篠原豪の発言 (本会議)

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○篠原豪君 立憲民主党の篠原豪です。
 会派を代表し、在日米軍駐留経費負担に係る特別協定についてお伺いいたします。(拍手)
 昨日、東日本大震災、原発事故から十年の節目を迎えました。
 改めて、犠牲となられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
 今日から、復興の新たなる十年が始まります。我々は、被災者の皆様、被災地の皆様に寄り添い、風化させることなく、真の復興、被災地の復旧へ向け、全力を挙げてまいります。
 冒頭、武田総務大臣にお伺いいたします。
 ただいま菅政権の信頼を著しく失墜させているのが、総務省違法接待問題です。この問題について真摯に向き合う武田大臣の姿勢こそ、あらゆる政府の提出法案及び条約を審議する上で不可欠と考えています。
 そこで、一点確認いたします。
 武田大臣は、NTTから接待を受けたこと、ないしはNTT関係者との会食をしたことはございますか。
 NTTは、純粋な民間企業ではなく、政府出資の特殊会社という公的な組織であり、現在総務省が疑念を持たれている渦中の企業です。接待、会食の存否について、所管大臣として明らかにすることは当然の責務であり、国民が疑念を抱くような会食、会合に応じたことはございませんなどと、聞いたことに全く答えない、訳の分からぬ答弁ではなく、端的にイエスかノーかでお答えください。
 それでは、本題に入らせていただきます。
 さて、在日米軍駐留経費負担、ホスト・ネーション・サポートは、我が党が外交・安全保障政策の基軸と考える日米同盟の最重要と言える論点です。私は、この代表質問の機会を通じて、我が党の外交・安全保障政策が、いかに平和主義を原則とする憲法に適合的でありながら、同時に現実的なものであるかを示していきたいと思います。
 初めに、米軍駐留経費の負担の正当性についてです。
 我々は、専守防衛と同時に、日米同盟を我が国の外交・安全保障政策の基本と考えています。特に、近年、日本周辺の安全保障環境が厳しさを増していることを考慮すれば、我が国の防衛にとって、日本における米軍のプレゼンスを確保することの重要性に疑いの余地はありません。
 戦後、我が国の防衛予算が対GDP比でおおむね一%を下回る水準で維持できたのも、米軍の存在が大きな力になったものと考えています。さらには、我が国の自衛隊と米軍が盾と矛の関係、つまり、憲法との関係で、たとえ自衛のために必須な行動であっても、自衛隊が他国領域内で武力行使を目的とした軍事作戦を展開することを回避することが従来の政府方針であることを想起すれば、米軍の駐留経費をある程度負担することに憲法的な正当性があるものと考えます。
 したがって、在日米軍駐留経費の負担に関して最も大切なことは、米軍の抑止力、特に、矛としての信頼性を確かなものとすることであり、それによって日米同盟が最大の効果を発揮できるようにすることです。
 最近問題となっている敵基地攻撃能力の問題も、ミサイル攻撃に対する米軍の抑止力としての信頼性が確かなものであれば、起こりようがありません。また、尖閣諸島をめぐる問題も、米軍が同盟の役割を果たす姿勢を明確にすれば、事態が大きく改善されるのではないかと考えています。
 こういった観点から、政府は米国とこれまで在日米軍駐留経費の日本側負担に関する協議を重ねてきたわけですが、支払うことを当然としないで、日本防衛に果たす米側の役割をどのように確認してきたかについてお伺いします。
 また、単に抽象的に確認したというのではなく、その信頼性を確保する具体的取決めについて、例えば、特定の事態について大統領が条約上の義務を果たす意思を明確に示すとか、あるいは、在日米軍が尖閣諸島での有事を想定した対応を取るといった約束を取り付ける努力がなされてきたかについてもお答えください。
 先日、安保委員会で、私が、敵基地攻撃能力を保有するには、米国の信頼性に疑問があって、頼りにできないことが憲法上の要件であると考えますと述べた際、岸防衛大臣からは、いかなる場合に他に手段がないと認められるかを含めて、我が国としていかなる状況において講ずるいかなる措置が自衛の範囲に含まれるかということについては、実際に発生した武力攻撃の規模や態様に即して個別的、具体的に判断されるべきものであって、例えば、米軍等の他国の支援の有無といった限られた与件のみをもって判断できるものではないと述べられました。
