田村智子の発言 (本会議)
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○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案について、菅総理に質問いたします。
本法案の最大の問題は、新型コロナの感染抑制のためと称して、感染症法に患者への罰則、特措法に事業者への罰則を創設することです。自宅で何の治療も受けられないままに亡くなる方がおられる下で患者への罰則を議論するのか、客席を減らし、営業時間を削り、様々な感染対策を講じ、懸命に努力している事業者を罰則で脅すのかと、怒りを禁じ得ません。
その上、自民党松本純国対委員長代理が深夜、銀座のクラブを訪問していたことが先週明らかとなり、田野瀬副大臣と大塚衆院議運理事が昨日になって同席を認めた。一週間も事実を隠していたのです。自民党の自浄作用はどうなっているのですか。総理、国民の前で事実を明らかにし、謝罪すべきではありませんか。
法案について質問します。
菅総理は、昨年末、罰則と給付金はセットで必要ではないか、次期国会に提出して成立させたいと表明しました。年明け早々の一月五日、各政党からあらかじめ意見を聞いて法案をまとめるとの説明で、新型コロナ対策政府・与野党連絡協議会が行われ、八日、十三日と回を重ねました。
その場で私は、罰則が必要だという根拠、保健所が対応できるのか、患者への刑事罰は差別と偏見を助長するなど罰則に反対の意見を述べ、他の野党からも反対と懸念が繰り返し示されました。
こうした議論が報道される下、一月十四日、日本医学会連合が入院拒否などに対する罰則を厳しく批判する緊急声明、日本公衆衛生学会と日本疫学会も連名で同様の声明を発表。翌十五日には、厚生科学審議会感染症部会で罰則への反対、懸念の意見が多数出されていたことも、議事録の公表によって分かりました。
ところが、一月二十二日、国会提出された法案は、これらの意見を全く顧みないものでした。野党の意見を聞いてといいながら聞き流したのでしょうか。各学会、そして感染症部会での意見はいつ、どこで、どのように検討されたのでしょうか。多数の批判、懸念がありながら患者への刑事罰さえ必要だと判断した、それだけ重大な立法事実とは何だったのですか。これらは、菅政権の新型コロナ対応の基本姿勢にも関わる問題です。総理の明確な答弁を求めます。
衆議院本会議で菅総理は、罰則の創設について感染症対策の実効性を高めるためと答弁していますが、どのように実効性を高めることになるのか、具体に説明いただきたい。罰則の周知、要請に従わない者を実際に罰することで国民に恐怖心を持たせることが感染症対策の実効性なのでしょうか。併せて答弁を求めます。
罰則の周知もその運用も、直接担うのは保健所ではありませんか。時短営業の要請に応じていない事業者があった場合、どのような手続によって罰則を科すのでしょうか。また、正当な理由なく入院や積極的疫学調査を拒否したという場合、正当な理由の判断は誰がどのように行うのでしょうか。この場合も患者に罰則を科す手続について説明を求めます。
昨年の新型コロナウイルスの感染拡大によって、まず体制が逼迫したのは保健所でした。今も、入院の優先順位の判断など、命の懸かった業務に休日もなく懸命に対応されています。その上、罰則への対応を求めることは、感染症対策の実効を高めるどころか、まさに逆行、足を引っ張るものではありませんか。
全国保健所長会が一月二十七日、厚生労働省に提出した感染症法改正案への意見では、個々の保健所からの様々な意見や懸念を承っているとして、対応困難な患者に対する罰則規定を求めないという意見を紹介しています。この意見書は大変抑制的な書きぶりですが、患者の個々の事情に丁寧な対応を行ってきたこと、必要なのは保健所の人的体制であること、住民の立場であらゆる人の命と健康を守る使命を持続可能としてほしいなどの訴えが伝わるものです。
これまで保健所がどのような困難事例にどう対応してきたのかを政府として把握し、分析していますか。また、保健所の抜本的な人員増こそ患者の理解と協力を得る実効性ある施策ではありませんか。
感染症対策の実効性は、恐怖心を持たせる施策ではなく、国民が安心できる施策を網の目のように広げていくことです。
自営業の方が、仕事を休むと収入が減るため入院を拒否したという事例があります。新型コロナ感染者は仕事を休んだときに公的医療保険の傷病手当の対象となりますが、給与所得ではない自営業者やフリーランスは対象外です。この場合、所得保障の制度はありますか。
また、濃厚接触で自宅待機の場合、傷病手当の対象となりますか。時給や日給で働いている濃厚接触者は二週間無給状態となりますが、どのような支援策があるのか、お答えください。
無症状、軽症、濃厚接触で自宅待機となった場合、十日から二週間、一歩も外出しないための生活必需品の支援は現状でどれだけの自治体が行っていますか。今回の特措法改定でも、食料などの生活物資の支給は自治体の努力義務のままです。支給しない自治体があってもよいということでしょうか。
非正規雇用の労働者が新型コロナに感染したことを店長に連絡したら、もう来なくてよいと解雇を宣告されたという事例があります。感染や濃厚接触で仕事を休むと解雇する、これは違法ではありませんか。必ず是正指導すると約束いただけますか。
これらは氷山の一角です。不安定で弱い立場で働く方の中には、様々な不利益や差別、社会的制裁を恐れて、症状があっても検査を受けないということが現に生じています。その上、罰則で脅せば、更に追い詰められ、隠れた感染を広げかねないのではありませんか。必要なのは、感染しても、濃厚接触となっても、全ての人の生活を守るという支援策ではありませんか。
以上、総理の答弁を求めます。
本法案では、民間医療機関が厚労大臣及び都道府県知事による感染症患者受入れの要請に応じない場合に、受入れの勧告、勧告に応じない場合の公表という、医療機関への社会的制裁も行おうとしています。新型コロナ患者が入院できないのは民間病院の責任だというのでしょうか。民間医療機関の九割が二百床未満、人員配置上もぎりぎりの運営をしており、多くの中小医療機関は新型コロナ患者受入れは困難というのが実態ではありませんか。
条件のある医療機関は既に新型コロナ患者を受け入れており、それ以外も看護職員の派遣、他の疾病患者の引受け、発熱外来など、新型コロナ対応に貢献し、地域医療を守る役割を果たしています。政府はこのような地域の医療機関をどう評価しているのでしょうか。
そもそも、社会保障抑制のためとして、地域医療構想などで高度急性期や急性期の病床を減らし、医療機関が要望する人員配置基準の引上げに背を向けてきた、これら長年の政策こそが新型コロナ患者を受け入れる余力を医療現場から失わせてきた、その認識と反省はあるのでしょうか。
最後に、まん延防止等重点措置についてお聞きします。
要件は全て政令に委ねられ、国会の関与もなく、政府と知事の判断により、罰則付きで事業者への要請及び命令を行うことになります。今回の緊急事態宣言でさえ協力金は限定的、しかも、持続化給付金、家賃支援給付金を打ち切るということを見ても、これは、事業継続への補償もなく、罰則によって事業者を要請に従わせるというものではありませんか。
長期にわたるコロナ禍で国民の中に不安が沈殿している下で、罰則と社会的制裁によって不安をあおり、国民を分断させるなどあってはなりません。苦難に応える、誰も取り残さないと政府が宣言し、協力と連帯を築かなくてどうするのか、このことを厳しく指摘し、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