小泉進次郎の発言 (環境委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(小泉進次郎君) 環境大臣、気候変動担当大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の小泉進次郎です。
第二百四回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ち、所信を申し述べます。
環境省は今年、環境庁創設から五十年、環境省設置から二十年の節目を迎えます。この間、水俣病を始めとする公害問題から気候危機へと課題が拡大する中で、環境省は、人の命と環境を守るという環境庁設置以来不変の使命を果たすべく、社会変革担当省として、各省との連携を強化し、様々な課題に全力で取り組んでまいりました。
現在、新型コロナウイルス感染症への対応と気候危機という二つの危機に直面する中で、世界ではグリーンリカバリーなど急速な経済社会変革が進められており、脱炭素の大競争時代に突入したことを認識することが重要です。世界最大の投資分野である脱炭素分野で技術や市場を獲得していくことは、日本の成長戦略としても不可欠であると考えています。
環境省としては、コロナ前の社会に戻るのではなく、脱炭素社会、循環経済、分散型社会への三つの移行を加速させ、持続可能で強靱な経済社会へのリデザイン、再設計を一層強力に進めてまいります。現下の経済状況で苦労をされている産業への移行支援を行いながら、移行をせずに元の社会に戻ることの方がリスクは大きく、世界の潮流から取り残されかねないという認識を国民の皆様、経済界、社会全体と共有できるよう全力を尽くしてまいります。
以下、昨年の進捗を振り返った上で、今後の重点政策として、四つの柱に加えて、国際連携、原子力防災及び原子力規制について述べさせていただきます。
昨年は、気候変動政策をめぐり、三つのCに風穴が空いた一年となりました。三つのCとは、石炭政策の見直し、二〇五〇年カーボンニュートラルの宣言、そして環境省が長年検討を進めてきたカーボンプライシングです。
石炭火力発電については、昨年七月に決定したインフラ海外展開に関する新戦略骨子において、相手国の脱炭素化に向けた方針が確認できない場合などは新規輸出プロジェクトへの公的支援をしないことを原則とするという転換をいたしました。
また、さきの臨時国会での菅総理の所信表明演説において、我が国として二〇五〇年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことが宣言されました。
さらに、年末には、菅総理から梶山経済産業大臣と私に対して、カーボンプライシングについて連携して検討を進めるよう指示がなされました。
こうした進展を踏まえ、今年は、環境政策を更に前進させるべく、四つの柱を立てました。一つ目が四本の法案、二つ目が国・地方脱炭素実現会議、三つ目がカーボンプライシング、四つ目が福島の復興です。
一つ目は、今国会に提出し、又は提出を予定している四本の法案です。
法案の一本目は、地球温暖化対策推進法の改正案です。二〇五〇年までのCO2排出量実質ゼロを目指す地方自治体であるゼロカーボンシティは既に三百自治体を超え、人口規模で一億人を超えました。また、民間企業や金融機関による脱炭素経営やESG金融の取組も加速しています。二〇五〇年カーボンニュートラルを法律に明記することにより、こうした取組の方向性を確固たるものとするとともに、国民の理解や協力なくしてカーボンニュートラルの実現なしとの考えから、関係者を規定する条文の先頭に国民を位置付ける前例のない基本理念規定を置くほか、地域の再生可能エネルギーの利用促進に向けた円滑な合意形成等を図るための制度を導入したいと考えています。
法案の二本目は、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案です。循環経済が世界の潮流となる中、我が国は、自動車の部品を再生して新たな自動車を生産するカー・ツー・カーの実現に向けた取組を始め、金属、紙、建設資材などの大半が循環する経済社会をつくり上げてきました。このような状況で、この法案は、初めてプラスチックという素材に着目した、言わばサーキュラーエコノミー新法というべきものです。プラスチック製品の環境配慮設計から使用後の処理までライフサイクル全体にわたり総合的な対策を進めることで、資源生産性の向上を通じて、我が国の競争力の源泉とし、世界のグリーン成長へ貢献したいと考えています。
これら二本の法案に加え、自然の保護と利用の好循環の取組を制度的に後押しするための自然公園法の改正案及び気候変動を踏まえた新たな理念の下、一律の水質規制から海域ごとの水質管理への水環境行政の転換の契機となる瀬戸内海環境保全特別措置法の改正案についても国会で御審議をお願いする予定です。
二点目は、環境省が事務局を担い、首相官邸で開催されている国・地方脱炭素実現会議です。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた社会変革を進めるためには、今後三十年間のうち、この五年間、十年間が重要です。二〇二五年までの五年間を集中期間として脱炭素のモデルケースを各地につくり出し、次々と先行地域を広げていく脱炭素ドミノを実現します。そのためのロードマップを策定し、環境省内、省庁間、国・地方の三つの縦割りを打破して全力で取り組んでまいります。
具体的には、地域における再エネ導入倍増に加えて、二〇三五年までに新車販売で電動車一〇〇%を実現する目標に向けたEVなどの普及加速や、脱炭素型ライフスタイルの普及を進めるための措置を盛り込むべく検討を進めてまいります。
二〇三〇年の排出削減目標については、並行して検討を進める地球温暖化対策計画の見直しにおいて、新たな長期目標との整合性、世界の脱炭素化を前進させる国際性、具体的なアクションを引き出す実効性という三つの視点を重視して検討を行います。
