小熊慎司の発言 (本会議)

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○小熊慎司君 立憲民主党の小熊慎司です。
 私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました地域的な包括的経済連携協定、いわゆるRCEP協定について質問をいたします。(拍手)
 質問に先立ち、本日、急遽、日米首脳会談延期の一報がもたらされました。直前での延期など前代未聞であり、外交上、例を見ない話です。日本側には何か落ち度がなかったのでしょうか。菅総理は、バイデン大統領が初めて対面で会談する首脳と胸を張っていましたが、米国にとって菅総理との信頼関係はどれほどなのかと思わざるを得ません。
 今回の首脳会談先送りはもとより、今後のワクチン外交を含めた菅総理の外交手腕に対する大きな不安を指摘させていただき、質問に入ります。
 世界中でコロナ感染が収まらず、多くの方々が塗炭の苦しみを抱え、我慢を延々と強いられていることは、皆様御承知のとおりです。そのような中でも、RCEP協定を契機として域内の経済連携を発展させていくことが求められております。そのためには、政治の信頼が不可欠です。
 今国会において、法案や参考資料に信じられない数のミスが見つかりました。コロナ対策に尽力しているはずの厚生労働省では、大人数で深夜までの会食をしていたことが明らかになりました。実に情けない話ですが、これを官僚のせいだと決めつけてしまうのではなく、範を示すべき政治家が責任も取らず、説明もせず、緩みまくっているから役所の皆さんにまでその緩みが広がっているのではないかと自省する必要があります。政府においては、監督責任という言葉をいま一度かみしめていただきたいと思います。
 そこで、お伺いいたします。
 コロナ禍における経済連携を進展させるために万全の対策が必要であるにもかかわらず、与党の度重なる不祥事により、政治の信頼を失っています。厚生労働省の深夜会食も、政治家が範を示せていない証左であり、厚労大臣においては辞職相当の責任があるとの指摘もあります。改めて、大臣の責任を問います。
 RCEP協定については、その経済、通商上の効果に加えて、地政学的な意味合いも考える必要があります。米中対立が深刻となる中、アジア太平洋地域にも不安定な要因が目立っており、RCEP協定がこうした不安定な要因を助長するようなことがあってはなりません。
 一部には、RCEPは中国主導の枠組みとなるのではないかとの懸念の声もあります。中国の貿易慣行や国際法の遵守にも疑いの目が向けられる中、RCEP協定をこの地域の平和と安定のためにどのように活用していくのか、外務大臣の見解を伺います。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、世界でサプライチェーンの寸断を招きました。我が国でも、その脆弱性、そして中国依存の高さが明らかとなりました。サプライチェーンの強靱化は喫緊の課題となっています。
 RCEP協定は、我が国にとって中国との間で初めての経済連携協定となりますが、本協定を締結することによって、中国への依存が更に高まり、サプライチェーンの強靱化を損なうという懸念に対する政府の見解を伺います。
 RCEP協定の交渉は、TPP協定の交渉と並行して進められてきました。TPP協定の国会審議の際には、RCEP交渉は、TPPにおける成果も踏まえながら、質の高い協定の早期妥結に向けて進めていくというのが政府の方針でした。しかし、RCEP協定の内容については、自由化率が低く、ルールが緩いというのが一般的な評価です。
 そこで、今回署名に至った本協定の内容は、TPP交渉における成果が生かされた、質の高い協定となったのか伺うとともに、RCEP協定の内容に対する政府の評価を伺います。
 我が国との間で初めてEPAを締結することになる中国及び韓国からは、冷凍されたものも含め、業務用、加工用の野菜が多く輸入されております。本協定では多くの品目が関税撤廃、削減の対象から除外されていると承知していますが、国産品の生産基盤の強化は必須で、それを支援していくことが求められています。
 そこで、本協定が我が国農業に与える影響について、どのように考えているのか、また、生産基盤の強化に向けては、何が課題で、政府はどのような支援を行っていくつもりなのか、見解を伺います。
 また、本協定では、巨大市場である中国へのホタテガイやパック御飯など我が国の輸出関心品目について関税撤廃が獲得されており、今後の輸出拡大が期待されます。しかし、今回関税撤廃を獲得した品目の中には、例えば、イチゴやブドウのように、中国が検疫条件を設定していないため、現状では輸出できない品目もあります。
 関税以外の輸出障壁の撤廃に対し、本協定はどのような効果をもたらすのか伺うとともに、輸出障壁への対策を伺います。
 さらに、RCEP参加国には、東京電力福島第一原子力発電所事故を理由として、農産品等に科学的根拠に基づかない輸入規制も課されています。協定の発効前の規制解除のために、これまで以上の努力と結果が求められています。
 そこで、これまでどおりの積み重ねでなく、新たな取組の下、どのように規制解除を働きかけていくのか、伺います。
 本協定では、サービスの貿易や投資に加え、幅広い分野のルールを定めていますが、その内容は必ずしも十分ではありません。
 投資分野では、投資家と国との間の投資紛争解決手段、ISDSについては規定がなく、協定発効後二年以内に討議を開始するとされているだけです。
 また、電子商取引分野では、TPP11では規定されたソースコードの開示要求の禁止が規定されておらず、対話を行い、協定発効後五年ごとに行われる一般的見直しにおいて対話の結果を考慮するとされているだけです。
 継続協議となっている項目の中には、中国だけでなく、ASEAN諸国の中でも考え方が異なる項目もあります。電子商取引分野について、我が国はオーストラリアやシンガポールとともにWTOでの議論を主導していますが、TPP11協定並みの高い水準のルールを本協定の発効後に導入していくことについて、どのような見通しを持っているのか、政府の見解を伺います。
