川田龍平の発言 (本会議)

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○川田龍平君 立憲民主・社民の川田龍平です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました医療法改正案について質問いたします。
 本法律案は、勤務医の時間外・休日労働の上限を原則年九百六十時間としつつ、地域医療の確保の特例として年千八百六十時間とすることを二〇三五年まで認める内容となっています。この上限を単純に一月当たりに換算すると、原則については月八十時間、地域医療確保の特例については月百五十五時間の時間外・休日労働となります。これは、時間外・休日労働時間が月百時間超又は二から六か月平均で月八十時間を超えると健康障害のリスクが高まるといういわゆる過労死基準ぎりぎりであり、地域医療確保の特例に至っては、過労死基準のほぼ二倍まで認めることを意味しています。
 さらに、本法律案では、一月当たりの時間外労働の上限については原則百時間未満としながらも例外を認めており、一月当たりの過労死基準を超えることを認めています。
 令和元年医師の勤務実態調査によれば、病院常勤勤務医の実に四割近くが年九百六十時間を超える時間外・休日労働をしているとされており、本法律案における上限規制の特例が現状追認となり、過労死を招きかねない点を懸念していますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 小児科勤務医だった夫を過労の末に自死で失い、東京過労死を考える遺族の会の会長として医師の過労死問題と向き合い続ける中原のり子さんは、政府の医師の働き方改革に関する検討会での有識者ヒアリングにおいて、過労死は人災であり、システムエラーであると述べられています。さらに、中原さんは、この検討会の報告書の取りまとめが近づいた時期に厚生労働省に要望書を提出するとともに、過労死の遺族として過労死はあってはならない、今のこの働き方では過労死は減らないのではないか、過労死遺族は大変苦しんでいると記者会見で述べています。
 家族の過労死というつらい経験に向き合い、我が国におけるより良い医療を実現する観点から、医療者の労働環境は改善できると信じ、医師の働き方改革への協力を惜しまなかった過労死遺族からもこうした懸念が示されていることについてどのように考えているのか、厚生労働大臣に伺います。
 過労死を招かないためにも、医療機関が地域の医療提供体制の確保を言い訳にして安易に特例申請に走らないようにすることが重要です。そのためには、特例を適用する医療機関の指定に当たっては、その医療機関が指定を受けるだけの地域の医療提供体制における実態があるか、厳格に判断していく必要があると考えます。
 また、特例の指定を受けた医療機関が医師と三六協定を締結するに当たっては、安易に上限の千八百六十時間を設定することがないよう、三六協定における上限時間が適切かについて監督する必要があるのではないでしょうか。そのためには、労働基準監督署に届け出るだけではなく、労働基準監督署に医師の働き方改革に精通した人員を配置し、積極的に関わっていく必要があると考えます。
 さらに、二〇三五年までに暫定特例水準を解消することはもちろんですが、原則の時間外・休日労働の上限九百六十時間でさえ過労死水準に近いことを考えれば、医師の時間外・休日労働が九百六十時間となることが常態化しないように、更なる医師の労働時間を適正化を図る必要があると考えます。
 これらの点についても、厚生労働大臣の見解を伺います。
 衆議院で本法律案の審議の際、NPO法人医療制度研究会副理事長である本田宏参考人が、日本の医師数は、二〇一八年のOECD平均と比べて約十三万人少ないことを繰り返し述べていた点が印象的でした。また、現在、二〇二三年度から段階的に医学部定員を減らしていく方針となっていることについて、勤務医調査で何と四割、八万人が過労死ライン以上、一割の二万人が過労死ラインの倍だ、これが現実で、その中で医学部定員を削減する、大丈夫なのですかと私は聞きたいとも述べています。
 さらに、二〇一八年の医療法改正の際にも、本田参考人は、私が医学生の四十年以上前から将来医師は余るとずっと言われていました、四十年間医師が余ると言って今でも医師不足の問題が続いているということは、正しく診断されていなかったのではないかとも述べています。
 厚生労働省は、医師不足という議論に関しては、将来的に医師の供給が過剰になることから、医師の偏在対策での是正を図るとしています。しかし、これまで将来医師が余ると言われ続けてきたにもかかわらず現在も不足していることについてどう捉えているのでしょうか。しかも、医師の需給が均衡する時点での医師の時間外労働は、働き方改革を行ったとしても一般の労働者の過労死基準にほぼ等しく、適切なものではないと考えます。
 医師の働き方改革について、医師数を増やすことで労働時間を減らすという選択をどこまで議論したのか、なぜそれを選択しなかったのかについて、厚生労働大臣に伺います。
 医療における薬の使い過ぎや過剰な検査は、患者の健康にとって望ましいものではありません。こうした薬漬け医療、検査漬け医療については、念のための薬の処方や検査という部分もありますが、医療機関側が、高額な医療機器の返済のため稼働率を上げることに躍起となり、無駄な検査を勧め病名を付けて薬を出すことや、医師が薬を処方するほど医師自身の利益につながる薬価差益等の医療機関の経営的観点に基づき行われていることが特に問題とされています。
