大久保敏弘の発言 (内閣委員会)

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○参考人(大久保敏弘君) よろしくお願いします。慶應義塾大学経済学部教授をしております大久保敏弘と申します。よろしくお願いします。
 私の専攻は国際経済学、特に国際貿易ですとか海外直接投資、空間経済学、地域経済学といったところです。したがいまして、余りその法案に関しての細かいところではなく、どちらかというと経済学からの視点ということですので、よろしくお願いします。
 まず初めにですが、デジタル経済の現状と問題点に関して、ここを中心に議論を進めていきたいと思います。特にテレワーク、あるいは政策に関するところを直近のデータを基にして説明していきたいと思います。いわゆるエビデンスベースと呼ばれているもので、データに基づいて政策を打ち出そうということで提案させていただければと思います。データは私の、大久保敏弘・NIRA総研、第一回から第四回テレワークに関する就業者実態調査に基づくものであります。よろしくお願いします。
 まず一番目ですが、テレワークの現状に関してです。これは我々のデータに基づくものです。
 テレワーク率の推移、つまり就業者に対するテレワークがどれだけ利用されているかといったところのパーセンテージで、二〇二一年四月、直近のデータですと、東京圏においては二八%、全国平均では一六%であります。
 下のグラフは時系列で見たもので、緑のラインが全国、青いラインが東京圏のものです。コロナ禍以前の二〇二〇年一月から二〇二一年の四月までで調査をしております。
 コロナ禍前ではテレワークはそれほど普及していませんでしたが、第一回の緊急事態宣言、二〇二〇年四月においてかなりテレワーク率が伸びました。特に東京圏では四〇%弱、全国では二五%程度まで上昇、その後、緊急事態宣言後低く、低下しました。その後もある程度の、一定程度を維持している状況です。第二回の緊急事態宣言においては、若干、多少の伸びはあったものの低迷しているような状況です。諸外国と比べても低い状況で推移しているのが現状です。
 次に、二番目です。業種によるテレワークの向き不向きがあります。したがいまして、政府が行う一律にテレワーク何%という目標はなかなか掲げにくいのではないかと考えます。
 例えば、通信情報業、情報サービス業に関しては、元々テレワーク率が高い、コロナ禍以前でも高かったのですが、このコロナ禍においてかなり大きく進捗しております。二〇二一年四月現在では五〇%弱のテレワーク率になっています。一方で、医療、福祉、飲食業、宿泊業、こういったところは、元々テレワークができない上に、このコロナ禍においても低迷し続けている、二〇二一年四月現在においても五%を切っているような現状であります。
 次に、三番目として、所得の格差に関する問題です。デジタル格差と所得格差が連動しているのではないかと。つまり、所得階層でテレワーク率を見たものが左、右側が所得階層別に見たICTツールの利用率を示しています。
 おおよそ一千万円ほどの所得階層まではきれいに比例している状況です。つまり、所得が高いほどテレワークを使っている状況です。あるいはICTツールを使っている状況です。全ての国民が利活用できていない状況が浮き彫りになっております。もちろん、この所得階層においては低いところ、高いところとで業種あるいは職種が違ってきますので、そういった環境の違いというのが大きいということが言えます。
 次、四番目、企業規模に関してテレワークの実施率を見たものです。
 大企業において、特に五百人以上の規模の大企業においてはデジタル化を積極的に進めて生産性を伸ばしている一方で、中小企業にとっては極めて低い、まだまだ低い状況が続いています。一つの要因としては、デジタル投資に苦慮している、あるいは中小企業はそもそもデジタル化はしなくてもいいと、あるいはする環境にないと、必要がないというところもあると。様々な要因があるというところに注意すべきと考えます。
 五番目、テレワーク、こうしたテレワークが低い利用率なんですけれども、いろいろなテレワークの障害があるということも分かってきております。制度、企業、個人、様々な問題がある、こういったことが分かってきております。
 例えば、第一回の緊急事態宣言下では、一日、最低一日でも出勤せざるを得なかったという人が八二%に上ります。八二%に上ります。出勤した主な理由は、対面業務あるいは事務手続、特に会計業務ですとか行政関係の手続、こういったものが非常に多く、こういったことを理由にして出勤をしていたということが分かりました。
 したがいまして、テレワークを進める、デジタル化を進めるには、やはり政府の規制、制度を大胆に見直す必要があると思われます。会計制度、押印、あるいは行政関係の手続の電子化、簡略化が極めて重要と考えます。
 テレワークの推進は経済学的に考えても非常に重要なことで、例えば、ワーク・ライフ・バランスを推進する、あるいはそれによって生産性を向上させる、あるいは多様な働き方を促進する、こういったところで非常に重要と考えます。特に女性、若者、障害者など、様々な人たちを意識した新しい働き方には必要不可欠と考えます。したがいまして、多様な社会をつくるためにもこうした取組は非常に重要であると考えております。
 次に、六番目、定額給付金の給付に関するもので、これは二〇二〇年の六月時点のデータです。したがいまして、定額給付金がどれだけ実際に手元に渡っているかというのをデータ化したものです。
 下のグラフは、下の図は都道府県別の給付率、実際に手元に渡ったかどうかを示している図です。特に青いところがパーセンテージになっています。東京圏に関しては一〇%から二〇%程度受領している。その一方で、この二〇二〇年六月時点で六〇%、七〇%実際に受領している府県も少なからずあります。
 こうした地域間格差というのは極めて重要な問題と考えます。こうしたことは政府のデジタル化を推進すれば解決する可能性も多々あるのではないかと考えております。現在のワクチン接種においてもこうしたことが懸念される点であります。
