角南篤の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(角南篤君) 本日は、国際経済・外交に関する調査会、「海を通じて世界とともに生きる日本」に参考人としてお招きいただきまして、ありがとうございます。
 前回、ここへお招きいただくということで資料を用意させていただいたんですが、コロナの関係で一年延びたということで、その間にいろんな動きもありましたので、それを、情報を足したものですから、かなり資料が分厚くなってしまいまして、限られた時間ということでございますので、多少駆け足になっていたしますが、御了承いただければと思います。
 私の方からは、海洋プラスチックごみの問題について、特に笹川平和財団あるいは日本財団とともにいろんな活動をしてきております。特に、私の専門であります科学技術外交という観点から、この海洋プラスチックごみの問題について幾つか問題提起も含めてお話をさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の配付させていただいている資料にパワーポイントの資料がございますけれども、それに沿ってお話しさせていただきます。
 まず最初に、めくっていただきますと、現在、プラスチック汚染の現状ということで、ここに幾つか数値を挙げさせていただいておりますが、特にこのコロナ禍におきましては、今日皆さんも、先生方もマスクを着用していただいておりますし、フェースシールドであったり、それからテークアウトの容器であったりということで、実はプラスチックの消費量がかなり増えているということでございます。
 その中において、このリサイクルというか、回収のプロセスもなかなかコロナ禍でできないということで、実はこの海洋プラスチックごみの問題についてはこの数年間でかなり山積してきているというような状況にあるんではないかというふうに思っております。
 特に、発生源とされているのが、東南アジアを中心に、我が日本の周辺にでも非常にこのプラスチックごみの発生源が集中しているということでございますので、日本にあるいはアジアに対してこの問題に取り組むということが非常に期待されているところでもございます。ですので、まさに、ウイズ・アンド・アフターコロナという時代において、この問題が我が国を中心として非常に世界から注目されてくるということであろうというふうに私どもも考えております。
 それから、後で御紹介いたしますけれども、最近は北極海でもプラスチックごみがいろいろと散見されていて、それについての調査も今やっているところでございまして、先生方も御案内のとおり、今回我が国も砕氷船を建造するということを決定していただきましたので、今回、これからは北極海においてもこういった海洋プラスチックごみに関する調査も日本が貢献していけるということになろうかというふうに思っているところでございます。
 めくっていただきまして、こうした海洋プラスチックごみの生物への影響ということも現在幾つか研究が進んでおります。
 まだ分からないところもたくさんありますけれども、いろんな形でこの海洋生物がプラスチックごみを餌と間違えて食べて死んで、死亡してしまったりとか、それから、よく海外の環境NGOさんなんかが映像なんかで使われている、ウミガメなんかが、捨てられた、海洋投棄された漁網に引っかかって、それで苦しんでいる姿なんかもよく使われたりするんですけれども、そういった海中に放棄された漁具による被害、ゴーストフィッシングというふうに呼ばれていますが、そういったこともかなり深刻な事例として言われております。
 ですので、マイクロプラスチックを食べた魚、そしてそれを人間が食するということでの生体への影響というのはまだまだこれから研究がされないと、なかなか科学としてのはっきりとしたエビデンスまで至っていませんけれども、実際にはそういったような、漁網で苦しんでいる生物であったりとか、それから元々プラスチックそのものを餌と間違えて死んでしまうというようなことで、生物への影響ということも、海洋生物への影響ということも明らかになっているということであります。
 めくっていただきますと、そういった、世界で海洋プラスチックごみについては最近物すごく注目をされております。
 私の経験でいいますと、G7の科学技術担当大臣会合というのは先生方も御案内だと思いますが、そのときに、かなり前から、特にドイツであったりイギリスがホスト国をしたときに、海洋プラスチックごみをアジェンダとして取り上げたいということをずっと言っておりました。これを考えると、もう十年近くこの問題が国際会議等で議論をされてくるというようなことになっていますけれども、特にここの四ページ目に挙げさせていただいております国連でのSDGs、特に目標十四・一というところ、これ海洋のところでございますが、を始め、あと生物多様性条約なんかでもこの海洋プラスチックごみについての問題は、国際、こういった会議で議論をされてきているということであります。
