小西洋之の発言 (憲法審査会)
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○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之でございます。会派を代表して、憲法に対する考え方を述べます。
立憲民主党は、昨年九月の党綱領において、立憲主義と熟議を重んずる民主政治を守り育て、命と暮らしを守ると宣言し、自由、多様性、共生社会等から成る基本理念を掲げ、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を堅持し、立憲主義を深化させる観点から未来志向の憲法議論を真摯に行うと定めています。そして、この参院では、平和、自由、平等、共生の理念を党宣言に掲げる社会民主党と会派を共にしています。
この立憲主義の深化のため、昨年十一月に憲法論議の指針を取りまとめ、そこでは、論議の基本姿勢として、立憲主義に基づき権力を制約し、国民の権利の拡大に寄与するのであれば、憲法に限らず、関連法も含め、国民にとって真に必要な改定を積極的に議論、検討する、検討に際しては、立法事実の有無を基本的視座とする等と定めています。そして、集団的自衛権行使容認を違憲と断じるとともに、それに基づく自衛隊加憲論を退け、さらには臨時国会召集義務違反、衆院解散権の濫用等々の安倍政権下での重大な違憲行為の列挙とその防止策などを論じています。
また、国民の人権保障のために、LGBTの方々などの社会のあらゆる場面での差別の解消、高等教育の無償化、地方自治の推進、コロナ禍を含めた緊急事態における国家の役割とその立憲的統制について、既存の法制度の改正で対処できることを念頭に、立法事実の有無について検討を行うなどとしています。
そして、これら憲法論議の指針の記載事項の多くは、本年三月に取りまとめた党基本政策において、情報アクセス権などの知る権利の保障の強化、プライバシー権の基本的人権の明確化、共謀罪の廃止及び取調べの可視化、参議院の合区解消、各種選挙の被選挙年齢の拡大、ジェンダー平等などの理念に基づく国政選挙でのクオータ制の導入等々を明記するとともに、この間、野党共同による選択的夫婦別姓法案、婚姻平等法案、LGBT差別解消法案などの立法行為を積み重ねています。
続いて、我が憲法審査会の在り方について意見を申し上げます。
最初に、平成二十六年の国民投票法改正の際に与党も賛成の上で議決された当審査会附帯決議の第一項から三項において、立憲主義及び憲法の定める国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義に基づいて、徹底的に審議を尽くす、立法措置によって可能とすることができるかどうか、徹底的に審議を尽くすと明記されていることの共有を呼びかけたく存じます。特に、第三項は、憲法改正の必要性及び合理性に係る立法事実がないものは改憲論議の対象としないことを意味しますが、参院の合区廃止、衆議院議員が任期満了した後の大震災などでの国会機能の確保について、憲法改正によらずに、国会法及び公選法の改正によって解決する方策の議論もあるところであります。
また、我が憲法審査会の在り方は、当然、憲法及び国会法の規律も受けます。憲法九十九条は、当審査会に集う全ての議員に憲法尊重擁護義務を課しています。そして、国会法百二条の六は、日本国憲法及び憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うと定めています。
憲法とその基本法制に係る調査に最大の憲法問題である憲法違反が含まれるのは当然の理であります。すなわち、私たち憲法審査会は、違憲の解釈やそれに基づく立法などの調査審議について、憲法、国会法上の法的責務を負っていることを共有させていただきたく存じます。
そして、まさにこの実践として、平成二十八年十一月、二十九年十二月、三十年二月の本審査会においては、当時の民進党会派委員より、昭和四十七年政府見解の中の外国の武力攻撃の文言の曲解による政府の九条解釈の基本的な論理の捏造という、法解釈ですらない不正行為による憲法違反である集団的自衛権行使容認の検証、憲法九条の基本法制である日米地位協定の下の権利侵害の検証、立憲主義及び平和主義に係る各党各会派の見解の討議、国民投票法のCM規制などに係る参考人質疑の実施等々の幹事会協議事項が提出されております。
林会長におかれましては、過去三回の民進党会派からの要求について、改めて幹事会協議事項とすることをお願い申し上げます。
他方、その後の約三年間の間も、本審査会で調査審議すべき重大な憲法違反が生じています。平成三十年、国政調査権の妨害たる決裁文書の改ざん、三十一年、圧倒的多数の県民投票を無視しての辺野古埋立続行の地方自治の本旨のじゅうりん、令和元年、準司法官たる検察官の違法な定年延長などによる三権分立の毀損、昨年の学問の自由を侵害する日本学術会議の違法な任命拒否等々であります。
憲法がよって立つ原理たる立憲主義及び法の支配が破壊され、途切れることのない違憲行為で国民の自由、権利が奪われ、議会政治が破壊されている現状下で、何ゆえにそれらに関知することなく我々国会議員がこの憲法審査会の場で改憲議論を行うことが許されるのでしょうか。それは、憲法、国会法、附帯決議に反する行為であるとともに、主権者国民に対し責任ある態度と言えるのでしょうか。
最後に、衆議院で審議中の与党の国民投票法改正案について付言します。
平成十九年、二十六年の本参院審査会の附帯決議では、CM規制はメディア関係者の自主的な努力を尊重するとあります。すなわち、国民投票法の立法者である船田元先生が先週二十二日に、CMの自主規制を条件に法案を作ったと発言されているように、我が参院憲法審査会でも自主規制を前提に、繰り返し法案が審議、可決されているのであります。その前提が根底から覆るのであれば、インターネットも含めCM規制の在り方を議論し、必要な措置を講じることが必要不可欠であり、これを放置しての国民投票法改正は許されません。さらに、両附帯決議には重要な複数の宿題事項があることを付言します。
また、平成二十八年の公選法改正を単純に並行移入した与党案は、国民の投票環境を後退させる欠陥法というべき問題があります。繰延べ投票の告示期限の短縮では、台風襲来の日曜日の翌日の月曜日の国民投票の実施の周知を全主権者に徹底できる、場合によっては平日に国民投票を実施するとの誠に苦しい説明がなされ、期日前投票所開設の規制緩和では、現にその後の各地の国政選挙で投票機会の減少が見られるところです。本法案は撤回、修正を行う必要があることを、良識の府の存立に懸けて強く申し上げる次第です。
結びに、国難のコロナ禍において、憲法十三条の尊厳尊重、二十五条の生存権の確保がなされず、今日明日の衣食住に事欠く国民、必要な検査、医療などが受けられない国民、自宅療養等で投票権が行使できない国民等が多数生じています。国難下の国会議員の役割は、必要火急の改憲の立法事実が認められない不要不急の改憲論議を行うことではなく、憲法の理念、規範を具現化し、国民を救う立法の実現などに全力を挙げることであることを申し上げ、私からの意見表明とさせていただきます。
ありがとうございました。