田村憲久の発言 (本会議)
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○国務大臣(田村憲久君) 川田龍平議員にお答えをいたします。
医師の時間外労働の上限規制についてお尋ねがありました。
今回の改正法案で御提案している年間一千八百六十時間という時間外労働の上限に関する特例水準は、病院勤務医の時間外労働の調査結果において上位一〇%が年間一千八百六十時間を超えていたことを踏まえ、医療関係者のみならず、学識経験者や労働者を代表とする団体も参画した検討会において議論を重ね、まずはこうした著しい長時間労働を是正していく必要があるという観点から設定されたものであります。
長時間労働の是正を進め、医師が健康に働き続けることができるよう、今回の改正案、法案では、やむを得ず長時間労働を認める医師の対象範囲を限定した上で連続勤務時間の制限等の健康確保措置を実施することとしております。
さらに、この特例水準は、二〇三五年度末を目標に解消していくこととしており、この目標の達成に向け、医療の現場における労働時間短縮の取組が進むよう、必要な支援を行ってまいります。
地域の医療提供体制に即した適切な特例水準の指定と監督指導のための体制整備についてお尋ねがありました。
特例水準の対象医療機関の指定に当たって、都道府県は、地域の医療提供体制全体として医師の長時間労働を前提とせざるを得ないこと等について、都道府県医療審議会の意見を聴取することとしており、各地域の実態を踏まえ判断がなされるものと考えております。
また、事業所の監督指導に当たる労働基準監督官の確保が重要であり、今後とも必要な体制確保に努めてまいります。労働基準監督官には、医師の働き方改革の検討状況や時間外労働の上限規制などについて研修を行っており、引き続きこうした取組を継続していくなど、必要な知識の付与等に努めてまいります。
このほか、都道府県ごとに医療勤務環境改善支援センターを設置し、勤務環境の改善に取り組む医療機関を専門的に支援する体制を構築しており、今後も勤務環境の改善に取り組む医療機関に対し必要な支援を行ってまいります。
長時間労働の常態化を防ぐための労働時間の適正化についてお尋ねがありました。
医療に従事する医師については、医療は二十四時間三百六十五日、緊急時を含めた対応が求められるといった労働実態の特性、特殊性を踏まえ、休日労働を含む時間外労働について、複数月平均八十時間以下と同様の水準である年九百六十時間を上限としたものであります。
現状では、病院勤務、病院常勤勤務医の約四割が年九百六十時間超、約一割が年千八百六十時間超の時間外・休日労働を行っており、まずは年九百六十時間以内を目標に労働時間短縮の取組を進めるため、医療勤務環境改善支援センター等による支援に取り組んでまいります。
さらに、時間外・休日労働が年九百六十時間以内を達成した医療機関においても、更なる環境改善に取り組んでいただくため、支援を継続してまいります。
医師不足についてお尋ねがありました。
医師養成数については、平成二十年度より地域枠を中心に段階的に医学部定員を臨時に増員してきたことにより、現在、医師数は毎年三千五百人から四千人ずつ増加しており、今後もこの傾向が続くことが見込まれています。
医師の不足感への対応としては、こうして増員された医師に地域で活躍していただくことが重要であることから、医師養成課程を通じた医師偏在対策を進めております。
一方で、医師の養成には八年もの期間を要するため、中長期的な観点で考える必要があるとともに、医療需要は医療水準などにより変化するものであることから、これまで需給推計を定期的に行ってきたところであります。
直近の需給推計では、人口減少に伴う医師需要の減少により将来的には供給過剰となることが見込まれており、今後の医師増加のペースについては検討が必要であることから、今後の医師養成数の方針については医師の需給推計に基づき、自治体等の御意見も丁寧に伺いながら議論を進めてまいります。
労働時間短縮のための医師数の増員についてお尋ねがありました。
医師が長時間労働となる要因としては、医療機関内において職種間の業務分担が進まず、医師に業務が集中していることや、一部の医療機関において労務管理が徹底されていないことなどが考えられます。
