志位和夫の発言 (本会議)

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○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、菅総理に質問します。(拍手)
 冒頭、新型コロナ感染症によって亡くなられた方々に衷心よりお悔やみを申し上げるとともに、闘病中の方々に心からのお見舞いを申し上げます。困難な状況下で奮闘されている医療・介護従事者の方々に深い感謝を表明するものです。
 全国各地で新型コロナの爆発的感染が起こり、医療崩壊が始まっています。まず総理に伺いたいのは、こうした事態を招いた責任をどう自覚しているかということです。
 総理は、これまで、検査を増やして感染を抑えるという感染症対策の鉄則を実行することを怠ってきました。反対に、GoTo事業に最後までしがみつき、全国にウイルスを広げてしまいました。その責任は極めて重いと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。
 総理は、緊急事態宣言の発令に際して、飲食店への時間短縮要請など四つの対策を呼びかけましたが、そのどれもが国民に対して努力を求めるものとなっています。その一つ一つは必要なものだと考えますが、それでは、政府として感染抑止のためにどのような積極的方策を取るのか、それが全く見えません。私は、ここに政府の対応の深刻な問題点があると考えます。
 今、政府は何をなすべきか。私は、三つの緊急提案を行うものです。
 第一は、PCR等検査を抜本的に拡充し、無症状者を含めた感染者を把握、保護することによって、新規感染者を減らすことです。
 新型コロナの厄介な特徴は、無症状感染者が知らず知らずのうちに感染を広げてしまうことにあります。ところが、政府は、検査によって無症状感染者を把握、保護するという積極的検査戦略を一貫して持ってきませんでした。
 本庶佑氏、山中伸弥氏らノーベル医学・生理学賞を受賞した四氏は、一月八日、声明を発表し、PCR検査能力の大幅な拡充と無症候感染者の隔離を強化することを提言しています。本庶氏は、現在の最大の問題は無症候感染者だと強調し、日本の検査数が国際的に見ていまだに少ない、感染者の早期発見と隔離は医学の教科書に書いてある、なぜ厚労省が教科書に書いてあることをしないのか理解に苦しむと述べました。さらに、一日二千検体を処理できる完全自動のPCR検査機器を搭載したコンテナトレーラーが開発されていることも紹介し、なぜやらないのかと厳しく指摘しました。
 総理、この指摘をどう受け止めますか。政府として、無症状感染者を把握、保護する積極的検査戦略を持ち、実行すべきではありませんか。答弁を求めます。
 一月十四日、広島県は、広島市の特に感染者が多い地域、中区、東区、南区、西区の全ての住民と就業者約八十万人を対象に、希望者に無料でPCR検査を実施する計画を発表しました。湯崎英彦県知事は、集中的にPCR検査を実施することで感染者を早期に発見して感染拡大を未然に防ぐと述べています。
 総理、こうした自治体の取組を政府は全面的に支援すべきではありませんか。政府として、感染者が集中している地域に対して、住民と就業者全員を対象にした大規模検査を実施して、感染抑止を図る戦略を持つべきではありませんか。答弁を求めます。
 医療機関と高齢者施設等の職員や入院、入所者に対する一斉、定期的なPCR検査、社会的検査は、これらの施設で集団感染が多発し、多くの人々の命を奪っている下で急務となっています。
 東京・世田谷区を始め、全国各地の自治体で社会的検査が始まっています。政府も、社会的検査の重要性を否定できなくなり、事務連絡などで自治体に実施を促しています。しかし、費用の半分は自治体持ち、後から交付するという問題点の是正に背を向け続けており、自治体が検査拡大にちゅうちょする大きな要因となっています。
 私は、総理に訴えたい。この期に及んで予算を出し惜しんでどうするか。自治体がちゅうちょなく社会的検査に取り組めるように、初めから全額国費で社会的検査を行う仕組みをつくり、医療機関と高齢者施設を守るべきではありませんか。答弁を求めます。
 陽性者を保護する取組が深刻な遅れを来しています。
 現在、陽性者のうち、病院にも宿泊療養施設にも入れず、自宅で不安の下に置かれている人が、直近の政府発表でも、全体の六四%、四万一千人に上っています。自宅で容体が急変し、亡くなる方が後を絶たないのは、政治の重大な責任であります。
