梶山弘志の発言 (経済産業委員会)
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○国務大臣(梶山弘志君) 皆さん、おはようございます。
第二百四回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取組につきまして、経済産業大臣、産業競争力担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)として申し上げます。
まず冒頭、今国会に提出いたしました産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案に関して、国会に提出した条文案に三か所誤りがあったことにつきまして深くおわび申し上げる次第であります。その他の誤りがないか政府全体として精査を行っているところですが、今回の事案を受け、今後このようなことがないよう、しっかりと指導してまいります。
次に、貿易保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。
今国会に提出を予定していた同法案については、株式会社日本貿易保険において二つの不適切事案が確認されたことを踏まえ、日本貿易保険の業務実施体制の強化を優先し、法律案の提出を見送ることとしました。このような結果となってしまったことについて、その経緯も含め、おわびを申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の影響により、これまでお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、健康面や生活面で影響を受けていらっしゃる方々には心からお見舞い申し上げます。日々、この感染症の終息に向けて力を尽くしてくださっている保健所職員や医療従事者の方々、ワクチン、検査機器や医療用物資の円滑な供給のために貢献していただいている事業者の方々に改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。
昨年は、新型コロナウイルスの感染が拡大して以来、事業と雇用を何としても守り抜くとの決意の下、緊急時対応の政策に重点を置いてきました。二度の緊急事態宣言により甚大な影響を受けておられる事業者には、一時支援金やイベントのキャンセル料支援等、必要な支援を迅速にお届けできるよう、引き続きしっかりと対応いたします。
こうした措置を講じるのと併せて、新たな日常に向けた産業構造や社会システムの転換にも力を入れていかなければなりません。
ウイズコロナ、ポストコロナの時代に向け、グリーン社会の実現、デジタル改革、中小企業の事業再構築等を強力に推進してまいります。あわせて、サプライチェーンの再構築を始めとするレジリエンスの強化などにも取り組んでまいります。世界経済の情勢が不確実性を増している中、これまで以上に国内政策と一体となった対外経済政策を展開してまいります。経済産業省の最重要課題である東京電力福島第一原子力発電所の廃炉と福島の復興についても、着実に歩みを進めてまいります。
昨年十月、我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、年末には、私からグリーン成長戦略を成長戦略会議に報告しました。
来月からは、米国主催の気候サミットや、G7、COP26などの国際会議も予定されている中、国際動向も注視しながら、大胆な投資による革新的イノベーションの創出、エネルギー、産業構造の転換に向けた取組を大幅に加速していく必要があります。
このため、二兆円のグリーンイノベーション基金を造成し、鍵となる革新的な技術の研究開発、実証から社会実装までを継続して支援します。成長に資するカーボンプライシングの在り方についても、結論ありきではなく、幅広い議論を進めてまいります。
二〇五〇年カーボンニュートラルに向けては、温室効果ガス排出の八割以上を占めるエネルギー分野の取組が重要です。徹底的な省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入、原子力を含むゼロエミッション電源の活用に取り組むとともに、火力発電の脱炭素化に向けた取組も進めます。
今冬は電力需給の逼迫に直面し、電力の安定供給の重要性も改めて浮き彫りとなりました。今後の電力の安定供給や市場制度のあるべき姿を達成すべく、包括的な検証を実施し、必要な制度対応をしっかりと検討してまいります。
エネルギー基本計画の見直しについては、こうした観点を踏まえながら、総合資源エネルギー調査会において検討を加速してまいります。
こうした中で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所において、核物質防護に関する重大な事案が発生したことは大変遺憾であり、事業を所管する経済産業省としても、東京電力が強い危機感と緊張感を持って抜本的な対策を講じるよう、しっかりと指導監督を行ってまいります。
グリーン成長を支えるのは、デジタル技術を効果的に活用する社会であり、グリーンとデジタルは車の両輪です。また、新型コロナウイルスへの対応という意味でも、デジタルトランスフォーメーションの必要性はかつてないほど高まっています。
このため、5Gを始めとした新たな情報通信技術、インフラの進展など、時代の変化を正確に捉え、我が国における半導体産業やデジタル産業の競争力の強化、その前提となるインフラの整備、人材の育成を進めてまいります。
また、異なる分野のシステムやデータをつなぐための技術標準の策定、モビリティーやバイオなどの分野における企業を超えたデータの共有、AI、ロボット、ドローンなど、デジタル社会を支える技術の研究開発を進めるとともに、キャッシュレス決済の普及や展示会等のデジタル化も促進します。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、我が国経済は戦後最大の落ち込みを記録し、危機に直面していますが、これは、古い経済社会システムから脱却し、新たな日常への構造変化を図るチャンスでもあります。
