塩川鉄也の発言 (本会議)
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○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、政府提出のコロナ対応の特別措置法、感染症法、検疫法改正案について質問します。(拍手)
新型コロナ感染症の拡大を抑え込むために必要なことは、罰則を導入することではありません。正当な補償を明確にする法改正を行うことです。
菅総理、あなたが、年末、十二月二十五日の記者会見で、給付と罰則をセットにした特措法改正の方針を明らかにしたことが本案提出の出発点になっており、その責任は重大です。なぜ、罰則を持ち出したのですか。
入院できずに亡くなられる方が出ている現状で、入院拒否に罰則をかけるという発想に問題があります。
政府は、予算委員会で、入院拒否の事例について、網羅的に把握していないと答弁しましたが、いまだに把握をしていないのですか。入院拒否で感染拡大した科学的証左を示してください。そもそも、罰則導入の立法事実がないのではありませんか。
世論の反対に押されて、自民党は刑事罰の撤回に合意しました。しかし、刑事罰であっても行政罰であっても、罰則を導入することは感染抑止に逆行し、重大な困難をもたらします。
罰則導入の本法案に、公衆衛生の専門家団体、薬害被害者、障害者団体、法律家など、多くの関係者が反対の声を上げています。
日本公衆衛生学会、日本疫学会は、このように述べています。
「刑事罰・罰則が科されることを恐れるあまり、検査結果を隠す、ないし検査を受けなくなれば感染状況が把握しにくくなり、かえって感染コントロールが困難になることが想定されます。」「罰則を伴う強制は国民に恐怖や不安・差別を惹起することにもつながり、感染症対策を始めとするすべての公衆衛生施策において不可欠な、国民の主体的で積極的な参加と協力を得ることを著しく妨げる恐れがあります。」
さらに、現場で奮闘されている全国保健所長会からも意見が出されています。
「保健所は住民に寄り添い、住民の健康と命を守る使命をもって業務を行っているが、もし罰則を振りかざした脅しを行うことにより住民の私権を制限することになればアンビバレンスと言わざるを得ず、職員の気概も失われ、住民からの信頼関係を築くことは困難になり、住民目線の支援に支障をきたす恐れがある。」
感染コントロールが困難になる、国民の恐怖、不安、差別を助長する、国民の参加、協力を得にくくなる、保健所業務に支障を来す、このような意見を菅総理はどう受け止めているのですか。
さらに、法案提出の前提である厚生科学審議会感染症部会でも、保健所の所長は、罰則導入が知事会の要望だと言うが、保健所から知事に対し要望を上げてくれと言ったわけではないと述べています。
菅総理は、専門家の意見を聞くと何度も述べていますが、法案が感染防止に逆行するという声をなぜ正面から受け止めないのですか。
さらに、日本医学会連合は、次のように述べています。
「かつて結核・ハンセン病では患者・感染者の強制収容が法的になされ、蔓延防止の名目のもと、科学的根拠が乏しいにもかかわらず、著しい人権侵害が行われてきました。」「現行の感染症法は、この歴史的反省のうえに成立した経緯があることを深く認識する必要があります。」
菅総理は、この歴史的反省をどのように認識しているのですか。
このような罰則導入は、コロナに感染したり感染対策で営業が困難になるなど不利益を被る国民を犯罪者扱いするものです。これは、国民に責任を転嫁し、国が行うべき補償を免れようとするものではありませんか。
さらに、医療機関に対し、ベッドの協力勧告に応じない場合、公表という制裁を加えるという規定は削除すべきです。減収補填など、医療機関、医療従事者への財政的、人的支援に全力を挙げてこそ、協力が得られるのではありませんか。
今、入院したくても入院できない事態、自宅で亡くなる方が増えています。この現状を放置したまま、自宅療養を法的に位置づけて求めることは間違っています。公衆衛生、医療提供体制の整備のために、国は全力を挙げるべきです。
次に、新型インフル特措法における恣意的な運用拡大の問題です。
現行法においても、政府対策本部の設置や緊急事態宣言の発出の発動要件や私権制限措置は曖昧で、恣意的な運用が問題となってきました。それなのに、緊急事態宣言の前に実施するという蔓延防止等重点措置は、肝腎なところは政令で定め、国会への報告もないなど、国や自治体の裁量の余地が大きく、恣意的な運用が懸念されます。蔓延防止等重点措置の創設は認められません。
また、法案は、指定感染症を特措法の対象に含めることとし、政府が決めれば法改正なしに今後新たに発生するものも特措法の枠組みが使えるようにしています。私権制限を含む特措法の改正は、本来、慎重な審議が必要なものであり、対象の追加は新型コロナ感染症に限定をすべきではありませんか。
最後に、営業しなければ暮らしが成り立たない事業者に対して、まともな補償もせずに罰則を科すなど、断じて認められません。
営業規制に応じた事業者に対して事業規模に応じて事業が続けられる補償、入院や宿泊療養などの要請に伴う不利益を被る個人に対して補償を行うことなど、正当な補償を明記することを求め、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