小西洋之の発言 (本会議)
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○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました地域的な包括経済連携協定、RCEP協定の締結承認を求めるの件について、茂木大臣を始め関係大臣に質問をいたします。
財務省が十九日に公表した二〇二〇年貿易統計によれば、世界規模のコロナ禍の中で、我が国は輸出が八・四%減、輸入が一一・六%減と、輸出入額共にリーマン・ショック後の最大下げ幅となったとされています。
この間、各国がコロナ対策に全力を挙げる中で、我が国は、昨春には、三月二十四日まで掛かった東京五輪延期決定などのため、欧米からの入国の全面禁止が三月二十七日と遅れ、その結果、武漢系統のウイルスは撲滅したにもかかわらず、欧米系統のウイルス蔓延による緊急事態宣言を引き起こしました。
また、昨年からは、絶対に阻止しなければならないはずの変異株を入国、蔓延させ、それを中心とする第四波、緊急事態宣言の発令の危機に直面しています。この間の政府の水際対策は、本協定加盟国に見られる実績に比しても明らかな失政、失敗であり、それによる累次の緊急事態宣言は人災というべき惨禍ではないでしょうか。
我が国の新型コロナ感染症の累計患者数がRCEP加盟十五か国で何番目の数であるかを示しつつ、これら水際対策の責任について外務大臣の見解を求めます。
本協定と先般の日米首脳会談の結果について質問します。
日米首脳会談では、通商、先端技術などの分野での日米協力が議論され、首脳共同声明の文言からは、ルールに基づく国際秩序に反する中国の行動への対処が基底となっていることが認められます。共同声明には、日米両国は志を同じくするパートナーと連携しつつ、インド太平洋地域における繁栄を達成し、経済秩序を維持することに対するコミットメントを再確認することなどが明記されています。
一方、RCEPは日本と中国の初めてのEPAであり、それにASEAN構成国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの計十五か国、これらのGDP総計二十五・八兆ドル、全世界の二九%の規模を擁します。そして、この中で、中国は日本にとって輸出、輸入が共に全体の二割前後を占める最大の貿易相手国です。
日米首脳会談で確認された対中国を念頭に置いた日米の経済連携などの方針、方策と、RCEPによる中国との経済連携との関係について、茂木外務大臣に説明を求めます。
また、あわせて、日米で確認する自由で開かれたインド太平洋とこのRCEPとの関係、さらには、RCEPによる地域における対中国の自由貿易などの進展がアメリカの対中政策に与え得る影響について、外務大臣の見解を求めます。
また、中国との関係は、協定の個別の内容においても重要な問題を有しています。米中対立が激化し、また、コロナ禍でサプライチェーンが分断される中、バイデン政権は脱中国を目指し、半導体、大容量電池、医薬品、レアアースなどの重要鉱物についてサプライチェーンの問題と対応を検討することと表明しています。
日米首脳声明においても、日米両国は、両国の安全及び繁栄に不可欠な重要技術を育成、保護しつつ、半導体を含む機微なサプライチェーンについても連携することが述べられています。
しかし、日本の製造業、特に自動車部品などは中国を経由したサプライチェーンが組まれているものが多く、政府もサプライチェーンの効率化をRCEPの意義として強調しています。米中対立の中で、日本はサプライチェーンの継続等のためにどのような取組を行うのか、梶山経済大臣の答弁を求めます。
また、本協定は、電子商取引や知的財産分野について中国と初めて合意するに至ったものであり、これらの分野につき、中国との間で国際ルールにのっとった枠組みを構築した意義は大きいと考えます。
他方、中国は、二〇一八年に電子商取引法を、二〇一九年に改正商標法などの国内法の整備を進めている一方で、中国へのデータ流出、中国による知的財産の侵害についてはいまだに懸念が残ります。これらの分野の運用に当たっては、中国が本協定の規定を独自に解釈することのないようにすべきと考えますが、具体的にどのように実効性を高めていくのか、経済産業大臣に伺います。
次に、本協定の成立経緯について伺います。
そもそも、本協定の締結交渉は二〇一二年十一月に当時の民主党・野田政権下の党内議論を起点に進められてきたものであります。同年同月に交渉立ち上げ宣言が発出されて以降、幾つもの閣僚会合や首脳会合を経て、二〇二〇年十一月の署名に至りました。
立ち上げ宣言から合意までに実に八年掛かっていますが、交渉が長期間に及んだ理由及び合意に至るまで時間を要した分野について、外務大臣に伺います。
次に、本協定からのインドの離脱について伺います。
インドは、交渉開始時から交渉に参加していながら、二〇一九年のRCEP首脳会議における離脱表明以降交渉に参加せず、本協定の署名国とはなりませんでした。本協定にはインドについて協定発効日からの加入が可能な旨規定されていますが、インドが実際に本協定に加入するかは未知数です。インドは、中国との貿易赤字の拡大等に不満を有していたようであり、本協定が署名された後、太陽光発電、携帯電話関連部品の関税を引き上げるなど、本協定の目指す方向とは真逆の方針を貫いています。
政府は、インドのRCEP復帰に向けて主導的役割を果たしていく考えであるとのことですが、インドが交渉においてどのような主張をし、それに対して日本政府はどのように認識をしているのか、また、今後、インドをどのように本協定に取り込んでいくのか、外務大臣に伺います。
次に、ミャンマー問題について伺います。
ミャンマーにおいては、国軍によるクーデターが発生し、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を始めとする方々が拘束をされ、多数の市民が死亡するなど、とても本協定を批准できるような状況ではないと思われます。このミャンマー情勢について、改めて政府としてどのような取組を講じていくつもりなのでしょうか。日米首脳共同声明では、民間人に対する暴力の即時停止、民主的な政治体制の回復をミャンマー国軍に対し日米で連携しながら強く求めていくなどとされていますが、拘束されている邦人のジャーナリストの解放も含め、その具体策について外務大臣の答弁を求めます。
