倉林明子の発言 (本会議)

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○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表して、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案について、厚生労働大臣に質問します。
 新型コロナ感染症は、都市部にとどまらず各地で急激に拡大し、病床の更なる逼迫は避けられない状況です。
 第三波では深刻な病床不足に陥り、入院を待つ間に自宅や高齢者施設で亡くなる方が相次ぎました。多くの患者が行き場を失い、命の選別を迫られる事態に追い込まれました。このような事態を招いた要因は、病床も機材も人材も確保が困難、脆弱な医療体制にあるとの認識はありますか。
 医療従事者は、一年以上もの間、極度の緊張状態と厳しい労働環境に加え、いわれない差別にもさらされ続けています。医労連の調査では、いまだにN95など医療用マスクすら使い捨てにできず、ぼろぼろになるまで使っている、コロナ患者と間近に接しながら一度も検査していないなど、悲痛な声が寄せられています。今すぐ十分な感染防護具を全ての医療現場に届けること、赤字に陥っている医療機関に減収補填を行うことを強く求めます。お答えください。
 法案は、コロナ禍における医療危機を受け、医療計画に新興感染症拡大時の医療提供体制を位置付けるとしています。全世代型社会保障検討会議も、有事に機動的かつ効率的に対応を求めています。政府が想定する効率的な対応とは、現在の病床やマンパワーはそのままに、迅速に切り替えろということではないですか。
 重症者対応では、一人の患者に通常の急性期入院の七倍から十倍の体制が必要とも言われています。コロナ病床以外の病床でも、人手不足が深刻化し、疲弊は極限に達しています。救える命を守れない事態を再び招くことのないよう、パンデミック時に必要な施設、人員を一定規模、常時確保することを感染症対策の基本にすべきではありませんか。
 法案は、各地で医療提供体制が再度逼迫する危険が迫る中で、病床削減のための財政支援を法定化しようとするものです。
 二〇年度、病床機能再編支援補助金の申請額は三十三県六十億円に上ります。補助金は、削減する一病床当たり百十四万円から二百二十八万円を交付するものです。都道府県から申請された病床の合計は何床ですか。
 補助金には社会保障の充実を理由に増税した消費税百九十五億円を充て、補助単価は稼働率が高い病床ほど高く設定されています。各地で入院医療体制が逼迫し、広く地域の医療連携体制の確立が求められています。入院できない患者が再びあふれる危険がある中で、稼働率の高い病床を今なくすことがなぜ社会保障の充実なのですか。説明を求めます。
 地域医療構想における二〇二五年の病床必要量は、新興感染症のパンデミックを想定せず、高度急性期、急性期を中心に約二十万床削減するものです。新興感染症の感染拡大時、一般医療と両立し命が守れる必要病床数の再検証が必要ではありませんか。
 病床削減は医師、看護師の人員体制にも連動します。病床削減支援は廃止し、その予算はコロナ禍で苦闘する医療機関、医療従事者に回すべきです。四百三十六の公立・公的等病院の名指しをして病床削減を求める再編統合リストの撤回を強く求めます。お答えください。
 法案は、高度な専門医療などを行う重点外来を報告させ、かかりつけ医と分別する外来機能報告制度を新設します。この重点外来のうち一般病床二百床以上の病院は、紹介状なしで初診した場合、窓口定額負担の徴収が義務付けられようとしています。どのような病院が該当するのか、その基準と病院数の見込みをお答えください。
 一八年の財政審建議では、かかりつけ医以外を受診した場合、定額負担を徴収するよう求めています。今回の措置がその突破口になりかねません。負担額は五千円以上と高額であり、特に、医療機関が限定される地域では受診抑制を招きかねません。負担増はやめるべきです。いかがですか。
 医師の働き方改革について質問します。
 我が国の医療現場は、医師の異常な長時間労働によって支えられています。その結果、多くの医師の健康が破壊され、過労死、過労自死に追い込まれています。医師の労働時間規制の原点は、過労死の根絶だったはずです。
 政府は、全ての勤務医に年九百六十時間という時間外労働上限を設けるとともに、年千八百六十時間の特例を認めるとしています。小児科医である夫を過労死で亡くした中原のり子さんは、医師の働き方改革に関するヒアリングで、一部の医者だけ取りあえず千八百六十時間というのは、取りあえず誰か死んでも仕方ないのかと批判しています。この訴えにどう答えるのですか。
 全国医師ユニオンは、年間約六十人もの医師が過労死ラインを超えた労働で突然死や自死している可能性を指摘しています。九百六十時間は過労死ラインであり、その二倍に当たる時間外労働を容認することは、現状の異常な働き方を合法化するものにほかなりません。これで医師の過労死をどう根絶するのか、明確な答弁を求めます。
 法案は、千八百六十時間が上限となる特定労務管理対象機関に対し、医師の健康確保措置として面接指導、連続勤務時間制限、勤務間インターバル規制、代償休息を実施することを求めています。
 全国医師ユニオンが実施した二〇一九年の医師の長時間労働・無給医ホットラインでは、残業代不払、賃金不払の相談が多数寄せられています。医師の健康確保措置の前提となる労務管理が徹底されていない実態がある中で、健康確保措置の実効性をどう担保するのですか。
 特に、兼業、副業の労働時間について、自己申告では労働時間の適正な把握はできません。病院が責任を持って客観的時間管理を行うことを義務付けるべきではありませんか。
 医師の負担軽減のためにタスクシフトを進め、臨床放射線技師等四職種の業務を拡大するとしています。しかし、医師以外の職種でも長時間労働や夜勤交代制による厳しい労働実態の改善を求める声が上がっています。人員体制を拡充しないまま業務移管を進め、医療の質、安全性はどう確保するのですか。答弁を求めます。
 我が国は、医師数のみならず、医師養成数もOECD諸国の最下位グループに属しています。OECD平均の医師数平均は十万人当たり三百五十人であり、その水準に達している都道府県はありません。過重労働は、絶対的な医師不足によるものにほかなりません。
 医師の働き方を改善するためにも、医学部定員数の削減方針は中止し、医師数の抜本的増員に向けて早急にかじを切るべきです。お答えください。
 日本の医師の長時間労働は、健康被害はもとより、女性医師が出産や子育てを機に常勤医師を続けることができない要因にもなっています。二〇一八年には医学部入試で女性差別があったことが明らかになりました。異常な働き方を前提とする環境こそが、女性医師を差別する構造を生んでいるのではありませんか。
 医師は、医師である前に一人の労働者であり、一人の人間です。医師の人権を守るとともに患者の安全を守るために、労働時間の上限規制はせめて他の職種と同水準とすべきです。異常な働き方を改め、医師が人間らしく働ける本当の働き方改革を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120415254X01620210416_021

発言者: 倉林明子

speaker_id: 13807

日付: 2021-04-16

院: 参議院

会議名: 本会議