熊谷裕人の発言 (本会議)

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○熊谷裕人君 立憲民主党の熊谷裕人です。
 立憲民主・社民の会派を代表して、令和二年度補正予算第三号及び特別会計補正予算第三号に対し、反対の立場で討論を行います。
 初めに、新型感染症COVID―19により、会派の幹事長であった羽田雄一郎さんを始め五千四百人を超える多くの方々が亡くなられています。心より御冥福をお祈りいたしますとともに、不安な気持ちで治療中の方々とその御家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 また、もはや医療崩壊であるという声が上がるほどの過酷な医療現場で日夜懸命に治療に当たられている医療従事者の皆様、そして、それ以外の診療科や介護・高齢者施設、保育・学童保育施設、学校などの現場で日々御奮闘する全てのエッセンシャルワーカーの皆様へ心より感謝の意を表したいと思います。
 今、十一都府県では二回目の緊急事態宣言のさなかです。これは、政府の新型コロナウイルス感染症防止対策や医療体制の構築、危機にある生活と事業への対策がいずれも後手後手であり、昨年十一月二十五日からの勝負の三週間による封じ込め策も掛け声倒れになった結果ではないでしょうか。その失政のせいで、国民の命と暮らし、なりわいは繰り返し大きな打撃を受け、本当に深刻な危機の中にあります。
 今回の補正予算は、昨年十二月十五日に閣議決定されたもので、現在の緊急事態宣言下における対策が想定されておりません。そのため、病床確保のための医療機関や医療従事者に対する支援、感染の広がりを防ぎ封じ込めるための検査拡大、持続化給付金や家賃支援給付金の再支給と継続などの事業を守る支援、雇用調整助成金の特例延長や休業支援金などの労働者の所得補償の措置など、窮状にある国民に対して一刻も早く救いの手を差し伸べるために十分な補正予算になっているとは到底思えません。
 以下が、反対の主な理由です。
 まずは、三次補正予算十九兆一千七百六十一億円のうち新型感染症COVID―19の感染拡大防止に資する予算は四兆三千五百八十一億円で、予算全体の僅か二二・七%にとどまっている点であります。
 それに対して、ポストコロナに向けた経済構造の転換、好循環の実現に係る予算十一兆六千七百六十六億円のうち、デジタル改革、グリーン社会の実現二兆八千二百五十六億円、GoToトラベルとイート事業の一兆八百二十六億円、防災・減災、国土強靱化の推進などの二兆九百三十六億円など、緊要性に疑義を持たざるを得ない経費が計上されています。特に、GoTo事業予算は完全にタイミングを誤っており、看過できません。
 さらに、より具体的に例を挙げます。
 先日、国際的医学誌に京都大学の西浦教授の研究グループの論文が掲載され、その中に、感染拡大の初期の段階ではGoToトラベル事業が影響した可能性があると指摘されています。GoTo事業の再開は、COVID―19を抑え込んで、国民が安心して旅行や大人数での会食を行えると認識した後に実施するべきであり、三次補正予算に計上することは無謀で、事業を一時停止している間に安心して事業を推進し得る制度設計につくり直すべきです。
 次に、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の前倒し分予算など二兆九百三十六億円を計上した点です。
 五か年加速化対策では、令和三年度から五か年を実施期間としながら、今回、初年度経費をこの三次補正予算に前倒しで措置しております。直近の豪雪対策を始め災害復旧に係る経費は必要であるものの、この二兆円余の経費は令和三年度予算であるべきです。
 また、国民の安心、安全の確保に係る予算の中でも防衛装備品の支払前倒し経費二千八百十六億円も同様で、これは補正予算に盛り込めば査定が甘くなるという霞が関の論理にほかなりませんし、今回必要ではないはずです。
 これらの予算は財政法第二十九条の観点からも緊要性に乏しく、補正予算への計上は真に必要となった経費に限定して、財政規律をしっかりと維持することが重要であると考えます。
 もう一つは、カーボンニュートラルに向けた革新的な技術開発のための二兆円規模の基金や、将来の大規模な基金創設のための大学ファンド五千億円の経費などが計上されており、これらにも財政規律の観点から疑問を感じます。何ゆえ補正予算に計上したのでしょうか。
 基金は創設しても、いつ使用されるか定かでないことから、計上された予算規模に応じた経済押し上げ効果が期待できないのではないかという考えもあることを指摘しておきます。
 そしてもう一点、新型感染症COVID―19の感染拡大防止の予算は四兆三千五百八十一億円であります。私の計算では、治療薬の開発等に係る予算は僅か四百五十一億円で、余りにも少ないと思います。PCR検査件数を大幅に増やした上でゲノム解析を積極的に行うことによる感染経路の解明で、徹底的な封じ込め策を講じなければなりません。そのための予算や、国産ワクチン開発と治療薬開発のための予算を拡充することが必要です。
 以上、指摘した予算は即刻組み替えて、目前の危機的状況から脱却するため、新型感染症COVID―19対策経費へ集中し直すべきであると改めて申し上げておきます。
 私たちの下には、大学を退学する、家賃が払えない、親の収入で大学進学を諦める、子供の食事にも困っているといった、生きていくのに困窮し、命の危機を訴える声が毎日のように届いています。四月には子供たちの進級や進学も控えています。未来を担う子供たちや若者たちをCOVID―19の最大の犠牲者にしてはなりません。
 もう個人での自助は限界です。炊き出しや子供食堂、フードパントリーなど、民間ボランティアの共助で辛うじて暮らしていけている人がたくさんいます。
 昨日の予算委員会で、我が会派の石橋議員が、弱い立場の方にも自助を求めるのか、収入を失って命を落とす人が多数に上がっている、政府の政策は届いているのかなどとただしたのに対し、総理の、最終的には生活保護があるという答弁は、政治の責任を放棄するものであり、総理が口にしてはならない発言だと思います。
 総理には、菅内閣には、本当に国民の声が届いていますか。国民のかまどの煙が見えていますか。困窮の状況にある人たちに救いの手を差し伸べるのが政治の責任のはずです。
 また、自宅療養中の方が亡くなる事例が急増しています。保健所の厳しい現状や医療崩壊で入院治療できない現状を一刻も早く改善すること、変異ウイルスの拡散を徹底的に抑え込むこと、ワクチンや治療薬を早期に開発することで、平穏で安心の日常を取り戻さなければなりません。
 補正予算を、予備費を、明日への希望のために使うのならば、私たちも協力することはやぶさかではありません。国民の窮状を救うために再度提案します。この補正予算を今からでも組み替えませんか。
 最後に、私たち立憲民主・社民は、現下の状況ではフェース・ツー・フェースで直接声を聞かせていただくのが難しい環境にありますが、これからも国民お一人お一人にしっかりと向き合い、一人一人の皆様が抱えている不安や課題に真摯に取り組み、あなたのための政治を実践し、我が国を覆うCOVID―19という災厄に打ちかつために全力を挙げることをお誓い申し上げ、会派を代表しての反対討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 120415254X00420210128_004

発言者: 熊谷裕人

speaker_id: 3116

日付: 2021-01-28

院: 参議院

会議名: 本会議