 薬価差益については、薬価改定により是正が進められています。
 また、二〇一八年の診療報酬改定では、風邪の治療や肺炎の予防に効果がない抗生物質の不適切な使用を抑制することを狙って、医師が診察の結果、抗生物質を使う必要が認められず、使用しない場合に、抗生物質を使う必要がないことを説明する場合の小児抗菌薬適正使用支援加算が新設され投薬しないことが病院の収入になる、薬漬け医療に一石を投じられました。その後、令和二年度診療報酬では、算定対象となる患者が拡大されています。
 しかし、じっくり診察して風邪だから薬は要らないと丁寧に説明することと、数分間の診療で数種類の薬を処方することでは、医師にとってどちらの利益が大きいかという経営的な事情から、依然として価値の低い過剰医療が行われているという声が聞かれます。
 薬漬けからの脱却につながる小児抗菌薬適正使用支援加算が創設されて数年がたったところですが、この加算はどの程度活用されているのか、また、厚生労働省は抗生物質の使用量を二〇二〇年までに三分の一減らすという目標を掲げていましたが、その達成状況について厚生労働大臣に伺います。
 また、そもそも、診療報酬の加算などなくとも、薬が不要であることを説明し、処方しないのがプロである医師本来の姿のはずであり、ましてや医療機関の経営効率のために薬を処方するということはもってのほかです。将来的には、最終的には診療報酬に頼らなくても当然に薬漬け、検査漬けにならない医療を目指すべきと考えますが、この点についても厚生労働大臣の見解を伺います。
 近年、予防医療、健康寿命といった考え方に注目が集まっています。食生活の改善、適度な運動、トランス脂肪酸の摂取の見直しなど、日々の健康に気を遣うことが病気の予防となることはもう我々の常識となっています。しかし、言うはやすく行うは難しという状態になっていることもまた事実です。政府も近年、健康寿命延伸プランの策定によって行動変容を促そうと動き始めました。
 国民が健康であれば、受診や入院する頻度も減り、医師の負担も減るというのは明らかです。医師の働き方改革では、国民の上手な医療のかかり方の啓発に力を入れていますが、予防医療、健康寿命の延伸の取組についても一層推進すべきと考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 また、予防医療においては、教育が欠かせません。
 一例として、新潟県柏崎市では、市の健康管理センターで糖尿病予防教室を開催しており、糖尿病の予防や治療の基本となる食事と運動を実際に体験しながら学ぶことができます。
 同教室は、血糖値が高めの市民又は境界型、糖尿病型と診断された市民が対象となっており、教室終了二か月後に実施したフォローアップ健診で血液検査も行います。その結果は、約四割の方が血糖値の改善、約三割の方がヘモグロビンA1cの改善、約六割の方が中性脂肪の改善とされ、そのほかに肥満状態の改善にもつながっています。
 高額な薬などに安易に頼らず、営利を追求しない市役所が行うことで、昼食代と血液検査代合わせて僅か千八百円の参加者負担でこのような効果を出す取組は、まさに予防教育、予防医療教育の一つのモデルと言えるのではないでしょうか。
 神奈川県立保健福祉大学の兪炳匡教授も、米国における糖尿病予防の介入研究において、薬に比べ栄養食事指導や運動指導といった予防医療教育の方が高い臨床効果だけではなく、費用対効果においても予防医療教育の方が上回ると報告されていることに着目しつつ、予防医療教育を推進するに当たっては、市の事業を地域に根差した非営利団体に委託できるような仕組みとすれば、地域の雇用創出にもつながり、地域経済にとっても好ましい影響を与えると提唱しています。
 こうした非営利部門による安価で地元密着の予防医療教育を推進することが、国民にとっても地域の雇用、経済にとっても望ましいと考えますが、厚生労働大臣の見解を求めます。
 厚生労働省によると、統合医療とは、近代医学を前提として、これに相補、補完、代替療法や伝統医学等を組み合わせて更にQOLを向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により他職種が協働して行うものと定義され、医師がその中心となることが重視されています。
 しかし、実際に医師が統合医療についてどの程度知識を持っているかについては、例えばがんの補完代替医療診療手引きでは、臨床腫瘍医の補完代替医療に関する知識を調査したところ、漢方についてはおよそ半分の医師が知っているものの、その他の補完代替医療についてはほとんどの医師が知らなかったという結果が掲載されています。
 また、医療の現場においても、患者が医師に統合医療について相談しようとしても、全く知識がなく、たらい回しにされたり統合医療について全面的に否定されたりすることが多いと聞きます。本来、医師が主導すべきところが、医師の理解がないため、患者が医師に隠れて統合医療を受けようとし、場合によっては誤った方向に進み、体調の悪化を招くことが懸念されます。
 医師が中心になって標準医療とそれ以外の医療を組み合わせて統合医療を行うことを目指すのであれば、大学医学部において漢方だけでなく統合医療を学ぶ機会を設けるとともに、既に現場で働く医師についても統合医療に関する理解を深める研修等を進めていかなければならないと考えますが、文部科学大臣及び厚生労働大臣の見解を伺います。
 我が国は、欧米などの諸外国に比べ新型コロナウイルス感染症患者は少ない一方で、病床数は多いにもかかわらず医療崩壊が起きました。その結果、入院したくともできない方、入院できずに亡くなられた方もいらっしゃいます。政府はこうした事態を招いてしまったことを深く反省するとともに、再度の感染拡大に備え必要な対応を講じる必要があります。
