田村智子の発言 (本会議)

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○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりましたデジタル改革関連五法案について、菅総理に質問いたします。
 昨年九月、総裁選挙に勝利した菅新総裁は、デジタル庁創設を目玉政策として掲げました。ここから異例のスピードで新法二法案、現行法二百十七本に影響を与える改正法案として本法案が国会に提出されたのです。国会提出後に、法案関係資料に四十五か所もの誤りがあったことは、この立案がいかに拙速であったかを示しています。
 まず、確認いたします。
 国民の個人情報の取扱いの根幹に関わる法案作成に当たって、国民からの意見集約、審議会等での検討はどのように行われたのでしょうか。
 しかも、今は変異株の急激な感染拡大という新型コロナ感染第四波のさなかです。この非常時に、デジタル改革だといって、マイナンバーカードの普及、自治体業務のデジタル化などを上からの号令で進めることは、自治体の新型コロナ対策の足を引っ張るものではありませんか。総理の答弁を求めます。
 政府の目指すデジタル社会とは、端的に言えば、国と自治体のデジタル化を進め、国や自治体が集積した個人情報を民間が利活用できるように積極的にデータを提供することで実現すると考えますが、いかがでしょうか。
 また、総理が議長を務める経済財政諮問会議では、健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化するという議論までありますが、これは窓口での本人確認をむしろ煩雑にするとの指摘もあります。医療現場に混乱を押し付けてまでマイナンバーカードの普及を進めるのはなぜでしょう。利便性や安全性、費用対効果への疑問が多数あるのに、なぜ普及ありきで推し進めるのですか。
 デジタル技術が国民生活に利便性をもたらすことを私も期待します。しかし、そのためには、自分の個人情報がどのように管理され、どのように利活用されているのかを知ることができ、意思に反する利活用を拒否できる権利、個人情報の自己コントロール権の保障など、プライバシー権の保障が必要ではありませんか。本法案に、このような個人情報の取扱いの理念、基本方針が欠如しているのはなぜか、総理の答弁を求めます。
 これまでも政府は、個人情報のビッグデータ化と利活用を促進してきました。個人情報の匿名加工を民間事業者が行うことを認め、匿名加工すれば個人情報ではないとの扱いで、本人同意なき民間への提供も促進されています。
 衆議院の審議では、独立行政法人住宅金融支援機構が、非識別加工した約百十八万人分の個人情報ファイルを住信SBIネット銀行に提供したとの答弁がありました。住宅取得以外の借入残高、自己資金、融資申込金額、返済期間、職業、前年年収、申込時の年齢、家族構成、現住所、郵便番号、購入物件の郵便番号や床面積、土地や建物の購入費など、膨大な個人情報がデータ化され提供されたのです。住信SBI銀行は、これらを住宅ローンのAI審査モデルの構築に活用したとのことです。
 これは、行政機関がわざわざ民間から提案募集して行った情報提供です。今後、このような個人情報の利活用を一層進めるということでしょうか。年収、借入金、家族構成などは住宅資金借入の目的で提供された個人情報であって、第三者への提供を望まないのは当然ではありませんか。このように、本人同意なき利活用を更に大規模に促進することは、個人情報保護、プライバシー権の保護を大きく後退させるものではありませんか。
 今、政府は、自ら保有する個人情報ファイルを非識別加工して、民間に利活用を売り込んでいます。昨年十二月、防衛省が利活用の提案を募集した個人情報ファイルの中には、横田基地夜間差止等請求事件ファイル(訴訟原告名簿)など、この裁判に関わる十五本の個人情報ファイルがあります。当事者である原告団、弁護団は、今年三月、直ちに提案の対象ファイルから削除すること、原告らの情報を訴訟外において一切利用しないことを強く求めるとする申入れを防衛大臣に行っています。
 これらのファイルには、氏名、住所、年齢、生年月日、控訴の有無、陳述書の提出の有無、損害賠償金額やその内訳も記されており、極めて機密性の高い文書であることは明らかです。非識別加工がされていても、個人が識別されることも危惧されます。提案の募集を取り下げるべきではありませんか。このような国による情報提供は、国に対する訴訟をためらわせる圧力ともなるのではありませんか。国の情報集約が国民への監視、市民活動の萎縮につながる重大な事案であり、総理の明確な答弁を求めるものです。
 デジタル技術の発展と大量の個人情報の利活用が進む下で、政府に求められるのは、むしろ新しい事態に対応した個人情報保護制度の見直し、発展ではないでしょうか。
 今年二月のニューヨーク・タイムズの記事が大きな反響を呼びました。米国のターゲット社が女性の買物行動をプロファイリングし、妊娠予測をして妊婦に必要な商品のクーポン付き広告を送付していたとの記事です。送付された一人は高校生で、驚いた父親がターゲット社に抗議した後に娘の妊娠を知ったというのです。日常の購買情報のビッグデータを使ったプロファイリングによって、妊娠あるいは病気などのセンシティブな情報を特定することができるのです。こういうプロファイリングは禁止されるべきだと考えませんか。
 米国大統領選挙をめぐるフェイスブック・ケンブリッジ・アナリティカ事件は、フェイスブックに登録されたプロフィールやいいねの情報から、個人の性格特性を予測し、効果的なターゲット広告を行い、トランプ氏支持へと誘導したとされる事件です。個人情報の利活用が投票動向にまで影響を与える現状を総理はどう思われますか。
 日本でも、就職活動中の学生がどの企業のサイトにアクセスしたかをプロファイリングして、内定辞退率を計算するというリクナビ事件が起きています。個人情報保護委員会は、本人同意の不十分さを指摘したにとどまりましたが、厚労省職安局は、学生に企業情報の取得をためらわせ、就職活動の自由を制限する事件として、リクナビ社を厳しく是正指導しています。
 昨年の個人情報保護法改正の際、私はリクナビ事件を詳細に取り上げ、個人情報のプロファイリングが個人に不利益をもたらす、個人の行動の自由を阻害する事案として指摘し、プロファイリング規制の検討を求めました。本法案の策定に当たり、政府はどのように検討されたのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 最後に、地方自治との関係についてです。
 本法案は、国の行政機関、独立行政法人、民間事業者それぞれに定められている個人情報保護制度を一元化するとともに、各自治体の個人情報保護条例も国の基準に合わせるよう求めています。自治体の条例は、歴史的な住民の運動の中で制定されたものです。その独自性や国の基準よりも厳しい規定は法律によって認めないということでしょうか。
 また、税、社会保障、就学に関わる各自治体の情報システムをデジタル庁が策定するシステムに統一して管理することを求めていますが、統一されたシステムによって地方自治体が管理する個人情報のビッグデータ化と利活用の環境整備を進めるものではありませんか。国民健康保険料あるいは国保税、子供の医療費の負担軽減、独自の保育料算定基準など、自治体独自の制度を続けるにはシステムの上乗せや横出しなど費用負担を自治体に強いることになるのではありませんか。
 以上、総理の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 田村智子

speaker_id: 6902

日付: 2021-04-14

院: 参議院

会議名: 本会議