は、コモンウェルスが開催する様々な会議等にオブザーバーとして参加することを通じて、経済はもとより福祉や医療の面、また安全保障の面でも加盟国との関係強化を図るべきではないかと考えますが、外務大臣の御見解を伺います。
ここから、日英EPAに関連して、自由貿易協定全般についても伺います。
今月十五日、中国、韓国を含むFTA、自由貿易協定として我が国が初めて結ぶことになるRCEPの署名が行われました。自由化水準が低いという指摘もありますが、内向き志向の懸念の中、世界最大のFTAとして、自由貿易、投資の枠組みが世界に広がる重要な前進となります。
一方、今回の署名では、中国に対して巨額の貿易赤字を抱え、自国産業への悪影響を懸念するインドが参加しておらず、RCEPにおいて人口で六割、名目GDPで五五%、貿易額で四割を占める中国の突出感が強くなっています。
我が国と共通の価値観を共有するインドのRCEPへの加盟は、RCEP内のバランスはもちろん、自由で開かれたインド太平洋の実現のためにも必須だと考えます。
そこで、我が国としては、インドのRCEP加盟に向けて引き続き働きかけと支援を進めるべきと考えますが、外務大臣の見解を伺います。
自由貿易、投資環境の拡充、そして自由で開かれたインド太平洋の実現にとって、TPPも極めて重要な位置付けを持っています。
アジア太平洋という地理的範囲を越えて、英国は、担当大臣が来年初めにTPPに正式加盟を申請したい旨、議会で表明しています。総理も、ボリス・ジョンソン首相との電話会談で歓迎すると発言、翌十月の日英EPAの署名式の際には、日英双方の大臣間で英国の加盟協力に関する書簡を交換しています。タイや台湾を始めとする複数の国・地域も加盟に対して強い関心を示しています。
そこで、我が国の経済発展の基盤である自由貿易投資体制の推進はもちろん、自由で開かれたインド太平洋の実現のためにも、TPPへの加盟拡大に対して戦略的な発想を持って臨んでいくべきと考えますが、外務大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