 これは、自衛隊と米軍との役割分担を従来の盾と矛の関係として説明してきた政府見解を根本的に否定する、新答弁だと考えます。改めて、答弁の意図をしっかりお答えください。
 次に、負担割合の問題についてお伺いいたします。
 二〇二一年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担を決めるための日米協議が、去年の十一月にトランプ政権との間で本格的に開始されました。ボルトン元大統領補佐官は、その著書の中で、在任中の二〇一九年に現行水準の四倍に当たる八十億ドルの負担を日本側に打診したと明らかにしています。実際の協議では、こうした数字を米側が持ち出すことはなかったとされているようですが、それでも二倍は超えていたようで、これまで積み上げてきた交渉の論理が全く通じなかったのではないかと思います。
 したがって、今回、米側の政権交代を機に、三月末で期限切れとなる現行協定を一年延長することに合意し、二〇二二年度以降の四年分の負担額については、腰を据えて今年改めて交渉し、年内の合意を目指すことは、妥当な判断だと考えています。
 そこで、改めて我が国の負担額についてお伺いいたします。
 防衛省の試算では、二〇一五年度の日本側の負担割合は八割を超え、韓国やドイツなど他の同盟国に比べて突出して高いと言われております。そのため、我が国は、日米地位協定で米国が負担することになっている在日米軍の駐留経費を、日本が肩代わりする形で労務費や光水熱費を負担してきたわけですが、この方式では、費目をこれ以上増やす余地はないと考えます。この点につきまして、政府の見解をお聞かせください。
 さらに、米政府の一八会計年度に示された在日米軍の米側経費は約五十三億ドル、約五千五百六十五億円で、その一番の人件費が約二十九億ドル、約三千四十五億円と大半を占めており、以下、作戦維持費、基地建設費、米軍家族の経費となっていることを考えると、それを日本側が負担することは正当性に乏しいのではないでしょうか。この点について、政府も同様な見解であるのか、あるいは、違う意見を持っているなら、それを説明していただければと思います。
 次に、日本側負担の交渉原則について伺います。
 以上のことから、地位協定を根拠とする我が国の負担は限界に達していると考えられます。他方で、米国側が負担増を求める流れは変わらず、バイデン政権も日本側に増額を求めていると言われております。
 そこで、改めて思いやり予算の歴史をひもとくと、在日米軍の駐留経費について日本が自発的に経費負担の増額に踏み切る理由を、当時の金丸防衛庁長官は、カウンターパートのブラウン国防長官に対し、米国がアジアへのコミットメント継続を約束する見返りであると説明していることに驚かされます。
 つまり、日米地位協定で日本側が本来負担をする額を超えて、米国が負担することになっている在日米軍の駐留経費までも日本が肩代わりする本来の意図は、今日流に言えば、インド太平洋地域の平和と安定にコミットしている米第七艦隊を含む在日米軍の役割を評価し、それに応分の負担をすることにあったと考えます。
 事実、特別協定に基づく思いやり予算も、イラン・イラク戦争でペルシャ湾の安全航行が問題となり、米側が日本に応分の負担を要請したことが起源となりました。政府は、その要請に応えるため、一九八八年の通常国会において、日本人従業員の退職手当など八手当を全額負担することにしたわけです。
 同じ事情は一九九〇年の湾岸危機でも再現され、日本政府は、国際協調行動への協力とは別枠として、日本人従業員の本給や光熱費を日本側が新たに負担する一九九一年の特別協定を締結しました。
 注目すべきは、一九九七年に新ガイドラインが締結され、以後、周辺事態法などが整備されたことをきっかけとして、二〇〇一年を起点とする第四次特別協定以降、一転して思いやり予算額が減額に転じたことです。そして、この減額、減少傾向は、第七次協定が終了する二〇一五年の三月まで持続しました。
 私は、この思いやり予算の額が減少に転じた理由は、日本が財政的な支援だけでなく、自衛隊による人的な貢献にも踏み込んだことが一因だと考えています。
 したがって、二〇二二年度以降の四年分の負担額を交渉するに際しては、人的な貢献についても評価に含めることを交渉原則として財政的負担額を算定すべきだと考えますが、政府の御見解をお聞かせください。