 また、中国では、WTO加盟を機に、知的財産保護に関する法制度が整備されつつあると承知しておりますが、中国における知的財産権侵害は後を絶ちません。問題は、法制面ではなく実態面と言えます。本協定においても知的財産の保護に関する規定が置かれていますが、その実効性をどのように確保していくのか、見解を伺います。
 RCEP協定の署名後、中国はTPP11への参加を検討する考えを明らかにしました。中国がTPP11のルールを例外なく受け入れるのであれば、拒否するものではありません。中国のTPP11参加の実現可能性について、RCEP協定交渉を経た今、政府はどのように見ているのか、伺います。
 さらに、RCEPが締結されましたが、より高度なルールに基づく日中韓FTAは今後も追求していくつもりなのか、お伺いいたします。
 あわせて、RCEPを通して中国と経済連携協定を結ぶことで、我が国は、中国の尖閣諸島における挑発について、この程度なら日本は許容しているというシグナルを中国に送ることにはならないかと危惧します。そういった懸念を払拭するため、政府は中国及び国際社会に対してどういった説明や対応を考えているのか、お答えください。
 また、残念ながら、RCEP協定は、インド不参加のまま、十五か国での署名に至りました。インドは、我が国が掲げる自由で開かれたインド太平洋の重要なパートナーであり、民主主義や法の支配といった共通の価値観を有した長年の友好国です。RCEPにおける中国の影響力が過大にならないようにするためにも、インドの参加は必要不可欠であったと考えます。
 そこで、インドの参加が得られないままでも本協定を締結することにどのような意義があるのか、また、今後、インドのRCEP参加に向け、我が国としてどのような支援ができるのか、見解を伺います。
 あわせて、本協定の締結は米国をTPP復帰へと促す機運を高めるとお考えなのか、伺います。
 米国では、トランプ大統領に替わり、国際協調路線を掲げるバイデン政権が発足しましたが、バイデン大統領自身も、今のままではTPPに参加しない、再交渉すると述べており、簡単には米国のTPP復帰は見通せない状況です。今後、米国に対してTPP復帰をどのように働きかけていくつもりなのか、見解を伺います。
 加えて、日本政府は、本来、アメリカを含むTPPの締結を目指してきたはずですが、アメリカとは二国間の貿易協定を結ぶことになりました。内容的には、日本が農業製品で譲歩するのみで、TPPでは撤廃するとされていた自動車と自動車部品の関税は、今日に至るまで全く減っておりません。
 当時、安倍総理も茂木大臣も、更なる交渉による関税撤廃と合意文書に明記されていることをもって、これは二国間の関税撤廃の約束だと強弁していましたが、この点に関してバイデン政権と国家間の合意であることを確認したのか、伺います。
 また、早期に自動車関連の関税を撤廃しなければ、日米貿易協定はガット違反の状態です。アメリカに対しては関税撤廃の約束を履行するように早期に迫るべきですが、働きかけは行っているのでしょうか。日米貿易協定に関する次の段階の交渉がどうなっているのか、お答えください。
 RCEPの締結とともに、水産物の取引も拡大することが考えられます。参加国には、IUU漁業の漁獲高が高い国があります。より一層の厳格なIUU漁業対策が求められておりますが、見解を伺うとともに、対策の有効策として、違法、無報告、無規制漁業の防止、抑制、廃絶のための寄港国措置協定、いわゆるPSMA協定の批准を参加国に求めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 RCEP参加国には、様々な態様の国があり、民主主義、法の支配、人権の尊重という基本的価値観を共有できるとは言えない国も存在します。協定の締結を契機に、こういう国に対しても日本は基本的価値観を共有する働きかけを行っていくべきではないでしょうか。
 日・EUがEPAを締結した際に、日・EU戦略的パートナーシップ協定も締結しました。法の支配、人権、環境に関する配慮、労働者保護、青少年保護などについて、意識を共有し、協力を推進していく協定です。RCEPにおいても同様の協定、少なくともワーキンググループなどの設置を検討すべきではないでしょうか。対応を伺います。
 最後に、ミャンマーで本年二月一日にクーデターが起きてから二か月が過ぎました。抗議デモに対する弾圧により多数の死者が出るなど、事態は悪化の一途をたどっています。
 国際社会は批判を強め、米国などは追加制裁を科すなど圧力を強めています。一方、制裁が強まることによってミャンマーが国際社会から孤立することも懸念されますが、ミャンマーを再び民主化プロセスへと導く必要があります。
 ミャンマー国軍は、一年としている非常事態宣言を解除した後、半年以内に総選挙を実施し、勝利した政党に実権を移譲するとしています。今後の情勢について予断はできませんが、ミャンマーが再び軍事政権となった場合、本協定の扱いはどうなるのでしょうか。ミャンマーが軍事政権下で本協定に定められた締結手続を完了した場合、我が国政府はその手続を正当なものとして受け入れるのか伺うとともに、もしそうであれば、政府は事実上ミャンマーの軍事政権を承認することになると思われますが、政府の見解を伺います。
 我々の経済的発展が、そしてまた社会的繁栄が、誰かの涙や不条理な貧困や血塗られた果てに安穏としてその恩恵をやすやすと受け入れることがあってはなりません。
 そこに正義はありません。人の命が懸かっています。自由や平等の普遍的、基本的価値観が脅かされています。
 日和見で曖昧な態度ではなく、ミャンマー国軍の暴挙に関しては、国際協調の下、日本が強いリーダーシップを発揮して毅然とした対応を取ることが、ミャンマーの民主化のために必要です。
 アジア地域の安定、世界平和のために、日本外交が非道な国軍に加担することなく王道を進むことを求めて、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。感謝します。(拍手)
    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

発言情報

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発言者: 小熊慎司

speaker_id: 18041

日付: 2021-04-02

院: 衆議院

会議名: 本会議