平木大作の発言 (本会議)

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○平木大作君 公明党の平木大作です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりましたデジタル改革関連法案について質問いたします。
 今なお終息の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、日本の行政がデジタル化できていない現実を私たちに突き付けました。特別定額給付金のオンライン申請は、多くの自治体で職員が紙に印刷の上、システム上の住民基本台帳と一件一件照合せざるを得ませんでした。感染者情報の集まる保健所には手書きのファクスが山積みとなり、雇用調整助成金のオンライン申請システムは稼働初日に個人情報の漏えいが発生、受付停止に追い込まれました。
 大規模災害や感染症といった脅威に迅速かつ適切に対処し、国民が安全で安心して暮らせる社会を実現するためにも、行政のデジタル化は待ったなしです。そして、問題はこればかりではありません。環境破壊や地球温暖化、激化する国際競争と高齢化、格差拡大など、取り組むべき課題は山積しています。
 政府は、従来より、IoT、ロボット、AI等の先端技術を活用して、経済の発展と社会的課題の解決を両立し得るサイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステム、ソサエティー五・〇を提唱してきました。ソサエティー五・〇を実現する上で、本法案はどのような役割を果たすのか、菅総理にお伺いします。
 変化は私たちの想像以上のスピードでやってきます。実業家の孫泰蔵氏がよく紹介されるニューヨーク五番街の景色を収めた二枚の写真があります。一枚は、二十世紀を目前に控えた一九〇〇年のもので、目抜き通りがたくさんの馬車で埋め尽くされた朝の風景。もう一枚は、十三年後の一九一三年に同じ地点を撮影したものですが、そこに馬車の姿はなく、全てT型フォードに置き換わっています。実は、この変化は十三年の間に起きたものではありません。T型フォードが発売されたのは一九〇八年。つまり、僅か五年で日常の景色が一変したのです。
 イノベーションの持つ破壊力をストレートに映し出した二枚の写真を前に、私たち政治家が忘れてはならないのは、一九〇〇年に馬車の手綱を握っていた人たちは一体どこへ行ったのかという問題です。時代の転換点にあって、まず最初に大きな影響を受けるのは雇用です。自動車のハンドルを握っているというのが教科書的な解答かもしれませんが、馬車を操る技術と自動車を運転する技術は全くの別物です。
 菅総理は、施政方針演説の中でも、師と仰ぐ梶山静六氏の教えを引きながら、国民の食いぶちをつくるのが自身の仕事であるとの信条を語られました。今後十年で七十九万人不足すると見込まれるデジタル人材の輩出に必要なのは、集中的な教育投資にほかなりません。新しい時代の雇用創出とデジタル人材育成に向けた方針について、菅総理の答弁を求めます。
 政府は、デジタル社会のビジョンとして、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を掲げました。国民にゆとりと豊かさの実感を届けるためにも、アクセシビリティーの確保が重要です。
 高齢者にスマートフォンやマイナンバーカードの使い方を実地で教えるデジタル活用支援員や、IT活用に悩む小規模事業者を専門家がハンズオンで支援するデジタル化応援隊のような取組を今後も拡充していく必要があります。また、タブレットを配布してほしい、無料で接続できるWiFi環境を整備してほしいというのが現場の率直な声です。誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化に向けた決意を菅総理にお伺いします。
 また、行政サービスへのアクセシビリティーについては、徹底した国民目線でユーザーの体験価値を創出するとして、特にユーザーインターフェース、ユーザーエクスペリエンスを重視することがうたわれています。UI、UXを磨き込む意味、どのようにして実現するのかについて、平井大臣に伺います。
 システムは、管理者が変われば利用法も変わります。
 例えば、集中治療室に運び込まれた人が到着と同時に個人認証され、電子カルテ上の既往症や投薬履歴から適切な治療が選択されれば、命を救うことができる確率は大きく上昇します。一方で、政府が国民を監視し、管理しようとするときに使うことができるのも同じデジタル技術です。国民への利便性の供与も体制による監視も、テクノロジーから見れば近似のシステムであることが、デジタル社会が必ずしもバラ色に見えないゆえんと言えます。
 スマートフォンやスマートウオッチに搭載された技術を使えば、ユーザーの所在地や住所、購買履歴、交友関係から生活パターンまで把握することはもとより、状況に応じて心拍が上下するさままで、リアルタイムに割り出すことが可能です。管理するのが政府であれプラットフォーマーのような企業であれ、人々は利便性と監視の間で選択を迫られているのがデジタル社会の本質とも言えます。
 今後、国民の同意の下にデジタル社会の基盤整備を進めていく上で必要なのが、政府に対する信頼と、透明で厳格なデータガバナンスの在り方です。自分のデータが、どこでどのように管理されているのか。行政はそのデータにアクセスできるのか。アクセスしたのであれば、いつどのような理由で行ったのか。
 国民に安心感と納得感を与える上で重要なデータガバナンスの在り方について、菅総理、平井大臣、それぞれお答えください。
 また、政府が全ての社会活動の土台であり新たな産業創出の基盤と位置付けるのがベースレジストリーです。
 ビジネスや研究に必要なデータの収集にコストと時間を浪費し、利用できるデータ品質が低いことから実証できても持続できないなど、社会課題の解決を妨げる障害を乗り越えるためにも、是非とも実現しなくてはなりません。しかしながら、議論の抽象度が高いこともあり、世間の認知と理解は全くと言っていいほど進んでいません。
 ベースレジストリー構築の意義と、現時点で想定する対象や活用の姿について、平井大臣より分かりやすく御説明ください。
 今国会において、総務省からは自治体システムの標準化に向けた法律が提出されています。主要十七業務について国が示した基準を満たすことを求めるものですが、標準化とはいえ、地域性や自治体ごとの規模、人的リソースの充実など千差万別の状況があり、仕様を示して義務化するだけでは、円滑な導入はおぼつきません。また、各地方の実情に応じて、住民サービス向上に向けたカスタマイズや独自システムに対する根強い要望があることも理解する必要があります。
 自治体システムの標準化について、丁寧な説明と、財政、技術両面からのきめ細やかな支援が必要と考えますが、平井大臣にお伺いいたします。
 現在、国際課税の新しいルール作りがOECDを中心に行われています。経済のグローバル化、デジタル化に伴い、税制の優遇措置があるタックスヘイブンを利用した多国籍企業の租税回避に対して、国際社会で連携して対処しようとするものです。
 無形資産やデジタルサービスが国境を越えて活発に取引されるようになった今、物の取引を前提にした移転価格の算出や、工場などの恒久的施設の有無を根拠としてきたこれまでの課税ルールは完全に時代遅れのものとなっています。国際社会における合意形成は簡単ではありませんが、このまま納税しない海外大手デジタル企業と納税する国内実店舗企業との競争上の不平等を放置するわけにはいきません。
 今夏を目途に行われる多国籍企業の課税ベース共有化とグローバル最低税率の議論では、是非とも日本の外交力を発揮して結論を得ていただきたい。デジタル時代における新しい国際課税ルールをリードしていく決意を菅総理にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 平木大作

speaker_id: 14468

日付: 2021-04-14

院: 参議院

会議名: 本会議