 自宅療養による家庭内感染を止めるためにも、政府として、宿泊療養施設を大規模に借り上げ、潜在的な看護師の募集も含め、スタッフを確保し、容体管理に万全を期し、陽性者を保護する取組に全力を挙げることを強く求めるものです。答弁を求めます。
 第二は、医療機関と医療従事者、保健所への支援を抜本的に拡充することです。
 全国各地で医療体制が逼迫、崩壊し、医療従事者の疲弊は極限に達しています。
 ところが、政府は、医療機関に対する減収補填を一貫して拒否してきました。その結果、現場はどうなっているか。日本医労連の調査では、医療機関の四〇%余りで冬のボーナスが引き下げられています。日本看護協会は、看護師や准看護師の離職のあった病院が一五・四%に上るという調査結果を発表しました。使命感だけで働き続けることはできない、総理は医療現場の痛切なこの声にどう応えますか。
 総理は、医療機関を支援すると言いますが、その中身は、コロナ患者に対応する医療機関の一部の病棟などに対象を絞った、スポットの支援でしかありません。コロナに対応する医療体制を確保しながら通常医療の体制を維持するためには、地域の医療体制全体への支援が必要です。
 総理、全ての医療機関に対して、直ちに減収補填を始め十分な財政支援を行うべきではありませんか。あわせて、野党が共同して求めているように、医療、介護の現場で働く人たちに新たな慰労金を支給すべきではありませんか。答弁を求めます。
 感染急拡大の下、保健所がパンク状態となり、濃厚接触者の追跡、入院先や宿泊療養先の調整に十分対応できないという事態に陥っています。東京都墨田区の保健所のように、濃厚接触者の追跡体制を八倍に増やして感染抑止に懸命の努力を続けている保健所もありますが、この問題は自治体任せでは解決しません。
 総理、政府として、保健所の臨時的な人員強化に全力を挙げるとともに、抜本的な定員増に踏み切るべきではありませんか。答弁を求めます。
 政府が、この期に及んで、地域医療構想に基づいて、全国四百を超える公立・公的病院の統廃合計画をやめようとしないのは、極めて重大です。
 総理、今、コロナ患者の多くを受け入れ、対策の中軸を担っているのは公立・公的病院ではありませんか。統廃合計画を撤回し、地域の公的医療体制を維持拡充する政策に転換するべきではありませんか。しかとお答えください。
 第三は、自粛要請と一体に十分な補償を行い、コロナから雇用と営業を守る大規模な支援策を実行することであります。
 緊急事態宣言に際しての政府の支援は、営業時間の短縮を要請する飲食店への一日最大六万円の協力金、飲食店の取引先への四十万円の一時金だけとなっています。
 一日最大六万円という一律の協力金、一回きりの四十万円では、多くの事業者は到底立ち行きません。ヨーロッパで行われているように、事業規模に応じて、事業が続けられる補償が必要ではありませんか。納入業者、生産者など、直接間接に影響を受ける全ての事業者を対象に、十分な補償を行うべきではありませんか。
 感染抑止を実効あるものにする上でも、十分な補償をセットで行うことが何よりも大切だと考えますが、総理の認識を問うものであります。
 政府が提出した第三次補正予算案は、コロナ収束を前提としたものであり、感染急拡大という新たな局面に全く対応していません。
 総理、緊急事態宣言で自粛を呼びかけながら、中小業者の命綱とされてきた持続化給付金、家賃支援給付金を一回限りで打ち切るというのは、一体どういうことですか。打切りを撤回し、第二弾を支給すべきではありませんか。
 感染を拡大したGoTo事業に一兆円を超える予算をつけているのは、失敗から何も学ばないものではありませんか。GoTo事業はきっぱり中止し、宿泊、観光産業に対する直接支援の制度に切り替えるべきではありませんか。
 仕事や収入を失った生活困窮者に、まず現金を渡し、所得が少ないことを届け出れば給付に切り替える、新たな制度をつくることを提案します。
 以上の諸点について答弁を求めます。
 我が党は、他の野党の方々と協力して、第三次補正予算案の抜本的組替えを提起して、闘うものであります。
 菅政権は、七十五歳以上の三百七十万人を対象に、医療費の窓口負担を一割から二割に引き上げる方針を決めました。
 現行の一割でも、窓口負担を苦にした受診控えで手遅れになる方が後を絶ちません。そこに、コロナによる受診控えも重なり、高齢者の命と健康を脅かす深刻な事態が進んでいます。
 総理、こうしたときに受診控えに追い打ちをかけるような負担増を押しつけるのは、まさに血も涙もない、冷酷な政治と言うほかないではありませんか。負担増はきっぱり撤回すべきです。現役世代の負担軽減を言うなら、後期高齢者医療制度を導入した際に政府が減らした国庫負担を元に戻すべきではありませんか。答弁を求めます。
