小林良樹の発言 (情報監視審査会)

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○参考人(小林良樹君) 明治大学の小林良樹と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、本日は、このような意見陳述の場を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。御尽力を賜りました審査会の委員の先生方、それから事務局の方々に深く感謝を申し上げたいと思います。
 さて、私は、明治大学におきまして、安全保障、危機管理、とりわけインテリジェンス機関の在り方ということに関しまして学術的な観点から研究を行っております。
 本日、特定秘密保護法の運営状況に関しましては、既にほかの参考人の方々から様々な御指摘がなされております。したがいまして、私からは、若干視点を変えまして、貴審査会はインテリジェンス機関に対する事実上の議会監視機関であるという前提に立ちまして、そうした機能の評価に関して、主に安全保障という観点から若干の意見を述べさせていただきたいと思います。
 お手元にお配りしております資料、こちらの横長のパワーポイントの資料なんでございますが、昨年の十二月に、国際安全保障学会という場におきまして、このテーマで私発表を行いましたときの資料を若干手直ししたものでございます。本日、この資料に基づきまして、ポイントのみを簡単にお話をさせていただきます。
 まず、私の問題意識なんでございますが、これ、一ページめくっていただきまして、研究の目的等というページがあるんですが、ここに書いてあります。二〇一四年に創設されましたこの情報監視審査会は、議会によるインテリジェンスコミュニティーに対する民主的統制の機関としてどの程度有効に機能しているのかというところが問題意識でございます。
 これ一体どうやって判断するのかということになるんですが、一応方法論といたしましては、国際比較、すなわちアメリカとかイギリスあるいはオーストラリア、こういった他国の類似の機関との間で制度面それから運用面、この双方から検証を行ったわけでございます。
 もう直ちにちょっと結論のところに参ろうと思うんですが、ここから、表紙から十枚ほどめくっていただいて、六の結論というところがございます。ここに、審査会のこれまでの活動をどう評価するかということが簡単にまとめております。大きく分けまして、ポジティブな面、ネガティブな面と二点ございます。
 まず初めに、若干ネガティブな面なんでございますが、現在の日本の情報監視審査会の制度というものは、欧米先進国等における類似の制度に比較すると、依然としてやはり不十分であるということの結論になります。
 最大の原因は、これ委員の先生方も御案内かと思いますが、審査会の法的権限の及ぶ範囲が非常に限定的であるということがございます。すなわち、その制度設計上、この審査会の権限の及ぶ範囲というものは、特定秘密保護制度関連の事項に限られていると。逆に言いますと、その他の秘密、あるいはインテリジェンス機関の予算、人員、そういった制度管理的な事項には及んでおりません。こうした点は、欧米先進国、アメリカとかイギリスとか、そういう国における類似の制度と比べると大きく異なる点でございます。
 第二に、しかしながら、非常にポジティブに評価できる面もあろうかなと考えております。すなわち、現行制度を見ますと、将来的に議会によるインテリジェンスコミュニティーに対する民主的統制の機関が本格的に創設されるとするのであれば、その準備として積極的に評価できる面もあるというふうに考えております。
 すなわち、まず第一に制度設計の面でございます。現在の貴審査会の制度設計というものは、先ほど申し上げた対象となる事項の権限の狭さという点を除けば、各国の類似の制度と比べて全く劣るところのないような制度設計になっているかと思います。これは、この資料の五の分析というところで書いてございます。とりわけ、秘密会の原則を始め、各種の秘密保護の制度、こういったものは非常に我が国の国会の中では画期的なことであり、積極的に評価できるのかなと思っております。
 それからもう一点は、運用の面でございます。二〇一四年にこの制度ができて以降の様々な御審議の状況を公表されております報告書等から見てみますと、国会におけるいわゆるインテリジェンスリテラシー、すなわち知識ですとか理解、こういったことの向上につながるような様々な御審議がなされている状況がうかがわれます。
 例えば、サードパーティールールであるとかニード・ツー・ノウの原則、こういったインテリジェンス業務に特有の事項に関しても、その意味するところは何かというようなことをいろいろと御審議いただいている。こういったことによって、議会の側におけるインテリジェンスリテラシーの向上、さらには国会とインテリジェンス機関の相互信頼の向上ということに資するような運営がなされているのかなというふうに考えております。
 以上がこれまでの活動に関する評価という点でございます。
 最後に、今後どのような活動を期待するのかということにつきまして、この資料のお尻から三枚目のところになります。
 三点ほど簡単に記載をしております。
 まず第一点目は、これ今後、仮定の話でございますが、もしもこの国会等におきまして、安全保障政策全体の議論、とりわけ政府のインテリジェンス機関の機能の、あるいは権限の見直しということに関する議論がなされるのであれば、そういう議論の中で、貴審査会の権限の見直しということも御議論していただければなというふうに感じております。
 これ、問題意識といたしましては、この特定秘密保護法ができたときの附則の三条にありますとおり、将来的に対外情報機関のようなものができるのであれば、それに対する民主的統制の在り方も改めて考えるべきというふうなことが国会の御意思として記されております。
 したがって、こういう精神というものは、対外情報機関の創設に限らず、およそそのインテリジェンス機関の権限強化ということがあるのであれば、それとバランスの取った監督機能の強化というものもあるべきかと思っておりまして、じゃ、それをどこが担うのかということになれば、貴審査会が担われるのが一つの考え方であるのではないかと思っております。これが一点目。
 それから、二点目が、これまでも様々な御審議の中で国会側のインテリジェンスリテラシーの向上、それから国会とインテリジェンス機関の相互信頼の向上に資するような御議論がなされているということを申し上げました。こういった活動というものは今後も続けていただけると大変幸いでございます。
 ただ、若干気になっている点がございます。
 一つは、委員の先生方の任期の問題でございます。私が自分で記録等を基に簡単に計算した限りでは、これは衆参両院も含めてなんですが、大体お一人の先生方の平均的な在職が二十か月弱ぐらいになっております。二年にも満たないということで、これだと、それぞれの先生方が十分なリテラシーを蓄積していただくのに果たして十分なのかどうか。特に、他国の例などと比べてどうかなというところはございます。それぞれいろんな政治的な御事情もあろうかと思いますが、なるべく御配慮をいただければなというふうに思います。
 さらには、委員の先生方の交代があったりした際に、そこをサポートして、そのリテラシーの蓄積なり継続を図るのが事務局の皆様の御尽力ではないかと思います。したがいまして、この事務局のスタッフの方々のインテリジェンスに関する知識、こういったものの向上であるとか蓄積にも御配慮をいただければなというふうに感じております。
 最後に、三点目は、貴審査会としての情報発信ということでございます。もちろん、適宜報告書というものを発行していただきまして、これは情報発信として大変優れたものではないかと思っております。他方で、各国における類似の議会による監視制度の状況を見ますと、更に積極的に、インテリジェンス機関そのものが自分では語れない、国民に対して語れないようなことに関して、代わってこういう議会の監視機関が様々国民に対して説明をするというようなことも行われております。なかなかすぐに外国のようにということにはいかないのかもしれませんが、そういったことも念頭に置いていただいて、インテリジェンス機関に代わっての国民に対する説明責任ということを若干御検討いただければと思う次第でございます。
 私からは以上でございます。
 御清聴どうもありがとうございました。

発言情報

speech_id: 120414541X00520210428_008

発言者: 小林良樹

speaker_id: 24829

日付: 2021-04-28

院: 参議院

会議名: 情報監視審査会