大沢真知子の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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○参考人(大沢真知子君) ありがとうございます。
 国民生活・経済に関する調査会にお呼びいただきまして、ありがとうございます。
 私の方にいただいた質問ですけれど、四つ質問にお答えしたいと思います。
 まず一つは、リカレント教育を通じた就業支援の現状について少しお話ししたいと思います。その次が、それに対してどういう解決すべき課題があるのかということについてお答えし、そして次に、新型コロナウイルス、ちょっと話題が変わりますが、感染拡大によって女性労働者、どのような問題に直面しているのかお話しし、最後に、女性に対する職業教育訓練の機会拡大のための方策についてお話しすると、この四つのアウトラインに従ってお話を進めていきたいと思います。
 ちょっとスライドがまだ準備されていないのですが、私の方から、まず、配付資料もございますので、それを見ながらお話をしていきたいと思います。(資料映写)
 まず最初の点としては、もうリカレント教育課程の普及というのが日本にとって非常に重要であるという指摘が一つです。特に、社会人になってから学び直した人、そういう人がOECD諸国最低の水準になっていまして、日本で最近になって少しその割合が増えてきているというものの、非常に低い水準にとどまっている。他方、少子高齢化を考えると、やはり人生百年の中で学び直しをしながら自分のキャリアを形成していく時代になっていく中で、やはりリカレント教育が果たす役割というのは非常に重要になってきていると思っております。
 次ですが、私たちの大学の研究所で、高学歴の女性たちのキャリアパターンというのがどういうふうになっているのかということを調べましたところ、かなり多様になっているということが分かりました。通常、女性は、まず新卒で、大卒の場合は正社員で働いて、結婚して辞めて、その後パートで戻ると、そういったライフサイクルでの女性の働き方を基に政策あるいは就労支援がされてきたわけですけれど、私たち、特に氷河期世代以降を見ますと、ここでいいます二番目、現在仕事に就いているがこれまでに一年未満の離職期間があった、つまり、かなり早いうちに正社員を辞めている女性がいるということなんですね。もちろん、仕事就いて一年以上離職している女性もいますが、そういった女性の多様性をもう少し見て支援をする必要があるというふうに思います。
 これは、ちょっと図にしたものなんですけれど、ブルーが継続就業している女性、オレンジが転職型という、先ほど申しました一年未満の離職期間の後に再就職していると、これは多分雇用保険を使っていろいろな訓練を受けながら再就職をしている女性、この割合がかなり今高まっております。ですので、決して結婚した後に再就職をする女性だけではない、離職、転職を繰り返してキャリアを形成する女性たちが増えている。もう一つは、再就職の女性たち、やはり年齢が高くなると増えていく傾向があります。
 こういった多様な女性たちと、プラス、元々一九九〇年代、大卒女性は正社員で働く割合高かったんですけれど、これがだんだん、氷河期世代以降、正社員ではなく非正社員で働く高学歴女性も増えてきています。その転換点がどこら辺だったのかというと、多分氷河期世代。それ以前のバブル崩壊以前の世代では、結婚、出産で辞める女性が非常に多い。これ、オレンジが結婚、出産で辞めた女性、そしてブルーが仕事関連で辞めた女性。そういった意味において、仕事に希望が持てない、自分の好きな仕事ではない仕事をしているという女性が辞めやすい傾向になっています。
 また、そういった女性たちはキャリア志向も強いというようなことが分かっておりまして、ですので、リカレント教育課程のような、そういった教育を通じてスキル形成をしていく、あるいは非正規で入った女性がリカレント教育課程を通じて新しいキャリアを形成していく、そういう多様なニーズにリカレント教育課程が今応えようとしているところです。
 私は、このリカレント教育課程、日本女子大学で二〇〇八年に導入されました。その当時にその導入過程でいろいろと一緒に仕事をしてきまして、そうはいっても、なかなか一旦離職した女性が就職するのは難しいだろう、そういう女性たちを採る企業は少ないんじゃないかというふうにおっしゃられる方が多かったんですが、しかし、少しずつ、何でしょう、そういったリカレント教育課程の修了生に期待する企業は増えています。ただ、課題があるということは後ほど申し上げたいと思います。
