萩生田光一の発言 (文部科学委員会)
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○萩生田国務大臣 お昼の時間に恐縮です。
第二百四回国会において各般の課題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し上げます。
まず、先月十三日に福島県沖を震源とする地震で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、新型コロナウイルス感染症により貴い命を落とされた方々に心から哀悼の意を表します。
そして、学校現場における感染症対策に尽力いただいている教職員の皆様、入学試験に臨む若者たちのために万全の対策を講じていただいた関係者の皆様、大学病院において感染症患者の治療に携わっておられる医療スタッフの皆様、スポーツ・文化芸術活動における感染症対策に尽力されている関係者の皆様、さらに感染症対策に貢献し得る研究開発に取り組んでおられる研究者の皆様など、全ての関係者の方々に改めて敬意を表したいと思います。私自身、まさに国の礎とも言える文部科学行政を預かる責任者として、これらの分野の歩みを決して止めてはいけない、そうした決意で取り組みます。
前文部科学副大臣の不適切な行動により、文部科学行政に対する信頼を損ねる事態となりました。国民の皆様におわび申し上げるとともに、今後とも感染症対策を始めとする諸課題にしっかりと取り組み、信頼回復に努めてまいる所存です。
子供たちの知徳体を一体で育む、いわゆる日本型学校教育は、全ての子供たちに一定水準の教育を保障する平等性や全人教育という面で成果を上げ、諸外国からも高い評価を受けています。
他方、情報化の加速度的な進展への対応の遅れなど、近年の社会構造の変化や社会の多様化に現在の学校教育システムが必ずしも対応できていないのではないかとの指摘もあります。こうした指摘にしっかりと向き合い、その克服に努力することが重要であり、教育再生実行会議においても、新たな学びの在り方についての具体的な検討を進めています。
GIGAスクール構想を大幅に前倒しし、本年四月からは全国の児童生徒が一人一台端末環境での学びをスタートします。GIGAスクール元年を迎えるに当たり、民間事業者に対して学校支援に向けた協力を要請しているほか、教育現場に寄り添い、安全、安心な利活用に向けた支援が必要だと考えています。また、約四十年ぶりの改正となる小学校三十五人学級の本年四月からの段階的実施に向けて、令和三年度政府予算案及び関連法案を今国会に提出しているところです。さらには、子供たちの学習、生活の場であり、災害時には避難所となる学校の安全、安心の確保に加え、新しい時代の学びにも対応した施設環境の整備が重要です。
私は文部科学大臣として、こうした改革を何としても前に進め、ICTの活用と少人数学級を車の両輪として、新学習指導要領の着実な実施と相まって、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現のため、令和の日本型学校教育の構築を目指す幕開けの年とすることを強く決意しているところです。
新しい学校教育の実現に向けては、教育の質を支える教師の力が何よりも重要です。
このため、本年一月、私の下に「令和の日本型学校教育」を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部を設置し、当面の取組として、三十五人学級を担う教師の確保や社会人等多様な人材の活用等に関する施策を取りまとめました。まずはこれらの施策をスピード感を持って実施するとともに、今後、教師の人材確保と質向上の両面から、中長期的な実効性のある方策に取り組み、教師の養成、採用、研修等について、基本的な在り方にまで遡って大胆に検討を進めてまいります。
あわせて、児童生徒等に対してわいせつ行為を行った教師への厳正な対応については、いまだ乗り越えられない法制上の課題があり、今国会に法案を提出できる状況には至りませんでしたが、引き続き、考えられる限りの実効性ある手だてを関係省庁とも連携を行いながら講じてまいります。
また、児童生徒の自殺者数が増加している現状を踏まえ、児童生徒の自殺予防の効果的な取組の推進、いじめや不登校への対応にも取り組んでまいります。
学校の働き方改革も重要な課題です。コロナ禍によって過去に例のない対応を余儀なくされている学校現場をしっかり支えながら、この改革をしっかりと前に進めてまいります。学校が大変な職場というイメージを払拭し、教師が再び子供たちの憧れの職業となるよう、私が自ら先頭に立って全力を尽くしてまいります。
本年一月、第一回目となる大学入学共通テストが実施され、感染症対策も含め、おおむね無事に終了することができました。これら令和三年度入試の実施状況や、英語四技能、思考力、判断力、表現力を適切に評価することの重要性を踏まえた上で、今後の大学入試の在り方について、受験生を始めとする国民の皆様に納得いただける制度を目指して、引き続き検討を進め、本年夏前には成案を得てまいります。