 そして、日本にとって重要なのがこのG20の大阪ブルー・オーシャン・ビジョンということで、先般大阪で開かれましたG20で発表されましたこの大阪ブルー・オーシャン・ビジョン、二〇五〇年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロに削減するということを打ち出しておりまして、これがどういう形で実行されるのかということが今世界から注目されているところでございます。
 ただ、この大阪ブルー・オーシャン・ビジョンなんでございますけれども、そのほかに、例えばその下に海洋行動の友ということでフレンズ・オブ・オーシャン・アクションと、これはNGOとか、世界で非常に海洋問題について発言力のある人たちが集まってつくっているアクションコーリションというようなものなんですが、ここではもう二〇二五年までにプラスチックの海洋流入を阻止するというようなことを目標に掲げておりまして、より高い、ハードルの高いターゲットを、NGOあるいは海外ではこういった動きをしておりますので、ある意味では、ブルー・オーシャン・ビジョンはもう、現実的ではあるんだけれども、ターゲットとしては世界から見るともっと踏み込んでもらいたいというようなところにまで来ているというのが現状であります。
 ただ、これ実行が伴わないと、目標、ターゲットだけではいけませんので、そこについてはまた後ほど幾つか事例も御紹介させていただきたいと思います。
 続いて、めくっていただきまして、幾つか国際社会の動向を、日本が、我が国が関係しているところを御紹介させていただきますと、一つはこのハイレベル・パネル・フォー・サステナブル・オーシャン・エコノミー、これは持続可能な海洋経済ハイレベルパネルということで、ノルウェー政府が主導で二〇一八年に設立したものでございます。
 これは、当時の安倍前総理が日本からは参加をされておりまして、現在こういった十五人のメンバーで、ほぼ各国の首脳が参加し、国連の総会の前後で会議をしたりとか、そういったことでこの海洋問題について議論をしている。恐らく、メンバーのレベルでいうと、これが最もハイレベルというような国際プラットフォームになっているんだと思いますけれども、そういったところで、実際、今、いろんなこの海洋環境についてのブルーペーパーを出して、いろんなアクションをまとめているというところでございます。
 これにつきましては、菅総理も引き続き参加をされるということで安倍前総理から引き継ぎまして、現在は菅総理が参加をされています。この表明も、実は私どもの財団でのシンポジウムのときに、ビデオメッセージということで、去年、菅総理の方からも海洋に対する思いを語っていただいたということでございまして、世界からも非常に菅総理の参加表明に対しては感謝したいというような声が寄せられているところでございます。
 めくっていただきますと、国連海洋会議、これはちょうど二〇一七年に第一回目が開かれましたけれども、今、実はコロナの関係で第二回目の開催が延期になっております。これが二〇二一年に開催予定ということになっておりまして、ポルトガルのリスボンが開催地となっております。
 この中でも、先ほど言いましたようなSDGsの目標十四番の中にある海洋汚染の防止というものがかなり議論をされるということになりますので、こういったところでも大阪ブルー・オーシャン・イニシアチブについてはどんどん議論がされるのではないかというように思っています。
 めくっていただきます。そして、七ページ目ですが、こちらの方で御紹介させていただいているのは、国連海洋科学の十年という取組でございます。
 これは、国連が二〇一七年に国連総会において、ちょうど今年、二〇二一年から三〇年までを国連海洋科学の十年とするということを決議しております。そして、海洋科学を十年間推進することによって世界の海を健全な形にしていくんだということをうたっておりまして、これは国連を始め全世界的な取組だということになっております。
 そこに挙げているのが六つのターゲットでございますけれども、それに加えて、魅力的な海という七つ目が目標として立っております。この七つの目標に対して各国で国内委員会というものを立ち上げさせていただいて、それでしっかりとこの国連海洋科学の十年をサポートするということになっておりまして、我が国も他国に先駆けて、つい先日、国内委員会が立ち上がったところでございます。ですので、海洋科学を推進することによってこうしたグローバルな地球規模の課題に日本がしっかり応えていくということで、私の先ほどの冒頭でお話ししました科学技術外交という観点でも非常に期待できるところでございます。
 めくっていただきまして、次からは、どちらかというと民間主体、NGOが主体となって国際的に活動している事例でございます。