 ちょっとここで、もう皆さんはよく御存じのことかもしれないのですけれど、高学歴の女性の離職理由の日米比較ということで、よく女性労働の話をすると、まあそうはいっても女性はやっぱり結婚、育児で辞めてしまうので使いにくいということをおっしゃる方が多いのですけれど、実際には、日本の女性の方が、育児を理由として辞めているわけではなくて、仕事関連で辞めているという。例えば、日本では六五%の高学歴女性が仕事への不満、あるいは四八%、行き詰まり感で辞めているのに対して、アメリカでは七四%が育児、三〇%が介護の理由で辞めているということで、今後、女性の継続就業を支えていくためにも、あるいはスキル形成を支えていくためにも、やはり女性にもっと期待するというか、仕事を与え、もっとチャレンジングな仕事を与え、キャリアが継続できるような仕事を与えていく、そういったことも非常に重要になっているということを申し上げたいと思います。
 先ほど申しましたが、リカレント教育について申し上げますと、二〇〇七年に文科省の社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラムに選定され、そして初めてリカレント教育課程が日本女子大に誕生いたしました。その後、二〇一五年には、厚労省の専門実践教育訓練講座と連携して、雇用保険の給付金の対象講座などにもなりまして、費用負担の面でも少し楽になった。ここら辺から受講生が増えてくるという傾向が見られるようになっております。二〇一六年からは、履修証明プログラムの修了が百二十時間から六十時間に短縮され、また、二〇一九年には、最初は七大学によるリカレント教育推進協議会が発足しました。現在は十一大学で教育推進協議会になっております。
 ということで、当初、私どもの大学でリカレント教育課程が誕生したときには、これはうまくいかないのではないかということが言われたんですけれど、私たちも大丈夫かと思いましたが、予想以上に就職は決まっています。
 しかし、やはり問題はまだございまして、こういったリカレント教育課程への認知度が低い、それから、非常に優秀な女性が入学してくるのですけれど、やはり企業は出産退職で辞めた女性に対しての偏見もあると思います。やはり、子供を優先して仕事を従としてしまうのではないかと。他方、女性たちは両方を充実させたいということで、必ずしもどちらかを選んでいるわけではない。そういったことについても、社会全体での偏見をなくしていくような取組というのを是非国全体でやっていただきたいというふうに思います。
 そしてもう一つは、受講料負担の問題ですけれど、最近、ドイツでインターンシップの導入をして、これは大学生のケースですけれど、大学生が授業を受けながら同時にインターンシップをして、その間は有償であるという、そういうプログラムも導入されております。
 これはリカレント教育課程でも福岡でそれが実践されているというふうに聞いておりますが、アメリカでもこういったインターンシッププログラムの拡大が進んでおります。こういったところを進めていくことでリカレント教育生への偏見を正していく、そして履修の費用を下げていくような、こういったこともリカレント教育を進めていく上では重要ではないかと思います。
 あとは、この後でお話があるかもしれませんけれども、長時間労働の解消、これは一旦辞めた女性ではないですけれど、やっぱりそういった、リカレント教育課程では今年の六月から、必ずしも仕事を辞めた女性だけではなくて、現在働いている女性に対しても夜の講座を開いております。そういった講座に行くことでスキルのキャリアアップを図るということもできますので、そういった意味で、労働時間の管理、あるいはオンライン授業などを広げていくことも重要になっていくのかなというふうに思います。
 以上が、リカレント教育課程について御質問いただいたことに対する私のお答えになっております。
 もう一つは、新型コロナウイルス感染に伴って女性たちがどういう問題に直面しているのかという御質問でございました。
