石垣のりこの発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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○石垣のりこ君 「誰もが安心できる社会の実現」について、今国会では、子どもをめぐる課題、外国人をめぐる課題、そして新型コロナウイルス感染症による国民生活・経済への影響、社会的孤立をめぐる問題、そして生活基盤の安定に向けた課題というそれぞれのテーマで五回にわたって十四人の参考人の方にお話をいただきました。
 このコロナ禍におきまして、まずやらなければならない喫緊の課題というのは、この調査会において、困難を抱える人々への経済支援ではないでしょうか。
 この一年で、特別定額給付金、持続化給付金、雇用調整助成金、一人親世帯への給付などはありましたが、政策の失策から感染は収束しておりません。経済活動の停滞は続いております。給付以外にも収入が減った人を対象に無利子でお金を貸し出す特例貸付けがありますが、その窓口になっている社会福祉協議会の職員は、業務が多忙を極め、苦しい状況の人に借金をさせている、これが福祉なのかと悩みながら職務を行っているという報道もあります。
 不況のしわ寄せは、社会の弱いところに向かっていきます。本調査会で取り上げられた困難を抱える人々は、そうした支援すら受けられない、また、受けられたとしても、それだけでは憲法で保障された最低限の生活すらままならない人も多いはずです。まず、そうした困難を抱える人々の命を守るために必要な現金給付、早急に実行されるべきであると申し上げたいと思います。
 さらに、この緊急時において命を支えるために給付されたお金の一割が消費税として回収されるという愚策とならないためにも、本調査会でも例示されましたように、消費税ゼロ、凍結なども有効な手段の一つであると考えます。
 そして、今回の調査会での諸課題なんですが、全体を通して言えることは、人を大事にしない、お金を掛けない、自己責任偏重の政策の弊害であり、やはり政治の責任であるということです。
 義務教育段階における特別支援教育のお粗末な現状にしても、子供の性暴力被害や国際水準から取り残されている性教育にしても、直接子供たちに向き合って諸課題に取り組んでいく教育現場、大人の側に余裕がなさ過ぎるということが大きく関係していると思います。
 よく指摘されることですが、日本の教育に対する公的支出は余りにも少ないです。OECDが昨年発表した調査によりますと、二〇一七年、初等教育から高等教育の公的支出、国内総生産に占める割合は、日本は二・九%、比較可能な三十八か国中の三十七位です。本当に惨たんたる数字だと思います。
 学校のクラス当たりの生徒数は、日本は、小学校がおよそ二十七人、中学校がおよそ三十二人、OECD各国の中でも最も多いレベルになっています。今国会でようやく日本でも小学校の三十五人学級導入が決まりましたけれども、そもそもこの三十五人学級の実現というのは、民主党政権当時に自民党さんが導入に対して消極的だったために頓挫した民主党の政権で、政策です。およそ十年遅れてになりますが、ようやく自民党さんの御理解も進んだということで、実現はしました。とはいえ、更なる教育の質の向上のためには、小学校のみならずの改革が必要と考えます。
 また、日本における外国人労働者、特に外国人技能実習生をめぐる諸課題にしても、外国人の子供の不就学についても、人をないがしろにする、余りにも残念過ぎる人権への認識が根底にあると思います。外国人であるからという理由で不当な労働条件で働くことを余儀なくされること、そうした制度設計を容認しているのは、ほかならぬ政治の責任です。
 本調査会のテーマは、「誰もが安心できる社会の実現」です。この誰もがというのは、日本国籍を有する日本人のみならず、日本に住んでいる外国人も含めて誰もがであるはずです。基本的人権の原理というのは、人類普遍の、特定の国家の憲法に先立つ原理であるという性格を持っており、全ての国家の国民に適用されるべき原理であるというのが世界水準の人権意識であるべきです。
 本調査会が目指す「誰もが安心できる社会の実現」のためには、そうした世界水準の人権意識を持つことが重要であることは明白です。しかし、日本では、どうも人権というのは、思いやりであって、一種の道徳と勘違いされている節があるのではないでしょうか。
 この点について、中央大学の池田賢市先生は、人権教育が目指しているのは、構造的に問題を把握することであり、それに基づく社会変革である、これは道徳が言わば心のありようといった個人の内面に焦点を当てて、その枠組みにおいて問題を把握しようとしていることとは大きく異なる、社会問題に対する道徳的な心の持ちようによる解決というアプローチは、自己救済を強調し、国家等の公的機関がやるべき諸施策を免責する危険性をはらんでいると指摘しています。
 この池田氏の指摘は、まさに現在直面しているコロナ感染症という国家の危機に対し、自粛という自己救済を強調し、政府が取り組むべき感染対策、十分な生活支援策を行わない無責任さを容認してしまう危険性と重なることを指摘しておきたいと思います。
 以上です。

発言情報

speech_id: 120414324X00620210512_004

発言者: 石垣のりこ

speaker_id: 10953

日付: 2021-05-12

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会