伊藤孝恵の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○伊藤孝恵君 本調査会では、子供をめぐるあらゆる問題について、参考人の皆様より様々な課題を預けていただきました。自殺、不登校、引きこもり、特別支援教育、ヤングケアラー、性暴力、外国人児童生徒、これら全て我々が最優先に取り組むべき課題です。なぜなら、子供の心を育めない、安心、安全な環境で大きくなれない、そんな国に連なる未来などないからです。
中でも、政治がこれまで、移民とは認められないから、集住地域特有の問題だから、多国籍過ぎるから、その取組を怠ってきた外国をルーツとする子供たちの育ちや学びの問題は既に臨界点を超えています。自治体任せの国の姿勢が地域間の大きな対応格差も生んでいます。
出入国在留管理庁によれば、二〇二〇年六月末時点で在留外国人はおよそ二百八十八万人、外国人労働者は二〇年十月末時点で百七十二万人と、十年間で二・六倍になりました。彼らは労働力ではありません。この国の一員として家族とともに暮らしております。
公立小中学校に通う子供たちはおよそ九万七千人いて、日本語で十分に日常会話ができなかったり授業参加に支障が生じたりしている小中学生が一八年度でおよそ三万六千人、十年間で三割増えました。もとい、日本国籍であっても、日本語の指導が必要な子供もおよそ九千人います。
文科省は、二六年度までに十八人につき一人程度の教員を追加で配置するとしていますが、ただでさえ教員確保の難しさがある中、果たして日本語指導もできるような担い手は見付かるのか。国が日本語指導を自治体や学校現場に任せきりで、指導人材の育成や確保を先送りしてきた今、何が起こっているか。
五月九日の新聞に気になる指摘がありました。文科省が外国人集住地域と位置付ける群馬、長野、静岡、愛知、三重など、八県二十五市町の教育委員会を対象に二〇年度に調査した結果、外国人児童生徒の六・五%が、学校教育法が発達障害や知的障害などを抱える児童生徒のための教育の場と定める特別支援学級に在籍しており、これらは通常の二倍に上る、二〇一六年調査から全く改善していないというものです。
背景には、日本語指導が必要な外国籍の小中学生を受け入れる体制の不備、指導者がいないといった理由でおよそ半数が日本語授業を実施できておらず、ある中部地方の教育委員会が、日本語が身に付いていない子供を人数の多い通常の学級で手厚くサポートするのは難しいので、検査による障害の判断なしに、診断なしに支援学級に在籍させるケースがあると認めたとも書かれていました。支援学級が日本語指導を担うことになれば、本来の目的である障害のある子の学びや育ちへのサポートが手薄になるなど、日の目にも明らかです。
現在、教育委員会の分掌規程には、外国人の子供の教育に関する記載は九二・三%の確率でありません。就業案内や手続等をする旨を規定していない自治体は九六・三%に上ります。
一方で、外国人教育に携わる業務を職務と明確に位置付けて取り組んでいる岐阜県可児市のような自治体では、不就学児童生徒がゼロになったというような好事例も出てきておりますし、外国人児童生徒の特別支援学級在籍率が二・四%と、全児童生徒割合二・六%を下回った愛知県豊橋市では、入学直後の学習を支援する通訳をおよそ三十五人確保、障害の有無も母語での検査を進めており、子供たち一人一人に適した教育環境を整えることで、彼らが自然に地域の生活者となり、多文化共生に関する市民意識も向上してきたと言います。最近では、外国人市民が自治会役員になったり、外国人の赤十字救急法指導員が日本で初めて誕生するなど、外国人市民が支援される側としてではなく支援する側であることも体現する事例が生まれていると言います。
海外では、公用語を母語としない子供の語学力向上に対し、積極的な取組がなされています。子供の問題を軽視すれば、それがやがて社会の分断を生むことを過去の歴史から学んでいるからです。アメリカでは、子供の数に応じて各州に補助金を支給し、年一回の試験でその成果をトレースしています。韓国も同様に韓国語能力試験を実施し、企業のグローバル化、人材確保に向け、外国人が安心して暮らせるよう教育体制の面でも条件を整えています。
言葉の力は、この国で生きていく力そのものです。それを子供たちに送ること、学ぶ場所の環境を整えることは我々の大きなミッションではないでしょうか。
終わります。