三点目は、カーボンプライシングです。
今後、五年、十年でカーボンニュートラルに向けた社会変革を進めるためには、技術のイノベーションのみでは間に合わず、ルールのイノベーションが不可欠です。炭素への価格付けを通じて脱炭素に向けた行動変容を促し、CO2削減への努力が報われるようにするための仕組みであるカーボンプライシングは、有力な政策手法の一つです。中央環境審議会での議論を進め、経済産業省と連携し、幅広いステークホルダーとも対話を重ねながら、成長戦略に資するカーボンプライシングの検討に取り組み、前進の年にする決意です。
四点目は、震災、原発事故から十年を迎える福島の復興です。
環境省の最重要課題である東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故からの復興に向け、この十年の節目に当たり、福島県内の除去土壌等について、二〇四五年までの県外最終処分の実現に向けた取組を前進させる決意を新たにし、再生利用、県外最終処分に関する全国での理解醸成活動を強化するなど、取組を進めてまいります。また、帰還困難区域を除く県内除去土壌等の中間貯蔵施設への輸送について来年度末までのおおむね完了を目指すとともに、仮置場の早期解消、特定復興再生拠点区域における家屋等の解体、除染、福島県内外の指定廃棄物等の処理などを安全第一で着実に実施します。
さらに、福島の本格的な復興、再生という次のステージに向け、三つの柱を中心に取組を進めます。一つ目が福島県産の再生可能エネルギーの利用促進等による脱炭素に向けた取組、二つ目が自然資源を生かした地域の魅力向上等の風評対策、三つ目が子供たちへの震災、原発事故や環境再生の記憶の継承等による風化防止です。環境省の総力を挙げて、福島県とともに未来志向の環境施策を推進します。
続いて、国際連携について申し上げます。
世界が脱炭素社会への移行と新型コロナウイルスからの回復という二つの課題に直面する中で、元の社会に戻るのではなく、持続可能で強靱な経済社会へのリデザインを世界に発信していきます。その上で、今年の狙いは三点あります。一点目が気候変動COPと生物多様性COPの二つのCOPの成功、二点目がパリ協定に復帰したアメリカとの連携、三点目がインド太平洋の脱炭素で持続可能な社会への移行支援です。
第一に、二つのCOPのうち、気候変動枠組条約のCOP26については、議長国のイギリスとも連携して、市場メカニズムに関するパリ協定六条のルールの合意に向けて国際的な議論を牽引していきます。また、COP26までに、二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的で意欲的な二〇三〇年目標を国際社会に表明します。生物多様性条約のCOP15については、新たな世界目標であるポスト二〇二〇生物多様性枠組の議論がなされる重要な会議であり、その成果を我が国の新たな生物多様性国家戦略の検討に反映するとともに、我が国発のSATOYAMAイニシアティブの経験に基づき、各国の新たな国家戦略の策定に貢献するなど、国際連携を推進します。
第二に、アメリカとの連携です。バイデン大統領は、就任早々パリ協定への復帰手続を取り、気候危機を外交政策、国家安全保障の中核に据えることを表明しました。アメリカの政権に初めて設けられた二つのポストに就任したケリー気候変動特使とマッカーシー国家気候担当大統領補佐官とは就任直後から対話を重ねており、四月に開催される気候サミットに向け、日本の取組を発信する準備を進めるとともに、今後、具体的な日米間の協力を進めていきます。
第三に、インド太平洋については、先月、インドネシアにおいて我が国が支援する廃棄物発電の第一号案件の協力が合意に至りました。火力発電と比較してCO2の排出を抑制することができ、地域の課題解決にもつながる今回のような環境インフラの海外展開を通じて、脱炭素で持続可能な社会への移行支援を進めてまいります。
中国については、日中韓環境大臣会合の枠組み等を活用しつつ、世界全体でのピークアウトを早めるための実効的な取組を促すなど、我が国として各国と連携し、世界の気候変動対策を主導していきます。
加えて、本日付けで、菅総理から、新たに私を気候変動担当大臣とするとの御指示を受けたところです。一連の気候変動問題に関する国際会議に向け、関係大臣と協力して対応方針を準備するなど、政府一体となって対応を円滑に推進するため、行政各部の調整に尽力してまいります。
最後に、内閣府特命担当大臣として、原子力防災等について申し上げます。
東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から十年を迎えます。万が一の原子力発電所の事故に対応するための備えに終わりや完璧はありません。先般、感染症の流行下での原子力災害時における防護措置の基本的な考え方や、避難等の際における感染症対策として、これを具体化したガイドラインを公表しました。福島第一原子力発電所事故の教訓をしっかりと胸に刻み、今後も安全神話にとらわれることなく、関係自治体等と一体となり、各地域での防災訓練等を通じて、地域防災計画、避難計画の継続的な充実強化等に取り組んでまいります。
加えて、原子力の安全確保に係る人的基盤の強化、放射線モニタリング体制の充実等を通じ、原子力規制委員会が独立性の高い三条委員会として、科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう支援していきます。
以上御説明申し上げたとおり、環境省の役割が菅内閣の掲げるグリーン社会の実現という最重要政策を担うものとなった中、環境省の責任はかつてないほど大きくなっていることに身が引き締まる思いです。政務三役及び職員が一丸となり、全身全霊で職務に取り組んでまいります。
長浜委員長を始め、理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
ありがとうございました。