舟山康江の発言 (本会議)
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○舟山康江君 国民民主党・新緑風会の舟山康江です。
会派を代表し、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。
まずは、法案の内容についての問題を指摘します。
今回の特措法等改正は、これまでの感染拡大防止対策が行き詰まった結果、特措法改正はコロナ収束後という方針を政府は年末に大転換し、苦し紛れに改正にかじを切ったのだと理解しています。しかし、感染拡大防止の実効性を高めるどころか、幾つもの点からむしろ混乱と分断を拡大するものであり、大問題です。
第一の問題は、店舗や事業の休業や時短など、国民や事業者に様々な制限を強いる一方で、それに伴う十分な補償が規定されていないことです。
昨日、一都九県における緊急事態宣言の一か月延長が決まりました。感染症の拡大を食い止めるためというのは分かります。しかし、この一か月さえ何とか乗り切ればと歯を食いしばって耐えてきた事業者からは、今後もこの状況が続くということが決まった今、まだ続くのか、このままでは商売が、事業が続けられない、もはや限界だ、そんな悲鳴が上がっています。家賃の支払にも困り、従業員を抱え続けることもできず、失業者と生活困窮者が増加するという負の連鎖が広がっています。
十分な補償なく、長期にわたって時短に協力してくださいと言われても、もはや限界です。これまでも、定額の協力金と引換えに協力を求められ、多くの事業者は必死に踏ん張ってきましたが、一律の給付では、とりわけ規模の大きな事業者にとっては焼け石に水です。公共の福祉のために受忍すべき損失は補償しない、そんな議論も委員会ではありましたけれども、そのエビデンスもないまま事業者のみに犠牲を強いることはこれ以上許されず、協力いただいた事業者の損失に対する補償をセットで行うべきです。
要請に応じられるか否かは十分な補償に懸かっています。強制力だけでは何も解決しません。特に、感染拡大の元凶とピンポイントで名指しされている飲食店の協力を仰ぎ、感染症防止対策を進めるためにも、十分な経済支援が不可欠であることを改めて強調させていただきます。
しかも、影響を受けているのは飲食業だけではなく、また宣言下の地域だけではありません。東京商工リサーチの調査によると、コロナ関連の倒産は昨日までに全国で累計千件を超え、アパレル関連業や建設業、宿泊業などを中心に幅広い業種で影響が波及しています。特に、飲食店に関しては、このまま感染状況が続けば三二%が廃業を検討する、こんな衝撃の結果も出ています。
附帯決議で、要請による経営への影響の度合い等を勘案とあるとおり、直接、間接に影響を受けている事業者に対する事業規模に応じた影響の度合いをしっかりと反映した十分な補償を法律に明記すべきであることを改めて強く申し上げます。
第二の問題は、政令に定める要件に該当する事態が発生したと認めるときに実施できるまん延防止等重点措置という中途半端なカテゴリーを、平時と緊急事態宣言の真ん中に新設したことであります。
言わばミニ緊急事態宣言ともいうべき措置であり、まん延防止等重点措置を実施する際には、事業者に対して営業時間の変更その他政令で定める措置を講ずるよう要請、命令でき、従わなければ罰則という私権制限を課すこともできます。
このように、財産権の侵害にもつながる強い措置にもかかわらず、どういう事態が生じれば実施されるのかという客観的な基準が法律に明記されていないこと、事業者に求める措置も、営業時間の変更だけではなく、蔓延を防止するために必要な措置という拡大解釈の危険をはらむ規定となっていること、公示、つまり実施する際の事前の国会報告が法律に何らの規定がなく、附帯決議で速やかな報告を努力義務的に規定しているだけだということなど、民主的統制が全く欠如しています。
肝腎なところは政令に委ねられ、時の政権の裁量権により恣意的に運用される余地を残しているという意味で、法治国家として看過できない欠陥法です。
実は、二回目の緊急事態宣言発出が決定された一月七日、特措法四十五条二項に関連する政省令がこっそり修正されました。具体的には、政令や省令に委ねられています。宣言下で知事が使用制限などを要請できる施設は、法律の規定上はあくまで多数の者が利用する施設と限定が付く中、こっそり面積要件を外し全ての飲食店に対象を広げる政省令改正を行ったのです。
同様に、まん延防止等重点措置に関連する政令への委任事項も、国会の関与なく秘密裏に改正される懸念が現実になる可能性が極めて高いと危惧します。
私権制限を加える場合、基準は法律により客観的に明確化すべきです。そして、改正前の法律でさえ、緊急事態宣言発出の際には、命令も罰則もない中で国会報告が法律に定められていました。にもかかわらず、今回の本案においては、罰則が入る新たな事態に対する国会報告の規定を欠くことは重大な問題と言わざるを得ません。
加えて問題なのが、中間的なカテゴリーのこのまん延防止等重点措置と、緊急事態宣言下でできる措置との違いが、二十万円と三十万円という過料の違いにすぎないことです。かえって緊急事態宣言の実効性が低下するおそれがあることを大いに危惧します。罰則は緊急事態措置に限定すべきであって、まん延防止措置からは削除すべきです。
結局、まん延防止等重点措置は、公明党顧問を務められている漆原前衆議院議員が一月二十六日付けの御自身のブログに書かれていたように、危機を理由にして国民をいかに制御するかという統治者の思惑があるのみで、権利や自由を制約される国民に対する配慮は残念ながら認められません。
以上が、内容面から見た主な反対の理由です。
次に、議論の進め方についての問題を指摘させていただきます。
まずは、法改正のタイミングが遅過ぎるという点です。
私たち国民民主党は、昨年の夏頃から、国民の善意に頼る単なる自粛要請ではなく、十分な補償と、場合によっては罰則もセットの法的根拠を持った措置が必要と訴え、十二月には具体的に立憲民主党などとともに野党共同の改正案と、国民民主党独自の改正案を国会に提出いたしました。
それを黙殺するかのように国会を閉じ、一月に緊急事態宣言を発出せざるを得ない状況になってから急ごしらえで法案を議論し、今になって早急な成立をというのは余りに御都合主義過ぎるのではないでしょうか。
そして、法案作成から審議入りまでの余りに拙速なやり方についても苦言を呈さなければなりません。
一月五日の新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会での意見交換を皮切りに、閣議決定までは比較的丁寧に与野党各党の意見を聞く機会も用意されていました。
しかし、蓋を開けてみれば、二十二日の閣議決定後は、各党の意見が十分に反映されることもないままに、国会での議論を待たずに、与野党合意と称して一部修正が行われ、結論が一方的に決められてしまいました。
本来は、公聴会も含めた十分な審議を経て決めるべき重要な案件。にもかかわらず、衆参での議論は僅かそれぞれ八時間弱。参考人からの様々な懸念の声や建設的な提案もかき消され、法案修正に応じる動きも全くありませんでした。
問題点は附帯決議でと言いますが、附帯決議に法的拘束力はなく、大臣答弁でも、守りますとは決して言わず、尊重しますと繰り返すばかりでありました。
最後に、多くの国民は、緊急事態宣言の有無にかかわらず、感染症対策に何とか協力し、早期の収束を願っています。しかし、先が見えない中で、失業や倒産の危機に直面している方々もたくさんおり、そこを支えるのが政治の果たすべき役割です。
私たち国民民主党は、困窮する方々への早急なる支援として、再度の十万円一律給付や持続化給付金、家賃給付金の再給付及び損失補填的な内容への見直しを求めてまいりました。