 これは、オーシャンズ・アクション・デーというのが、これはCOPの会議を開催しているサイドイベントとして、一日、海に関係する世界のNGOたちが集まって、我々もそのメンバーではあるんですが、一日掛けて海の未来について、海の重要性について議論をするということでございます。
 最初の目的は、COPの中でなかなか海洋というのが入っていかないということで、海洋環境をやっている、活動をしている人たちから、なかなかこれではまずいんじゃないかと、是非COPの中にも、これは陸域を中心に森林のこととかいろいろ出ていますが、例えば海洋の中では、海藻なんかは海の森林でございますが、海藻が減少しているとか、海藻がCO2の吸収源になるんではないか、そういったことの大切さをもっともっとCOPの中で本格的に議論してもらいたい、それをやるために、このオーシャン・アクション・デーというのを設けさせていただいてやっておりました。
 この活動が、実は私どもの財団がだんだん主体をするようになりまして、前回は、ジャパン・パビリオン、これ環境省さんと連携いたしまして、日本のパビリオンがあるんですが、そこでこのオーシャン・アクション・デーを一日やるということで、全世界の関係者がみんなジャパン・パビリオンに来ていただいて、立ち見が出るぐらいな盛況の中で一日この議論をしていただきまして、小泉環境大臣にも登壇していただいて、日本の取組もお話をしていただいたということでございます。そういう意味では、世界から非常に我が国の活動というものに注目をされているということでございます。
 めくっていただきます。そうすると、九ページに、これは世界経済フォーラム、ワールド・エコノミック・フォーラムで、こちらの方も、最近、海の将来についてたくさん議論がされるようになりました。
 前回、コロナのあれもあったんですが、ダボスで最後に開かれたワールド・エコノミック・フォーラム、ダボス会議にも私も行かしていただきまして、それで海の将来について議論をさせていただきました。特に世界の経済界の方々、スタートアップで財を成したような、セールスフォースのベニオフさんとか、非常にこの海の問題に関心を持っているキーメンバーの方々がいらして、そういう方々が、是非海洋問題をやりたい、それについては日本にも是非参加してもらいたいということで、私どもが一緒にこういったことも、ワールド・エコノミック・フォーラム、ダボスの中でもやらしていただいているというところでございます。
 めくっていただきますと、アワオーシャン、時間の関係で余り詳しく行きませんけれども、これは実は非常に重要な会議でございまして、何が重要かといいますと、これを始めたのがジョン・ケリー、前の国務長官でございます。御案内のとおり、バイデン政権になりまして、ケリーさんが特使ということで先日も上海ですかね、中国に行かれて、この気候変動に関する交渉をされておりますけれども、このジョン・ケリーさんは非常に海洋のことに力を入れております。
 これは、オバマ政権時代にジョン・ケリーさんの非常に強いイニシアチブで国際会議を、民間というか、政府レベルではないんですけれども、アワオーシャンというのをつくられまして、それから毎年いろんな国がホストをして、ぐるぐるぐるぐるいろんなところで開かれてきているんですが、ちょうどコロナで今延期になっていますけれども、今回、今開催を予定されているのがパラオでございます。
 パラオは、アワオーシャンを初めて、このアワオーシャンという国際会議、先進国じゃないとキャパが大変なものですからなかなかホストが難しいんですけれども、パラオは太平洋島嶼国の小さな国ではあるんだけれども、是非自分たちの声をこのアワオーシャンで出したいんだという強い前大統領の思いがあって、やりたいと。ただ、自分たちはなかなかキャパがないのでということで、私どもの笹川平和財団及び笹川日本財団の方に協力をお願いしたいということで、コーホストするという形でこのアワオーシャンの準備をしてきました、会場を整備したりとか、いろんなことをパラオとやって。パラオの前大統領も、アワオーシャンは、これはいろんな意味で、地政学的にも海の問題を議論する、初めて太平洋島嶼国でやるということもあって、日本には是非協力してもらいたいということで何回も日本にいらして、当時の安倍総理ともお話をして、で、日本も協力するというところまで来たということでございます。
 そういったアワオーシャンというのがあって、ジョン・ケリーさんが始めたということもありますので、これパラオで無事に開催されると一つの大きなプラットフォームとして注目されるんではないかというふうに思っております。
 めくっていただきますと、十一ページ目には、エコノミストが毎年ホストしている、主催しているワールド・オーシャン・サミットというのもございます。
 こちらは、むしろ産業界を中心に集めて、この海洋プラスチック問題なんかは中心的に議論をしながら、プラスチックに代替するような材料の開発であったり、産業界がむしろ意識を持ってこの問題にどう取り組むのかというようなことを世界的に議論をしているところでございまして、私どもも一緒に幾つかのイベントをやらせていただいているというところでございます。
