森田俊和の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○森田俊和君 立憲民主党の森田俊和でございます。
会派を代表いたしまして、ただいま提案のありましたデジタル関連法案につきまして質問をいたします。(拍手)
この法案ですが、大変驚きました。法案の要綱を含めた関係資料で、先ほど大臣の方からも発言がございましたが、二十八か所の間違いがあったということです。これから国民の皆様の、詳細にわたる、かつプライベートも含めた個人情報を扱うシステムを組んで、セキュリティーを万全にしてやっていこうというところで、このような初歩的なミスが出てきてしまっている。この法案に臨む政府の姿勢は一体どんなものなのかと心配になってしまいます。
ちなみに、この間違いのことについては、内閣委員会の会派の筆頭理事もまだ説明を聞いておりません。この法案審議に臨む決意と覚悟をお示しいただけないことには、とても不安で、このまま委員会審議に臨める状況ではないということを申し上げざるを得ません。
今回の法案では、国民の皆様に、新しいシステムのことであったり、個人情報の扱いであったり、いろいろなことについて御理解、御協力をお願いしていかなければなりません。自分の個人情報を誰かに委ねるというのは、大きな判断です。信頼がなければ、自分の個人情報を委ねることはできません。
お隣の台湾でデジタル担当閣僚を務め、ITの起業家でもあるオードリー・タン氏は、社会のデジタル化を進めていく際には、政府と国民との信頼関係が不可欠だと言っています。そのとおりだと思います。
現在の日本の状況はいかがでしょうか。このところの総務省と東北新社やNTTに関するニュースを見ておりますと、国民の皆様は、果たして、政府を信頼して個人情報を預けてよいとお考えになるでしょうか。
今回の接待の問題では、接待そのものが倫理に反するということに加えて、放送電波の割当ての判断への影響もあり、さらに、放送法違反、外資規制の問題もあります。外国の個人、法人などが株式の二〇%以上を持つ事業者は放送を行えないと規定されておりますが、東北新社がBSの認定を受けた二〇一七年において、外資比率は二一・二三%でしたが、認定は取り消されておりません。
ただでさえこのような重大な問題を総務省が抱えていることに加え、そこに総理の御親族が関わっていたとなれば、これは、総務省だけでなく、政府そのものに対して国民の皆様が不信感を抱くことになります。
今後デジタル関係の政策を進めていくに当たって、政府への信頼をどのように築いていくか。まず、国民の皆様に、これまで起こったことを明らかにし、御理解いただくことが、信頼への第一歩だと考えます。
そこで、総理に伺います。
総務省あるいは政府に対する国民の皆様から信頼を得るために、今後どのようにこの総務省と東北新社をめぐる問題に対処するお考えでしょうか。
総務大臣にも伺います。
東北新社から接待を受けたこと、総理の御親族が関係していたことが、放送電波を割り当てる際に、全く影響がなかったでしょうか。また、外資規制に反していることを見逃したことについても、全く影響がなかったでしょうか。お聞かせください。
本論に入ります。
まず、総理にお伺いしたいのは、デジタル社会によってどんな国を目指すのかということです。デジタルはあくまで手段です。デジタルによって、どこが変わるのか、どこが変わらないのか、目指すべき在り方を明確にしておく必要があります。
私は、私的な仕事で、介護の仕事に携わっております。どこの介護事業所でもそうだと思いますが、人手が不足しておりまして、スタッフも五十代、六十代、七十代と年齢層も高めです。病気で手術をしたり、あるいは長期療養をしたりで、休むことも多くあります。常にぎりぎりの人数で回しているという状況です。
これが、ICT機器の導入で、例えば、体温や血圧などの数値、食事や排せつの量や回数、睡眠時間等の記録を自動で行えるようになって、少しでもスタッフの負担が減ればよいなと思います。
大事なのは、記録の負担が減ったらどうするかということです。省力化できたと人手を減らすのも一つの方向ですが、果たしてそれは御利用者の皆様の満足につながるでしょうか。幸せにつながるでしょうか。私が思っておりますのは、御利用者の方の話を聞く時間を増やしたいということです。そばにいる時間を増やしたいということです。
寂しい思いをしていらっしゃる御高齢の方が、今の世の中にはたくさんいらっしゃいます。ああ、この職員さんが私の話を聞いてくれた、私のそばにいてくれた、ここは私がいていい場所なんだと少しでも温かい気持ちを感じていただくことができれば、デジタルが、ICTが人間の幸せにつながったと言うことができます。
デジタル化により、手間が省けました、職員を減らして経費を削減できましたということで終わってしまっては、法案に書いてあるような、国民の幸福な生活の実現にはつながらないでしょう。
デジタル化により、例えば、今まで市役所の窓口で入力や手続にかかっていた時間を節約することができた、そして、できた時間を困っている住民の皆様の話を聞くことに充てることができた、たらい回しにせず、親身になって話を聞き、対応する時間が持てるようになった、こういうことができるならば、温かい行政サービスが実現し、国民の皆様の幸せにつながります。
