富岡仁の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(富岡仁君) 御指摘の点は、私も問題だろうと思います。
 船舶、海洋法で責任の上限が制限されているというのは、要するに、船舶を運航する企業、産業にとって、運航者にとって非常に海難が発生する危険な事業で、業務でありますので、余り無限に責任を負わせてしまうと船舶、海運業に携わる人がいなくなるということで昔からそういう制限が出てきたのでありまして、それから、民事責任に関する条約で、船主に、先ほど来申し上げていますが、船主、船舶所有者ですね、所有者に責任が制限されている。これは、タンカーの汚染に関する条約の場合には船主に制限されています。バンカー条約、燃料油の場合は船主が広げられているというふうに申し上げました。
 なぜ船主に責任が制限されているかというと、これは、もし船主じゃなくて、運航者とか管理者とかあるいは用船者とか船を借りている人とか全部に広げてしまうと、一体誰に責任、つまり被害者がどこに補償をまずしたらいいか分からないと。だから、とにかく船主に一元化して、船主から責任があるんだったら用船者やほかの人にまた求償権を行使してもらうという形にして、被害者救済という観点から船主に一元化しているということであります。
 つまり、逆に言いますと、先生の御指摘だと思うんですが、じゃ、用船者とかですね、つまり、船を借りている用船者とか、あるいは船を運航している運航者が責任がないかというと、あると思います。つまり、例えば、具体的に名前出してはいけないですが、商船三井、これはいい意味でお名前出していいと思うんですが、今度のモーリシャス事故で商船三井は、法的責任は、実は議論はあります、説が分かれるところはあるけど、私はないと思います。
 なぜかといいますと、定期用船者という用船形態の場合は、裸用船者といいまして、丸ごと借りてきて運航する場合と違うんですね。定期用船者はないと思います。ないんだけれども、商船三井は、責任は、法的責任はないけれども、しかし企業としての責任は負うといって、積極的に実はモーリシャスに対して、賠償に限らずいろんな技術的な援助とかあると思うんですが、私がインターネットのホームページで見る限り、非常にいろんな形で責任を果たそうとしています。
 一つの企業の責任の果たし方というのは、法的には、したがって、かなり限定されている海事法の分野とは別に、やはり企業としては責任を果たすという場面があるのではないか。そういうふうに責任を果たすことによって、言わば企業イメージといいますか、つまり企業の評価が上がると思うんですね。むしろ、そういう企業であれば、例えば荷主はそこに委託するとかですね、いろんな意味でプラスになると思います。
 したがって、法的責任がないから一切企業の責任がないかというのは、これは間違いでありまして、法構造がそうなっているだけの話で、具体的には企業の責任はあると思いますし、じゃ、その企業の責任をどういう形で法制度として構成していくか、実はこれがやはり大事で、やはり、あれこれ言っても、法律が定まっていないで道義的責任とか政治的責任というと、結局はみんな企業がきちんと、前向きな企業ばっかりじゃなくて、責任を負わないというのはたくさんあります。
 だから、どうしてもそこは、最後の歯止めとしては、最低限の法的歯止めを付けておく必要があります。それをどうするかというのが実は非常に難しいと思いますが、ここでこうしたらいいとはなかなか私は言えないんですが、ただ、少なくとも言えることは、そういった法的な企業の責任を何らかの形で具体化しておくということは、条約でもそうでしょうし、まあ条約ですね、国際条約で具体的に定めておくことは私は必要だというふうに考えております。

発言情報

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発言者: 富岡仁

speaker_id: 4506

日付: 2021-04-21

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会