 七番目、感染症対策と経済対策に関してです。
 これに関しても調査で聞いておりまして、PCR検査率の回数、GoToトラベル利用率、利用したかどうかの回数、GoToイートを利用したかの回数を聞いています。結果、低い、極めて低いPCR検査率になっており、二〇二一年四月時点では一四%、GoToトラベル二九%、GoToイート二七%の人が利用しているということが分かっております。
 したがいまして、PCR検査はもっと高くあるべきではないかと思っております。したがいまして、GoToよりもやはりPCR検査にもっと予算を割くべきではないかと思います。PCR検査で潜在的な感染者を見付け、やはり政府としては、デジタル化し、体制を整備することで、より効率の良い感染症対策ができるのではないかと考えております。したがいまして、徹底したPCR検査を行うことで経済対策にもつながるといった、そういった発想が政策に薄いのではないかと懸念しております。
 八番目、これは、所得の階層によってそれぞれの政策をどれだけ利用しているかといったところを見たものです。所得が高いほどGoToキャンペーンあるいはPCRを使っている傾向にあります。
 九番目、移ります。また、調査では、国民がこの四月時点で、十二月時点でどういうふうになるかと、つまり、国民の今年の年末の予想に関しても聞いております。結果としては、おおむね悲観的であります。
 国民の多くの予想は、ワクチン接種は進むものの、変異種の流行により終息の見通し立たず、経済状況も停滞あるいは悪化すると予測しております。これは経済学的に見ても極めて憂慮すべき状況で、こういった悲観的な国民の予想は今後の日本経済にも悪影響を及ぼす可能性があります。
 例えば、日本の状況に関して伺うと、経済状況、あるいは医療体制の逼迫、ウイルスの感染状況、こうしたところは四〇%以上の人が悪化と答えております。一方で、ワクチン接種の進展に関しては三〇%が改善ということを答えております。また、政府のデジタル化に関しては変化なしと、年末、この年末までに変化なしと答えている人は六六%にも上るという状況であります。
 次に、十番目で、デジタル政策への国民の期待に関しても聞いております。これは、二〇二〇年三月から四月まで、定期的に聞いておるものです。
 オンライン診療の推進、オンライン教育の推進、Eコマース、デジタル決済の推進、AI、ビッグデータ活用の推進、こういったところの賛否を聞いております。その結果、四〇%程度の人が常に賛成をしている、一方で、反対は極めて少数であるということで、賛成が多数なのですが、しかし、期待や関心が停滞しているという問題があります。
 例えば、オンライン診療に関しても、賛成が五三%だったものが、二〇二〇年三月、五三%だったものが二〇二一年四月においては低下していると。どの政策に関しても賛成が低迷しているという状況にあります。そういったことで、期待や関心の形成、国民の関心や期待を高めるような政策が必要と考えます。
 十一番目、デジタル経済の推進の意義と課題に関して述べさせていただきます。やはりデジタル化が日本はほかの先進国に比べて遅れている、そういったところで、今後、デジタル化に関しては積極的に推進すべきであると考えます。
 例えば、テレワークの推進、これは生産性の向上につながります。また、先ほど述べましたように、多様な働き方、様々な人が多様に楽しく暮らせる社会の実現、こういったものにつながります。また、第二に、迅速かつきめ細かい政府の支援給付、こういったものが可能になります。弱者をなくすことにもつながります。また、納税の効率性、公平性の観点でも極めて政府のデジタル化は必要と考えます。また、ストック課税の強化なども今後政府の政策として推進しやすくなるというベネフィットがあります。三点目としては、自然災害、経済ショック、負のショックに対する経済の耐久性、レジリアンスを高めることができます。また、四番目に、東京一極集中の是正や地方創生、こういったところにもデジタル経済は大きな力を発揮するのではないかと考えております。
 しかしながら、問題があります。例えば、格差の問題、デジタル格差の問題があります。国民が、全ての国民が使えるような状況になかなかならないという格差の問題。あとは、個人情報の保護の問題、情報管理、セキュリティーの問題というのが非常に大きな問題としてあるということがあります。
 十二番目、政策の徹底と工夫ということですが、やはり政策、このデジタルの政策に関しては、徹底と工夫と、二つの視点が必要であると考えます。
 徹底したデジタル化の推進が必要であること、つまり、中途半端なデジタル化は良くない、全ての国民がしっかりと使えるようにする、若い人から老人まで全ての人がしっかり使えるようにする、これが重要と考えます。経済学の中ではネットワーク外部性というのがあります。多くの人が使って、使ったことによって効率が上がるというものですので、やはり国民がしっかり使えるような体制を整えるべきと考えます。
 また、様々な工夫が必要と考えます。高質なデジタル化を徹底的に進めることが必要不可欠で、こうしたことで例えば情報管理の問題を克服することができるのではないかと考えます。例えば、個人情報がどう管理されているのか、個人へのアプリでの通知やオンラインでのアクセスで確認ができる、こうしたことによって国民の不安は払拭できるのではないかと考えております。あるいは、公衆WiFiの普及で、国民全てが低廉で最低限使えるような環境をしっかり整備をすべきだと考えております。
 また、もう一つの軸としては、国民に対する政治のしっかりした説明と不安の払拭、これが何といっても重要だと考えております。もちろん政策に足りないところは多々あるわけで、そこは今後しっかり補足をすべきと考えております。まずはデジタル化をしっかり進めると、これがやはり日本経済の成長やあるいは多様な社会の実現にとって極めて重要と考えております。
 以上です。どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 大久保敏弘

speaker_id: 24577

日付: 2021-05-06

院: 参議院

会議名: 内閣委員会