 めくっていただいて、ここから幾つか二国間でやらせていただいているバイ会談の事例を御紹介させていただいております。
 一つは、日中で議論されたところでございまして、これは日中環境ハイレベルパネル、円卓対話というもの、これは私どもの財団の場所を使っていただいて、中国とそれから日本の環境省さんとの間で議論をしていただいて、合意をしていただいた事例でございます。
 後で、最後に大体内容のポイントというのをまとめてお話しさせていただきますけれども、こういったバイのところでも、特に中国は、プラスチックごみの発生源ということで非常に重要な国でありますので、重要になってきています。そして、めくっていただくと、そういったことがアジア諸国で見られると。
 それから、もう時間もありませんので、十四ページには、先ほど太平洋島嶼国のお話、これはパラオの事例でございますが、御紹介をさせていただいておりまして、十五ページ目には、北極の話も少し紹介させていただいています。
 もう時間がないので、最後に、またもし御質問があれば幾つか事例を御紹介したいと思いますが、二十ページ目まで飛ばしていただいて、ここで四つのこれからの課題ということを御紹介させていただいております。
 先ほど冒頭で申し上げましたように、G20の大阪ビジョンから、さらに、今、国際社会の方ではより野心的なターゲットということでどんどん打ち出してきているという状況がございます。ですので、我が国としても、今度は具体的にこれをどういうふうに実行していくのか、実現していくのかというような議論をしていく段階にあるのではないか。
 それから二つ目は、途上国への支援ということでございます。特に地政学的な議論で言わせていただきますと、私どもが思うには、インドネシアとか、先ほどパラオの事例もありましたが、そういった国々との間でこの海洋プラスチックごみ問題の解決についてしっかりと支援をしていくというようなことは、非常に自由で開かれたインド太平洋というようなところとも合致しているんではないかということで、という重要性があると。それから、TICADでもございます。TICADも、アフリカとこの問題についてどんどんイニシアチブを取れる場ではないかというふうに思っております。
 三つ目は、やはり、先ほど科学技術イノベーションということで、我が国には、そういった技術をもっとしっかりと海外に、世界に対して発信していって、途上国でもモニタリングが簡単にできるような技術開発であったり標準化であったり、それから、プラごみの排出削減のためのイノベーションということで生分解性の漁網の開発であったりというようなこともしっかりとやっていくというようなことだと思います。
 最後に、国際的な情報発信ということでございまして、G20では大成功いたしましたけれども、今、私どもが関心を持ってお手伝いをさせていただいているのは大阪万博でございまして、大阪万博に向けてしっかりと、これは海の万博ということで、大阪G20そして大阪万博、この間に幾つか、もちろんいろんなありますけれども、最終的に、まずは大阪万博でその成功事例をどんどん出していけるというようなことが非常に重要ではないかというふうに思っております。
 そういうときに、先ほどジョン・ケリーさんのことをちょっと簡単に御紹介いたしましたが、今日は先生方の前でお話をさせていただくということで、是非議員外交、つまり、政府間レベルでやるとなると、その今言ったジョン・ケリーさんがアワオーシャンを主導するようなことってなかなかできないと思うんですね。ですけど、この議員外交ということを是非民間と、まあ我々のようなところでもいいんですけれども、組んでいただいて、そして世界のアジェンダをどんどん日本から動かしていただく、そういうことをやっていただけると、環境NGOやいろんな民間、それから企業もみんな付いてきて、ある一つの今流れになっていると思います。
 もう国際社会は、民間あるいはNGOがかなりアジェンダセッティングに大きな影響力を持っております。その中で、やはりそれを主導している欧米の例を見ますと、議員の方々の、先生方のやっぱり指導力というものが非常に見えますので、そういった国際会議には是非先生方にお出ましいただいて、そしてどんどん議員間のネットワークでまた外交をやっていただくのが一番こういった問題には物すごく効果があるんではないかというふうに思います。
 以上、ちょっと、多少時間が過ぎてしまいましたけれども、私の方からのお話に代えさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 角南篤

speaker_id: 16946

日付: 2021-04-21

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会