富岡仁の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(富岡仁君) モーリシャスの事故についてですが、まず、これはタンカーではなくて貨物船の燃料油が流出したことによる事故であります、汚染であります。そうしますと、これは、要するに、対象となりますのは、いわゆる基金条約というのはこの対象になりません。
 日本の近海、ちょっとあれですが、日本の近海で起きた場合にどうかということなんですが、実はバンカー条約というのは、一九七六年とその後、何年でしたでしょうか、八〇年か九〇年に改正されております。補償の上限が、一九七六年で現状の条約だと約十九億円、改正された条約だと約八十億円ではないかと思います。
 そうすると、日本は実は改正された条約に入っております。ということは、日本はこの条約に基づいて補償を請求できます。争いが生じた場合には、事故が起きた国の裁判所に訴えることができるので、日本の裁判所が判断して補償は請求することができます。ところが、このモーリシャスの事故の場合、モーリシャス政府は旧条約しか入っていません。そうすると十九億円が限界であります。そこで、その意味では、非常にこのバンカー条約についての補償は不十分だというふうに言わざるを得ません。
 この条約で実は、ちょっと先生の御質問と異なってはいけないんですが、実はこれ、船主は長鋪汽船という法人です。もう一人、商船三井が運航者になっています。つまり、船舶を運航しているのは商船三井です。長鋪汽船が船主です。船主は責任があることは間違いありません。ただ、この条約では、運航者及び、この場合は用船者と言いますが、船舶を借りて使っている三井船舶に責任がないかという問題が生じます。これは非常に大きな論点でありますが、この辺はちょっと議論が異なるところで、私としては意見もあるところですけれども、商船三井は結果的に言うと恐らく責任を問われることはないだろうと思いますが、この辺りが問題になります。
 それから、どうしても、実は補償について言うと、これは不十分であることは間違いありません。したがって、ここで議論になってきておりますのは、油タンカーの基金条約のように、基金をきちんとつくって、つまり、船舶を運航して利益を得ている用船者、船舶保有者がいるわけですから、そういう人たちが利益を出し合って、基金を出し合って補償に応じるという体制をつくるのがやはり必要ではないかと思っています。
 つまり、船主だけに責任を負わせて解決しようというと、船主は上限を、船主制限条約が、あれは補償の上限を定められておりますので、やはり基本的には不十分になるというふうに考えざるを得ないというところがこの事故の教訓ではないかと思います。

発言情報

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発言者: 富岡仁

speaker_id: 4506

日付: 2021-04-21

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会