 医療崩壊が起きてしまった理由について、先日の衆議院での審議の際、本田参考人は、医師数が不足していること、実効性あるタスクシフトが進んでいないことなどを挙げていらっしゃいました。
 政府は、医療崩壊が起きた理由についてどのように考えているのでしょうか。また、今回の対応についてしっかりと検証し、同じ過ちを二度と繰り返すことのないよう迅速に対策を講じる必要があると考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 本法律案では、新興感染症等の感染拡大時に機動的な対策を講じられるよう、医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時における医療を追加することとしています。
 しかしながら、今回の新型コロナウイルス感染症対応を見ても、対応がうまくいっているところもあれば、対応に苦慮しているところもあり、都道府県によって状況は異なっています。
 まずは、新型コロナウイルス感染症対応について、都道府県のうまくいった取組だけではなく、うまくいかなかった取組や反省点についても各都道府県からヒアリングするなどし、十分な検証を行った上で、実効性ある対策を講じるべきだと考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 また、新型コロナウイルス感染症対応では、保健所が相談窓口となったほか、入院先を調整するなど医療提供体制における司令塔的な役割を果たしました。新興感染症等の拡大時における医療を医療計画に位置付けた場合、保健所にはどのような役割が期待されるのかについても厚生労働大臣に伺います。
 厚生労働省は、いわゆる四三六リストを作成し、公立・公的等医療機関に対して具体的対応方針の再検証を求めています。
 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、このリストを初めて公表した頃とは状況が大きく異なっているにもかかわらず、同じリストで再検証を求めることは本当に正しいのでしょうか。
 四三六リストの対象医療機関のうち四割を超える百九十一病院がコロナ患者を受け入れ、さらに公立医療機関の受入れ可能医療機関のうち八割、公的等医療機関の受入れ可能医療機関のうち九割以上がコロナ患者を受け入れています。この数を見れば、感染症対応において公的・公立等医療機関がいかに重要な役割を果たしているかは明らかです。仮に公立・公的等医療機関の再編統合が進んでいたとしたら、病床の逼迫はより深刻になっていたのではないでしょうか。
 四三六リストについては、新型コロナウイルス感染症対応を含め、改めて検証を行った上で作り直す必要があると考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 日本病院会等が実施した医療機関の経営状況に関する調査によれば、昨年十一月からの新型コロナウイルス感染症の第三波により、再び病院経営の厳しさが増しています。とりわけ、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる病院や、病棟、外来を一時的に閉鎖した病院で厳しい状況にあります。また、新型コロナウイルス感染症患者受入れ病院の四割では、経営難から冬のボーナスの減額という厳しい選択を迫られています。調査を実施した日本病院会等は、継続的な医療機関支援が地域医療提供体制の維持に不可欠であると強調しています。
 また、地域の医療提供体制の確保を担う都道府県も支援を求めており、昨年十二月に当時の福岡県知事も、全国知事会を通じて、医療機関の経営悪化に歯止めを掛けるよう、診療報酬の引上げや全ての医療機関に対する財政支援など更なる支援について国に対し要望をしており、これからも続けていくと述べています。
 しかし、政府の経営の苦しい医療機関への支援は、福祉医療機構から無利子、無担保の貸付けであって、財政支援ではありません。やはり、求められているのは、コロナ対策で通常医療を縮小せざるを得なかったことで生じた減収、これに対する直接的な補償、補填ではないでしょうか。日本の医療を守るためにも、減収分について国費を投じて補填するべきと考えますが、厚生労働大臣及び財務大臣の見解を伺います。
 また、日本病院会は、昨年九月に二〇二一年度税制改正要望を当時の加藤厚生労働大臣に提出し、その中で、新型コロナウイルス感染症が病院経営に与える影響を緩和するために税制で手当てできる施策を総動員することとして、控除対象外消費税について、個別病院ごとの補填状況に不公平や不足が生じないよう、税制上の措置を含めた抜本的措置を講じることを要望しています。
 二〇一九年十月の消費税対応改定では、病院の種類別の補填を行うなどの精緻な対応が図られましたが、病院の種類による不公平是正にとどまり、個別病院の補填過不足を完全に解消するには至っていません。
 控除対象外消費税問題を抜本的かつ速やかに解消し、病院経営を支援すべきと考えますが、財務大臣及び厚生労働大臣の見解を伺います。
 医療に携わる全ての人のためになる法律を作り、全ての人の命を守るために是非審議を尽くしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 川田龍平

speaker_id: 22154

日付: 2021-04-16

院: 参議院

会議名: 本会議