塩川鉄也の発言 (本会議)
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○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、デジタル改革関連五法案について、菅総理に質問します。(拍手)
第一に、デジタル改革と行政サービスの問題です。
菅総理は、行政のデジタル化で住民サービスの向上を徹底すると述べました。しかし、このコロナ禍で露呈したのは、デジタル申請のみとした持続化給付金や家賃支援給付金、文化芸術継続支援金などで支援を受けられない事業者を多数生じさせたことです。
また、この間、自治体を含め、デジタル化を口実にし、窓口の減少や紙の手続の取りやめ、対面サービスを後退させる事例が相次いでいます。
行政サービスの向上のためには、迅速、簡便な手続としてデジタル化を生かすとともに、住民の多様で多面的な行政ニーズに応える対面サービスの拡充を図ることこそ、住民の選択肢を増やし、利便性の向上につながるのではありませんか。
基本法案は、国、自治体の情報システムの集約、共同化を推進するとしています。
政府は、五年後の二〇二五年度末までに、自治体の業務システムの統一、標準化を目指すとし、全国規模のガバメントクラウドを立ち上げ、クラウド移行などを容易にするための自治体の業務の標準化、特に、住民基本台帳や地方税などの主要な十七業務の標準化を推進するとしています。
システムの統一、すなわち集約、共同化は、自治体の業務内容を国のシステムに合わせていくという問題を引き起こします。
現に、自治体クラウドを利用しているある町では、三人目の子供の国保税免除をとの要望に対し、町長が、自治体クラウドを採用しており、町独自のシステムのカスタマイズ、仕様の変更はできないと答弁をしています。財政的にも人材の面からも、実質的にカスタマイズできなければ、自治体独自のサービスの抑制につながるのではありませんか。
自治体業務は、自治体ごとに多様であり、住民ニーズも異なります。それなのに、国主導のシステムの集約、共同化によって、国が作った鋳型に過不足なく当てはまるものしか認められず、自治体を国の端末に変質させるものになるのではありませんか。自治体の自立性を失わせ、地方自治の侵害は認められません。
第二に、何のためのデジタル改革なのかという問題です。
基本法案は、AIやクラウドなどを利用し、個人データなどを活用する社会にしようというものです。
政府は、データが競争力の源泉であり、国、地方の行政機関が最大のデータホルダーであるとして、行政のデジタル化の重要性を述べています。
データ利活用の手段となるのが、国、自治体のシステムの集約、共同化とマイナンバー制度の拡大です。
基本法案では、マイナンバーの利用の範囲の拡大を明記しています。
これまで政府は、マイナンバー制度の利用範囲を税、社会保障、災害の三分野に限定し、分散管理で情報漏えいを防ぐことで、国による国民の情報の一元管理は行わない、国民総背番号制ではないとしてきました。整合性が取れないのではありませんか。
整備法案では、税理士や医療、介護、社会福祉などの国家資格の保有者を手始めに、マイナンバーでの情報管理を進めるとしています。口座ひもづけ二法案では、本人同意が必要とはいえ、年金や児童手当などの受給者を手始めに、国が資産状況を把握し、税務調査などに使えるようにしています。
また、政府のマイナポータルの入口の鍵機能を持つマイナンバーカードの普及を急務としています。これは、マイナポータルを通じて、国に、個人の所得、資産、医療、教育などあらゆる分野を丸ごとスキャンし、膨大なデータを集積しようとしているのではありませんか。
集積された個人データはどのように活用されるのですか。本人にとって不利益となる利活用が行われないと言えますか。
重大なことは、基本法案の基本理念に、個人情報保護の文言がないことです。
現在のデジタル社会では、国家や企業などに集積された個人データが、本人の知らないところでやり取りされ、プロファイリングやスコアリングされ、本人に不利益な使い方をされる懸念があります。一昨年のリクナビ問題のように、プロファイリングなどが個人の人生に大きな影響を与える事態を引き起こしています。
個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきであり、プライバシー権は、憲法が保障する基本的人権です。忘れられる権利や情報の自己コントロール権を保障する仕組みにしていくことこそ求められているのではありませんか。
なぜ、基本理念に個人情報保護を入れないのですか。個人データの利活用を優先し、プライバシー権など人権保障を軽んじることになりませんか。国家による個人情報の集積が監視社会につながるのではないかという国民の不安にどう応えますか。
さらに、個人情報の利活用、流通が進まない原因だとして、整備法案では、民間、行政機関などに分かれていた個人情報保護法制の統合、さらに、先進的な規制を先行させてきた自治体独自の個人情報保護条例を一元化しようとしています。
自治体独自の基準の引下げで、プライバシー保護の後退、条例制定権を侵害する地方自治への介入になりはしませんか。
最後に、デジタル庁についてです。
設置法案は、政府全体のデジタル化に関する重要な基本方針を策定し、各行政機関に勧告するという強力な権限を持ち、データの利活用を推進する司令塔として、デジタル庁を位置づけています。国の省庁にとどまらず、補助金を出している自治体、医療機関、教育機関といった準公共部門に対しても、予算配分やシステムの運用について口を挟むことができるようになります。このような強い権限は、自治体や大学などの自主性を損なうものではありませんか。
また、デジタル庁は、民間企業の人材を多数登用するとしています。しかし、内閣官房IT総合戦略室では、民間企業在籍者がその身分のまま非常勤職員として勤務をしていること、デジタル関連の委託事業において随意契約などが横行し、不透明な契約であることが問題となってきました。デジタル庁に民間企業在籍者を登用すれば、特定企業に都合のよいルール作りや予算執行が行われるのではありませんか。
今、大問題となっている、総務省、農水省違法接待から始まる官民癒着と利権構造の全容解明こそ行うべきではありませんか。
以上、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