 二〇一六年四月からの五年間の支援額を決める第八次協定でも、人的貢献が考慮されたと考えます。しかし、これまでの減少傾向から、再び財政負担が増加に転じています。これにはどのような理由があったのでしょうか。人的貢献にも言及しながら、理由を明らかにしてください。
 最後に、米軍駐留に伴う国民負担を軽減する必要性についてお伺いいたします。
 在日米軍を支援する関連経費には、地位協定第二十四条第二項に基づいて支払われる義務的な経費及び思いやり予算とは別に、SACO関係経費や、沖縄の米海兵隊グアム移転費を含む米軍再編関連経費があります。その米軍再編関連経費の額は、二〇二一年度には二千四十四億円にも膨れ上がり、思いやり予算とほぼ同額となっています。
 実は、SACO関係経費と米軍再編関連経費は、米軍の日本駐留がもたらす負の側面、とりわけ米軍基地が集中する沖縄への対応が極めて大きな問題になっていることを物語っています。
 そこで、過重な米軍基地負担に苦しむ沖縄県は、在日米軍に様々な特権を認める地位協定の改定を長年にわたって求めてきました。また、基地問題は一都道府県の問題ではないという沖縄の切実な訴えを受け、全国知事会は、日米両政府に地位協定の抜本的な見直しを提言しています。
 まず、再三の抗議にもかかわらず、日本各地で繰り返されている米軍機の低空飛行訓練について、最近も東京でも低空でのヘリ事件が大問題となっていますが、この提言は、時期やルートを事前に情報提供するよう求めるとともに、航空法や環境法令などの国内法を米軍にも原則適用することや、事件、事故発生時の自治体職員の立入りなどを地位協定に明記するよう要請しています。また、飛行場周辺における航空機騒音規制措置についても改善を求めています。
 実際、ドイツ、イタリアでは、米軍機の事故を機に、協定の改定や新協定の締結を実現し、自国の法律を米軍にも適用しました。また、騒音軽減委員会や地域委員会といった、地元自治体の意見を米軍に伝える仕組みも整備されているということです。
 原則として国内法が適用されず、地域住民の声も届かない日本とは大違いですので、せめてこの問題をドイツ、イタリア並みにすることは喫緊の課題だと考えます。
 在日米軍駐留経費の負担の目的が日米同盟の強化にあるならば、国民の支持を確かなものにすることも最重要事項であり、その意味で、日米地位協定の見直しを在日米軍駐留経費負担に関する日米協議の俎上に上げるべきだと考えますが、政府の見解をお聞かせください。
 さらに、現下、最大の問題は、民意を無視して強行する辺野古の新基地計画です。
 いつ完成するか、本当に完成するのかすら分からず、莫大な国費を投入し工事をし続けることは、当面の大きな課題となっている中国に対する安保政策として好ましいとはとても言えません。バイデン政権の下、インド太平洋軍が新たな対中戦略を提起している今こそ、両政府が沖縄県を交えて打開策の検討に乗り出すチャンスだと考えています。
 沖縄の負担軽減が日米同盟の強化に不可欠なことは、日米の共通認識と考えます。政府におかれては、純粋に戦略的な観点から辺野古の新基地計画の再検証を行うことを日米協議の場で提起するよう、誠心誠意要望いたします。こうした要望を受け入れる用意があるか、政府の見解をお示しください。
 以上、在日米軍駐留経費負担をめぐる基本的な問題についての考え方を述べさせていただきました。
 日米同盟を外交・安全保障政策の基軸とみなす立憲民主党が、平和主義を基本原則とする日本国憲法を具現する歴史的な政府見解を紛れもなく正統に引き継ぐ政党であるということをお示しさせていただきます。
 そして、国民の皆様におかれましては、我が党が、平和主義を堅持しつつ、すぐにも政権を担うに足る現実的な安全保障政策を持つ政党であることを御理解いただくとともに、我が党の外交・安全保障政策に国民各層の幅広い御支持をいただき、まさに現実の政策となるよう政権交代に向け努力することをお約束し、私の質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

発言情報

speech_id: 120405254X01220210312_011

発言者: 篠原豪

speaker_id: 9650

日付: 2021-03-12

院: 衆議院

会議名: 本会議