本協定の経済効果について伺います。
政府は、協定がない場合と比較した場合、実質GDPが約二・七%、約十五兆円、労働供給が約〇・八%、約五十七万人増加するとしています。これは、TPPや日EU・EPAと比較するとかなりの規模で経済効果が現れるとの結果になっています。
しかし、これはあくまで最終的な試算であり、例えば、中国、韓国との関税撤廃のスケジュールは十一年、十六年、二十一年など、長期にわたるものも多くあります。国民が本協定の効果を実感できるのはいつのことなのでしょうか。
また、政府は、本協定について、農産品の重要五品目の関税削減、撤廃からの除外等を引き合いに、攻めるべきものは攻めて、守るべきものは守る、こうした交渉結果を達成できたと述べていますが、工業製品などと農産品全体を通して見たとき、日本の一次産業が厳しい競争に直面する事実、事態は想定されないのでしょうか。
政府は、TPPのときから経済効果分析を実施しており、その効果の宣伝に努めていますが、外務大臣の見解を求めます。
本協定の拡充について伺います。
本協定は、物品貿易だけでなく、様々なルール分野における合意がなされていますが、国有企業、環境、労働についてのルールは規定されていません。本協定は発効五年後に一般的な見直しを行うこととしており、茂木外務大臣は、後発途上国の状況を見ながら、今後、見直す場合にはどういう規定にしていくか、更にレベルを上げていくことも視野に入ってくると述べています。中国などこれらの分野への取組が不透明な国々が参加する際、国有企業、環境、労働についてのルール形成を行う方針なのか、外務大臣に伺います。
次に、他の経済連携協定について質問をします。
本協定の署名国のうち、中国、韓国がTPPへの参加を検討すると表明し、フィリピンも加入に向けた調査を開始し、さらにはタイ、インドネシアが加入への関心を示したと報道されています。この点、茂木外務大臣は、様々な国・地域による関心表明がなされていることは、TPP11が評価されていることで歓迎したい、その上で、関心表明を行っている国・地域がこの協定の掲げる高いレベルを満たす用意ができているかどうかについてはしっかり見極めていきたいと答弁しています。日本も多大な譲歩をして合意が成立した市場アクセス・ルール面でのTPPのレベルを下げることはあってはならないと考えますが、我が国としてこの点をきちんと確認をしていくのか、外務大臣に伺います。
日米貿易協定についても伺います。
この三月十八日から四月十六日まで米国産牛肉に対するセーフガードが発動され、関税が二五・八%から三八・五%まで引き上げられました。四月十七日からは、協定に基づき発動前より低い二五%の関税とすることが協定上定められています。
しかし、日米貿易協定の交換公文には、セーフガード措置がとられた場合、発動水準を一層高いものにするために協議を開始し、九十日以内に協議を終了させる観点から、セーフガード措置がとられた後十日以内に協議を開始するとあります。これは、トランプ前大統領への過度なそんたくであり、日本の農林水産業に大きな被害をもたらすリスクがあるものと私たち野党は繰り返し主張をしてきました。
三月二十五日には日米間で協議が行われましたが、この協議の具体的な内容については全く公表されていないと言っても過言ではありません。今後も協議を重ねると考えますが、米国がセーフガードの発動水準を一層高くする要求をしてきた場合、どのように対応するのか、野上農林水産大臣の答弁を求めます。
さらに、日米貿易協定における自動車、自動車部品に対する追加関税及び数量規制の発動回避に係る日米首脳、日米閣僚間の約束について伺います。
茂木外務大臣は、本院外交防衛委員会において、日米共同声明の協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らないとの抽象的な文言と、その解釈に関する、トランプ大統領がそれで結構だと述べたということ、まるで居酒屋談義レベルの口約束のみをもって追加関税を課されることはないと強弁しました。加えて、自動車、同部品に対する数量規制などの回避も、閣僚会談で確認したとの口約束だけを根拠としました。それらを証明する唯一の資料、すなわち首脳会談、閣僚会談の議事録の再三の公表の求めにも一切応じず、国会への説明責任を放棄し、現在までこの状態は続いています。
日本経済に大打撃を与える措置の将来的な発動回避を文書で明確に約束できなかったことは、日本外交の大きな失敗であります。
バイデン政権は、現在のところ、自動車、同部品に対する追加関税について明言はしていませんが、国内経済の立て直しを図るバイデン政権が今後、追加関税を課す可能性は否定できないと思われます。今後、政府として、バイデン政権に追加関税を課さないことを明確に確認する必要があると考えますが、なぜ、先般の首脳会談で、日米首脳会談でそうした確認を行わなかったのかを含め、外務大臣の答弁を求めます。
最後に、我が国のメガFTA政策について伺います。
二〇一〇年のAPEC首脳会議から取組が本格化したアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPは、RCEPもTPPをも含む巨大経済圏構想であり、政府は今後、FTAAPを含めた質の高い、包括的かつより広い地域をカバーする自由貿易圏の実現に向けて必要な取組を行う方針を示していますが、具体的にどのような取組を講じていくのでしょうか。既存のメガFTA、EPAの活用、拡充方針と今後のメガFTA政策の方向性、及びそれが米中の新時代にどのような関係の、またあるいはその緊張関係の改善の影響を及ぼし得るとの認識にあるのか、外務大臣にお伺いし、私の代表質問といたします。(拍手)
〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