AIやICTの導入によりいろいろな仕事がなくなるということも言われておりますが、私は、最後に残る仕事は、人が人に寄り添うことだと思っています。誰かが誰かのそばにいること、誰かが誰かの話を聞いてあげられることが、私たち人間の幸せの大きな部分を占めております。AIやICTの導入によって、人間が人間であることの価値がより明確になると私は思っています。介護でも行政でも、人が人に寄り添うことの大切さは変わりません。
そこで、お伺いします。
総理は、デジタル化によってどんな国の在り方をイメージしていらっしゃるでしょうか。デジタル化により、私たちはどんな幸せを手にすることができるのでしょうか。具体的な事例を含めて、デジタル化により目指すべき国の形をお示しいただきたいと思います。
次に、デジタル弱者について伺います。
昨年の新型コロナウイルス対策の支援制度で、持続化給付金がございました。これは、オンラインのみで申請を行うということで、多くの事業者の方から諦めや嘆きの声を聞きました。特に、御高齢の事業者の方には、パソコン、インターネットと聞いた時点で、ああ、無理無理、俺には分かんねえとなってしまう方が大勢いらっしゃいました。一方で、飲食店への時短協力金は、オンラインと郵送、どちらもオーケーとなりましたので、ああ、郵送でもいいんだねと大きな安心感を持って受け止めていただくことができました。
これは、技術が発展途上であることを示しております。成熟した技術は使う人を選びません。最終的には、ICTなどの機器も、誰でも迷うことなく使いこなせるということが目標になります。しかし、技術は突然成熟するわけではありません。その途中では、デジタルとアナログを併用する必要があります。
デジタルに関係する技術は、当然のことながら、デジタルに明るい人が開発しています。そこにはデジタル弱者の視点が入っていないということが多々ございます。
そこで、総理にお伺いします。
特に、新しいデジタル技術や機器の導入当初の時期には、こうした技術や機器に不慣れな方のことを常に考え、今までの技術ややり方を併用させ、配慮をすべきと考えますが、政府としてのお考えをお聞かせください。
続いて、デジタル庁の設置によって何ができるようになるのか、総理にお伺いいたします。
関係行政機関の長に対する勧告権を持つ、あるいは関係予算の一括計上を行うということは法案に書いてありますが、こういう新しいことができる、あるいは、こういうところがよくなるという具体的なメリットをお聞かせください。
次に、国の情報システムについて伺います。
新型コロナウイルス対策において、接触確認アプリCOCOAでは、アンドロイドでうまく動かないという不具合があり、さらにはそれが四か月間放置されるという二重に信じられない事態が起きました。ここまではいかないにしても、どんなに綿密な準備をしたシステムにも、必ず不具合あるいは使いづらいということが起こります。
国の情報システムにおいても、自治体や国民の皆様から、特に導入初期には多くの苦情や改善提案がなされると思います。こうした改めるべき点をどのような仕組みで受け止め、そしてどのような仕組みでシステム改修につなげていくお考えでしょうか。デジタル大臣の御所見をお伺いいたします。
また、これに関連して、特に地方公共団体情報システムについて総務大臣に伺いますが、情報システムの標準化を図る対象として、児童手当、生活保護などが含まれています。自治体によっては、独自の支援を加えている事例も多々あります。現在は独自のシステムを使ってこうした手続を行っている自治体が国のシステムをどの程度カスタマイズできるのか、お聞かせください。
続いて、情報漏えいについてお尋ねいたします。
ハッカーなどがシステム外部から侵入するというリスクに加え、ふだん使用している関係者自らが悪意を持ったり、あるいは悪意を持った外部の者から買収されたりして、情報を漏えいしてしまうという事態も想定されます。また、特に、今回は、デジタル庁を創設し、外部からの人材を多く採用すると伺っております。民間の人材を活用するということ自体は否定しませんが、情報管理という意味からは、かなりの注意を払う必要があります。
マイナンバーが広く活用されるようになると、資産や健康状態、携帯や買物の履歴を通じて、趣味や移動、交友関係など、ありとあらゆる情報が流出してしまいます。こうした情報漏えいに対して、どのように予防し、また、漏えいしてしまった事案に対処するお考えでしょうか。
デジタル庁の民間人材確保と情報管理をどう行っていくかということも含めて、デジタル大臣、御答弁をお願いいたします。
デジタル社会は政治の在り方も大きく変えつつあります。
情報伝達においては、マスメディアに加え、SNS、ユーチューブなどが大きな地位を占めるようになりました。個人が簡単に情報発信し、双方向のやり取りもできる時代となりました。
近代民主政治においては、一々民意の集約ができないという想定で、代表者である議員を選び、議会で様々な決定をしてきたわけですが、現在では、国レベルでも、直接民主制、つまり有権者全員の投票で政策を決定するということが技術的には容易になってきています。
自分の一票が国や地域の政策を決めていると有権者の皆様一人一人が思える仕組みをつくることは、民主主義において大きな意義を持っています。
そのような中で、議員は、様々な情報や意見のやり取りを通じて、有権者の意見集約、合意形成を促し、直接民主制を支える役割も果たしていくべきと考えます。
五十年後、百年後を描くのが私たち政治家の大きな仕事の一つです。デジタル社会における政治や議員の将来のあるべき姿、理想像について、最後に総理の御所見をお伺いし、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