 新型コロナ危機の下、世界の五十を超える国と地域が消費税減税に踏み切っています。消費税減税は、コロナで生活に困窮している人、営業に苦しむ中小・小規模事業者にとって、最も効果的な支援策となります。
 日本共産党は、消費税五%への減税に踏み切ることを強く求めます。コロナ危機の下、大幅に資産を殖やしている富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税を減税することは、税の公正にとっても当然の方向ではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
 政府・与党は、新型コロナ対応の特別措置法や感染症法の改定で、時短要請に応じない飲食店、入院勧告に従わない患者、患者受入れ勧告に従わない病院などに対して罰則と制裁を導入しようとしていますが、日本共産党は、こうした動きに断固反対であります。
 感染症対策は、何よりも、国民の納得と合意、十分な補償、そして社会的連帯によって進められるべきではないでしょうか。患者の人権を尊重することは、強制収容という著しい人権侵害が行われたハンセン病などの痛苦の教訓を踏まえて、感染症法に基本理念として明記されていることです。国内百三十六の医学系学会が結集した日本医学会連合がこの点を指摘し罰則導入に反対していることに、耳を傾けるべきではありませんか。
 総理、罰則を振りかざして強制することは、相互監視、差別と偏見、社会の分断を招き、感染症対策に逆行すると考えますが、いかがですか。総理の見解を問うものです。
 総理は、施政方針演説で、今年の夏の東京オリンピック・パラリンピックを人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして開催すると述べました。
 しかし、コロナ危機の拡大の下、世論調査でも、中止、再延期を求める声は既に八割を超えています。総理は、一体何を根拠に夏の東京五輪の開催が可能だというんですか。説明いただきたい。
 我が党は、夏の東京五輪の開催は、幾つもの重大な問題点があると考えます。
 第一に、一部の国でワクチン接種が始まったものの、集団免疫については、WHOの主任科学者は、二〇二一年中に達成することはあり得ない、幾つかの国ではできるかもしれないが、世界全体の人が守られる水準になることはないと述べています。ワクチンを頼りに開催を展望することはできないのではありませんか。
 第二に、アスリートが最も強く願っているフェアな大会という点でも、各国の感染状況の違いによってアスリートの置かれている練習などの環境に大きな格差があり、ワクチンの接種でも先進国と途上国の間で格差が生じています。アスリートファーストという立場からも、開催できる条件がないのではありませんか。
 第三に、五輪開催期間中に必要とされる医療従事者は、熱中症対策だけでも五千人とされています。これにPCR検査などコロナ対策を加えたら、それをはるかに上回る医療従事者が必要となるでしょう。半年後に多数の医療従事者を医療現場から引き離して五輪に振り向けることは、とても現実的ではないのではありませんか。
 総理は、これらの問題点をどう考えますか。
 日本共産党は、これらの問題点を考慮するならば、今年夏の五輪開催は中止し、日本と世界のあらゆる力をコロナ収束に集中するべきだと考えるものであります。
 総理に求めたい。開催国の政府として、五輪開催ありきでなく、ここで立ち止まって、ゼロベースから開催の是非を再検討し、東京都、組織委員会、IOCなどとの協議を開始すべきではありませんか。答弁を求めます。
 最後に、コロナ対策を進める上で何よりも大切なのは、政治リーダーに対する信頼であります。
 総理、桜を見る会問題で一年間もこの国会にうそをつき続けてきた、吉川元農水大臣らの深刻な贈収賄事件に一言の説明もない、日本学術会議への任命拒否について理由を一切説明しない、こういう政治リーダーが国民の信頼を得られるとお考えですか。
 政治の信頼を回復する上でも、安倍前首相、吉川元農水大臣の証人喚問を始め、真相究明に責任を持つべきです。違憲、違法の任命拒否は撤回すべきであります。
 総理の答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

発言情報

speech_id: 120405254X00320210121_007

発言者: 志位和夫

speaker_id: 1300

日付: 2021-01-21

院: 衆議院

会議名: 本会議