また、地域の医療提供体制における構造的な要因として、地域内の医療機関の機能分化、連携が十分に進んでいないこと、地域間、診療科間で医師が偏在していること、特定の医療機関の外来に患者が集中していることなど、様々な要因があると考えています。
今回の改正法案では、医療機関内において医師から他職種へのタスクシフト、タスクシェアを進めるとともに、医師が長時間労働となる医療機関に対しては、院内の医師の労働時間短縮に計画的に取り組む枠組みを設けることとするとともに、個々の医療機関内の努力のみでは解消できない構造的な課題についても、地域の医療提供体制の改革を着実に進めることで、医師の労働時間の短縮に向け取り組んでまいります。
小児抗菌薬適正使用支援加算の算定状況、抗生物質の使用削減の取組等についてお尋ねがありました。
小児抗菌薬適正使用加算については、平成三十年度診療報酬改定において創設され、同年度において月平均約二十七万回算定されております。
また、抗生物質の使用量については、薬剤耐性対策アクションプランにおいて、二〇二〇年までに抗菌薬の販売量全体を二〇一三年と比較して三三%減少させることとしていたところ、二〇二〇年の全抗菌薬の人口千人当たりの一日抗菌薬販売量は二〇一三年と比較して二八・九%減少しており、引き続きAMR対策を推進してまいります。
いわゆる多剤投与や検査の重複は、患者の健康リスクや効率的な医療の推進の視点からも適正化を進めていく必要があると考えており、各医療関係職種の職能の発揮や医療のデジタル化の推進とその活用など、様々な手法により取り組んでまいります。
予防医療、健康寿命の延伸の取組についてお尋ねがありました。
国民の健康寿命延伸のため、予防、健康づくりの取組を推進することは重要であると認識しております。
このため、国民の健康増進の推進を図るための基本方針である健康日本21に基づき、ライフステージに応じた健康づくりの取組を進めるほか、令和元年五月に策定した健康寿命延伸プランに基づき、次世代を含めた全ての人の健やかな生活習慣形成や疾病予防、重症化予防等に取り組んでおります。引き続きこれらの取組を推進することで、国民一人一人の予防、健康づくりに取り組んでまいります。
非営利部門による予防医療教育の推進についてお尋ねがありました。
健康教育等の地域における予防、健康づくりの取組は国民の健康増進にとって重要であり、NPO等の非営利組織がこの取組を実施することで地域の雇用、経済に貢献することも期待されます。
このため、厚生労働省においては、健康日本21等の取組に加え、非営利部門への委託も含め地域での予防、健康づくりを行う自治体等を支援するため、健康増進事業を通じて自治体が行う健康教育等の取組への支援、健康づくりに取り組む企業、自治体等への好事例の横展開等を通じて、健康増進、生活習慣病予防について社会全体の意識の醸成や向上を図るためのスマート・ライフ・プロジェクトを実施しております。引き続き生涯を通じた健康づくりに取り組むとともに、自治体等による地域での健康づくりを支援してまいります。
統合医療についてお尋ねがありました。
統合医療については、平成二十五年の統合医療のあり方に関する検討会において、統合医療は多種多様であり、科学的知見が十分に得られているとは言えないため、統合医療の各種療法について、安全性、有効性等に関する科学的知見を収集し、これらの情報をインターネット等を介して提供する仕組みづくりに取り組み、患者、国民及び医師が療法を適切に選択できること、できるようにすることなどが提言されており、現在これに基づく事業等を実施しております。
今後とも、こうした取組を継続することで、安全性、有効性等に関する科学的知見を収集し、必要な情報を広く発信していくことにより、患者、国民及び医師が療法を適切に選択できるように取り組んでまいります。
医療崩壊の原因についてお尋ねがありました。
国としては、国として医療崩壊について明快、明確な定義を示しているものではありませんが、医療提供体制については、年明け以降の急激な感染拡大を受けて、大変逼迫した状況が続いていたと認識しております。
その際には、患者を受け入れる場面で医療従事者の確保が難しい場合や、一般医療との両立を図る中で受入れが難しい場合があったこと、患者の療養先調整や患者の症状改善後の転院、退院の調整に時間を要したことなど、医療提供体制全体の中で課題があったと考えております。こうした課題に対応していくとともに、医師の偏在対策や医師の働き方改革についても着実に進めてまいります。