 もう既に皆様方御承知のように、女性というよりは、むしろ非正規女性に非常に深刻な影響が出ているということは御存じだと思います。ちょっとこれからデータを示したいと思います。そして、テレワークというのは女性が仕事と家庭を両立しやすい働き方として期待されたわけですけれど、実際にはそれが実現されていない、そういった実態についてお話ししたいと思います。
 今日は、私の専門ではないですけれど、テレワークを通じて、一方で家庭の関係が良くなったという回答者が三割ぐらいいるのと同時に、非常に家族間の関係が悪くなったという人が一割程度いるということで、コロナを通じて日本社会が持つ問題というのが、社会問題というのが今新たに浮かび上がってきた、そういうことにどう対応していったらいいのかということも考える必要があると思います。
 これ、ちょっと時間が五十二分までなので飛ばしていきますが、そうですね、ちょっとこれは、女性と男性で企業規模別に、テレワークを実施した企業に勤めている男女別の比率なんですけれど、やはり大手企業ほどテレワークの推進が進んだということと、そういった大手企業において男女差が大きいということが分かりました。
 また同時に、この男女差というのがどういう要因によって生じるのかというのを正規、非正規別に、男女別に見たものなんですが、結論から申しますと、男女差が生じている主な理由というのは、雇用形態の違い、そして、それから企業の業種、女性が多い業種に今回影響が非常に大きかったということが関連しています。そして、従業員規模という、この三つによって関連が明らかになっております。
 こういったことを通じて一体何が分かったのかということですが、日本はやはり、正規、非正規の労働市場の二重構造論という、二重構造になっていて、その核の労働市場ではテレワークが導入され、そこでは男性が多いわけですが、特に女性の場合には、キャリアの進展がない、人的資本の賃金の見返りの少ない労働市場に女性が多くいるという、この問題というのが更に女性の貧困の問題、そして子供の貧困の問題に関わってくるわけですけれど、この二重労働市場の中での女性の存在、これをどういうふうに解決したらいいのかというのが今回のコロナ禍で非常に重要な問題として浮かび上がってきたように思います。
 最後の、職業訓練機会についてどのように考えたらいいのかという、非常に難しい問題を投げかけていただいたように思います。
 今回、改めて国の職業訓練制度を見ると、充実して、特に二〇一五年以降非常に充実して、雇用保険制度に加入していれば基礎講座や専門講座のいろいろな制度が受けられる、そして、雇用保険に受給していなければ求職者支援制度みたいなもので訓練が受けられるというところは非常に進化したと思う反面、やはり女性のその働き方というところでいうと、やはり子供を持ってトレーニングを受けて、そして働く、多様な働き方が本当にできているのかというのもありますし、それから、そういう制度を知らない人が多い。
 実際に、ですから、その制度をつくることが大切なのと同時に、それを周知していき、必要な人にその制度を周知し、実際に一緒になってその人を助け、生活を支援していく、そういった、社会全体が、受援力といいますか、援助して、一緒になって、助けてと言っている人の声を聞いて、一緒に助けてもらえるようにその方法を考えていく、そういった機能というのがまだまだ日本の中にない。
 ですので、職業訓練機会の拡大だけではなくて、そういった機会にどうやって必要な人がアクセスして自立して生きるようになるのか、そういったNPOの存在も含めて、社会全体でやはり貧困の問題、失業の問題についてもっともっと私たちが手を携えて問題を解決する必要があるというふうに思います。
 もう最後になってしまったのですが、そういったもので、もちろん長時間労働の是正ということを申しましたが、もう一つ、今回のテーマではないんですけれど、社会保障制度の見直しとセーフティーネットの拡充、これは非常に重要な問題になっていて、この問題が解決しないと女性の非正規の問題は解決しないのではないかというふうに思っております。
 私が準備した内容は以上でございます。御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 大沢真知子

speaker_id: 33182

日付: 2021-04-21

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会