大学においては、学びを止めないための工夫としてオンライン授業が大きく広がりました。教育環境のデジタル化の取組は必要ですが、大学教育はオンライン授業だけで完結するものではありません。各大学において、感染拡大の防止策を講じた上で、対面による授業の機会を積極的に検討いただくよう、引き続き働きかけていくとともに、オンライン授業と対面授業の双方の利点を生かした大学教育の在り方についても、教育再生実行会議等における検討を進めてまいります。
我が国の高等教育機関が、人材育成とイノベーション創出の基盤としての使命を果たすことができるよう、改革を進めていく必要があります。先般、大学ファンドの創設に関する法案を御可決いただきましたが、数理、データサイエンス、AIなどの成長分野や分野横断的な教育研究の展開、グローバル化の推進、専門職大学や専修学校における地域のニーズや成長分野等を踏まえた質の高い専門職業人の育成、リカレント教育を含む多様な学生の受入れ、多様で柔軟な教育研究体制の構築、複数の大学の強みや特色を生かした連携協力の推進などについても着実に取組を進めてまいります。
国立大学は、社会変革を先導し、社会や地域から支えられる存在になることが求められています。そうした期待に応えられるよう、令和四年度から始まる第四期中期目標期間に向けて、ガバナンスの見直しや経営の裁量拡大を図るための制度改革を行うため、今国会に法案を提出しているところです。
新型コロナウイルス感染症拡大という状況において、大学病院は我が国の地域医療の最後のとりでとして大変重要な役割を果たしています。引き続き、現状に即した医療による貢献を果たすとともに、今回の経験を踏まえ、感染症分野の高度な知識を身につけた人材養成の強化も図ってまいります。
高等専門学校は、産業界や諸外国から高い評価を受け、これまで我が国の産業界を支える大きな役割を果たしてきました。今後とも、機能の高度化、海外展開と国際化の一体的推進、地域の人材ニーズを踏まえた取組の促進など、その振興に努めてまいります。
また、これらの政策を実現するためにも、国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成など、基盤的経費を安定的に確保した上で、経営力の強化、大学間連携や統合の促進、財政支援のめり張り化などを通じ、強靱な大学への転換を促してまいります。
家庭の経済事情にかかわらず、誰もが質の高い教育を受けられるようにすることは大変重要です。幼児期から高等教育段階まで、切れ目ない形での教育の無償化、負担軽減を着実に実施するとともに、コロナ禍においても学びの機会が奪われることがないよう、必要な支援措置を講じ、その十分な周知に努めてまいります。
また、コロナ禍の影響により意欲や能力のある若者の就職機会が奪われることがないよう、経済界における新卒扱いの柔軟化などに向け、関係省庁で連携して取り組んでまいります。
障害者が一生を通じて自らの可能性を追求できるよう、支援に係る環境の整備が必要です。医療的ケアを含め、特別な支援を必要とする子供が増加している状況を踏まえつつ、福祉部局等と連携した切れ目ない支援体制の構築や特別支援教育の充実を図るとともに、障害者の生涯にわたる多様な学習活動の充実に取り組んでまいります。
子供たちの成長を社会が一体となって支えていけるよう、地域と学校の連携推進、家庭教育の支援などにしっかりと取り組んでまいります。さらに、在外教育施設の機能強化、外国人児童生徒等の就学促進や教育、外国人に対する日本語教育の充実等を進めてまいります。
これらの取組を着実に実現するため、必要な財源を確保しつつ、教育投資の充実に努めてまいります。
我が国の将来にわたる成長と繁栄、そしてSDGsの達成のための要となるのは、科学技術イノベーションです。新たに策定される科学技術・イノベーション基本計画を着実に実行してまいります。また、リーマン・ショック後に研究開発投資が停滞した反省を踏まえつつ、公的投資も含めた科学技術イノベーション活動への力強い支援を行ってまいります。
研究力の抜本的な強化を図るためには、人材、資金、環境に関する施策を総動員する必要があります。特に、研究力向上の鍵である若手研究者への支援の強化が重要です。政府目標である約一万五千人の博士後期課程学生への経済的支援を早期に達成するとともに、優秀な若手研究者へのポストの重点化などに取り組んでまいります。また、大学ファンドについて、詳細な制度設計等を進め、その運用益を活用して世界トップレベルを目指す研究大学の研究基盤の強化に向けた長期的、安定的な支援につなげてまいります。
研究活動におけるニューノーマルを実現するため、研究のデジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。さらに、研究成果の切れ目ない支援の充実や新興・融合領域への取組強化などの研究資金改革、研究設備等の共用促進や研究支援体制の強化などの研究環境改革を、大学改革と一体的に進めてまいります。