年明け以降の感染拡大への対応の検証と今後の感染拡大に備えた対応についてお尋ねがありました。
昨年末から年明けの急激な感染拡大を踏まえ、都道府県に対し、改めて医療提供体制の整備に取り組むようお願いしております。
具体的には、地域の医療関係者等との十分に協議していただいた上で、五月、五月中までに病床・宿泊療養施設確保計画を見直すことをお願いするとともに、感染者が短期間に急増する場合でも適切に対応できるよう、緊急的な患者対応を行う体制についても検討し、四月中に対応方針を定めていただくこととしており、各都道府県と問題意識を共有しながら、確実に機能する医療提供体制の構築に取り組んでおります。政府として、引き続き都道府県と緊密に連携して医療提供体制の確保に万全を期してまいります。
医療計画についてお尋ねがありました。
今般の新型コロナウイルス感染症への対応において得られた課題や知見を踏まえ、将来の新興感染症等の発生にあらかじめ備える観点から、今回の改正法案において、医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時における医療を追加する改正を行うこととしました。
今後、都道府県や医療関係者の協力を得て、今般の新型コロナ対応における取組状況や課題を整理しつつ、医療計画における具体的な記載項目について詳細な検討を進めるなど、新興感染症発生時に機動的に対応可能な体制を構築してまいります。
新興感染症発生時における保健所の役割についてお尋ねがありました。
今般の新型コロナウイルス感染症への対応では、都道府県を中心に病床確保など医療提供体制の確保に向けた取組を進めていただいている中、地域の第一線の保健衛生行政機関である保健所も、自宅療養者のフォローアップや入院に係る調整など重要な役割を担っていただいているものと認識しております。
このため、今後、医療計画に新興感染症等への対応を位置付け、取組を進める中においても引き続き積極的な役割を担っていただくことを期待しており、その具体的内容については今後検討してまいります。
地域医療構想における公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証についてお尋ねがありました。
公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証に当たって国からお示しした診療実績の分析結果は、それぞれの地域において今後の医療機関の在り方を考えていただく際の材料としてお示ししたものであります。
病院が将来担うべき役割等については、国による分析結果だけでは判断できない診療領域や地域の実情に関する知見や今般の新型コロナウイルス感染症対応の状況なども踏まえつつ、それぞれの地域でしっかり御議論をいただきたいと考えております。
医療機関への財政支援についてお尋ねがありました。
新型コロナ患者を受け入れる医療機関が、そのことによって損失を被ることのないよう、しっかりと対応していくことが重要と考えております。
これまでも、コロナ患者を受け入れるための確保した病床や休止病床に対する病床確保料のほか、受入れ病床一床当たり最大一千九百五十万円の緊急支援、院内等での感染拡大防止に対する補助など、医療機関支援として四・六兆円の予算を計上しております。さらに、診療報酬についても、新型コロナ患者の診療についての大幅な引上げ等を行っております。
これらの支援により、新型コロナ患者を受け入れる医療機関が実質的に損失を被ることがないようにしていますが、これらの支援を受けても結果としてなお損失が生じた医療機関がある場合は、どのような対応ができるか引き続き検討をしてまいります。
控除対象外消費税問題についてお尋ねがありました。
社会保険診療においては、仕入れに係る消費税相当額を診療報酬に全体として上乗せする形で補填しており、一昨年十月に実施した消費税率引上げに伴う診療報酬改定においても、診療報酬の配点方法の精緻化等を行うことにより、医療機関種別ごとに消費税負担に見合う補填となるよう配点を行いました。これによる補填状況については、必要なデータがそろい次第、速やかに検証してまいります。
なお、課税化については、公的保険の適用となる医療サービスが社会政策的な配慮に基づき非課税とされている経緯等から、慎重に検討する必要があると考えております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