成長戦略としての二〇五〇年カーボンニュートラルの実現、デジタル化への対応とともに、新たな日常に向けた事業再構築も進めることで、我が国産業の持続的な発展を図るため、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案を今国会に提出しました。
本法律案には、人口が急速に減少する中、地域の経済や雇用を支える小規模事業者の持続的発展を図りつつ、中小企業から中堅企業への成長を促すことで、海外で競争できる企業を増やしていくための措置や、コロナ禍を踏まえ、バーチャルのみで株主総会を開催することができる特例措置なども盛り込みました。
中小企業・小規模事業者は、全国三千万人を超える雇用を支える我が国経済の屋台骨です。しかしながら、人手不足や高齢化といった構造変化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による事業環境の激変、働き方改革や社会保険の適用拡大といった制度変更への対応など、相次ぐ様々な課題を乗り越えていかなければなりません。
廃業が増加傾向にある中、まずは円滑な事業承継に取り組んでまいります。中小企業成長促進法や、第三者承継支援総合パッケージに基づく支援を引き続き実行してまいります。
その上で、生産性革命推進事業により、中小企業のデジタル化、技術開発、海外を含む販路拡大を支援します。加えて、総額約一兆一千億円の事業再構築補助金により、思い切った新分野展開や業種、業態転換による生産性向上も後押ししていくとともに、生み出した付加価値が着実に中小企業に残るよう、大企業等との取引環境の改善にも取り組みます。中小企業の経営基盤を強化し、中堅企業への成長を一層強力に後押しします。
デジタル化、リモート、非接触など、経済活動の在り方が大きく変化したことを受け、知的財産制度も見直すこととし、特許法等の一部を改正する法律案を今国会に提出しました。審判の口頭審理のオンライン化や、印紙予納の廃止、料金支払方法の拡充、デジタル化等の進展に合わせた権利保護の見直し等を行います。
医療物資のみならず、自然災害や技術流出等も含め、リスクに対して強靱な経済社会を構築するため、経済と安全保障を一体として捉えた政策を進めます。
まず、自然災害に備え、分散型エネルギーの導入や燃料供給体制の強化を進めるとともに、メタンハイドレート等の国産海洋資源開発を進めます。また、半導体やレアアースなど機微技術や重要物資に係るサプライチェーンの強靱化を図るため、関係各省とも連携し、国内外の重要技術の動向調査や、技術開発や統合的な流出防止策を進めます。さらに、人工呼吸器、検査機器、バイオ医薬品等の国内での開発体制及び製造基盤の確立にも取り組みます。
米中関係の緊張の高まり、英国のEU離脱等が起こる中、我が国は自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく国際経済体制を主導してまいります。そうした取組の一環として、昨年十一月に署名したRCEP協定の速やかな締結、発効を目指します。
WTO新事務局長が任命されたというモメンタムを生かし、米国も巻き込みながら、国際貿易秩序の維持強化に最大限の貢献をしてまいります。その際、信頼性のある自由なデータ流通のための国際ルール作り、海外における脱炭素インフラ導入の支援等、国内政策との一体性をより一層強化します。また、ロシア経済分野協力担当大臣として、八項目の協力プランの更なる具体化を進めてまいります。
そして、経済産業省の最重要課題である廃炉と福島の復興です。東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故から十年の月日が経過しました。改めて、犠牲となられた多くの方の御冥福をお祈りし、被災された全ての方々に心からお見舞い申し上げます。
原子力災害からの復興の大前提である廃炉は一歩一歩前進してきましたが、引き続き、中長期ロードマップに基づき、安全確保最優先、リスク低減重視の姿勢を堅持しつつ、地域、社会とのコミュニケーションを一層強化して進めます。
ALPS処理水の処分方針の決定は、廃炉を安全かつ着実に進めるためにも先送りのできない課題です。関係者の御意見を受け止めつつ、政府として責任を持って、処分方針について適切なタイミングで結論を出してまいります。
福島の本格的な復興に向けては、事業、なりわいの再建、福島イノベーション・コースト構想の推進を両輪で進め、地元企業の事業再開や新たな事業展開を後押ししつつ、地域に産業を根付かせてまいります。
交流人口の拡大も重要です。福島県と協力して、浜通り地域へ人を呼び込み、地元での消費を拡大することで、産業復興の加速に加え、移住、定住の促進にもつなげます。
帰還困難区域については、特定復興再生拠点区域の避難指示解除に向けて、着実に環境整備に取り組みます。拠点区域外についても、自宅に帰って住みたいという声を重く受け止め、各自治体の個別の課題や要望を丁寧に伺いながら、責任を持って対応方針を検討してまいります。
先月発生した福島県沖を震源とする地震では、とりわけ被害の大きかったホテル、旅館など、中小・小規模事業者の被害について、一昨年の台風十九号と同様のグループ補助金の特例を設けました。東日本大震災の被災地の方々の復興に向けた希望が失われないよう、被害実態に合わせた復旧復興支援にも取り組んでまいります。
今月、Jヴィレッジから聖火リレーがスタートします。その燃料となる水素は、浪江町にある世界最大級の施設で再生可能エネルギーから作られたものです。
経済産業省の最重要課題は、廃炉と福島の復興です。新型コロナウイルスが世界に暗い影を落としてから一年。十年の節目を迎えた福島から走り出す聖火の光が復興の光となって世界を再び明るく照らしていくこととなるよう取り組んでまいります。
そのためには、先ほど申し述べました様々な課題について、国民各層の幅広い御意見をしっかりとお伺いしながら、経済産業大臣として全身全霊で職務に取り組んでまいる所存です。
有田委員長を始め理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。