持続的なイノベーションの創出には、その源となる学術研究、基礎研究が極めて重要です。科研費や戦略的創造研究推進事業の充実を図るとともに、多様な研究者が挑戦的な研究に腰を据えて取り組めるよう、創発的研究支援事業等を通じた支援を強化してまいります。また、産学官によるアントレプレナーシップ教育の充実や大学発ベンチャーの創出に向けた環境整備、産学官共創によるオープンイノベーションや地域におけるイノベーション創出等を推進するとともに、科学技術の戦略的な国際展開を図ってまいります。
さらに、大学等における技術流出防止の強化と研究成果の創出、育成のバランスを図ることが重要です。現場の研究者が萎縮することのないよう留意しつつ、関係府省と連携して、技術管理を含め、安全、安心の実現に向けて取り組んでまいります。
スーパーコンピューター「富岳」の整備を加速し、今月、共用を開始します。これを研究者のみならず産業界に広く開放し、子供たちにも体験機会を提供するなど、国民共有の財産として誰もが活用しやすい環境を整えてまいります。また、SINET等の基盤整備や次世代放射光施設の整備などを進めてまいります。
さらに、AI、ビッグデータ等の情報科学技術、我が国が強みを持つ再生医療等のライフサイエンス、量子技術、マテリアル、ナノテクノロジー等の研究開発を進めてまいります。二〇五〇年カーボンニュートラルの達成に向けて、革新的な環境・エネルギーに関する研究開発、ITER計画等の核融合研究を推進するとともに、地震、津波、火山、豪雨等の防災・減災に関する研究開発などを進めてまいります。
今後の宇宙開発利用の充実に向けて、アルテミス計画の推進やH3ロケットの開発、新しい日本人宇宙飛行士の募集などに着実に取り組みます。さらに、北極域研究船の建造を含む海洋・極域に関する研究開発、「もんじゅ」の安全、着実かつ計画的廃止措置の実施も含めた原子力に関する取組など、国主導で取り組むべき基幹技術を推進します。
スポーツや文化芸術の関係者は、コロナ禍において甚大な影響を受けつつも、活動の継続に向けて懸命に努力されています。スポーツ、文化芸術を通じた希望の灯が我々の前に光り輝き続けるよう、活動の再開、継続、発展に向けた支援の強化に努めてまいります。
スポーツには、体を動かし楽しむだけでなく、見る人々を夢中にさせ感動させる力があります。
まずは夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を安全、安心に開催するため、文部科学省としても全力で取り組んでまいります。
国際競技大会における日本代表選手の活躍は、国民に夢と希望を与えるものです。東京大会はもとより、その先も見据えて、トップアスリートが強化活動に専念できるよう、感染症対策の徹底とともに、競技力強化に係る支援に加え、東京大会のレガシーの継承、発展、更なるスポーツの振興に取り組んでまいります。
また、スポーツ活動が公正かつ適切に実施されるよう、スポーツ団体に対し、ガバナンスコードの遵守を促すことを通じ、スポーツインテグリティーの確保やスポーツを通じた女性の活躍促進に努めてまいります。
そして、第三期スポーツ基本計画の策定に向けた検討を進め、全ての人々がスポーツを、する、見る、支える機会を確保することを通じ、スポーツ立国の実現を目指します。
文化芸術は、国民の心を豊かにするだけでなく、経済活動においても新たな需要や高い付加価値を生み出す源泉となるものです。文化芸術推進基本計画等に基づき、関係府省との連携を深め、文化芸術立国の実現に努めてまいる所存です。
コロナ禍における文化芸術活動の再開、継続、発展のための支援はもとより、無形文化財等の保護制度を整備するための法案を今国会に提出しているほか、デジタル化に対応した著作権制度の見直しのための法案を提出いたします。さらには、子供たちが本物の文化芸術公演を鑑賞できる機会の充実に取り組んでまいります。また、文化財の修理、整備、防火・耐震対策等も着実に進めてまいります。
そして、我が国の文化芸術を世界へ発信するとともに、その基盤を整備するため、日本博の強力な推進、日本遺産等の文化観光拠点・地域の整備や、文化施設の機能強化等に取り組み、伝統文化から現代芸術、ポップカルチャーまで、幅広い文化芸術による国づくりを推進してまいります。
また、文化庁においては、令和四年度中の京都における本格的な業務開始を目指し、着実に準備を進めてまいります。
間もなく東日本大震災から十年を迎えます。復興の総仕上げに向けて、今後も引き続き、就学支援や心のケア、学校再開への支援を始め、復興を支える人材育成、学校施設や文化財の復旧など、被災者に寄り添った復興に取り組みます。また、廃炉に関する研究開発や人材育成、原子力損害賠償にも着実に取り組んでまいります。
限られた時間の中で全ての課題をお示しすることはかないませんが、これまで本委員会でお約束してきた取組については、私自身が先頭に立って、確実に実施してまいる所存です。国民のために働く菅内閣の一員として、国家百年の計に立って、人づくりを始めとした文部科学行政における諸課題の解決に向け、国民に寄り添いながら、果敢に取組を進めてまいります。
引き続き、関係各位の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。